4001 |
水温み萌え出る春のたゆたひを素肌にまとひ一歩進まむ |
李花 |
1月29日 01時34分 |
4002 |
四千の琳瑯つらね進み行く桃李の園に春ぞ来りぬ |
ぽぽな |
1月29日 03時47分 |
4003 |
待ちわびし桃李の春の到来をさてもさてもや花粉とび初む |
蘇生 |
1月29日 06時53分 |
4004 |
下萌えの草に日差しのおのづから至りて桃李の園のにぎはひ |
径 |
1月29日 07時56分 |
4005 |
深吉野の径をたどれば花疲れとうに文こそあらまほしけれ |
冬扇 |
1月29日 15時54分 |
4006 |
言の葉も何もなくとも通づるは鳩の家路と恋の文かな |
李花 |
1月29日 22時03分 |
4007 |
しづかなる睦月三十日に粛粛と雪は降りつむきみを思へり |
素蘭 |
1月30日 00時59分 |
4008 |
鎌倉や高みの鳶は何思う時に交はりまたゆったりと |
蘇生 |
1月30日 06時38分 |
4009 |
春立ちてなほ残りゐる野の雪にもの思ふ身のそぞろ悲しき |
冬扇 |
1月30日 09時27分 |
4010 |
君がため春の野に出でて若菜摘む〈わかころもて〉にお手つき多かり |
素蘭 |
1月30日 13時38分 |
4011 |
幸せはたとへば桜三月に君の手にぎつて野を歩くこと |
ぎを |
1月31日 01時34分 |
4012 |
桜咲く弥生早よ来よ純白のドレスさ揺らし風よそよ吹け |
径 |
1月31日 06時36分 |
4013 |
北風のおさまる狭庭白梅のはなにみられて小鳥とあそぶ |
寂 |
1月31日 13時41分 |
4014 |
花見れば花に思ほゆ風吹けば風に思ほゆ君のいとしき |
冬扇 |
1月31日 16時32分 |
4015 |
オーロラのフジコの調べ溢るるはワインの如く甘く酔いしれ |
李花 |
1月31日 17時41分 |
4016 |
風貌は浅川マキのやうにしてフジコ・ヘミング夢を奏でる |
素蘭 |
2月1日 01時36分 |
4017 |
春近しヴォリュームあげてフジコ聴く深く心に潤うものを |
蘇生 |
2月1日 08時56分 |
4018 |
絶望の淵より起ちて得しものを今分かたんと熱こめて弾く |
素人 |
2月1日 15時37分 |
4019 |
思ひ出は流れゆく泡、溜息を刻みて弾くやフジ子・ヘミング |
ぎを |
2月1日 15時50分 |
4020 |
そはフジ子ピアノ妙なるCDにわれ心地よく音のシャワーを |
蘇生 |
2月1日 19時02分 |
4021 |
音楽は宇宙の法則(きまり)奏でるか還らぬ船(シャトル)をああ慰めよ |
ぽぽな |
2月2日 00時06分 |
4022 |
大漁の旗を掲げてひとときの安らぐ故郷ただひっそりと |
李花 |
2月2日 00時14分 |
4023 |
流氷に添ふる妖精クリオネも獲物を食らふ生きんがために |
ぎを |
2月2日 01時32分 |
4024 |
極北の海あをあをと冴ゆる夜はティンカーベルの羽音さやけく |
素蘭 |
2月2日 02時39分 |
4025 |
極寒が居座りたりし小盆地ものみなにぶくひかりをりたり |
蘇生 |
2月2日 09時06分 |
4026 |
白波を立つる小舟の向かふには冬に際立つ房総の街 |
海斗 |
2月2日 14時06分 |
4027 |
湾口を二つの半島見遣りつつ大タンカーが交わしゆくなり |
蘇生 |
2月2日 18時45分 |
4028 |
空港の建設予定海域ははるか巨船のとどまるあたり |
径 |
2月2日 22時19分 |
4029 |
津軽書房一冊の書に啓かれて百鬼園文学いまにあたらし |
素蘭 |
2月2日 22時26分 |
4030 |
鬼いかに棲みまうき世を嘆くらんいとけなき子のわれを追ふ声 |
径 |
2月3日 06時33分 |
4031 |
喰ひきれぬ豆を数へてよくぞなぁーと言ひつつ父が豆を撒くなり |
蘇生 |
2月3日 07時56分 |
4032 |
外に居るものは鬼にはあらねども母親さびしく鬼面をかぶる |
ぎを |
2月3日 16時26分 |
4033 |
鬼の面かぶりて爺は範を垂れ豆のまき方幼に教ふ |
冬扇 |
2月3日 17時41分 |
4034 |
こっそりと逃げて行く鬼追いかけて握り飯でもお持ちなさいと |
李花 |
2月3日 20時05分 |
4035 |
追いかけることはできない意地っ張り鬼の居ぬ夜にひとりで泣くわ |
径 |
2月3日 22時34分 |
4036 |
追ふ鬼の棲むほどもなし苫屋なり小さきこゑに夫は豆撒く |
寂 |
2月3日 23時45分 |
4037 |
とかれざる鬼ごつこの鬼天上の回転ドアをばらりこ走る |
素蘭 |
2月4日 01時15分 |
4038 |
迷ひたる鬼は篭目の篭の中夜明けの晩の来たるを待ちぬ |
ぽぽな |
2月4日 06時10分 |
4039 |
厄追いの豆を喰らった赤鬼が祈り残せし春の朝焼け |
蘇生 |
2月4日 06時59分 |
4040 |
いかにして想い遂げなん我が恋の行末こそはおぼろ朧に |
冬扇 |
2月4日 15時41分 |
4041 |
巷には名のみばかりの春が来て少しは開いたか恋の通ひ路 |
ぎを |
2月4日 22時21分 |
4042 |
呪文かけ躊躇の扉開け放ち恋と命の息吹満ちたり |
李花 |
2月4日 23時30分 |
4043 |
恋猫のあはれあはれとなきとほす恋の闇路のあやしあやふし |
素蘭 |
2月5日 01時34分 |
4044 |
恋すればもの皆かがやく心地して名もなき草もうるはしく見ゆ |
冬扇 |
2月5日 19時20分 |
4045 |
暗黒に地球は蒼(あを)く輝きて神の星とや月人思ふ |
ぎを |
2月5日 23時41分 |
4046 |
この朝の土を浮かせて霜柱しゃらりしゃらりこ骨立ててゆく |
やんま |
2月5日 23時50分 |
4047 |
瀬戸際に印籠いつもあらはれて水戸黄門は永らへにけり |
素蘭 |
2月6日 01時50分 |
4048 |
その人は口髭白く淡々と宇宙飛行士の殉職告げる |
ぽぽな |
2月6日 11時09分 |
4049 |
戦うて死ぬ潔(いさぎよ)さ称へをるその陰に泣く哀れ母どち |
冬扇 |
2月6日 11時41分 |
4050 |
権力を握りしものの命ほど明日をもしれぬ戦国時代 |
蘇生 |
2月6日 19時40分 |
4051 |
明日の日の見えねばのどけし梅の香を乗せ来る風に頬をなぶらす |
径 |
2月6日 23時03分 |
4052 |
ここに我ありとや梅の花は咲く切なる思ひ告ぐるがごとく |
ぎを |
2月6日 23時39分 |
4053 |
色よりも香こそあはれとおもふべし朧おぼろの夢に逢ふため |
素蘭 |
2月7日 01時11分 |
4054 |
枝ぶりや梅みる朝の輝きに小鳥とともに心和めり |
蘇生 |
2月7日 10時11分 |
4055 |
大空に羽ばたく時を指折りつ雛の嘴休むことなし |
李花 |
2月7日 21時56分 |
4056 |
冬枯れの庭に集える鳥のため朝の日課の餌を作りやる |
茉莉花 |
2月7日 22時35分 |
4057 |
鶯の初音に似たるからごろも紅梅千句巻頭にあり |
素蘭 |
2月8日 00時42分 |
4058 |
飛ぶために喰はねばならぬ鳥の生われら人間喰ふために喰ふ |
ぎを |
2月8日 02時25分 |
4059 |
咀嚼して食ふこといのちの証しとて父半膳を時かけて食ぶ |
径 |
2月8日 06時16分 |
4060 |
小庭には数羽の目白朝なさな今朝は寂しく一羽のみ見ゆ |
蘇生 |
2月8日 08時33分 |
4061 |
枯れ庭を小さき春のうごきたり三日ばかりの留守のあわいに |
寂 |
2月8日 10時24分 |
4062 |
よく見れば土中に何かうごめきてそはものの芽かはたまた虫か |
蘇生 |
2月8日 17時52分 |
4063 |
霜とけてぬかるむ土に入りたれば纏はる如く土の喜ぶ |
海斗 |
2月8日 22時02分 |
4064 |
砂利の下粘土の下に蠢くは脈打つ熱き願いとマグマ |
李花 |
2月8日 22時45分 |
4065 |
春泥を踏めば蠢く気配して土中の命溢るるがごと |
ぎを |
2月9日 01時01分 |
4066 |
積もりたる春の雪をばすくいとれば草の息吹きの香り立つなり |
ぽぽな |
2月9日 01時56分 |
4067 |
かがやきの日増しにつのる逆光の朝の光に春はあふれむ |
蘇生 |
2月9日 07時36分 |
4068 |
春泥の重き歩みをいとほしみ堅香子にあふ蝶にあらねば |
素蘭 |
2月9日 13時50分 |
4069 |
蝉の子やかぶとくはがた虫の子は温くくなりたる根を屠りける |
海斗 |
2月9日 16時10分 |
4070 |
春の蝶美しきかなその舞いを地平で眺む青き虫らよ: |
李花 |
2月9日 20時20分 |
4071 |
鱗翅目ただよふまへのかはむしのさみどりかなしいのちあふれて |
素蘭 |
2月9日 23時13分 |
4072 |
青虫の永き時代の夢見かな鱗翅類にてただよふ日々を |
ぎを |
2月9日 23時38分 |
4073 |
松幹の冬の藁つとに潜りいて春へ生きんと黙す虫をり |
蘇生 |
2月10日 06時07分 |
4074 |
盆松の葉色わづかに戻り来て身じろくやうに春は兆せり |
径 |
2月10日 09時44分 |
4075 |
雪消えて物芽賑はふ春なれどつれなく見ゆる汝がそぶりかな |
冬扇 |
2月10日 10時06分 |
4076 |
さりげなく頬をかすめる春の風温かなれど漣に似て |
李花 |
2月11日 00時29分 |
4077 |
群竹のうきは上こそつれなかれ下ゆたかむないでし春かも |
素蘭 |
2月11日 00時30分 |
4078 |
行く冬を惜しむがごとく淡雪のけふも降りてはまつげに消ゆる |
ぽぽな |
2月11日 02時16分 |
4079 |
冬去りて人も草木も疼くなり天より呼ばふる声あるごとく |
ぎを |
2月11日 02時32分 |
4080 |
森と海と光の中にそれぞれに春はそこまでオーイと呼ぼう |
蘇生 |
2月11日 07時08分 |
4081 |
うすらびのうすいうすらひうすがすみうすくれなゐの春の恋ほしも |
素蘭 |
2月11日 20時12分 |
4082 |
おみくじの恋占いを見下ろして抱き合う梅も風に吹かれり |
李花 |
2月11日 21時58分 |
4083 |
切れるだの別れるだのとことごとし湯島の白梅ことなく咲けり |
ぎを |
2月12日 00時13分 |
4084 |
訳言えぬ夜なべの明けて手鏡の薄きくちびる指でなぞりぬ |
ぽぽな |
2月12日 04時43分 |
4085 |
ひととせのすぎし日月をかへりみつあらた来るなむ春のよし風 |
蘇生 |
2月12日 05時36分 |
4086 |
諍ひて甲斐なき言葉並びゐる書き込み見るもすさまじきかな |
冬扇 |
2月12日 11時55分 |
4087 |
蓑虫は永遠に眠るや帰花冷まじき風受け流しつつ |
紀 |
2月12日 21時37分 |
4088 |
すさまじき我が煩悩の逃れ難く歌に託せる懺悔なるかな |
海斗 |
2月12日 21時42分 |
4089 |
破れ鍋に綴じ蓋とはよく言つたもの負のスパイラル夫婦増殖 |
素蘭 |
2月12日 23時23分 |
4090 |
連れ添へば顔も心も似て来るぞ似たもの同士似たもの同志 |
冬扇 |
2月12日 23時39分 |
4091 |
時共に多くを過ごす近き人食の好みも近くなりけり |
李花 |
2月13日 00時10分 |
4092 |
うまいものを味わうという楽しみは共感ありてそこに生まれる |
蘇生 |
2月13日 06時42分 |
4093 |
旨いもの喰うて詰まらぬこともある傍らに妹居らぬときなぞ |
冬扇 |
2月13日 10時14分 |
4094 |
口火切るものがをさめてなべて世は予定調和の円環のなか |
素蘭 |
2月13日 23時24分 |
4095 |
メビウスの輪の裏側に息潜めまだ気づかれぬメフィストの罠 |
ぽぽな |
2月14日 02時17分 |
4096 |
性尽きて泡に溺れし列島を海よ猛りて干せよ流せよ |
蘇生 |
2月14日 08時07分 |
4097 |
黒潮を泳ぐ身なれどこの恋の荒浪越ゆる術を知らざる |
冬扇 |
2月14日 15時43分 |
4098 |
荒れ狂う碧き海見ゆ鰤の眼に恋の勝者の誉れ潜めく |
李花 |
2月14日 22時38分 |
4099 |
出世魚鰤・鯔・鱸さまざまにとどになるまへ喰ふがめでたし |
素蘭 |
2月15日 00時09分 |
4100 |
遥々の氷詰の鰤や佐渡の色なる歌仙をば巻きしことありき |
蘇生 |
2月15日 05時46分 |