4601 |
梅雨近し苔のみどりをます庭に燃ゆるいのちの紅き石楠花 |
人真似 |
5月31日
09時01分 |
4602 |
石蕗の葉を打つ夜の雨の音われに激しき夏の来るべし |
たまこ |
5月31日
11時26分 |
4603 |
恐るべき乳房と言われおとめごの若さ爛漫夏の街行く |
茉莉花 |
5月31日
12時53分 |
4604 |
さくらんぼ含みし君の唇は種吐くごとく別離きりだす |
人真似 |
5月31日
15時12分 |
4605 |
甘味屋の空調の音隣席の会話にわかに小声となりて |
千種 |
5月31日
16時56分 |
4606 |
安らはで寝なましものを大地震 ソニーショックにりそな国有 |
真奈 |
5月31日
23時20分 |
4607 |
知る知らぬなにかあやなくわきて言はん月なき夜とて明けぬ日はなし |
人真似 |
6月1日
00時26分 |
4608 |
旧暦の四月に重なるこの五月嵐の無月となりて終わりぬ |
茉莉花 |
6月1日
00時57分 |
4609 |
宵越しの酒をちびりとふくんだら昨日の傷がちりちり痛い |
ぽぽな |
6月1日
02時32分 |
4610 |
天道さまが真つ直ぐわたしに射してくる一夜明ければ真つ青な空 |
たまこ |
6月1日
06時15分 |
4611 |
太陽にファイトを燃やし月みてはもの想う心のめでたさよ |
人真似 |
6月1日
06時24分 |
4612 |
誘われて娘と二人で行くプール運転手だって構わないから |
海斗 |
6月1日
06時42分 |
4613 |
春の葉を楚々と広げし吾亦紅やがて紅して野辺に立たんと |
蘇生 |
6月1日
06時58分 |
4614 |
袖振れば停まってくれると思いしが平成男の子は猛スピードで去り |
茉莉花 |
6月1日
10時24分 |
4615 |
猛スピードで落ちくる雨に打たれつつ発火しさうな私のからだ |
たまこ |
6月1日
11時23分 |
4616 |
イヴになる今日のわたしは赤い服みゆき通りにジャズの流るる |
真奈 |
6月1日
12時21分 |
4617 |
ビル風になびくブラウス乙女らの胸のラインの鮮やかにして |
人真似 |
6月1日
13時38分 |
4618 |
魔歌(まがうた)を謡ふ乙女は石となり激つ河面を見つめゐるなり |
紀 |
6月1日
14時18分 |
4619 |
公園の石の人魚の像は旧りその石の目にやどる朝露 |
たまこ |
6月1日
16時08分 |
4620 |
ふためきて羽根きらめかせ食う餌の輪からあぶれる片足なき鳩 |
人真似 |
6月1日
22時35分 |
4621 |
涼しげに早引け決めるその刹那凄腕経理課長氏につかまる |
ぽぽな |
6月2日
05時08分 |
4622 |
早引けの啄木の歌想ひつつ城裏に仰ぐとほき浮き雲 |
たまこ |
6月2日
05時57分 |
4623 |
青春の焔の壁を想ふとき智慧なきゆえの妄想と悔ゆ |
人真似 |
6月2日
06時53分 |
4624 |
箒目の立たぬ小庭に十薬と薄荷が香る蜥蜴が走る |
千種 |
6月2日
09時50分 |
4625 |
建替へて庭なき家になりにけり駐車場なぞ造りたる故 |
冬扇 |
6月2日
11時38分 |
4626 |
見渡せば庭も紅葉もなかりけり車ばかりがわがものにして |
海斗 |
6月2日
20時40分 |
4627 |
学生らと酌みあふ夫のいまだ強し五月の庭に肉など焼いて |
たまこ |
6月2日
22時32分 |
4628 |
アンテナに陣取り街を睥睨し恫喝するか嘴太鴉 |
人真似 |
6月3日
01時21分 |
4629 |
澄む声は嘴太鴉・だみ声は嘴細鴉と楽しき山路 |
たまこ |
6月3日
06時44分 |
4630 |
楽しきは森にこだますポリフォニー心の硬さ溶かす万緑 |
真奈 |
6月3日
13時24分 |
4631 |
つぶつぶの残るお濃茶手前にもとりなす人のやわらかき声 |
千種 |
6月3日
17時08分 |
4632 |
助手席のわれに小啄木鳥(こげら)のまねをしてふとはにかみしその笑ひ声 |
たまこ |
6月3日
18時10分 |
4633 |
上等の和菓子を載せる器にもあるじの心ゆかしくありて |
茉莉花 |
6月3日
18時12分 |
4634 |
ききざはしの風雨にたへし踏み代は幾たり人の過ぐるをみたか |
蘇生 |
6月3日
19時19分 |
4635 |
半月に侘茶の髄を説く利休躙り口よりしのび寄る翳 |
真奈 |
6月3日
20時33分 |
4636 |
朝顔を愛でむと庵に誘われ花なき庭に侘を見よとは |
人真似 |
6月4日
00時04分 |
4637 |
朝顔の双葉に光る露の玉いいことばかりにならんこの夏 |
たまこ |
6月4日
05時46分 |
4638 |
そよかぜに花びらふれる雛罌粟の立ちくらむがごときその花壇 |
人真似 |
6月4日
06時27分 |
4639 |
いつの日か土に帰郷を果たすとき花育てましその名しらずも |
ぽぽな |
6月4日
07時23分 |
4640 |
ふる里の追憶おぼろに浮かぶときあなたにどこかで出逢う気がする |
人真似 |
6月4日
08時16分 |
4641 |
いつしかに朧々と霞み行く君が面影けふも追ひつつ |
冬扇 |
6月4日
10時39分 |
4642 |
ストーカー罪になるぞと諭されど断てぬ想いは墓に埋めとか |
詠み人知らず |
6月4日
19時54分 |
4643 |
幾つまで女は恋すと問はばただ火鉢の灰を掻く大女優 |
人真似 |
6月4日
22時04分 |
4644 |
歌うたはば声涸れるまで人恋はば冴ゆる魂燃え尽きるまで |
ぽぽな |
6月5日
03時56分 |
4645 |
ひたむきな青春の愛うるわしく胸のあかりはオーラの如し |
人真似 |
6月5日
06時46分 |
4646 |
人恋ひて君無き里を訪ぬれば軒それぞれに燕の巣あり |
やんま |
6月5日
07時28分 |
4647 |
やがてダムに沈む家居にきびきびと腰赤つばめが巣作りをする |
たまこ |
6月5日
11時37分 |
4648 |
電線に音符のごとく待つ仔らに餌はこび繁し燕夫婦は |
人真似 |
6月5日
12時42分 |
4649 |
胸の淵五里の深きに渇きゐてそを満たせるはただ君の愛 |
ぽぽな |
6月5日
23時42分 |
4650 |
たぎつ瀬の鯉のやみ路は苦しくて かはと見ながらえこそ渡らね |
ひとまね |
6月6日
01時39分 |
4651 |
さざ波にさやうならの声溶けてゆくモノクロームのやうな一瞬 |
真奈 |
6月6日
14時40分 |
4652 |
ヨコハマを船はでて往く未練は残る別れテープの芯むなし |
ひとまね |
6月6日
17時04分 |
4653 |
何となくなにやらゆかしこの調べヤーレンソーランソーラン恋し |
ぽぽな |
6月7日
00時55分 |
4654 |
どっこいしょ立ち上がり様気がつけば記憶の底の祖母の掛声 |
海斗 |
6月7日
06時59分 |
4655 |
歌ことば口調ひとつで悲劇すら奇矯に染まる日本語の怪! |
人真似 |
6月7日
07時53分 |
4656 |
手から手へ移されかたちを変へてゆく綾取り遊びはしりとりに似る |
たまこ |
6月7日
10時48分 |
4657 |
堤防の沖から順に竿立ちてしりとる如く鰯はためく |
蘇生 |
6月7日
18時58分 |
4658 |
腹太き鰹の瞳に黒潮の色灯火の下煌き居り |
人真似 |
6月7日
22時54分 |
4659 |
とりどりの幸を盛りたる浅鉢ののぼり鰹の芳しきかな |
蘇生 |
6月8日
09時00分 |
4660 |
厚切りの旬の鰹のたたきこそ我が好物の第一にこそ |
冬扇 |
6月8日
16時13分 |
4661 |
ウェルダンにしてはなるまじミディアムの少し手前の透き通る紅 |
千種 |
6月8日
17時55分 |
4662 |
シェフの名を記しただけのレストラン何処へ失せしシェフの誇りは |
蘇生 |
6月8日
20時12分 |
4663 |
家ごとに味の好みは異なれど母系で決まる味覚の伝統 |
人真似 |
6月8日
22時28分 |
4664 |
きやら蕗をくつくつ煮つつ思ひをり祖母のつくりゐしその香その味 |
たまこ |
6月9日
09時41分 |
4665 |
みな月は揚げて美味なる柿わか葉もみじに三つ葉ゆきの下など |
人真似 |
6月9日
23時00分 |
4666 |
化粧ッ気なくてさらさら淡白でいかす彼女は菜食主義者 |
ぽぽな |
6月10日
03時28分 |
4667 |
京のまち出会がしらの恋をしてあかずも君を逢ひみつる夜 |
人真似 |
6月10日
07時37分 |
4668 |
風が出会ひ人間が出会ひ四つ辻は風も思ひも渦なすところ |
たまこ |
6月10日
11時30分 |
4669 |
肩書きのなき名刺もてその初め如何に渡さむ如何なるときに |
蘇生 |
6月10日
17時29分 |
4670 |
仮そめとかなぐり捨てし裃の人はひとなり吾はわれなり |
人真似 |
6月11日
00時19分 |
4671 |
百足の草鞋をはきしジャンコクトー眠れる才能こそ恐るべき |
ぽぽな |
6月11日
03時03分 |
4672 |
真なることとは何かかりそめかなじみ尽きたる草鞋一足 |
蘇生 |
6月11日
05時28分 |
4673 |
能因も西行芭蕉もわらじ履き 旅こそ数寄と人のいふらむ |
人真似 |
6月11日
07時59分 |
4674 |
がたごとと列車は歌うきしきしと連結部から合唱の声 |
海斗 |
6月11日
23時19分 |
4675 |
はつ恋の熱き想いの紅き灯を曳きて夜汽車は雪国を往く |
人真似 |
6月12日
00時09分 |
4676 |
初恋は太古に続く内海の潮騒に耳傾けるとき |
ぽぽな |
6月12日
01時55分 |
4677 |
ためらいつきみの乳房に耳よせばはるかむかしの潮騒の音 |
人真似 |
6月12日
05時34分 |
4678 |
一語づつ硬くまあるくしまいたる青き葡萄の房ごとの闇 |
ぽぽな |
6月12日
06時32分 |
4679 |
くちびるは語らずとも君の眼はしずかにわたしの過去を見透かす |
人真似 |
6月12日
07時53分 |
4680 |
「観念はそれが存在する限り心理学的に真実である」 |
ぽぽな |
6月12日
10時18分 |
4681 |
沈黙の真を胸にひそめつつ 犀角のごと独り歩まん |
人真似 |
6月12日
12時20分 |
4682 |
さよならは敢へて言はない夕焼けは明日になれば朝焼けになる |
たまこ |
6月12日
22時39分 |
4683 |
雨のおと風のゆるがす音にさへ豊かさみちる夜は水無月
|
人真似 |
6月12日
23時33分 |
4684 |
前線の見えているやについり荒れて桂の浜の砂にしむなり |
蘇生 |
6月13日
05時52分 |
4685 |
桂浜の竜馬の像に並びたち入梅に荒るる海を見てゐる |
たまこ |
6月13日
06時47分 |
4686 |
偉大なる映画俳優また逝きぬ時代を駆けたグレゴリー・ペック |
人真似 |
6月13日
08時49分 |
4687 |
父と見し総天然色「仔鹿物語」父のあだ名はグレッグだったと |
茉莉花 |
6月13日
09時35分 |
4688 |
生あればジェラール・フィリップ八十歳「パルムの僧院」いまだ褪せずに |
真奈 |
6月13日
09時56分 |
4689 |
「肉体の悪魔」のタイトル親に言えず隠してフィリップ見た少女の頃 |
茉莉花 |
6月13日
11時09分 |
4690 |
雨上がりポプラ並木をゆきながらラストシーンの女優の気分 |
たまこ |
6月13日
11時50分 |
4691 |
男屠ふる「夏の嵐」のアリダ・ヴァリ昏き瞳に沈む情念 |
真奈 |
6月13日
12時23分 |
4692 |
愛の記憶蘇らせむと踏むワルツ「長き不在」の果ての悲劇よ |
茉莉花 |
6月13日
13時25分 |
4693 |
ドロン駆る大型ヨットの優雅さを夢見そめし「太陽がいっぱい」 |
人真似 |
6月13日
14時20分 |
4694 |
少年は帆柱 白きシャツの背に風はらませてバイクを飛ばす |
たまこ |
6月13日
16時00分 |
4695 |
海賊と薔薇を夢見る夏の海遠く聞こゆるセイレンの歌 |
真奈 |
6月13日
16時44分 |
4696 |
週末の夜毎とどろく海鳴りに耳を澄ませばエンジン唸る |
蘇生 |
6月13日
18時47分 |
4697 |
理由なき若き日の反抗心 轟き渡るナナハンの群れ |
人真似 |
6月13日
23時34分 |
4698 |
爆音を立ててバイクが疾走し私の帽子が青空へ飛ぶ |
たまこ |
6月14日
09時57分 |
4699 |
聞き分けが良くていつでも穏やかな仮面捨てて高速ぶっ飛ばす |
ぽぽな |
6月14日
10時30分 |
4700 |
web和歌は仮面舞踏か聖か邪か非日常の尽きせぬ魔力 |
人真似 |
6月14日
11時13分 |