2501 > 「労働は自由への道」と書かれたるアウシュヴィッツの出口なき門(ジャスミン) (11月11日 23時14分) 2502 > 吉原の180店のソープランド門門男立つ夕べ無風(しゅう) (11月12日 05時32分) 2503 > ザル法とオスのサガにて維持されし世界最古のシゴト続きおり(ジャスミン) (11月12日 07時50分) 2504 > ラーマーヤナに描かれしといふ争ひの末法の世にさも似たるかな(登美子) (11月12日 09時35分) 2505 > 白線の内側で待てとアナウンス さうだあの世は地続きだつた(たまこ) (11月12日 12時10分) 2506 > 白線の外側に待つここちかな人員削減といふベタ記事(堂島屋) (11月12日 12時55分) 2507 > ちっぽけな地域サークルの中にさえポスト巡って無言の軋轢(ジャスミン) (11月12日 15時11分) 2508 > 戦乱にはわが身の明日の実存をただそれだけを欲し求める(重陽) (11月12日 19時46分) 2509 > ゆらゆらと湯殿明るき日曜の老人腹の弾傷誇る(堂島屋) (11月12日 20時20分) 2509 > 銃弾を込める指先かすかにも人を殺める迷いはあるのか(ジャスミン) (11月12日 20時20分) 2510 > ラ・フランス雨月のように芳しく地雷のように秘して完熟(しゅう) (11月12日 22時02分) 2511 > 雨のごと抱き合いつつ雷神の窓打つ音におののいており(ジャスミン) (11月12日 23時18分) 2513 > 時じくそ目覚める兵士ありといふ間なくそ人の通える道に(素蘭) (11月12日 23時33分) 2514 > いつの世も兵士を送る母の目は遠ざかる背に語りかけてる(ジャスミン) (11月13日 00時02分) 2515 > 背まろく小さくなりし母の手が日に照らされて白く大きく( 重陽) (11月13日 07時41分) 2516 > 母の乳房舐る幼き妹をひそかに憎みし戦時下のこと(ジャスミン) (11月13日 09時20分) 2517 > 街路樹の枝打ちされし冬の街にねぐら無くしし親子の鳥よ(たまこ) (11月13日 10時23分) 2518 > さまざまの理由あるらん木枯らしに吹き寄せられし地下のホームレス(ジャスミン) (11月13日 11時22分) 2519 > 紙の家住むはいかなる人なれや古き地球儀と文庫本置く(堂島屋) (11月13日 12時10分) 2520 > 官の手を拒みて五分の魂を貫き通す道選びしか(ジャスミン)(11月13日 12時53分) 2521 > 白粉に口紅つけて捨てられた人形のよう浜のメリーさん(しゅう) (11月13日 21時54分) 2522 > 人形の家をおほへる雪あらば夢のほどろにさめざらましを(素蘭) (11月13日 23時43分) 2523 > いつか見た夢かとぞ思う鳩のごと熱き腕にくるまれている(ジャスミン) (11月14日 09時46分) 2524 > 枯れ落葉を踏みゆく鳩の赤い足きしきし淋しい心の赤さ(たまこ) (11月14日 10時55分) 2525 > 初冬の銀杏裸身の隠れなし山鳩まろくついゐてぞ鳴く(堂島屋) (11月14日 12時39分) 2526 > 裸身と見まごう薄き衣装つけ氷上の美女霧らいておりぬ(ジャスミン) (11月14日 14時43分) 2527 > キューピーは裸んぼのまま笑ってる過去なんてものなかったように(登美子) (11月14日 16時56分) 2528 > はしけやしクピドの神のみとらしの弓のあなたに出で立つ吾妹(堂島屋) (11月14日 18時48分) 2529 > いつの間に打ち込まれしか恋の矢の抜かずにおれば血潮あふれて(ジャスミン) (11月14日 19時50分) 2530 > 聞きしかな「好きなんだ」と言う言の葉の耳朶に残りて真赤な動悸(しゅう) (11月14日 21時33分) 2531 > 恋知らぬ警部警部輔警視正課長店長監査役ほか(堂島屋) (11月14日 22時47分) 2532 > 恋してる男子生徒はお土産のハートのクッキーラップに包む(しゅう) (11月14日 23時22分) 2533 > 無理も無し打算効率出世欲いずれも恋とはクロスせぬこと(ジャスミン) (11月14日 23時27分) 2534 > 標なき三叉路ありぬ選ぶとはつひには捨つることなりぬべし(素蘭) (11月15日 00時48分) 2535 > 来る来ないいつも待たせてはぐらかし、んもう、まったく、逃げてやるわよ(ジャスミン) (11月15日 01時10分) 2536 > フラれては許せないからフルのよと言はれし友は石部金吉(堂島屋) (11月15日 12時03分) 2537 > じやが芋のでこぼこ面を洗ひつつほのぼのと浮かぶ面影のあり(たまこ) (11月15日 13時03分) 2538 > 霧らひつつ離ると見えし面影のさだかならねどまたもたち来る(登美子) (11月15日 21時32分) 2539 > 新世紀なるべしタンカ、短歌にて恋愛談義電脳に咲く(素蘭) (11月15日 23時53分) 2540 > 訥々と人の真実哲学を説きくれし師のすでに世になし(ジャスミン) (11月16日 00時26分) 2541 > きみのゐた皐月若葉はけざやかにいぬる霜月零れてやまぬ(素蘭) (11月16日 21時47分) 2542 > 散る紅葉足裏に柔く踏みしめて文豪旧居訪ね歩ける(ジャスミン) (11月17日 12時16分) 2543 > 訪ひし寂光院に冬日さしみほとけすこやかにおはせしものを(登美子) (11月17日 19時59分) 2544 > 波の花みぎはの池にさかりなる桜紅葉の寂けき夕べ(素蘭) (11月18日 00時24分) 2545 > 手をとりて老いの歩みをかばいつつ逝く秋惜しむ妻と夫と(ジャスミン) (11月19日 00時00分) 2546 > 天翔る獅子はのみどの奥ふかくおらびゐにしか 星の雨降る(素蘭) (11月19日 00時52分) 2547 > 絵ノ島の明けもてゆける冷ゆ磯にあまたの星を驚きつみる(重陽) (11月19日 04時48分) 2548 > たてがみが揺るれば星のしづくたち放たれて燃ゆまたたきの間を(登美子) (11月19日 09時38分) 2549 > 胸に棲むその人の名を秘しおればときに炎と立ちて昇りぬ(ジャスミン) (11月19日 12時57分) 2550 > 秘めをれば炎はやがてしろがねの白き吐息となりて昇らむ(登美子) (11月19日 16時54分) 2551 > ひかがみのサボンを流す微温湯に初冬の陽のきらめきてをり(堂島屋) (11月19日 17時42分) 2552 > 凪わたり磯の根見ゆる冬潮に銀鱗鈍き小魚の群れ(重陽) (11月19日 19時15分) 2553 > 白銀の鱗装束般若とふ智慧の面を授かるあはれ(素蘭) (11月20日 00時53分) 2554 > 般若湯五臓六腑をとろかして鼻蠢かす禅智内供は(堂島屋) (11月20日 17時51分) 2555 > 鼻の先暮れ残してや龍之介冬ざれの世に何見つらむか(ジャスミン) (11月20日 21時40分) 2556 > 蕭条とふれる漱石山房の一夜にきみは夢見つらむか(素蘭) (11月20日 22時58分) 2557 > 遠山が闇となるまで見つめゐしかの一夜こそわが恋の果て(登美子) (11月21日 10時31分) 2558 > 触れもせず口にも出さず書きもせず私の恋は一方通行(ジャスミン) (11月21日 11時24分) 2559 > マントラのごとくかなしき名を唱へひとり野辺ゆく恋にもあるかな(堂島屋) (11月21日 12時16分) 2560 > 蒼穹に吸はれゆくもの見つめゐつ風に吹かれて風に震へて(素蘭) (11月21日 23時12分) 2561 > 木枯らしの吹きいる中を反戦のビラ配る若き頬の赤さよ(ジャスミン) (11月21日 23時46分) 2562 > 透きとおる十一月の夕まぐれほのかに富士は赤く聳える(重陽) (11月22日 05時03分) 2563 > あたたかき十一月を病む人の余命あかるく澄みわたりけり(堂島屋) (11月22日 12時12分) 2564 > 人伏すも逝くも知らずにとき過ぎて賀状名簿を直す時期来ぬ(ジャスミン) (11月22日 12時27分) 2565 > くるこない喪はあくるともあかからぬ君ゆゑからき寿ぎの状(素蘭) (11月23日 01時07分) 2566 > 行く道を己が意志にて決めたればプレイバックはもはやすまいと(ジャスミン) (11月23日 10時12分) 2567 > さはやかに老ひゆく道をめぐらせばわが歳月は夢にすくなし(重陽) (11月23日 13時15分) 2568 > 生涯に今日といふ日は初めてと八十翁の顔輝けり(登美子) (11月23日 17時34分) 2569 > 長き夜に卯波の小間のオフの会かねて親しき様に交わる(重陽) (11月23日 18時12分) 2570 > 耳たぶの甘咬みの紅拭いつつ出ずれば空に有明の月(ジャスミン) (11月23日 18時52分) 2571 > 暖簾(のうれん)を潜れば春の夢のなか真砂女の店に面影有れば(絵) (11月23日 20時46分) 2572 > 秋闌けてひとり寝る夜のほどろにはみな美しく夢にたつ見ゆ(素蘭) (11月23日 20時53分) 2573 > 心には修羅ありながら逢うときは化粧の顔に笑みを絶やさず(ジャスミン) (11月23日 22時00分) 2574 > 群れをりて鳴くやくぐもる夕鴉悲しきことの弔いなるか(重陽) (11月24日 05時21分) 2575 > 命日に墓参かなはず我が父の好みたまひし「冬の旅」聴く(絵) (11月24日 09時01分) 2576 > ディスカウのバリトン柔く流れいてアウトバーンをひた走るかな(ジャスミン) (11月24日 09時59分) 2577 > ホセ・クーラのテノール歌ふ〈アイーダ〉と わがことならぬ悲劇ゆゑ美(は)し(素蘭) (11月24日 18時42分) 2578 > 吾が好む男はなぜかむかしからA型長男テノールなれり(ジャスミン) (11月24日 20時47分) 2579 > 吾子A型風呂場に唄ふテノールの声妖しくも魔笛となりぬ(絵) (11月24日 21時25分) 2580 > もののけに奪われている閨のうち窓の外より凍る小夜曲(ジャスミン) (11月24日 22時44分) 2581 > 美しきもの見しひとよハンニバル勤しみなべて真紅の宴(素蘭) (11月24日 23時39分) 2582 > うるわしき高き声域夢はるか今バリトンで第九を歌う(重陽) (11月25日 05時59分) 2583 > 歳末はどこもかしこも第九なれど私は「荘厳ミサ」の方が好きだ(ジャスミン) (11月25日 09時41分) 2584 > 亡き祖父の生誕百年けふ思ふ征露の歌を習ひしことも(堂島屋) (11月25日 15時37分) 2585 > 幼き日習いし歌はそれぞれに時代と思想映すものなれば(ジャスミン) (11月25日 15時56分) 2586 > かたはらにをさなき妹眠るまで絵本読みやるわれは十歳(登美子) (11月25日 18時10分) 2587 > 蓑虫を見つめて飽かぬ三歳の娘と今朝は哲学語る(絵) (11月25日 18時27分) 2588 > 戦地なる父に手紙を書かせむと四歳のわれに文字教えし母(ジャスミン) (11月25日 18時33分) 2589 > 戦乱は過酷なれども思い出にわが人生は豊かなりけり(重陽) (11月25日 19時09分) 2590 > 抑留と流刑の地なるシベリアは母なる大地の別名を持つ(ジャスミン) (11月25日 20時29分) 2591 > シベリアの黒き太陽キャンバスにひろごりゆきて美しきかな(素蘭) 香月泰男 (11月25日 23時58分) 2592 > 子を残し身分財産切り捨てて流刑の夫追うデカブリストの妻(ジャスミン) (11月26日 00時20分) 2593 > ボウフラを花のお江戸に売り歩く月夜の利左のその後や如何に(素蘭) (11月27日 00時13分) 2594 > 朝なさな行き交う人で騒がしき駅をわが家と寝るホームレス(重陽) (11月27日 05時01分) 2595 > 何を捨て何を持つかの選択は哲学ときに深き命題(ジャスミン) (11月27日 11時42分) 2596 > ハンマーで毀てぬ壁はshieldかbarrierなるかそれも命題(素蘭) (11月27日 23時34分) 2597 > ベルリンは瑕疵ぬぐひてや東独の往事の猛き若者は今(重陽) (11月28日 05時09分) 2598 > 私にもそんな日があった60年安保のデモの群の中にて(ジャスミン) (11月28日 09時49分) 2599 > いつだってひとりだったわお祭の雑踏のがれる風船みたいに(登美子) (11月28日 17時12分) 2600 > 奉祝の紀元は二千六百年 断腸亭はいかが迎へし(堂島屋) (11月28日 18時53分) |