901 > 老境に己の何を語りしか故なきことの何を語らむ (重陽) (11月5日 19時02分)902 > 異空間君と我との来し方は行く末とても仮想現実 (素蘭) (11月5日 20時13分)903 > 四十度過ぎる炎昼人もなく風鈴もならず猫も動かず (小梅) (11月5日 21時31分)904 > 炎天の南京を行く日本人われを打ち撃つ裡よりの声(たまこ) (11月5日 23時22分)905 > 水に落ちし犬を救わず撃つべしと筆揮ひたる君はや古稀を過ぐ (有情) (11月6日 22時04分)906 > 強風に揺れなびきつつ丈高く身を寄せ耐えるコスモスの群れ (小梅) (11月7日 07時44分)907 > 古代へと続く道端コスモスに見守られつつタイムトンネル (檸智) (11月7日 10時09分)908 > 山城の跡なる谷(やつ)の山柿の朱の憐れや猛きもののふ(重陽) (11月7日 13時31分)909 > 城山の空(そら)のお塚は苔むして芒の穂絮が風に流るる(たまこ) (11月7日 18時18分)910 > 籠に挿せるすすき抱えし幼子の見上ぐる空に雨雲はしる (小梅) (11月7日 21時28分)911 > 富士山麓まがねの火器を擬装してまそほのすすき耀やかに見ゆ (堂島屋) (11月7日 21時40分)912 > 水喰らふ針葉樹林痛ましく祖父亡きあとの山は荒れゆく (素蘭) (11月8日 00時02分)913 > 山肌に数多の皺の悍ましき灰降り続き島は荒れゆく (重陽) (11月8日 04時48分)914 > 学校も家も都会も砂漠かな舗装道路に雨はむなしく (有情) (11月8日 23時02分)915 > かつて砂漠なりしあたりやこの星の遠き営み経りて泉に (志織) (11月9日 00時35分)916 > 還らんかあの夏の日に一人来て素足に踏めば泣き砂が泣く(たまこ) (11月9日 06時32分)917 > 海鳴りは揺籃のごと果てもなく太古の夢に寄り添い歌う(晴雲) (11月9日 09時32分)918 > 幾ばくか勁草見ゆるロカ岬いにしえ人の夢や遥かに (重陽) (11月9日 10時24分)919 > 千年は目眩ひのごとし千年の橡を仰げば錦葉が舞ひ(たまこ) (11月9日 18時34分)920 > 散りそめし花に誘はれ見る夢は淡雪のごとはかなに消ゆる (素蘭) (11月9日 19時28分)921 > 桜さえ未練残して花吹雪蘂降る道を行きつもどりつ(晴雲) (11月9日 19時37分)922 > むせぶがに「未練なのね」と歌ひつつ女は未練といふものに酔ふ(たまこ) (11月10日 09時06分)923 > 未練なき人生それも何となく寂しいかなと思ひはじめる (堂島屋) (11月10日 16時15分)923 > 未練なき人生それも何となく寂しいかなと思ひはじめる (堂島屋) (11月10日 16時16分)924 > 淋しいときはわが村に来よ千年の椋の大樹の結界のなか(たまこ) (11月10日 18時38分)925 > 真夜(まよる)二時書き込み続く掲示板かの人もまた孤独生きたり (素蘭) 増殖雑記帖を詠む (11月10日 23時27分)926 > 気遣ひて顔をつくりて時過ぎて一人真夜に深く息づく (重陽) (11月11日 06時01分)927 > ヒヤシンスの真珠色の根が伸び始めさびしがりやの水をくすぐる(たまこ) (11月11日 07時31分)928 > 酒を呑み高吟しばし別れゆく淋しがりやが集う友垣 (重陽) (11月11日 18時18分)929 > 別れ雪白線流す手をかさね「理想」といふ名の荒野見つめる (素蘭) (11月11日 21時50分)930 > 青年は荒野目指してすれ違い二つ目ボタン引出しの中 (晴雲) (11月11日 22時35分)931 > ワイエスの荒野の家の連作に青き心のあふれるを知る (重陽)83歳のアメリカの画家 (11月12日 13時47分)932 > 青年の心のままに躍りいて夕べ静かに時の過ぎしを (重陽) (11月12日 19時02分)933 > 鳥になつたと思ふ小鮒もゐるだろう小川に青い空が映つて(たまこ) (11月12日 19時25分)934 > 少年の心宿せし君なれば銀河鉄道天空をゆけ (素蘭) (11月12日 22時34分)935 > 壮年を渉るわれらの囲む火の火の粉よ昇れ星の高さに(たまこ) (11月13日 07時13分)936 > 大円の真っ赤な今日の太陽にまた青年の如き心に (重陽) (11月13日 08時00分)937 > 半蔵門旅窓より見つあかあかと皇居の空ゆのぼる朝日を (堂島屋) (11月13日 13時03分)938 > 海原ゆ昇る大日仰ぎ見て一僧朗々題目唱へり (有情) (11月13日 15時33分)939 > 線香花火の最後の雫のやうな日が夕べわたしの視野に震へる(たまこ) (11月13日 18時37分)940 > 暗闇を切り裂く命見つめてる線香花火の燃え尽きるまで (素蘭) (11月13日 23時49分)941 > 幼子の指に点りて黒き眼に線香花火映りて滅す (重陽) (11月14日 04時24分)942 > 手花火の灯りに浮かぶあさがほは祖母の手縫ひの浴衣のもやう(たまこ) (11月14日 06時27分)943 > 手花火をともすや世間胸算用女三代姦しきこと (有情) (11月14日 09時54分)944 > 「大晦日は一日千金」元禄の浮き世の禿びし下駄の歯の音(たまこ) (11月14日 11時04分)945 > 聞くならく人は畢竟慾望に手足の生えたものと知るべし (堂島屋) (11月14日 13時00分)946 > 権力の畏れをしらぬ高声に衆の心は沈みゆくなり (重陽) (11月14日 14時22分)947 > 権力の継承謀る人々の驕り生みだす民の無自覚 (素蘭) (11月14日 19時41分)948 > ゆく雲に照り陰りつつ明日香川が蛇行して行く大和国原(たまこ) (11月14日 23時32分)949 > 瀬を早み流れ流れて明日香川変わりゆく世のせせらぎ聞こゆ (素蘭) (11月14日 23時53分)950 > 甘橿丘ゆ見はるかす国原の果てに高層ビル群白し(たまこ) (11月15日 07時40分)951 > 幾山川こえて白鳥とめゆかむ刈ばねに足破るといへども (堂島屋) (11月15日 12時49分)952 > 白山の風に豊かな稲架の波衆に声なき葬送の列 (重陽) (11月15日 18時37分)953 > 君送る君の愛でたるこの庭の紫式部いとど悲しき (素蘭) (11月15日 19時53分)954 > 貴船菊白を選んで籠に盛り母を亡くした友に捧げん (晴雲) (11月15日 22時22分)955 > コスモスの花叢枯れて野良猫もどこかへ消えて初雪がふる(たまこ) (11月16日 08時57分)956 > グリザベラ ミストフェリーズ タントミール ジェリクルキャッツが舞台に跳ねる (素蘭) (11月16日 23時25分)957 > 魂のドンコザックのハーモニー初めて聴きしときの感動 (重陽) (11月17日 05時36分)958 > 紫陽花の枯葉に動かぬかたつむり舞へ舞へ舞へ舞へ今ひとたびを(たまこ) (11月17日 17時47分)959 > 枯葉舞ふ街角衿をかき合はせ家路を急ぐ人々の群 (素蘭) (11月17日 19時24分)960 > くるりくるり・すんすん・はらはら散り方をいろいろ思ふ秋の林に(たまこ) (11月18日 00時34分)961 > うつろひて鎌倉山の緑錆ふ時うつ鐘のひくく響けり(重陽) (11月18日 06時01分)962 > 教会の鐘の音遠く聞きながら見つめ合ひたるあの日に帰る (素蘭) (11月18日 14時07分)963 > 夕茜空に波紋を描くやうな山の和尚のつく鐘の音(たまこ) (11月18日 17時44分)964 > 新雪にシュプールゆるく描きつつ滑り終へたる朝のすがしさ (素蘭) (11月18日 22時39分)965 > 新雪に裏大の字にうつぷして冷たき雪に呼気あたたかき (重陽) (11月19日 04時24分)966 > 校庭にぽつんとしやがむ鬼の子の背にしんしんと積もりゆく雪(たまこ) (11月19日 08時28分)967 > 我が内の鬼と戯る花の午後纏へる綺羅をひとつ脱ぎ捨て (素蘭) (11月19日 12時30分)968 > そのかみのオーガンジーのブラウスは嫁ぎし君よ今も着つらむか? (堂島屋) (11月19日 20時35分)969 > ブラウスのうすむらさきにオレンジの夕日が射して想い出の丘 (萌) (11月19日 23時51分)970 > 想ひ出の糸をくるくるたぐり寄せ織りたる布は淡き水色 (素蘭) (11月20日 00時50分)971 > 微かには同じ想い出何処にか老眼鏡で遠くをみやる (重陽) (11月20日 06時06分)972 > 「いつかきっと」の声がしだいに遠くなる焼きあげしパイのにほひの満ちて(たまこ) (11月20日 09時12分)973 > セージ パセリ ローズマリーを籠に摘む『スカボロー・フェア』を口ずさみつつ(素蘭) (11月20日 19時13分)974 > 舞い散るは勝とう勝とうや雪桜じゃなかった水掛けエンブッ (耽空) (11月20日 23時28分)975 > はらはらと舞い散る紅葉まだ色の豊かなままに水面に着きぬ (萌) (11月21日 00時16分)976 > 現しくも移し心も弁へぬ贖ふも知らぬ青き道心 (重陽) (11月21日 05時40分)977 > 来年も似合ふだらうかこの夏を被りし帽子の青いリボンは(たまこ) (11月21日 07時43分)978 > 何の色永田の屯を闊歩する裸の長の残るシャッポは (重陽) (11月21日 11時11分)979 > 選挙へと心早くも走るらし「励ます会」の招集かかる (素蘭) (11月21日 18時47分)980 > 木枯らしに抗い咲ける山茶花のほんのりとせし暖かさ賞ず (萌) (11月22日 00時06分)981 > 山茶花を見てゐるだけの逢瀬かな昨日も明日もなき今を生く (堂島屋) (11月22日 00時22分)982 > やりきれぬ現実穴をうがちたし時代閉塞啄木の世も (素蘭) (11月22日 00時37分)983 > 閉塞といふといへども巧妙にガスを抜かれて中庸半端 (堂島屋) (11月22日 00時49分)984 > 先見えぬ時代の処処のつむじ風カウントダウンの二十世紀は (重陽) (11月22日 05時49分)985 > さはされどこのやさしさは千年の桜が芒や羊歯を宿らす(たまこ) (11月22日 06時55分)986 > 剣山の嶮しき斜面の冬畑に豌豆の芽はきらきらとして(たまこ) (11月22日 07時24分)987 > ヒマラヤの峰をはるばる越えてゆく鶴のひとむれ奇跡見るごと (素蘭) (11月22日 19時27分)988 > 一羽ずつ孤高の輝きもつ鶴も群れれば冬の風景に和す (萌) (11月22日 23時38分)989 > 冬ざれの心を癒す歌もがな言の葉ひとつ闇に放てど (素蘭) (11月23日 01時11分)990 > 半天に闇の残りし小径ゆくウオーキングの交わす言の葉 (重陽) (11月23日 10時09分)991 > 語らへど心通わぬ日の果ては言葉の無力噛みしめてゐる (素蘭) (11月24日 00時42分)992 > 辻占の耳に残りし一言ぞ恋路を照らす☆といふべき (堂島屋) (11月24日 17時48分)993 > ☆のマークいくつも書いてなお迷う交換日記の青春模様 (萌) (11月24日 23時35分)994 > パソコンに向かって互ひに愚痴こぼすメールで飛びかふ交換日記 (素蘭) (11月25日 00時37分)995 > Eメールを送ったあとにも電話して私も友もメール初心者(たまこ) (11月25日 07時09分)996 > 食卓に背を向けキーを叩く音団欒という時は埋もれて(晴雲) (11月25日 23時30分)997 > はかなければ最もだいじ食卓を花びらのやうに椅子で囲んで(たまこ) (11月26日 11時01分)998 > などかくも君はこだはるうつそみの君の心の花にあらぬを (素蘭) (11月26日 12時53分)998 > などかくも君はこだわるうつそみの君の心の花にあらぬを (素蘭) (11月26日 12時50分)999 > いつのまにかこだはりも君に同化してミルクは人肌ほどに温める(たまこ) (11月26日 14時22分)1000 > 何求め何を得んとし我生きる我が影見れば闇ぞありける (神楽) (11月26日 14時52分) |