3401 > 影薄き人住むといふ虚の世界さらば記憶よ愛しき人よ (ぎを) (10月23日 22時15分) 3402 > 東西にかよう銀杏の大並木夕べ散りゆくさまは妖しき(蘇生) (10月24日 08時49分) 3403 > 子と遊び家に戻ればポケットにどんぐり二つと銀杏が一葉(ぽぽな) (10月25日 09時36分) 3404 > 金の鳥銀の小鳥に一葉のにほひたちぬる秋闌けにけり(素蘭) (10月26日 00時38分) 3405 > 闌のたゆたふ秋の雲居をば数添ふやうに鳥渡りゆく(蘇生) (10月26日 20時19分) 3406 > 鳥篭が鳥を探すは人の世かカフカは逃れて四十路に死せり(ぎを) (10月26日 23時41分) 3407 > 人はいさわれは籠らむ近江道の鳥籠(とこ)の山にぞわれは籠らむ(素蘭) (10月27日 00時39分) 3408 > 牢籠の聖者の首はむざむざと踊る歌姫(サロメ)の手に渡りたり(ぽぽな) (10月27日 09時12分) 3409 > ピラカンサの鈴なる枝の赤き実は誘うごとく風に揺れたり(蘇生) (10月27日 14時23分) 3410 > いさ知らず人の心に熟れる実をいかなる鳥の啄むものかを(ぎを) (10月29日 00時25分) 3411 > 晩秋の鎌倉山の透く木々の実を啄ばみつ鳥が群れをり(蘇生) (10月29日 09時09分) 3412 > あのやうに熟れたいとおもふ秋空の木守柿の実の透明の赤(たまこ) (10月29日 16時53分) 3413 > 柿簾その白き粉ふく狭間より祈るがごとし群青の空(紀) (10月29日 17時58分) 3414 > 山越えの雪雲割れるそのまほらブラックホールに続く群青(登美子) (10月29日 20時39分) 3415 > 巨大なる溜息のごとし秋の雲はや愛恋の季節は過ぎぬ(ぎを) (10月29日 23時54分) 3416 > 朝夕はそぞろ寒しの電話あり赤きイクラが追うように来り(蘇生) (10月30日 05時38分) 3417 > 秋の陽を集めて耀うその色は真紅朱橙金(しんく.しゅ.だいだい.きん)なり木の実(ぽぽな) (10月30日 08時40分) 3418 > 秋なれば木の実艸のみひろはむよそらに木立のいまは何色(素蘭) (10月30日 10時30分) 3419 > 拾ひたる椎の実ひとつわれの手のなかに芽吹けよ春がきたなら(たまこ) (10月30日 21時33分) 3420 > 君の手を初めて握りしあの日より手が手を恋ふること知りそめぬ(ぎを) (11月1日 00時58分) 3421 > 働くこと休めるときに手を見たるひとりのわれにかへらむときに(素蘭) (11月1日 01時22分) 3422 > 手に余るかぼちゃに目鼻と口つけてカボチャちょうちんハロウィンの夜(ぽぽな) (11月1日 04時43分) 3423 > 何になりたいのか巨大な茜色かぼちやが秋の畑に濡れをり(たまこ) (11月1日 09時26分) 3424 > ハロウィーンの仮装の行くに紛れるは三途帰りの魂(たま)かうつつか(ぽぽな) (11月1日 11時03分) 3425 > 仮装行列行きたるあとをほうほうと薄の穂綿に風ふくばかり(たまこ) (11月1日 16時54分) 3426 > こがねづく田の面(も)の穂波ほのぼのと霧たつ朝の風は知らゆな(素蘭) (11月2日 01時33分) 3426 > 照りはえし四五株ほどのすすき穂が引込線の錆びを覆いて(蘇生) (11月4日 07時32分) 3427 > 人見えぬ刈田は小春日和にて上総の海は光た走る(蘇生) (11月2日 05時52分) 3428 > 薄から薄へわたる蜘蛛の糸を伝ひて秋の光が走る(たまこ) (11月3日 00時19分) 3429 > がうがうと野分きの風のいたづらに尾花こぞりて打ひしがれり(ぽぽな) (11月3日 03時14分) 3430 > 巨きもののたうつ如くすすき野は霙るる風の澪を映せり(蘇生) (11月3日 04時54分) 3431 > 芒野に澪のありとや西風(にし)吹かばそよその路をわたりかゆかむ(素蘭) (11月3日 22時52分) 3432 > 巨大なるものの体内に居るごとし風吹き渡る芒野ゆけば(ぎを) (11月3日 23時38分) 3433 > やはらかに秋の光は友に降る二つの命を持てるその身に(ぽぽな) (11月4日 02時10分) 3434 > 秋風に麒麟はまつげを伏せながら首に小鳥を止まらせてゆく(たまこ) (11月5日 09時01分) 3435 > 赤い鳥木の実の赤き茂みから生まれるごとく飛び発ちにけり(ぽぽな) (11月5日 09時57分) 3436 > 木の実落つひとの消息さりげなく記すふみ読む夜のしじまに(登美子) (11月5日 18時13分) 3437 > 天高しイエローキャブを呼び止めて「消息不明になれるところまで」(たまこ) (11月5日 19時50分) 3438 > さすらひの詩人の行方は風に問ふ恋の行方は下駄で占ふ(登美子) (11月5日 20時58分) 3439 > 夕占(ゆふうら)に下駄を投げてし秋天の雲ちりぢりに明日どうなる(素蘭) (11月5日 22時52分) 3440 > 小春日は長く続かじ我が胸に未練の雲わきまた風たちぬ(ぎを) (11月5日 23時01分) 3441 > 占ひの何かことある思ひさへけふの夕べにみな忘るらん(蘇生) (11月6日 06時51分) 3442 > 忘れたくも忘られぬ想い胸にあり雨音さみし夜半の目覚めよ(ぽぽな) (11月6日 07時03分) 3443 > 朝の来ぬ夜のあることを知つたのに強くもなれぬ清くもなれぬ(たまこ) (11月6日 21時21分) 3444 > 穢れより生(あ)るるものあり白妙の天花あこやのまきてかなしも(素蘭) (11月6日 22時38分) 3445 > 終なりていかなる情の残るにやわれ求めゆく人恋ふことを(蘇生) (11月7日 04時34分) 3446 > 白き手を掴みそこねて別れたるこの桟橋の遠き日のこと(やんま) (11月7日 05時44分) 3447 > 湖の魚に呪文をかけるよに糸を手繰るや秋の釣り人(ぽぽな) (11月7日 07時16分) 3448 > 暗き沼見つめておりし画像あり遙かむかしとなりし遠景(茉莉花) (11月7日 12時13分) 3449 > 帰りたい景色には必ずだれかゐてたとへば陽当たる縁側に祖母(たまこ) (11月7日 17時12分) 3450 > 帰りなむ籬に花のしをるれば侘び寂び昔しのばむものを(素蘭) (11月7日 23時56分) 3451 > 朝夕に四季に心に寂しおり軽み細みを訪ぬる詩人(ぽぽな) (11月8日 11時04分) 3452 > 冬が来る前に言葉を集めませう独りの夜の詩を編むために(たまこ) (11月8日 21時03分) 3453 > うつし身をカモフラージュするためならばまとひもしませう朽葉の小袖(登美子) (11月8日 22時37分) 3454 > 朽ちし葉のかさなり合ひし土くれにめぐりめぐりし命ありけり(蘇生) (11月9日 04時49分) 3455 > 土にふらば土に還らむ雨や葉のごとく都会に人はふらむか(素蘭) (11月9日 15時36分) 3456 > これやこの持つも持たぬも集きては待ちて過ぎ去るタイムズ・スクエア(ぽぽな) (11月10日 00時48分) 3457 > 呑んべぃの だくれ姿は消えゆけり 通りの今はカップルの渦(蘇生) (11月10日 05時24分) 3458 > 通り毎に朝日が伸ばす影法師の皆ジャコメティの銅像となる(ぽぽな) (11月10日 09時31分) 3459 > わが影のジャコメッテイに拍手して夕べベルトは鱈に腹せり(蘇生) (11月10日 18時22分) 3460 > あつといふ間に過ぎ去りし歳月よ汝(な)は太腹に吾(われ)は干鱈(丹仙) (11月10日 18時34分) 3461 > 歳時記をさいさいめくりめぐるまに夢に逢ひたる人と逢ひたる(素蘭) (11月11日 00時02分) 3462 > 季寄せなど残りわずかになりし今にぎははしきや手帳売り場は(蘇生) (11月11日 06時02分) 3463 > 夢を追ひ続けし咎のごとくあり秋の畑の巨大なかぼちや(たまこ) (11月11日 19時34分) 3464 > いぎたなく布団に縮まる冬の朝はるけく思ふあの夏の夢(ぎを) (11月11日 22時51分) 3465 > 桜さくら桜もみぢて散りぬべし無腸の夢のめぐれるところ(素蘭) (11月12日 00時18分) 3466 > めくるめく昨夜の夢は言えませぬ蒲団出るのも憚りまする(ぽぽな) (11月12日 00時55分) 3467 > めくるめく壁はひつたふ蔦もみじはらりはらはら洒脱をしるや(蘇生) (11月12日 08時22分) 3468 > そこここに紅葉の渦をつくりつつ風がオランダ通りを抜ける(たまこ) (11月12日 11時19分) 3469 > 身をよぢり車窓の紅葉を目で追へばしばし忘るる満員電車(ぎを) (11月13日 00時22分) 3470 > 戸隠の鬼女ともならむ夕紅葉からくれなゐとはかなしきこころ(素蘭) (11月13日 01時17分) 3471 > 湖に映らば妖女にもならむ黄金の中に一樹の真紅の楓(ぽぽな) (11月13日 08時56分) 3472 > 旭光が銀杏黄葉を煉りあげて黄金の如く北の大地に(蘇生) (11月13日 18時37分) 3473 > コート着た女映画のごとく往く銀杏並木の黄葉も見ずに(ぎを) (11月13日 22時42分) 3474 > 名画座をおもへば追憶・旅愁とふわがのすたるぢあに邦題ゆかし(素蘭) (11月14日 01時05分) 3475 > そのころはムンムンしてた名画座でいつも小さき自分が観ていた(蘇生) (11月14日 05時34分) 3476 > 冬の陽のさんさん差し込む疎林ゆきかさこそてんとう虫になりそう(たまこ) (11月14日 07時04分) 3477 > なまぬるき冬の初めのおぼろ月夜ニュースは告げぬいくさの兆しを(ぽぽな) (11月14日 07時25分) 3478 > 我と我がただごと歌に倦みにつつこの時こそが至福なる時(たまこ) (11月14日 11時30分) 3479 > PC オン心の裏木戸すこし開け日常抜け出す準備整ふ(登美子) (11月14日 19時49分) 3480 > 枳殻の垣をくぐらむいにしへに塩竈ありぬしほくむために(素蘭) (11月15日 00時07分) 3481 > 夏の午後つがひの鴨見し枳殻邸心の裡に君ありし頃(ぎを) (11月15日 01時45分) 3482 > 晩秋の鎌倉山のさび色をひとり愛でをり午後の日溜り(蘇生) (11月15日 05時35分) 3483 > 食卓のマルメロに日脚ののびてきぬそろそろ子らの戻りくるころ(たまこ) (11月15日 19時28分) 3484 > 小春日の丘にゆうらりまどろめば牧神の笛のほの聴こゆる午後(ぽぽな) (11月16日 11時13分) 3485 > 初冬の九十九折りゆく箱根路のミラーに映るさびの色かな(蘇生) (11月16日 19時46分) 3486 > 散ればこそめでたかるらめ水無瀬川桜もみぢて下ゆ流るる(素蘭) (11月16日 23時32分) 3487 > 仲通り異国の文字のウインドウ黄葉仰ぎつ大手町ゆく(蘇生) (11月17日 10時30分) 3488 > 異人さんに連れられてった女の子自由の女神をなんと見たやら(登美子) (11月17日 20時05分) 3489 > 冬の浜に波に連れられ白亜紀の巨蟹のごとく群れ成すテレビ(ぽぽな) (11月18日 01時03分) 3490 > 紐育・倫敦・巴里を銀幕に見しころとほくあくがれとほく(素蘭) (11月18日 01時11分) 3491 > 改むる展望の塔江ノ島の一望にせむ広重の景(蘇生) (11月18日 05時45分) 3492 > 音たてて「白雨」のやうに雨が降るさよならさよなら今年のもみぢ(たまこ) (11月18日 06時47分) 3493 > 見るもなき北の斜面のそこここに今は限りの櫨紅葉見ゆ(蘇生) (11月18日 09時23分) 3494 > 限りとてひとに贈るは美しき夢見終へたる恋忘れ貝(登美子) (11月18日 19時32分) 3495 > 影細く並んでホームに写りゐき発ちゆく君と送るわれとの(たまこ) (11月18日 20時00分) 3496 > 『ひまわり』のやうな別れは許されず新宿駅の午後六時半(ぎを) (11月18日 23時55分) 3497 > うつせみのひとなるゆゑにこころ和(な)ぐ山ゆき野ゆきあずさは発ちぬ(素蘭) (11月19日 00時46分) 3498 > 信濃路は窓から望む八ヶ岳やがて諏訪湖のきらめくを見む(ぽぽな) (11月19日 11時10分) 3499 > 冬ざれのしぶけし磯に竿ふれば雲の間にまに箱根連山(蘇生) (11月19日 18時31分) 3500 > 神無月降りてきさうな空だから降りみ降らずみ冬ざれにける(素蘭) (11月20日 01時21分) |