801 > 誰がために二十四時間戦ひて君は逝きしか名も揚げずして (堂島屋) (10月4日 22時56分)802 > 「二十四時間戦えますか」がいまわしきバブルの頂点だったということ (志織) (10月4日 23時11分)803 > 貨幣とは即ち電子情報の夢幻空華よ自己増殖よ (堂島屋) (10月5日 11時56分)804 > 人ゲノム回転木馬卍型銀河夢幻の種子(しゅうじ)となりぬ (旅情) (10月5日 18時40分)805 > 銀河より届きし一通の手紙星の生まれし頃を語れり (志織) (10月6日 23時48分)806 > かつてここにあった藁葺きの家の記憶を甦らせる星月夜 (志織) (10月9日 10時40分)807 > 空青き旗翩翻と駒沢に戦後終りし十月十日 (重陽) (10月9日 14時25分)808 > ドラム缶より砂糖水一杯を五拾銭にて鬻ぎし戦後 (堂島屋) (10月9日 19時56分)809 > 建て直す小学校の砂場より掘り起こされし五拾銭銅貨 (志織) (10月10日 23時56分)810 > 欧州の古き街並とりどりのコインに思う旅のいろいろ (重陽) (10月12日 09時09分)811 > 日に三たび関をくぐりぬ言語圏滑走するは楽しきろかも (堂島屋) (10月12日 19時10分)812 > 関所より吹きたる風のすき間にて青を連ねし杜鵑花かな (志織) (10月13日 23時48分)813 > ひっそりと戸塚の宿の小碑文真っ赤なポルシェ風巻きてゆく (重陽) (10月15日 08時18分)814 > 黒塗りの車を降りて住職の電話唐突ポップな着メロ (堂島屋) (10月15日 19時39分)815 > 交差点のケータイに驚かされしは昔 見えない電波の蛇に巻かれて (志織) (10月15日 23時00分)816 > 蛇は目も脱皮してをり生け垣に風に吹かれて旗のごとしも(たまこ) (10月17日 05時10分)817 > 生垣の錆び色深き剪定の陰に深紅の帰り花見ゆ (重陽) (10月17日 14時17分)818 > 錆色にメタセコイアの立つ峠を超えれば一気に過疎の古里(たまこ) (10月17日 18時20分)819 > 産土や神木なりし大楠を見つ渇水のダムの水面に (堂島屋) (10月17日 21時19分)820 > 幼友の沈みしままのあのダム湖春には桜の花が囲みし(たまこ) (10月18日 06時24分)821 > 花筏吹き重なりてただよへり愛はしさまに自在うばはる (重陽) (10月18日 20時18分)822 > 片よりて吹き重なれる花びらを胸にかきよせてはみたけれど(たまこ) (10月18日 21時11分)823 > 峰越しの風に乗りては布引の瀧壷に敷く落花なりけり (堂島屋) (10月18日 21時31分)824 > イッペーの黄の花落ちつぐクリチーバ出合ひすなはち別れなりにき(たまこ) (10月19日 06時33分)825 > さざめきを渚の潮に秋の朝誓いはなくもまたの出合いを (重陽) (10月19日 07時08分)826 > いい別れができたと思ふまた明日も会へるかのやうに「じゃあ」と手を振り(たまこ) (10月19日 20時08分)827 > 「じゃあまたね」ひそかに自分に嘘をつく急がなくてもよかった出会い (志織) (10月20日 00時36分)828 > 茅の葉も稲の葉もなにかどこか違うチキチキバッタのやうに急いで(たまこ) (10月20日 06時55分)829 > 初雪の便りも届く北の空明日に向かう白鳥の群れ (晴雲) (10月20日 11時23分)830 > ネットにのみ捕まる世界みいだせず乱れ暴れて騒ぐ弱虫(ネット荒ら不愉快&憐れ) (耽空) (10月20日 17時14分)831 > 電気蜘蛛へらへら吐ける糸のうへ個我崩壊のサイバー浄土 (堂島屋) (10月20日 17時50分)832 > 遙かなるシベリヤに向かふ白鳥の想ひに託す収容所群島 (有情) (10月20日 20時47分)833 > 大群を上目に見やる五六羽の渡りいずこへ茜雲果つ (重陽) (10月20日 22時41分)834 > かつてこの世の果てという小説ありたどり着いたらむしろ気楽さ (志織) (10月20日 23時43分)835 > 燕らの発ちたる後を葦原に南想えばあこがれに似る(たまこ) (10月21日 06時08分)836 > 燕らに此所は北だと想ふとき人の暮しの灯が点り初む(たまこ) (10月21日 06時16分)837 > 焼黍にふるさとを嗅ぎかぶりつく見やるテレビに初雪の報 (重陽) (10月21日 08時20分)838 > 良い便り待ちつつ早も神無月テレビに釧路の初雪映り(たまこ) (10月21日 20時57分)839 > われの想(も)ふ人いま遠く北国に松の根締めて冬備へせむ (有情) (10月21日 23時12分)840 > 思わずも早そうな今年の冬にまず新世紀迎える備え (志織) (10月22日 01時09分)841 > 世紀末は十月日暮れのゼブラゾーン風に吹かれて落ち葉が過る(たまこ) (10月22日 07時12分)842 > きらきらと樹の葉舞い散る陽だまりに銀杏拾う小さき丸き背(晴雲) (10月22日 14時17分)843 > 銀杏のさみどり押せば弾性体 部下を演ずる青年と酌む (堂島屋) (10月22日 19時37分)844 > 北便りルビーの如き弾性体炊きたて飯に盛りてかきこむ (重陽) (10月23日 05時20分)845 > 昏睡の父の病窓にかぎりなく光を引きて銀杏散りゐし(たまこ) (10月23日 05時47分)846 > 君とふたり出でしは史料編纂所いてふかつ散る道に語りき (堂島屋) (10月23日 13時00分)847 > かの秋の銀杏を想ふ妻たちの眼に多分よぎらぬ夫(たまこ) (10月23日 20時00分)848 > それぞれの秋を過ごして午後は過ぎ温め酒を酌み交わす夜(晴雲) (10月24日 23時32分)849 > ものなべて翻りやすく秋がゆく落ち葉・浮き雲・わたしの心(たまこ) (10月24日 23時57分)850 > 三十路きてすきま風しむ友ありぬ虚心の秋に心起てしか (重陽) (10月25日 09時22分)851 > このゆふべ不惑に近き歯をみがく狂するほどの使命はありや? (堂島屋) (10月25日 12時35分)852 > 何故などと問うたら悲しくなるばかりたうたうたらり酔ふて生きんか(たまこ) (10月25日 18時30分)853 > 現世のよろずことごと過客なる日々の吾こと輪廻万象 (重陽) (10月25日 20時13分)854 > くすみては猿にかも似るもろともに夢の一期を舞ひ暮らすべし (堂島屋) (10月26日 01時25分)855 > 梨・葡萄・無花果・蜜柑このやうに食べても食べてもやはり悲しい(たまこ) (10月26日 05時40分)856 > ときじくの木の実笑ふや汝(な)のことをけふも想ひけり青空の下 (有情) (10月26日 13時29分)857 > どれもどれも翔んでゆきたい症候群 青空に干す子供らのシャツ(たまこ) (10月26日 15時34分)858 > 朱の色に翻る幡チベットの古寺の頂き鳥葬の朝 (有情) (10月26日 19時52分)859 > 摩尼車きしむ古刹にけふもまた問答すらし若き師僧は (堂島屋) (10月26日 23時42分)860 > 満身創痍の飛鳥大仏の御前に小さく願へと木の札ありぬ(たまこ) (10月27日 06時01分)861 > 蜩の声や往昔の苦しみは汝(な)のためにこそかけし大願 (有情) (10月27日 20時59分)862 > 往昔の万事思へば吾今を心澄みたり秋のあけぼの (重陽) (10月28日 05時37分)863 > 冬近き夜をあらわれて飛べる蚊の細き羽音は祈りにも似る(たまこ) (10月28日 07時38分)864 > 硝子戸の凍れる隙に蝶独り眠るが如く祈るがごとく (有情) (10月28日 10時05分)865 > 「どうした」と近寄るわれに「おまえこそ」と時雨降る日の街の野良猫(たまこ) (10月28日 12時51分)866 > おなじ道おなじ時刻に「おはよう!」とウオーキングの清々しき人 (重陽) (10月29日 07時04分)867 > 毛筆で子が書きて来し線あまた字となる前の清しさを持つ(ぽっぽ) (10月29日 09時36分)868 > 残菊に雨を重ねし水茎のあまたの句より特選となる (重陽)ぽっぽさんおめでとう (10月29日 17時17分)869 > 八千矛の神の尊の語りごと水茎にせし史し思ほゆ (堂島屋) 史=ふひと (10月29日 21時28分)870 > 白兎なる社の御籤大吉と顕わの磯をとび渡りゆく (重陽) (10月30日 11時50分)871 > 神前のせせらぎをつと飛び渡るせきれいの青日に映えいたり (志織) (10月31日 00時15分)872 > なゐふりて驚く我は丑満のオフィスに書類つくりてゐたり (堂島屋) (10月31日 01時49分)873 > 書を閲つ不乱に過ぎて東雲の企業戦士の友の懐かし (重陽) (10月31日 14時42分)874 > 名刺折る人騒がせな役人よ吾(あ)は不惑なるクリスタル・クリアー (有情) (10月31日 19時44分)875 > これやこの名刺の法則 肩書きは字数少なき人ほどえらい (堂島屋) (10月31日 23時05分)876 > 初めて知る名刺の端は折るものと青き陰翳など付け置かむ (志織) (11月1日 00時13分)877 > 幾年の名刺の束にたばかりて手にとる葉ごと思ひ廻らす (重陽) (11月1日 05時16分)878 > 胸病みし旧き朋あり柿落葉つもりて深き小径を迂回(まは)る (有情) (11月1日 16時57分)879 > 落柿舎や坐して仰げば紺碧の空に熟れゆく渋柿の尻 (堂島屋) (11月1日 21時49分)879 > 雨音と落ち葉の音を聞き分けて独り遊びは昔から好き(たまこ) (11月1日 21時35分)880 > 晩秋の小町通りに斑らなる紅葉と渋柿庵の小窓と (志織) (11月2日 00時02分)881 > 桜木の錆び深まりし段かずら朱き社殿を遥かに拝す (重陽) (11月2日 04時21分)882 > 雨だらうか光だらうか晩秋の八幡様の杜に降るのは(たまこ) (11月2日 06時23分)883 > 神さびし社(やしろ)なつかし秋時雨紅葉降り敷く階段(きざはし)のうへ (有情) (11月2日 07時46分)884 > 紅葉照る石のきざはし掃きおろし禰宜の浅葱の袴すがしも (堂島屋) (11月2日 12時46分)885 > 千年の巖の如き公孫樹黄葉に化して新春を待つ (重陽) (11月2日 16時23分)886 > 千年は遠くてされど宇宙の営みの中ではほんの一瞬 (志織) (11月2日 23時25分)887 > 象の眼の瞑るや遙か千年の時還り来て曼陀羅を喰む (絵) (11月3日 09時46分)888 > 千年の文待ちたれど君の見し花は幻虚空さまよふ (素蘭) (11月3日 15時16分)889 > シャンパンは封したるまま置かれたりグラスを合はす人なき聖夜 (小梅) (11月3日 17時33分)890 > グラスとグラスふれあふ音の澄み透り二人はさみし一人よりなほ(たまこ) (11月3日 22時00分)891 > 歌よめば寂しさあふること多き君をばゆかし思ふはやわが (重陽) (11月4日 08時40分)892 > ラブダンス失敗せしか片脚で屋根を滑りぬ明けの鴉は (小梅) (11月4日 14時58分)893 > 禍故重畳 凶聞累集 しののめの妻の告白 妻の告白 (堂島屋) (11月4日 16時43分)894 > 耳のあることの楽しさ「ナイショダヨ」こそこそ子の声くすぐったくて(たまこ) (11月4日 20時49分)895 > 耳のあることの空しさ聞きたくもなきB級のニュースが障る (志織) (11月4日 22時18分)896 > 我が咎と知りし時より幾夜経て君の言葉をここに聞くとは (素蘭) (11月4日 23時11分)897 > 咎と言ふにもあらざれど思ひ出す度にわが眼をきゅんと瞑らす(たまこ) (11月5日 06時41分)898 > 諍いて何かをいえば済むものを無言のままに箸をすすめる (重陽) (11月5日 09時58分)899 > 「満洲をとられた」といふ祖父ありき我あらがへど甲斐もなかりき (堂島屋) (11月5日 17時39分)900 > 一生の過半を帝国臣民として生きたればやむを得ずかし (堂島屋) (11月5日 17時42分) |