3001 > あめつちの開けし前の光あり八十葉茂れるこの神の苑(丹仙) (4月20日 20時39分) 3002 > 光あれと誰かの声を聞きながら闇のトンネル出れば出生(ぎを)(4月21日 00時54分) 3003 > 世に出るは俺の好みじゃないんだと河童の声が聞こえてきそう(茉莉花) (4月21日 11時28分) 3004 > 面壁もはや七年の僧なれば物音たてず胡瓜食せり(丹仙) (4月21日 14時58分) 3005 > 雪舟の達磨も慧可も弱り目で人は巌にならぬが仏(ぎを) (4月22日 00時32分) 3006 > 門前に「立入謝絶」の札掛かり若い禅僧の庭掃くを見ゆ(しゅう) (4月22日 06時02分) 3007 > 栗の毬ころがる備中宝福寺わんぱく小坊主雪舟の寺(たまこ) (4月22日 09時36分) 3008 > 墨色に花描く筆の鎮まれば老師微笑み我は会釈す(丹仙) (4月22日 13時02分) 3009 > 豁然と墨痕迷ひを断つ如し峙つ巌は雪舟の禅(ぎを) (4月23日 00時28分) 3010 > ゆく春の墓標のごとし黒き雲を映して今朝の高層ビルは(たまこ) (4月23日 06時39分) 3011 > 暁の幾重にもなる紫雲見てまだ見ぬ今日を思い描かん(綺澄) (4月23日 07時47分) 3012 > 窓拭きの眼と眼の遭ひし春のビル彼方に低き紫の冨士(丹仙) (4月23日 09時11分) 3013 > 目を合はすことさへなくて片恋の終はりし春のゆふべ忘れず(登美子) (4月23日 16時43分) 3014 > 掛け違った釦のように青春は新宿東口喫茶らんぶる(しゅう) (4月23日 21時21分) 3015 > 青春は離れて分かる騙し絵か見えた図柄に騙され生きる(ぎを) (4月24日 00時23分) 3016 > わたしのことお前なんて呼ばないでよと新宿雑踏響くソプラノ(茉莉花) (4月24日 01時12分) 3017 > 信号機雑踏見つめ何思う軽やかに舞う人々の群(綺澄) (4月24日 02時01分) 3018 > 「白てんを抱く貴婦人」の清らかな知性の前に雑踏の芥(しゅう) (4月24日 06時20分) 3019 > 街路樹の下に積まるるごみ袋 雨を弾きてたのしげな音(たまこ) (4月24日 08時15分) 3020 > 雨弾く音もあやしや序破急の急に至るも名残惜しまず(丹仙) (4月24日 10時13分) 3021 > 終章に向かひ旋律高まりてをののく胸をかき抱きをり(登美子) (4月24日 23時14分) 3022 > 楽の音は水の身体を執拗に責める千手の愛撫のごとく(ぎを) (4月25日 00時42分) 3023 > 旗袍(チーパオ)の少女唄へば華清池に往にしへ偲ぶ春の夕焼(丹仙) (4月25日 10時01分) 3024 > 金柑の熟実の入る白粥を食みつつなぜか楊貴妃きぶん(たまこ) (4月25日 11時13分) 3025 > なんじやもんじや降りつむ雪と見まがひてこの花やはりなんじやもんじや(ぎを) (4月25日 23時04分) 3026 > 熱き風に綿の木の花白く流れ故郷をかたる日系一世(たまこ) (4月26日 10時21分) 3027 > 弥終の海を照らすや皐月には故郷の花ぞ崖を雪崩るる(丹仙) (4月26日 12時39分) 3028 > 久方の光あふれる食堂にゴールデンウィークが始まると記事(しゅう) (4月27日 17時06分) 3029 > 渋滞のニュース流れるテレビ消しさて連休は書き入れ時ぞ(登美子) (4月27日 17時19分) 3030 > 夜流るる光の川はきらきらと渋滞忘れしばし眺めん(綺澄) (4月28日 00時53分) 3031 > 誰にとも言われるでなく出ニッポン、モーゼ在さず導かれ行く(茉莉花) (4月28日 08時01分) 3032 > 脱出の書を携へよ新月の夜は洞窟の獅子を危(あや)めむ(丹仙) (4月28日 11時28分) 3033 > 英雄を歴史はふたたび欲しゐて過去より迎ふ流人の帝王(登美子) (4月29日 05時32分) 3034 > この國のかたちは失せぬエディプスの王の眼洗ふ夕立のごと(丹仙) (4月29日 23時41分) 3035 > この国を統ぶるは蠅の王なるか招霊の花甘く匂ふも(ぎを) (4月30日 00時11分) 3036 > うつろひの季をかざりし花々の盛りしときをはや忘れめや(蘇生) (4月30日 05時06分) 3037 > 風露草を教へてくれた君だからこれから先も近くにゐたい(たまこ) (4月30日 19時18分) 3038 > 汝とありし時さながらに風露草とほく白馬の影宿しをり(丹仙) (4月30日 20時20分) 3039 > うっすらと夢路の霧は晴れゆけど五月の朝に君はいまさず(登美子) (5月1日 09時11分) 3040 > いつだつて振り向いてみて草の実の弾けるやうなわたしがゐます(たまこ) (5月1日 10時48分) 3041 > 一日の旅を終へむと辿り来し尾根道振り向き谷筋に入る(登美子) (5月1日 19時29分) 3042 > ふと見ればモネの日傘の舞うように初夏はとりどり谷(やと)の風道(蘇生) (5月2日 06時24分) 3043 > 初夏(はつなつ)の光はまぶし日傘もて若き娘となりし妻描く(丹仙) (5月2日 10時21分) 3044 > 産みをへし身を横たへて見てゐたり風にきらめく五月のみどり(たまこ) (5月2日 10時23分) 3045 > 気の早いセミの鳴き声ころころと緑に響きツツジも笑う(綺澄) (5月3日 02時33分) 3046 > わが肩に君がはじめて身を寄せし熊ん蜂とぶ白き藤棚(やんま) (5月3日 03時04分) 3047 > 熊ん蜂の羽音はづみて茅の葉の毛虫も風に光る初夏(たまこ) (5月3日 08時27分) 3048 > ひひるの子いつ旅立つや今朝はこの茅の葉魂をちからと為せり(丹仙) (5月3日 17時35分) 3049 > 花めくや笑みにすべてを包みても眉間(まゆま)に浮かぶ徒し心は(蘇生) (5月3日 19時24分) 3050 > いとほしと思へどひとの徒心つれなし顔の根競べして(登美子) (5月3日 19時51分) 3051 > 孤高なる赤富士はるかフジ子聴くにぎはふ浜にひとり楽しむ(蘇生) (5月4日 09時32分) 3052 > 西海子(さいかち)の実ひとつ落ちてピアニシモ カンパネルラの鐘の音を止む(丹仙) (5月4日 10時57分) 3053 > 耳元にささやくごときピアニシモ佐藤美枝子のルチア絶妙(茉莉花) (5月4日 11時31分) 3054 > われよりも上手でありし妹を偲びつつ弾く今日は「雨だれ」(たまこ) (5月4日 19時49分) 3055 > 今もなお心に残る旋律は淡い想いかピアノのみ知る(綺澄) (5月5日 00時07分) 3056 > 熱情のリズムに揺るる旋律の時めくごとし琴の音妖しく(ぎを) (5月5日 01時25分) 3057 > その音は億年の時をさかのぼり今宵目で聴く新星(ノヴァ)の響きぞ(ぽぽな) (5月5日 01時45分) 3058 > 三博士導く星は地に墜ちて井戸の底より聖母見上ぐる(丹仙) (5月5日 15時11分) 3059 > 母の手を離れて高き夏の樹の枝間に白き吾子の足裏(小梅) (5月6日 22時44分) 3060 > 足裏でありつつ淋しい土踏まず中途半端に草を感じて(たまこ) (5月6日 23時29分) 3061 > リハビリの老父の散歩に寄り添ひてはつ夏の草きらめく径ゆく(登美子) (5月7日 20時13分) 3062 > 七歳の父が贈られし地球儀の海うすれつつも未だに青し(たまこ) (5月7日 23時29分) 3063 > どんどんと地を踏み鳴らし天仰ぎ心はマチス ダンスの鼓動(ぽぽな) (5月8日 10時08分) 3064 > サバンナの風に吹かれてホホホホホ踊るネイティブ過客のわれら(たまこ) (5月8日 10時32分) 3065 > 魔女ランダ憑かれし君は共通の感覚忘れタヒチへと往く(丹仙) (5月8日 21時14分) 3066 > 我が善と汝の悪とがせめぎあひ間にあまたの亡霊が哭く(登美子) (5月8日 23時08分) 3067 > どうしても汝の善は吾の悪解なき式に哭き伏す聖地 (ぽぽな) (5月9日 20時25分) 3068 > つきつめて責め合ふこともなくなりぬすこし淋しい以心伝心(たまこ) (5月9日 20時26分) 3069 > 火より火を受けつぎ点す万灯の孤心を照らす連作の和歌(丹仙) (5月9日 23時35分) 3070 > 渡されるたすきは汚れてしまっても心は白く子らへ伝えん(綺澄) (5月10日 01時54分) 3071 > 眼差しは真を射んとして暫しまたゆっくりと目蓋を伏せり(蘇生) (5月10日 04時55分) 3072 > 男には涼し過ぎるのあなたの目そんなに見ないで泣きたくなるわ(登美子) (5月10日 06時41分) 3073 > 好きだよといへばくすくす笑ふだけモネの日傘の風に舞ふやに(蘇生) (5月10日 08時07分) 3074 > 「好きなの」と言ってるつもりの五七五「カミさんがね」とはぐらかすひと(茉莉花) (5月10日 08時43分) 3075 > イレギュラーバウンドしつつそこここへ伝つてゆく昨日の言葉(たまこ) (5月10日 10時44分) 3076 > 非日常に遁れんとして阻まれし人らに落つる現実の闇(登美子) (5月10日 21時04分) 3077 > 現実を逃げ出し夢に立てこもる肌で感じる闇のぬくもり(綺澄) (5月11日 01時34分) 3078 > 夢の世にまた夢を説くそれもよし銘酒さはやか朝の目覚めよ(丹仙) (5月11日 11時32分) 3079 > 抜栓のコルクに想う星霜を生きしワインをいざいざ飲まん(蘇生) (5月11日 19時05分) 3080 > 発酵の年月ありなむ芳醇の香ぞ漂へるワインも、人も(ぎを) (5月11日 22時12分) 3081 > やはらかにやみよのもりにやどるのはやまのこきふとやそのかみさま(ぽぽな) (5月11日 22時40分) 3082 > 窓外の雨上がりなる透明にグラスを満たすレッドワインで(蘇生) (5月12日 06時14分) 3083 > 我が生も葡萄酒色に染みにけり殉教者丘(モンマルトル)の街の裏壁(丹仙) (5月12日 13時21分) 3084 > めいめいの白皿にふる薔薇の種わが百たびの花をそだてん(枇杷) (5月12日 14時11分) 3085 > めいめいの白い懐紙にのせられてちまきの匂ふ五月の歌会(たまこ) (5月12日 22時43分) 3086 > めいめいと広がる空の海原に龍門目指す鯉のひらめき(ぽぽな) (5月12日 23時20分) 3087 > 群竜はラピュタへの門、少年と少女は忘我の奈落へ墜ちぬ(ぎを) (5月13日 01時59分) 3088 > 真をば求めんとして迷ひたり返し迷ひつ真はここに(蘇生) (5月13日 04時48分) 3089 > 真偽さえ飲み込み今は身を焦がすうたかたの恋もう少しだけ(綺澄) (5月13日 05時28分) 3090 > 恋故に命を懸けし時代あり枷なき今の恋は薄味(茉莉花) (5月13日 12時13分) 3091 > はじめての口づけ想ふたんぽぽの綿毛ふうふう吹く吾子の口(たまこ) (5月13日 16時20分) 3092 > 口づけが眠りの呪文をほどく一瞬(とき)少女はふわりプシュケになりぬ(ぽぽな) (5月13日 20時13分) 3093 > 誘ふ風あらば翔たんと鷲の子の虚空を見つむ眼鋭く(登美子) (5月13日 20時16分) 3094 > 風速しそらの高みに父の声飛べば眼下は母の大地よ(丹仙) (5月13日 21時58分) 3095 > 天空の極みに立てる生命の樹の根やうやう地球を解く(ぎを) (5月13日 23時35分) 3096 > 悠々と宇宙に円をえがく球(たま)渦巻くいのち目映く青く(ぽぽな) (5月14日 09時18分) 3097 > 山頂に風うけてわれは帆のごとし此処が地球の舳先と思ふ(たまこ) (5月14日 19時38分) 3098 > ふうはりと糸瓜の揺るる無月かな地の裏側に生れし竜巻(丹仙) (5月14日 21時02分) 3099 > ふうはりと揺れてみたかろ瓢箪のひさごとなりても酒を満たせる(登美子) (5月15日 16時51分) 3100 > つつじ花つぼみの炎にほい立ち曇天照らす風潜む朝(ぽぽな) (5月16日 02時01分) |