桃李歌壇  目次

夜のほども

連作和歌 百首歌集

 
4401  夜のほどもうしろめたげに月をみて思ひ乱れてあかしつるかな  ひとまね 5月13日 07時45分
       
4402  童謡の二十四羽の黒鳥のブラックバードかアリアの鳥は  千種 5月13日 08時03分
       
4403  糠漬けの春菜・大根刻みつつずんず誦ず誦ず芸者ワルツを  素蘭 5月13日 09時11分
       
4404  さくらんぼ色づく枝による鳥はうたいもせずについばみて去る  人真似 5月13日 10時24分
       
4405  嫁ぎたる娘(こ)の久方の里帰り甘えるさまのゆすらうめかな 冬扇 5月13日 11時56分
       
4406  ふるさとの碧空の下波しずか浜辺に佇む夢の少年  人真似 5月13日 17時24分
       
4407  初夏(はつなつ)の風の岬にきらきらと大観覧車は季(とき)の歯車 たまこ 5月13日 20時05分
       
4408  穀もつはタイムカプセルとも思わず食みながら待ちぶせて居る  人真似 5月13日 23時12分
       
4409  ポンペイの一日を思へ しからずんばバベルの塔のかの日を思へ  素蘭 5月14日 01時08分
       
4410  5千余の年月ひとのままにゐて眠る木乃伊は生姜と呼ばれ ぽぽな 5月14日 04時55分
       
4411  崩れ散る文明の世のはかなさにややこ抱きて母どちの泣く  冬扇 5月14日 04時56分
       
4412  しろぼたんぴんくのぼたんあかぼたん ほたりとおちてなつとなりけり  ひとまね 5月14日 05時47分
       
4413  ビル壁のふかき小路の昼の灯にトマトほほばり夏は来たりぬ ぽぽな 5月14日 07時43分
       
4414  教へたき傍若無人と云ふ言葉よくよくご理解下されよとぞ  冬扇 5月14日 08時42分
       
4415  ゆゑしらずけものの道にまよひてか 鹿の子まだらに恥もかくらむ  ひとまね 5月14日 09時37分
       
4416  バオバブの赤児あやせる湯婆婆の湯屋ゆゑ湯女のゆるき下紐  素蘭 5月14日 09時50分
       
4417  たのしきはよのつねならぬふみとゑにうましうましとこころとくとき  ひとまね 5月14日 11時22分
       
4418  いもとなる赤子見守る幼子や小さき心の何思ふらむ  冬扇 5月14日 12時41分
       
4419  くもりなく千里のやまも見るばかり今朝のさつきの空ぞはれぬる  ひとまね 5月14日 13時03分
       
4420  千早振る神代の海に棲む鯤(こん)の化して翔べるを鵬(おほとり)と云ふ 冬扇 5月14日 16時31分
       
4421  おほとりの羽易の山にわが恋ふる珠はあれどもゆくすべもなき  ひとまね 5月14日 20時15分
       
4422  ゆきゆきてゆきあふゆきにゆきくれてゆきつるゆきにゆきはふりつむ  素蘭 5月15日 01時03分
       
4423  マリーナに憩ふヨットのマストにも雪つむ広場をカラス歩めり  人真似 5月15日 05時37分
       
4424  背後より視線感じて振り向けばアイス狙つてゐる七つの子 ぽぽな 5月15日 07時29分
       
4425  「凄いなあ」と嗟嘆しつつワイドショー歌壇ドラマの泥沼を見む  素蘭 5月15日 07時55分
       
4426  今朝の空予報テレビのアナウンサー背後に雨としゃくやく花壇  人真似 5月15日 08時25分
       
4427  朴訥とせる予報士の憂ひ顔つひのま眺む 楽しからずや  素蘭 5月15日 08時54分
       
4428  ふる雨に出足もしぶる俳諧の部屋より一歩も出でぬ朝かな  人真似 5月15日 10時15分
       
4429  朝寝して夜寝するまで昼寝してときどき起きて居眠りをする  冬扇 5月15日 11時45分
       
4430  俳人は人に非ざる気散じに寝言にも謂はむ〈歌人くたばれ!〉  素蘭 5月15日 12時08分
       
4431  思ふ儘この世を詠めばおのづから人の心ぞはぐくまるべき  冬扇 5月15日 12時58分
       
4433  句会デビュー投句を終へしデスク脇 瓶挿しミントの青葉すがしき  人真似 5月15日 15時16分
       
4433  順説も逆説もある表現の水平思考が私は好きだ 茉莉花 5月15日 18時10分
       
4434  華麗なる美文に込めし吾が想ひ知るや愁ひの横顔の君  冬扇 5月15日 18時21分
       
4435  あらたなる詩歌もとめてさ迷ひつ古瓢箪の酒にも陶然  人真似 5月15日 18時26分
       
4436  「一輪草・熊鷹・沢かに」ポケットから深夜とりだず歌のメモ書き たまこ 5月15日 21時52分
       
4437  あつもり草さく庭にひらり舞う生れしばかりの黒揚羽蝶  人真似 5月15日 23時05分
       
4438  くまがい草咲く竹林にさまよへば泪の露のなほ見らるらむ ぽぽな 5月16日 10時19分
       
4439  須磨の浦 いくさの跡の濱千鳥 あはじこひしと明かしつるかな  ひとまね 5月16日 17時07分
       
4440  たまきはる磯のたまものたまふりにたまたまたまる埼玉のたま  素蘭 5月17日 01時20分
       
4441  荒磯のあまたあやかり鬼面かにありあり歩りく有明けの海  ひとまね 5月17日 11時06分
       
4442  敷島の大和ごころを知らむとて学ぶ古今の文と歌かな  冬扇 5月17日 18時35分
       
4443  万葉の枕も掛てみぬ吾の 古今いろなすゑびす歌かな  ひとまね 5月17日 23時09分
       
4444  狂王の砂上楼閣巡りこそそこひも知らぬ沼あやふけれ  素蘭 5月18日 00時29分
       
4445  歌いつつ沼に沈みしオフィリアとルートヴィッヒの悲劇思はる 茉莉花 5月18日 00時35分
       
4446  ぷくぷくと沼に泡を走らせてひょいと顔出す鳰の溜息 やんま 5月18日 05時43分
       
4447  「復(ま)た春は来ぬ花をかかげて」と歌ひにし岡井隆のかの日日おもふ たまこ 5月18日 05時43分
       
4448  天地も人をも動かす三十一の心体技とは永遠の謎かな?  ひとまね 5月18日 06時49分
       
4449  あめつちのことわり知るはかたけれど人のなさけぞ身にしみにける  冬扇 5月18日 11時18分
       
4450  オパールの鳥はおのづとさえずるも つぶての如き文字綴る吾は  人真似 5月18日 14時46分
       
4451  怪文書作成講座のあらはれて素晴らしきかな戦後教育  素蘭 5月18日 15時03分
       
4452  わりなくもたまちる事もつゆしらず みなわのあやめながめくらしつ  ひとまね 5月18日 23時06分
       
4453  戒壇の闇に暴かるる吾の闇洗ひ濯ぎて夏の陽に干す ぽぽな 5月18日 23時48分
       
4454  ワイドショー囀るヤツのシロはクロ 「語るに落ちるといふヤツですね」  素蘭 5月19日 00時26分
       
4455  あげひばり時めく歌もきこえねど 野にふせたまをいだくけさかな  ひとまね 5月19日 05時42分
       
4456  悲喜劇の中味に沿うて喜怒哀楽表情変ふるニュースキャスター  冬扇 5月19日 09時22分
       
4457  うき日には小鳥もこぬか雨のふり 読むは修司のロング・グッドバイ  人真似 5月19日 11時26分
       
4458  たましひに着る服なくて野放図に育ちきたりぬレダの樹われは  素蘭 5月19日 14時29分
       
4459  伝説の刻まれし血の謎とけぬまま煙にとなる命やは  人真似 5月19日 16時38分
       
4460  いにしへゆ言ひ伝へたることどもをたづねきはむることぞ嬉しき  冬扇 5月19日 16時59分
       
4461  燃尽きた彼らも存命なら只の爺 ゆたかに生きる難しさ  人真似 5月19日 23時03分
       
4462  「幾時代かがありまして」そして未だサーカス小屋にはブランコが垂れ たまこ 5月20日 00時31分
       
4463  宙ぶらりん中也の詩などすさみつつさらさら沙羅の花も咲くころ  素蘭 5月20日 01時33分
       
4464  風の音にいたいたしくも怖気づき慌てて入る店の名は「なじゃ」 ぽぽな 5月20日 02時43分
       
4465  壱岐に咲くなんじやもんじやを見にゆかむ約束は終に約束のまま たまこ 5月20日 06時09分
       
4466  花散りて芥子ぼうずやらどくだみの五月の風はあんにやもんにや  人真似 5月20日 06時45分
       
4467  からまつの幹駆けのぼる青嵐ながすね彦の若きひかがみ 千種 5月20日 09時49分
       
4468  乱倫の林厭ひてぽくぽくと逝つてしまへり歌の女神は  素蘭 5月20日 10時10分
       
4469  神と我二律に滅びの匂いあり 人それぞれにそなわる真  人真似 5月20日 11時51分
       
4470  み仏の御慈悲のいとどありがたきけふを生かされあすを生かされ  冬扇 5月20日 13時43分
       
4471  精神の腐れゆきたる短歌より俳句が好きで、私に構ふな!  素蘭 5月20日 15時51分
       
4472  芸術は何の役にも立たぬとも芸術なしには人は暮らせず  人真似 5月20日 15時54分
       
4473  美しきものを愛する心こそまことの人の心なりけれ  冬扇 5月20日 16時46分
       
4474  一閃の想ひは翼を得て巡る HIテク時代の真の美こひし   人真似 5月20日 17時26分
       
4475  杉林の梢の一つの仏法僧むき変へるたびに閃光放つ たまこ 5月20日 23時12分
       
4476  白世界形にならぬ霧深しはるか樹を伐る斧の一撃  人真似 5月21日 00時02分
       
4477  音を超え未来へ馳せしコンコルド瞬くうちに来し方に消ゆ ぽぽな 5月21日 07時43分
       
4478  航跡は一直線に宙を切り轟音たてて世紀ひらけり  人真似 5月21日 08時30分
       
4479  イカロスの夢を叶へし人の世にけものごころの今も残れる  冬扇 5月21日 08時36分
       
4480  たらたらとにかははとけてねぢぬけてにはかに狂ふ体内時計 ぽぽな 5月21日 10時23分
       
4481  そらはれてにわかに用をおもひだしこれより江どへいでたたむとす  ひとまね 5月21日 17時48分
       
4482  うたびとはもとよりふてき都忘あづまくだりて江戸の夏花  素蘭 5月22日 00時46分
       
4483  足元より夏野の憂ひの草いきれ立ちのぼるなり別れはちかく たまこ 5月22日 05時09分
       
4484  風ふけば葉のひらまねく白樺のオアシスのありビル街の午後  人真似 5月22日 05時35分
       
4485  中庭に息を潜める花水木 現代音楽弦四重奏 ぽぽな 5月22日 07時00分
       
4486  モニターの密かな眼にさらされつまだ見ぬ子らに詠いつづける   人真似 5月22日 08時21分
       
4487  永田町不正蔑するあなたなら明朗会計してるでせうね  素蘭 5月22日 08時52分
       
4488  なにごとも他山の石と人の世の理(ことわり)教へ呉れし人かな  冬扇 5月22日 15時15分
       
4489  ああ浮薄な言葉ばかり並びをる我が歌なれば華美花美迦毘羅  素蘭 5月22日 22時32分
       
4490  石山にこもりし式部の筆先で 源氏と女の無常の生涯  ひとまね 5月22日 22時39分
       
4491  文芸をたつきとなせば遠き日の川にしづめし蛇にも逢はむ  素蘭 5月22日 23時44分
       
4492  達人の心やはらも知らぬ身は 手もなくかかむ腰折れの歌  人真似 5月23日 06時56分
       
4493  言霊の幸はふ国に生れし故歌の心のまこと探るや 茉莉花 5月23日 09時28分
       
4494  命ある歌よみたしと願ひしも限りある身の口惜しきかな  冬扇 5月23日 11時01分
       
4495  はじめての選句に出でしわが句みて 学校参観の親心地する  人真似 5月23日 11時21分
       
4496  鐘の音の響くがごとく歌心連なり行くが尊くあるかな 茉莉花 5月23日 11時25分
       
4497  朝食を探すか鷺が十あまり連なりて春の三角州(デルタ)に下りる たまこ 5月23日 14時27分
       
4498  柿わか葉そよぎて風の歌にさえ胸かき躍り透ける五月は  人真似 5月23日 14時36分
       
4499  ドイツリートカンツォーネにも歌われし五月さつきよああ美しきとき! 茉莉花 5月23日 14時52分
       
4500  穂絮すべて飛ばしつくしし穂薄の銀色なびく五月の風に たまこ 5月23日 17時44分