2901 > 花ならば満開の前に妹は逝きたり遺影に花のごと笑む(たまこ) (3月23日 19時42分) 2902 > 初花を差すをさなごの指先の紅く透けたる朝のさ庭辺(登美子) (3月24日 17時08分) 2903 > 振り返りふりかへりわれに振りし掌が風に舞ひ散る木の葉に見えし(たまこ) (3月24日 22時02分) 2904 > ふりむくをわれ厭ふれど去年の花思へばともに見し人恋し(ぎを) (3月25日 02時59分) 2905 > 過去に続く道の長手を焼き滅ぼし飛び立つべしと地に花は満つ(登美子) (3月25日 10時46分) 2906 > げに長くわが寝つるかもむめ櫻こきまぜて咲く春に目覚めつ(堂島屋) (3月25日 22時14分) 2907 > 花冷えの庭に目蓋を閉じたまま動かぬ蛙なにを占ふ(たまこ) (3月25日 23時25分) 2908 > 目つむれば落花流水おろかなる迷ひといへども花はえ忘れじ(ぎを) (3月26日 01時50分) 2909 > 街川の水面を流るる桜花 追つてはかなし海へ着く夢(たまこ) (3月26日 09時13分) 2910 > ただ1羽黄金の舟のゆりかごに揺られて月夜の海のカナリア(登美子) (3月26日 19時05分) 2911 > ソプラノの悲恋のアリア唄いしがプリマドンナはいかにおわすや(茉莉花) (3月26日 22時46分) 2912 > 過ぎし日のふと浮かびくるさえあるも何処か深く出で来ぬもあり(重陽) (3月27日 08時59分) 2913 > うたかたの浮かぶも消ゆるも行く川の流れのままに鴨は水脈引く(登美子) (3月27日 12時45分) 2914 > 赤信号の前に溜まりゆく人間の藁くずにも見え泡沫にも見え(たまこ) (3月27日 20時13分) 2915 > 波の底にめでたき都の候ふと幼帝抱きまゐらす尼君(登美子) (3月28日 18時49分) 2916 > 琵琶法師の声かと聞きぬ晩夏(おそなつ)の寂光院のひぐらしの声(たまこ) (3月29日 06時17分) 2917 > 如月のこよひ望月花満ちていにしへ人の偲ばるるかな(登美子) (3月29日 16時57分) 2918 > 転生を何にねがひゐし君ならむ満月の夜を鳴く木の葉木菟(たまこ) (3月30日 09時43分) 2919 > 逃れ得ぬDNAを負はされて立ち上がらんとすクローン牛は(登美子) (3月31日 21時38分) 2920 > クローンてふ怖ろしきもの聴きし夜に挿木匂へる沈丁の花(丹仙) (3月31日 22時40分) 2921 > 空豆の莢からでるのは空豆で当然といふことは退屈(たまこ) (4月1日 21時18分) 2922 > ワイはオトコでおまえはオンナ呵々大笑の姥桜(丹仙) (4月2日 11時36分) 2923 > 花の下に乱反射する笑ひ声たのしい時も精一杯に(たまこ) (4月2日 18時19分) 2924 > 大いなる夢追ふ男の挑戦に胸迫り見るプロジェクトX(登美子) (4月2日 21時59分) 2925 > アラスカの雪を頭に野天風呂地の軸廻す吾此処にあり(丹仙) (4月3日 08時55分) 2926 > 砂の海越えて火の山なほ越えて去りにしひとのゆくへ知らなく(登美子) (4月3日 23時24分) 2926 > 真面目すぎは疲れるだけよ地軸だつて「休め!」の角度に傾いてゐる(たまこ) (4月4日 00時02分) 2927 > ねぇ少し休みましょうか足元に小さな花がほらこんなに咲く(登美子) (4月4日 22時51分) 2928 > たんぽぽの穂綿の白いミニ宇宙 小島の廃屋跡をうずめる(たまこ) (4月5日 23時10分) 2929 > 火の山は長閑に眠る白銀の煙たなびく行方知らずも(丹仙) (4月6日 08時38分) 2930 > やすらけく眠るがごとし不尽の山覚むれば烈しき裁きの日かも(ぎを) (4月6日 13時22分) 2931 > けはひする錦ヶ浦の花のころ花にたゆたふ浦は好まし(重陽改め蘇生) (4月6日 19時12分) 2932 > 日々を新たに生きむ花の浦けふ白冨士の生れて麗し(丹仙) (4月7日 12時20分) 2933 > 好ましき春はこの春花の春好きいでたちに春は熟れゆく(蘇生) (4月7日 18時31分) 2934 > 春の夜のかくも激しく降る雨をためらひもせで君が来ませる(登美子) (4月7日 20時56分) 2935 > 戀すてふ我眼を洗ふ春の雨つもれば千重の波とはなりぬ(丹仙) (4月7日 21時16分) 2936 > わが心ふりみふらずみ春の夜の迷ひの雨に濡れゆけるかも(ぎを) (4月8日 01時05分) 2937 > 柿若葉の緑きらきら滴してわたしの庭は雨上がりです(たまこ) (4月8日 12時59分) 2938 > 鎧戸を繰れば若葉はきらきらと復活祭の朝の鐘の音(丹仙) (4月8日 17時26分) 2939 > 美しく彩られたる染め卵異国に在りしイースターの思い出(茉莉花) (4月8日 22時29分) 2940 > 忘れえぬひと日にならむ浜大根の花咲く道を岬へあるく(たまこ) (4月9日 08時51分) 2941 > 二人して岬の虹を仰ぎけり十字を切りて祈る吊り橋(丹仙) (4月9日 18時57分) 2942 > 海峡を渡る吊橋夜を灯しフルムーンの旅迎へくれたり(登美子) (4月9日 19時34分) 2943 > ぬばたまの闇より列車の現はれ来て窓べに悩む若き顔や我(ぎを) (4月9日 23時45分) 2944 > ひた走るシベリア横断鉄道に虜囚となりし人ら思いて(茉莉花) (4月10日 00時02分) 2945 > こくりこの野をひた走る恋のひと心のつばさに吾は天翔る(登美子) (4月10日 07時15分) 2946 > 花びらの皺のばしつつ罌粟がさく神のノックの少し早すぎて(たまこ) (4月10日 08時00分) 2947 > 緋の色の大地を渡る西風にジャンヌ・ダルクは馬洗ひをり(丹仙) (4月10日 09時29分) 2948 > 花色の大地を走る駿馬らも霞みかすみて野にゆららぎぬ(やんま) (4月10日 10時38分) 2949 > 若者が奔馬となりし世はすでに歴史の色をまとふひとこま(登美子) (4月10日 17時42分) 2950 > 昔むかしをもう語りません一世紀生きたる鰐は脱力状態(たまこ) (4月10日 20時49分) 2951 > 進化てふ文字頑なに消し去りて種の起源読む春炬燵かな(丹仙) (4月11日 09時26分) 2952 > マンボウのご先祖はフグ 尾を捧げ大海にでる夢を叶へた(たまこ) (4月11日 22時47分) 2953 > 世のことの夢のとぼしき境涯にあふれし夢の昔をおもふ(蘇生) (4月12日 04時55分) 2954 > 花冷えの路上に積もる塵芥も見果てぬ夢を追いて足掻かん(綺澄) (4月12日 05時19分) 2955 > 叶はざりし夢のむくろを積み重ねくれなゐ深く牡丹花咲く(登美子) (4月12日 05時46分) 2956 > 散りてなほ花の昂ぶりおさまらず卯月二十日のやはらかき雨(丹仙) (4月12日 09時35分) 2957 > 帰らうよ子取りがくるよ菜の花の野原の果てに月も浮かびぬ(たまこ) (4月12日 09時49分) 2958 > 菜の花の群だち咲ける川原べは懐かしきかな眼も晴れぬ(ぎを) (4月12日 14時57分) 2959 > 海原をかける光のやはらかき好ましきかな春の磯辺は(蘇生) (4月13日 04時46分) 2960 > 朝焼けに 煌く海の 眩しさに 寒さも忘れ 白砂踏みけり(綺澄) (4月13日 07時19分) 2961 > ともに見るはずなりし一人を思ひをり波照間島の海の朝焼(たまこ) (4月13日 08時20分) 2962 > 一輪の深き淵なり朝顔は閉づることなき汝が夢の跡(丹仙) (4月13日 09時41分) 2963 > 暁の小暗き夢路に見しひとのおもかげ去らぬ夕まぐれかも(登美子) (4月13日 18時33分) 2964 > 散りはてし桜の老樹に風わたり狂ほしき夢のあとのやすらぎ(たまこ) (4月13日 19時54分) 2965 > 戯言と知りて睦言交わしては射す日を憾みもらす繰言(綺澄) (4月14日 00時25分) 2966 > くり言もたはぶる言もいつの日か重ねかはすや真言と成らむ(蘇生) (4月14日 05時32分) 2967 > 真実を知りさへせねばかの王妃も毒リンゴなど作らなかつた(たまこ) (4月14日 10時43分) 2968 > ある晴れた日に突然に吾に渡す汝の林檎は輝きにけり(丹仙) (4月14日 10時54分) 2969 > 何もかも放り出したい昼下がり青いりんごをかりりとかじる(登美子) (4月14日 22時32分) 2970 > 日常を抜けむ私の窓として真昼に開く世界地図帳(たまこ) (4月15日 09時28分) 2971 > 日常は即終末と定まりぬ地図捨て去りしヨルダンの西(丹仙) (4月15日 10時04分) 2972 > 終わり無き世の海泳ぐ誰も皆慰めに咲くひとひらの花(綺澄) (4月15日 23時58分) 2973 > 季うつり山笑むさまも好ましき朝の斜光に破山一笑(蘇生) (4月16日 05時10分) 2974 > 湘南の光の朝の美しきかな弥生卯月は山も運歩す(丹仙) (4月16日 09時03分) 2975 > 萌えるとはどんな感じぞ大椋の総身よりちくちく若葉萌え出ず(たまこ) (4月16日 18時36分) 2976 > この胸のかすかなゆらぎは恋の芽の萌ゆるにやあらむ畏れつつ抱く(登美子) (4月16日 20時08分) 2977 > ため息とつのる想いは昇華して立ち上りしは恋の陽炎(綺澄) (4月17日 05時58分) 2978 > 人は皆背に翼持つイカロスとなりて旅たつ父母の家より(丹仙) (4月17日 11時25分) 2979 > 春の駅に電車を待てばわれの手の青春切符を風のさらへり(たまこ) (4月17日 19時40分) 2980 > 夏野菜の植付け済めば名古屋から青春切符で横浜へも来よ(しゅう) (4月17日 21時22分) 2981 > 鈍行の夜行列車に傷心の一人旅したあの頃のこと(茉莉花) (4月17日 21時48分) 2982 > 去るものは追はじと決めて安き身に紅の牡丹の崩れゆく音(登美子) (4月17日 22時47分) 2983 > 口紅の色ことさらに濃くさせば迷えることも決まる気がして(茉莉花) (4月17日 23時48分) 2984 > 行く行かぬ迷ひて見れば風なきにかそけく揺るる鈴蘭の花(ぎを) (4月18日 00時08分) 2985 > つと触れし茅花の綿毛が飛んでゆくわたしの夢を叶へるために(たまこ) (4月18日 08時57分) 2986 > 少年よ大志を抱けクラークの碑に鈴蘭の匂ふ学び舎(丹仙) (4月18日 15時35分) 2987 > 裏山に風光るころ志ならずといへどいざ帰りなん(登美子) (4月18日 19時33分) 2988 > 裏富士の大きく深く抱くように霧湧き立つや山中湖畔(しゅう) (4月18日 22時01分) 2989 > 湖のほとりをめぐる夜2人月が照らすは逡巡の恋(綺澄) (4月18日 23時51分) 2990 > よきことのうれふることのめぐるなむ人恋ふことのせつなきことの(蘇生) (4月19日 04時35分) 2991 > 春の夜にひそかにゆきしその人のおもひ枝垂れて花にまつはる(丹仙) (4月19日 09時59分) 2992 > さなきだにおもひ多かる春の日をいかに過ぐせとひとは旅行く(登美子) (4月19日 19時44分) 2993 > 多摩川の鉄橋渡るとき鴨の漂う見ればさすらいにけり(しゅう) (4月19日 21時46分) 2994 > 車窓より見える河原の大きな木その名が知りたい、ああ旅ごごろ(ぎを) (4月20日 00時29分) 2995 > ワンルーム片付け終えて振り返る長き旅より今帰りなん(綺澄) (4月20日 02時44分) 2996 > 冠雪の黒姫山が見えてきぬあとひと駅で故郷の街(たまこ) (4月20日 05時57分) 2997 > 塀の外地に重なりし赤椿長き旅路か開かぬ雨戸に(蘇生) (4月20日 06時11分) 2998 > 加賀の寺つひの旅路や現身は黄泉に墜つるも侘助の花(丹仙) (4月20日 09時33分) 2999 > 圧倒的な菜の花のなか窒息をしそうでわたし歌詠うなり(しゅう) (4月20日 14時42分) 3000 > 美しきやまとことばのあやなせる桃李の苑に集ふさきはひ(登美子) (4月20日 17時25分) |