2801 > きさらぎの書棚ゆいづる百鬼園狂ほしきまでの回想読みぬ(素蘭) (2月14日 00時02分) 2802 > 狂ほしく恋ひて叫べる牡猫はおのが姿ぞ 男性諸君(ギオ) (2月14日 01時17分) 2803 > 埋み火の残りし灰のぬくもりが今は小さき炎となりぬ(重陽) (2月14日 05時16分) 2804 > 赤々と炎は燃えつぐ雪嶺を四囲にめぐらす塩湖の町に(登美子) (2月14日 23時21分) 2805 > クムランの洞窟ふかく死海文書あり永遠の黙示あらぬや(素蘭) (2月15日 01時28分) 2806 > 出土せし木片の文字にいにしへの民のたつきの偲ばるるかな(登美子) (2月15日 23時16分) 2807 > さまよへる湖へヘディンの漕ぎゆきし一艘の舟偲ばるるかな(素蘭) (2月16日 01時42分) 2808 > 巌上の妖しき影を見るなかれ舟人誘ふ歌聞くなかれ(登美子) (2月16日 23時29分) 2809 > 断崖ゆ乙女の歌声聞こえ来と男ら惑ふは悲しき性かも(ギオ) (2月17日 00時47分) 2810 > 魔王ーそのアリアやさしく歌ふゆゑ奪はるるもの少年と呼ぶ(素蘭) (2月17日 01時05分) 2811 > ビードロをポコペンと吹き少年はガラス細工の心を試す(登美子) (2月18日 17時01分) 2812 > 形神は蒼きかげりの玻璃に似てくだかれやすき少年の日々(素蘭) (2月19日 01時15分) 2813 > かーごめかごめ後ろの少年はいついつ出やる 木の芽のときぞ(ギオ) (2月19日 02時27分) 2814 > 春の夜のたふときあはれ求めなば宵あけぼのの中といふらむ(素蘭) (2月20日 00時59分) 2815 > のりものに座すやまどろむ吾にとり春眠なべて時をえらばず(重陽) (2月20日 14時36分) 2816 > 鶯の初音聞きてむ一雨の降るごと春のめざめにければ(素蘭) (2月21日 01時14分) 2817 > 朝まだき渚の春の小波は散りゆくさまに寄するがさまに(重陽) (2月21日 09時06分) 2818 > 春の夜の月に誘はれ生れいでしおのが影さへ持たぬ白魚(登美子) (2月21日 19時09分) 2819 > 白魚の白き一寸かなしびてわがまなうらにみどりご泳ぐ(素蘭) (2月22日 01時05分) 2820 > 春磯の光まとひし鮎の稚魚(こ)はただよふごとくいのちたのしぶ(重陽) (2月22日 05時14分) 2821 > 楽しみは寡黙な息子が恋をして明るく笑ふ声を聞くとき(登美子) (2月22日 19時57分) 2822 > ギリシアの哲学以前文字ありき饒舌なるものΣと呼びき(素蘭) (2月22日 22時50分) 2823 > 饒舌の季節ふたたび巡り来ぬ 花蜜得むとて目白ら騒げり(ギオ) (2月23日 02時14分) 2824 > 群れすずめ追ふ椋鳥に四十雀とどめは目白朝の餌場は(重陽) (2月23日 08時24分) 2825 > 物見高きひと集まりぬめづらかな鳥の渡れるあつかひ草に(素蘭) (2月24日 01時19分) 2826 > 庭隅のひとつ置かれし陶の椅子巣篭もりせんと四十雀とふ(重陽) (2月24日 11時10分) 2827 > 容るる水なき土器のひとつある冬ざれにける庭の一隅(素蘭) (2月24日 20時37分) 2828 > 天地にまみえし古人の驚きを埴輪はまろき口あけてゐる(登美子) (2月24日 21時38分) 2829 > 雪間わり角ぐむ草木に驚きの声あげけらし 縄文の民は(ギオ) (2月25日 02時28分) 2830 > 葦叢は角ぐみにけり地にありてもゆることなきおもひ草かも(登美子) (2月25日 18時56分) 2831 > 道の辺の雑草芽ぐみつつあらむ犬ふぐり咲く春は来にけり(素蘭) (2月26日 00時30分) 2832 > 瑠璃色の星といふ人あるめれど数ならぬ身の犬ふぐりかな(ギオ) (2月26日 00時49分) 2834 > 数ならぬ身に止みがたき帰心ありこの朝明けを鴨渡り行く(登美子) (2月26日 23時14分) 2835 > 数ならぬ身とふ法師のなかなかに名にこだはりてあはれきさらぎ(素蘭) (2月27日 01時46分) 2836 > いく筋も結露の伝ふきさらぎの窓を過ぎりてゆく白い鳩(たまこ) (2月27日 11時11分) 2837 > くぐもれる朝の光は如月のまたくぐもりつ春をもてくる(重陽) (2月27日 11時45分) 2838 > くくもりて睦月如月白蓮は剖るるまでの夢にこもれり(素蘭) (2月28日 00時45分) 2839 > 垣の内に木蓮つぼみを育みて春のうれひを包まむとやする(登美子) (2月28日 06時08分) 2840 > 晩年の蘆花の庵(いほり)に高く咲き空を真白くおほふ木蓮(たまこ) (2月28日 09時15分) 2841 > 真白なる春の空より降る針ははらりはらりこ雉の目を刺す(やんま) (2月28日 10時10分) 2842 > 乳色のヴェールのような春空を群れゆく鳥の声も乳色(重陽) (2月28日 15時50分) 2843 > 鳥曇・霞・陽炎・春の闇 朧なることうるはしからむ(素蘭) (3月1日 01時12分) 2844 > 浮雲の縁も仰げる老い父も朧おぼろに三月に入る(たまこ) (3月1日 09時19分) 2845 > 弥生その呼名やさしや遠山にかかる残月透きとほりたり(登美子) (3月1日 18時38分) 2846 > 囀りを聴きなす耳も春弥生切ないか切ないか切ない(やんま) (3月2日 05時39分) 2847 > 古雛しろき面輪に袖あててよよと泣きをるおぼろ夜の夢(登美子) (3月2日 08時51分) 2848 > 霧雨が降つてゐるのかと窓によりわたしが泣いてゐると気づきぬ(たまこ) (3月2日 17時12分) 2849 > 白酒を濯ぐ花守ここにあり春夜桃李に宴する序(絵) (3月4日 09時42分) 2850 > 濯ぎたまふ白酒ちひさき盃にうけて宴の末座に連なる(登美子) (3月4日 10時21分) 2851 > 正座することを覚えし幼子のその膝こぞう雛壇のまえ(たまこ) (3月4日 17時22分) 2852 > 唾つけて「ちちんぷいぷい痛くない」涙が途中で乾く幼子(登美子) (3月4日 22時53分) 2853 > 心を擦るようにふる雨こんな日は私が私に「ちちんぷいぷい」(たまこ) (3月5日 15時33分) 2854 > 過去などは埋めてしまおう立ち並ぶビルの間の洒落た舗道に(登美子) (3月6日 06時46分) 2855 > 「あんなことこんなことあったよね」と歌う卒園ちかき子にもある過去(たまこ) (3月6日 16時03分) 2856 > 勝敗はいまだ混沌この次のコーナーこそはと身を乗り出だす(登美子) (3月7日 22時43分) 2857 > 四つ角を曲がる夫に手を振つてそれから後はわたしの時間(たまこ) (3月8日 09時31分) 2858 > 四方より来たりてすれ違ひゆくのみのスクランブルといふ交差点(登美子) (3月8日 19時51分) 2859 > 水色の風でありたいすれ違ふ人の記憶にのこれるならば(たまこ) (3月9日 07時10分) 2860 > さり気なく振舞ふ心にしっかりと爪立ててゐる双頭の鷲(登美子) (3月9日 18時24分) 2861 > 春雷がとおく轟き家猫が衝動的にその爪を研ぐ(たまこ) (3月10日 15時42分) 2862 > 黎明に春雷四方にとどろきてけふまた楽し競べ歌なぞ(重陽) (3月11日 05時30分) 2863 > 揚げ雲雀の声のふる野のつくしんばう背競べしつつすんすん伸びる(たまこ) (3月11日 08時55分) 2864 > 浅き春まだき潮に鮎の子は日に増し親の姿に群れり(重陽) (3月11日 14時33分) 2865 > 若鮎のやうな心に戻れさう春の小川に足浸しつつ(たまこ) (3月11日 16時42分) 2866 > せせらぎは光の色に流れゐて光を散らす白き指先(重陽) (3月11日 19時33分) 2867 > 噴水の光の束の向かうからわたくしを呼ぶ声もまぼろし(たまこ) (3月12日 08時05分) 2868 > 春の夜のまぼろしとみて止まましを何とて影の立ち出づるらむ(登美子) (3月12日 08時27分) 2869 > われを呼び止める気配にふりむけば山茶花の紅の崩るるところ(たまこ) (3月12日 10時43分) 2870 > 見返れば夢二のをんながゐるやうな欄に柳の糸がなびけり(登美子) (3月12日 13時25分) 2871 > 夢二の絵のをんなのなで肩柳腰こんなをんなはほんとは強い(たまこ) (3月12日 17時48分) 2872 > 青柳のしだりをみだす春の風ふけば心もざわわとさわぐ(ぎを) (3月13日 00時50分) 2873 > 新しいスコップを買おう吹く風にかすかにものの芽の匂ひする(たまこ) (3月13日 17時54分) 2874 > 次に吹く風にたぐひて飛び立たん鳥さへ北へ帰るといふ春(登美子) (3月13日 21時50分) 2875 > 春なれやわかるることの切なくて野辺をありけば鳥雲に入る(ぎを) (3月14日 01時37分) 2876 > 春弥生の国会中継「パンドラの箱」は開いたと言ふ声がする(たまこ) (3月14日 08時03分) 2877 > スケープゴート屠るといへどパンドラの箱の底なる希望は見えじ(登美子) (3月14日 19時37分) 2878 > 白山羊さんも黒山羊さんもお手紙を食べて結局なにがなんだか(たまこ) (3月14日 22時32分) 2879 > いにしへの懸想の文もEメールも違はずまだ見ぬ恋にぞ燃ゆる(ぎを) (3月15日 01時33分) 2880 > わたの原遠く京を恋ふ人の言の葉あはれいまに残れる(登美子) (3月15日 18時36分) 2881 > 告げられぬままの言の葉 鈴掛の枝にゆれゐる去年の木の実(たまこ) (3月15日 21時23分) 2882 > 鈴懸の上枝あをめば春の風やさしく落としぬ実らぬ恋を(ぎを) (3月16日 01時16分) 2883 > 白波の春一番の浜に立ち忘れたきこと風に砕けり(重陽) (3月16日 05時53分) 2884 > 白波にうそぶく影を数へれば紅き蹴出しも交じりて五人(登美子) (3月16日 16時13分) 2885 > 濃紫のその影の中にしんとして春の夕べの一つの小石(たまこ) (3月16日 19時39分) 2886 > 物言わぬ背中に向かい問いおればかすかに揺れる肩の曲線(ジャスミン) (3月16日 23時19分) 2887 > 桜花われにはかしまし もの言はぬ野辺の花こそたづねてゆかめ(ぎを) (3月17日 02時27分) 2888 > 淡あはと柊咲けりだいすきと言へば消えいりさうな風情に(たまこ) (3月18日 23時17分) 2889 > 花愛づる群衆花を知らざるや 居敷のそばに菫ぞ咲ける(ぎを) (3月19日 00時57分) 2890 > 抜けぬ棘包み込みつつ年輪を重ねゆくなり野の花のごと(登美子) (3月19日 07時27分) 2891 > 花の雲抜く観覧車はろばろと汝が年の輪もミレニアム越ゆ(絵馬) (3月20日 16時23分) 2892 > 母と乗り君と乗りいま子らと乗る永久に回れよ思ひ出の籠(たまこ) (3月20日 20時50分) 2893 > 白鳥が渡るよニルスの夢乗せてオーロラゆらめく極北の地へ(登美子) (3月20日 23時27分) 2894 > 凛然と黒き水面をすべりゆく白鳥みれば疚しや我ら(ぎを) (3月21日 00時43分) 2895 > 長旅をしてきたやうな日除帽 飄飄と春の街ゆく翁(たまこ) (3月21日 10時16分) 2896 > 遠くからその人としる菅帽子ひねもす竿と春とうたた寝(重陽) (3月22日 05時13分) 2897 > 春風邪の微熱に昼をまどろんで一切れの雲のやうな感覚(たまこ) (3月22日 10時11分) 2898 > なにものか大きなものに抱かれてふわっと連れて行かれる錯覚(ジャスミン) (3月22日 10時27分) 2899 > じゃじゃ馬がすっぽり抱かれて泣いたげな涙は女の武器にあらねど(登美子) (3月22日 17時12分) 2900 > 花の山わきたるさまににぎはひて花のなみだや一陣の風(重陽) (3月23日 04時56分) |