2401 > まめまめしき書はまさなけれ更級の月影飽かず眺めやる夜は(素蘭) (10月4日 00時33分) 2402 > 明け暗れの更級の野にしらじらと露光らせて蕎麦の花咲く(登美子) (10月4日 22時29分) 2403 > 夜のほどろ小草に露の玉おきて物音なべて還り来むとす(素蘭) (10月5日 01時19分) 2404 > 朝露に浜砂しかと湿りゐて秋深まるを裸足の吾に(重陽) (10月5日 06時10分) 2405 > 虫の闇おどろに深き山の庵に住みふりし人今を嘆かふ(堂島屋) (10月5日 18時08分) 2406 > しづもれる樹ゆゑとく知るくれなゐのまばらに見えて秋は闌けゆく(素蘭) (10月5日 18時55分) 2407 > 多感なりし我が幼年の罌粟月夜父母ひめやかに睦みゐたりき(蓼艸) (10月5日 22時32分) 2408 > 十六夜の夕餉のあとの夫の眼を遣り過ごしたり二十歳のこころ(しゅう) (10月6日 17時52分) 2409 > たまかぎる夕さりくればかへり来む言葉の園に遊ぶたまゆら(素蘭) (10月6日 23時32分) 2410 > 言の葉に心を乗せて流しやる宮仕への枷多き日頃を(登美子) (10月7日 07時22分) 2411 > ふるふると細笛聞こゆ犬島の無明(むみょう)の沖を父行くらむか(蓼艸) (10月7日 11時46分) 2412 > いそのかみふるの中道なかなかに笛吹きすさぶ闇はしづけし(素蘭) (10月8日 01時38分) 2413 > 磯釣りの腕伏す日々の長かりき友陶然の石鯛ゲット(重陽) (10月8日 17時58分) 2414 > 海幸も己がさちさち牛食はぬ神代に生れて住むよしもがな(堂島屋) (10月8日 18時20分) 2415 > のどやかに草食む牛と思ひしがあひ食みあひて身をば食みたり(素蘭) (10月8日 23時58分) 2416 > 牛乳をコップに呷る朝なさな骨粗鬆症避けむと妻は(重陽) (10月10日 05時54分) 2417 > 冷害で米離れせし日本食牛肉離れとはならぬだろう(しゅう) (10月10日 13時39分) 2418 > 将来もしECO‐CRIMINAL裁きなば肉食ふ吾も縊れ死にせむ(堂島屋) (10月10日 18時36分) 2419 > 瑠璃色の勇気が裁く正義あり議定書離脱せし大義あり(素蘭) (10月11日 00時39分) 2420 > それぞれの色に正義の旗掲げぶつかり合へば闇のひといろ(登美子) (10月11日 06時00分) 2421 > タックルのなかにボールは隠されてアメフトかくも戦争に似る(素蘭) (10月12日 01時16分) 2422 > 待ちかまへ高く手をあげキャッチせるこの一球に戦ひ終はる(登美子) (10月13日 06時10分) 2423 > NO SIDE 恩讐消えし秋空に誰が手はなれし赤き風船(堂島屋) (10月13日 18時05分) 2424 > 澄みわたるパティオの空に二人してバルーンに託す夫婦の誓い(重陽) (10月13日 19時33分) 2425 > さだめなき世はまさをなる空深く赤き風船とどまれよいさ(素蘭) (10月14日 01時00分) 2426 > 犀ひとつクレーン次第に吊り上げて徐々に廻せり瑠璃紺の空(蓼艸) (10月15日 11時53分) 2426 > 持ち時間少ないけれどしばらくは生きられそうだと父は笑顔で(登美子) (10月15日 06時45分) 2428 > 角ゆゑに狩らるる犀と神ゆゑに狩りあふヒトといづれゐがたき(素蘭) (10月15日 23時41分) 2429 > 回廊を鹿の髑髏でうめ尽す誉れ高かる貴族の館(重陽) (10月17日 05時18分) 2430 > たくつぬ白き布のべ伯爵はカアヴィングナイフ優雅に使ふ(堂島屋) (10月17日 12時38分) 2431 > 葡萄酒とパン分かちあふ聖餐に使徒書はいへり〈愛しあふべし〉(素蘭) (10月18日 00時23分) 2432 > 汚れなきマルセリーノのいたづらを神愛でたまひき抱きたまひき(登美子) (10月18日 06時16分) 2433 > いたづらに時はへめぐり揺りもどり終末時計今何時だらう(素蘭) (10月19日 01時02分) 2434 > 美髯もつお尋ね者も我が目には耶蘇の空似ぞ不敬といへども(堂島屋) (10月19日 17時53分) 2435 > 門に貼る鍾馗の札や効能は魔除風邪除疱瘡除とぞ(素蘭) (10月20日 00時43分) 2436 > おめかしの小さな紳士淑女らが千歳飴持ちついスキップを(登美子) (10月20日 22時32分) 2437 > 産土の神忘れたる我等なりとほき杜へと着飾りてゆく(素蘭) (10月21日 19時23分) 2438 > 両親に祖父母二組七五三スキップする子のシックスポケット(重陽) (10月22日 07時59分) 2439 > 千歳飴折れてゐたるか小皇帝借り着の袴つかみいさちる(堂島屋) (10月22日 12時40分) 2440 > 逃水の中を美童は一列に祭の笛を吹きつ過ぎるよ(蓼艸) (10月22日 22時37分) 2441 > 逃水の果てにあるもの追ふやうに空しくあがくひとりづつひとり(素蘭) (10月23日 00時48分) 2442 > 蟷螂が虚空に斧を振り上げてむなしきあがきと知るまでの刻(登美子) (10月23日 16時19分) 2443 > 枯色の蟷螂ひとつ捨てかねし斧を杖つき巡礼のさま(堂島屋) (10月23日 20時06分) 2444 > 巡礼のそびらに雪は降りつみてとけゆく夢は砂のごとしも(素蘭) (10月24日 00時54分) 2445 > さらさらと秋の砂掌に受けながら残照褪せ行く海を見てゐる(登美子) (10月24日 14時39分) 2446 > 秋浜の誰が丹精の砂の家壁の小窓に夢がただよう(重陽) (10月24日 15時44分) 2447 > あかれゆく棚無し小舟とどめむと鳴き砂に立ち君が領巾振る(堂島屋) (10月24日 18時44分) 2448 > かへるみの手向けの幣も振る袖も時とふ旅を斎ひてゐるか(素蘭) (10月24日 23時49分) 2449 > 月日たつ早さよと人言ふめれば雷われせめて夕立ちとせむ(登美子) (10月26日 19時58分) 2450 > 遥々のとどろく音に欹てて久しきことの秋雷と知る(重陽) (10月27日 09時22分) 2451 > 雪起し鰤起しとや白山を鈍雲低く流るる向かう(素蘭) (10月28日 12時55分) 2452 > かもめの声に鰊来るぞと湧き立ちし栄華の跡に雪虫が舞ふ(登美子) (10月29日 08時02分) 2453 > 向かひあつて「海賊サラダ」たべてゐるカモメの声も遠く聞こえて(たまこ) (10月29日 18時47分) 2454 > 蒼穹の果てに挑みしカモメありジョナサンきみはチャック・イエーガーか(素蘭) (10月30日 09時01分) 2455 > どこまでも翔んでゆくべし干竿に風をはらめる子供らのシャツ(たまこ) (10月30日 11時02分) 2456 > 久しきやかな三文字の詠人の明るき歌に弾む心を(重陽) (10月30日 14時19分) 2457 > かな文字の名のやさしさや求めゐし友に巡りあひたる心地す(登美子) (10月30日 18時35分) 2458 > 〈かくも長き不在〉といふ傷跡の残らぬ戦など無きものを(素蘭) (10月31日 01時26分) 2459 > そこに在るだけでうれしいカウベルをドアーに吊す小さな茶店(たまこ) (10月31日 08時59分) 2460 > 濃く淹れし紅茶にミルクたなびきて夫は新聞うしろから読む(堂島屋) (10月31日 12時07分) 2461 > 予定なき日曜の朝くつろぎは詩歌の言葉拾ひはじめる(素蘭) (10月31日 23時54分) 2462 > 雨音にかさなり子猫が食べる音 今日は短歌のトーンもダウン(たまこ) (11月1日 19時42分) 2463 > 足占する言葉はいつも来る来ない歩幅微妙に狂ふ気がして(堂島屋) (11月1日 21時30分) 2464 > はじまりは一個のボタンの掛け違ひふたりの視線が食ひ違つてゆく(素蘭) (11月2日 00時47分) 2465 > ボタンひとつ掛け違ひたる設計士わがやの改築図面を見せる(たまこ) (11月2日 10時56分) 2466 > 設計図描くのが苦手で生きてきた出たとこ勝負も味なものにて(登美子) (11月2日 19時50分) 2467 > 被曝者の寸断さるるゲノム地図読めねば身ぬち神迷走す(素蘭) (11月2日 23時07分) 2468 > シャンツエの如く途切れし新設路バーゲンの旗反対の旗(重陽) (11月3日 10時45分) 2469 > 八幡宮の幟を風にはたはたと神輿が過疎の村をねりゆく(たまこ) (11月3日 21時08分) 2470 > 嬉々として羽織袴の小公子本殿を背にガッツポーズを(重陽) (11月4日 06時22分) 2471 > 村の子らの原景にならむ大公孫樹 鎮守の空の金のたて髪(たまこ) (11月4日 12時31分) 2472 > 薨去より一千百年菅公のいとどしぬばゆ秋深みかも(堂島屋) (11月4日 18時31分) 2473 > み吉野のもみぢを幣と見るまでに散りつつあるか風のまにまに(素蘭) (11月5日 00時55分) 2474 > きざはしの乱れし息を呑み込みぬ菊花凛々しき湯島天神(しゅう) (11月5日 19時13分) 2475 > うつろへる色とかをりをまつらはす菊人形の眼にある虚空(素蘭) (11月5日 23時09分) 2476 > 山なみに利鎌の月は隠れ行き星辰揺れつつ虚空を満たす(登美子) (11月6日 18時45分) 2477 > 月光の差し込む欅の虚(うろ)のなか昔話をねだる子リスら(たまこ) (11月6日 20時20分) 2478 > ほ乳類齧歯目リス科またネズミ科つぶらなる目に変はりなけれど(素蘭) (11月7日 00時51分) 2479 > 哀しいほどに澄み透る牛の目のなかに吾が映りゐて恥(やさ)しくなりぬ(たまこ) (11月7日 07時19分) 2480 > くるくるとよく動く目でをさなごが落葉の舞ふに合はせて踊る(登美子) (11月7日 10時35分) 2481 > 女神またむなぢ露はに踊りてよ晦冥の世に日を仰ぐため(堂島屋) (11月7日 22時00分) 2482 > ひさかたの天つ少女が唐衣振る袖のなき新嘗の世か(素蘭) (11月8日 01時17分) 2483 > 水色の空に透けつつ浮く月を仰ぎつつ行く秋の野の路(たまこ) (11月8日 17時27分) 2484 > 銀河鉄道いまどのあたりわが夢のプラットホームの明かりに停まれ(登美子) (11月8日 22時54分) 2485 > 天空のオデュッセイアはメーテルの旅の途中の銀河鉄道(素蘭) (11月9日 01時01分) 2486 > 青虫の歯形ののこる菜を食べてどんな星より地球が好きだ(たまこ) (11月9日 19時28分) 2487 > 歯固めを選ぶまなざしかつてわが若き母なる姿重ねて(ジャスミン) (11月9日 23時25分) 2488 > カウボーイハットの似合ふ男なりひとつ写象にこだはりをれば(素蘭) (11月10日 00時41分) 2489 > 降る花をしとねと見立て惑乱の中に唇奪われている(ジャスミン) (11月10日 00時53分) 2490 > 枯葉ふるごとく落ちゆく爆弾は枯葉も見えぬアフガンの地に(重陽) (11月10日 06時22分) 2491 > 国境という概念はいつからか造化の神の知恵ではなきを(ジャスミン) (11月10日 08時23分) 2492 > 物差しで引きたるごとき国境は二十世紀の恥の遺跡か(重陽) (11月10日 09時10分) 2493 > イスラムもキリストもまた神在わす国造らん為や神とは何ぞ(しゅう) (11月10日 09時15分) 2494 > 天界を人は恋ふべしあらがねのつちなる聖地なべて毀たば(堂島屋) (11月10日 15時41分) 2495 > 月読みの男を君に例えればわれは嫦娥となりて一献(ジャスミン) (11月10日 22時02分) 2496 > 蔵はれる樹木の耳もなき渓を赤新月ののぼりゆかむか(素蘭) (11月11日 00時59分) 2497 > 三日月を高空に揚げ三人の大人家族に夜の更けゆく(しゅう) (11月11日 07時08分) 2498 > 釣磯へ絵島の橋をゆくわれに冨士を仰げと有明の月(重陽) (11月11日 16時40分) 2499 > 蓬髪の若きライダー高速のインターチェンジでふかす一服(ジャスミン) (11月11日 19時58分) 2500 > アメリカの自由の風は異端児を嫌ふと知つたベトナムの頃(素蘭) (11月11日 22時57分) |