桃李歌壇  目次

クラスター

連作和歌 百首歌集

4301  クラスター爆弾つひに炸裂す憎悪は呪ひとなりてかなしゑ  素蘭 4月27日 14時19分
       
4302  黒黒と戦車が隊列を組みてゆく月の砂漠を思ひみるかな たまこ 4月28日 03時43分
       
4303  生業も齢も知らで数寄に寄す衆は組みたり百韻連歌   蘇生 4月28日 06時18分
       
4304  師の恩のさまざまあれど忘れえぬ〈あなたはそれを何で調べましたか?〉  素蘭 4月28日 20時12分
       
4305  花一片遠き枝から手に降りて離りて久しき師の逝くを知る ぽぽな 4月29日 00時41分
       
4306  梅が枝の浅き緑がそよぎいて想ふは難し白き花をば  蘇生 4月29日 17時03分
       
4307  寒椿みな花をはり紫のにほへる夏になりにけるかも  素蘭 4月29日 21時49分
       
4308  この春のかがよひ尽きしことごとの名残にをりて夏は未だ来ぬ  蘇生 4月30日 07時15分
       
4309  夏来ぬと身にはさやかにおぼえねど山の色にぞ驚かれぬる  素蘭 4月30日 10時57分
       
4310  夏近し思ふどち飲むワインの酔ひをふつと醒まして吹く夜の風  ぎを 4月30日 14時54分
       
4311  春過ぎのかがよふ夏を思ひても何故かしとどに思ふこの春   蘇生 4月30日 19時02分
       
4312  白い旗の形となりてむささびが飛んでゆきたり森は初夏(はつなつ) たまこ 4月30日 20時42分
       
4313  魚心あり水心 〈われ〉に酔ふめにをのありて藪の中なる  素蘭 5月1日 00時20分
       
4314  水中の魚(うを)に訊きたきことのあり汝(なれ)はそもそもなぜに魚なる  冬扇 5月1日 01時15分
       
4315  海山(うみやま)の境界にあるをさなごがペンギン歩きにわが前歩く たまこ 5月1日 01時27分
       
4316  ふるさとはとほし都会の水槽に白熊ゆらり大の字になる ぽぽな 5月1日 04時42分
       
4317  猥雑を嫌つたのだらうアラスカの土となりにき星野道夫は  素蘭 5月1日 12時52分
       
4318  真夜中のアンカレジに給油待つかの帰国便遠い記憶に 千種 5月1日 18時32分
       
4319  汁薄きうどんを口にしたむかしアンカレッジは帰国の気分  蘇生 5月1日 19時52分
       
4320  仏蘭西の野は遠けれど雛罌粟のものぐるほしき皐月なりけり  素蘭 5月2日 01時54分
       
4321  初陣の日本代表中山のリヨンで挙げしゴール天晴れ  千種 5月2日 07時47分
       
4322  初陣のマリナーズ対ヤンキース観客席は日本さながら ぽぽな 5月3日 01時46分
       
4323  久方のアメリカ人とふ修辞ありて子規の短歌の今にあたらし  素蘭 5月3日 01時48分
       
4324  ぬばたまのクロワッサンを掲げてはお月さまだと言ふ子いとほし ぽぽな 5月3日 09時59分
       
4325  その修辞気が付かなくて負けました、うまいと笑ひし人の幾人  素蘭 5月3日 14時41分
       
4326  寺山の修司はサミュエル・べケットを好んだらしいああ座の匂い ぽぽな 5月4日 02時50分
       
4327  晩春の光を溜めてゆつさゆつさ右近桜は鬱の匂ひす たまこ 5月4日 06時19分
       
4328  海峡の闇を照らした束の間のマッチにしかず我がいのちとは  人真似 5月4日 06時23分
       
4329  祖国とはあまたの命捧ぐるに値するのか母の愛より 茉莉花 5月4日 10時07分
       
4330  〈やさしさ〉をはき違へたる母親と自立せぬ子の相関曲線  素蘭 5月4日 15時27分
       
4331  我もまた父にとなりて省みる五月幟を揚げし亡き父  人真似 5月5日 00時43分
       
4332  今日もまた高く泳がねばならいと鯉のぼりの父さんは少しゆううつ たまこ 5月5日 07時43分
       
4333  緋鯉は子 真鯉は父と歌の言う いずこにありや母さんの鯉  人真似 5月5日 08時37分
       
4334  雛の日にゑめる桜は実となりてわれは添へにき真鯉のかたへ  素蘭 5月5日 14時36分
       
4335  花は実に卵は雛に生まれしを あやめもわかぬねやの褄かな  人真似 5月5日 16時44分
       
4336  鯉のぼりはためいていた家々は今ひっそりとついを見つめむ  蘇生 5月5日 17時19分
       
4337  こひはこひ登る空あり瀧ありてつひのすみかはひとに知らるな  素蘭 5月5日 23時59分
       
4338  わがこひは しらぬよみちにあらなくに まよふこころぞわびしかりける  ひとまね 5月6日 00時44分
       
4339  現し世のみなあらましの違ひゆきそは生業やはたまた恋も  蘇生 5月6日 05時38分
       
4340  現せ身のカラヴァッジオの御子の手の吾が黒髪に触るるがごとく ぽぽな 5月6日 06時14分
       
4341  片方の手袋もとめさまよいつ こころの旅路はてもなきまま  人真似 5月6日 06時49分
       
4342  お帰りと夕餉にありし母の声もう居まさぬを悲しみにけり  千種 5月6日 18時16分
       
4343  まぼろしのこえさえきけぬこのみにも ねむれぬよるはしらじらとあく  ひとまね 5月6日 21時42分
       
4344  間違ひ電話の声が亡妹(いもうと)に似てゐしと告げたき母もすでに老いゐて たまこ 5月7日 06時38分
       
4345  訪ふごとに母は小さく老いづきて侘びしむさまも微かになりぬ  蘇生 5月7日 07時05分
       
4346  ねむそうな母の幸せそばに置きただはらはらと花の散る午後 やんま 5月7日 08時14分
       
4347  吹くかぜに庭のぼたんのかすかにも薫る五月の空の青さよ  人真似 5月7日 08時17分
       
4348  異次元の世界に棲める父の眼にも皐の空は映りているらし 茉莉花 5月7日 08時56分
       
4349  一瞬に去り行く今をつかまんと 内なる時計の針を見つめる  人真似 5月7日 09時41分
       
4350  子供らは五月の風のまん中で五七五の魔法にかかる ぽぽな 5月7日 10時26分
       
4351  じゅうたんもらんぷもなくてよむうたのひかりただちにうちゅうをかける  ひとまね 5月7日 11時55分
       
4352  蛍雪の功なりて世に出でし子の初の便りぞけふ届きたる  冬扇 5月7日 13時07分
       
4353  PCの受信トレイに胸おどる 「依存症」とは吾のことかな?  人真似 5月7日 13時33分
       
4354  未承諾と銘打つメール広告の慇懃無礼に手を焼くわれは  蘇生 5月7日 16時33分
       
4355  WebサイトJavaスクリプトの解析も 無知な我が身の教師たる日々 人真似 5月7日 16時45分
       
4356  一葉をもていかにせむ 学ばむか目蔽はむか化けてみやうか  素蘭 5月8日 00時20分
       
4357  退いていまだにオフィスの夢を見る ビル街さすらう夜のわが魂  人真似 5月8日 05時39分
       
4358  アメリカに一とかたまりの花吹雪アンナ好みておほらかによむ ぽぽな 5月8日 05時39分
       
4359  仰ぎみるとき過ぎゆきて櫻木は勁く茂りて花宿すらむ  蘇生 5月8日 08時03分
       
4360  天辺に桜を咲かす山のありほろ酔ひ気分に生きてゆくべし たまこ 5月8日 08時30分
       
4361  やまももの鳥を養う赤き実をかすめ盗りたる酒は血の色  人真似 5月8日 08時34分
       
4362  吾が心かなふものなら取り出して見せたきほどに恋ひこがれたる  冬扇 5月8日 11時18分
       
4363  一瓶のワインの如きひとの戸を ひそと叩いた若き日の夏  人真似 5月8日 11時50分
       
4364  紗をなして降る初夏の雨に濡れてゆく今すこしあれわたしの気力 たまこ 5月8日 23時20分
       
4365  かた恋はくるしきものと知りながらかれてもけせぬめいるあどれす  ひとまね 5月8日 23時40分
       
4366  しなつくり拉致・戦争を歌に詠む言葉の軽さをギャグとこそ知れ  素蘭 5月9日 00時26分
       
4367  フェラガモの銀座出店戦略のカモにはなるなヤマトナデシコ  人真似 5月9日 06時46分
       
4368  囀りを鳥ならずとも羨しぶや極め尽くせし今朝の鶯  蘇生 5月9日 10時13分
       
4369  過ぎ行きしときを偲べば残る花いろもさめつつ見るも哀しき  冬扇 5月9日 10時43分
       
4370  たのしみは和歌れんさくの綾とりに 夢中なわれの姿みるとき  人真似 5月9日 12時09分
       
4371  綾取りといふよりキルト ジグザグの縫ひつけ針の交差する刻  素蘭 5月10日 00時47分
       
4372  この部屋を出でて銀座の交差点 あなたと逢えど知らず刻過ぎ  人真似 5月10日 05時49分
       
4373  赤い靴ピンクのコートに武装してマタニティブルーやり過ごす午後 ぽぽな 5月10日 08時02分
       
4374  目抜きゆく白き二の腕ほっそりと恨めしきかな四温の昨日  蘇生 5月10日 08時11分
       
4375  誰がために鳴くやさ月のほととぎす み山はるかにつづらなる坂  人真似 5月10日 08時59分
       
4376  死出の山越えて来つらむほととぎす あるひはわれのみ聞く声のあり  素蘭 5月10日 14時37分
       
4377  海原の闇に灯台明滅す 母港の町はいま静かなり  人真似 5月10日 21時51分
       
4378  憂鬱な猫たちがゐるたれもゐない波止場に腐す杭のめぐりに  素蘭 5月11日 00時44分
       
4379  シャワー上げセイルを洗う若者ら 夕日が照らす茶髪と白き歯  人真似 5月11日 05時14分
       
4380  ゆきすぎも間違いもある若きらの未来キラキラ輝きてあれ 茉莉花 5月11日 12時17分
       
4381  愛犬と散歩ついでの遠回り 生垣ごしに牡丹めでつつ  人真似 5月11日 12時20分
       
4382  薔薇垣に見え隠れする白き手の見覚えのある細き指かな  冬扇 5月11日 17時57分
       
4383  思い出の木香薔薇をあふれしめ午後のお茶する庭のテーブル  千種 5月11日 21時29分
       
4384  ネットカフェ冷めたコーヒー脇に置きキーボードにおどるしなやかな指  人真似 5月11日 23時19分
       
4385  薔薇の樹に咲く薔薇のやうテーブルの上にあをざめたきみのさうの手  素蘭 5月12日 00時24分
       
4386  訳知りのエレベーターは赤き薔薇の花弁を床に今開きたり ぽぽな 5月12日 02時52分
       
4387  しきしまの道は四分五裂したる世に われもあらたな宙めざさんとす  人真似 5月12日 06時34分
       
4388  日本人は誤爆を受けぬ 遠き日の童話カチカチ山はぼうぼう  素蘭 5月12日 07時49分
       
4389  まけいくさやまとはうみのそこふかくむりをしょうちのやまとだましひ  ひとまね 5月12日 08時18分
       
4390  容赦なきどこぞの国の爆撃に曝されしことわれは忘れぬ  蘇生 5月12日 08時30分
       
4391  かのくにのまっちぽんぷはおてのもの ばぶるにおどりやまとやぶれり  ひとまね 5月12日 09時22分
       
4392  短歌滅べ短歌滅べ 幼子が言葉の井戸に溺れぬまへに  素蘭 5月12日 09時23分
       
4393  筒井つのいつの日あれしまろが魂 過ぎにけらしな珠えざる間に  ひとまね 5月12日 10時36分
       
4394  晒し井のなにあがるらんびっしりと金魚の卵つきし浮き草  千種 5月12日 12時53分
       
4395  いとほしき君をおもひて歌よめば恋しさのいやまさりけるかも  冬扇 5月12日 15時08分
       
4396  かくれぬにおふるあやめの花みてぞ われにねも葉もなきぞかなしき  ひとまね 5月12日 15時45分
       
4397  百合樹(ゆりのき)の花仰ぎをり来年もかならずここできつと二人で たまこ 5月12日 18時15分
       
4398  はかなくも忘れられにける あふひかな かれしままとて人もこそみれ ひとまね 5月12日 21時58分
       
4399  日の道に傾く葵 むすぶあふひ 賀茂の牽馬たれがひきうま  素蘭 5月13日 01時16分
       
4400  早起きの名無しの鳥は枝の上奏でやめぬや無調のアリア ぽぽな 5月13日 02時58分