4732 |
「閉店」と紙の貼られてボタン屋がここにあつたと初めて気付く |
たまこ |
6月18日
23時04分 |
4733 |
続々と化粧を直す銀座裏レディースという店増殖中 |
蘇生 |
6月19日
05時03分 |
4734 |
永年のご愛顧・・と書く達筆の古き洋館写真館閉ず |
海斗 |
6月19日
06時57分 |
4735 |
汐留の気ままに建てし巨ビル群清かな風を閉ざすがごとく |
蘇生 |
6月19日
07時17分 |
4736 |
尾張町 霊岸島に木挽町 鉄砲洲みな消えし町名 |
真奈 |
6月19日
07時53分 |
4737 |
夕風に疎水は潮の匂ひして 流れはすべて海へつながる |
たまこ |
6月19日
07時59分 |
4738 |
身の内に流れる血潮吾もまた海より出でて海に帰るや |
茉莉花 |
6月19日
08時12分 |
4739 |
銀座裏一丁目には真砂女なく銀座八丁何処へゆくや |
蘇生 |
6月19日
08時20分 |
4740 |
夜の雨はビル窓ガラスに滴りてネオンが滲むわびしき残業 |
人真似 |
6月19日
08時23分 |
4741 |
林立のビルの睥睨するさまは地下に爪研ぐ魔物の如く |
蘇生 |
6月19日
08時32分 |
4742 |
子を攫う魔王を歌うディスカウの錆びし歌声今やいづこに |
茉莉花 |
6月19日
09時10分 |
4743 |
新しきシグナルなりし錆び色の女の城は資生堂パーラー |
蘇生 |
6月19日
09時28分 |
4744 |
あの店のあの席と決め逢い引きの胸震へたるかの日懐かし |
茉莉花 |
6月19日
09時35分 |
4745 |
建築は氷れる音楽
詩人らは虚空に言葉の円柱築く |
ぽぽな |
6月19日
09時38分 |
4746 |
綱町の三井倶楽部の洋館の庭と交わせし詩なる静寂 |
蘇生 |
6月19日
09時44分 |
4747 |
洋館のここのレシピは超一流庭園下るステッキ軽し |
やんま |
6月19日
19時42分 |
4748 |
鳩居堂さびのありけり和尽くしのここは銀座の今も真ん中 |
蘇生 |
6月20日
06時17分 |
4749 |
桐箪笥開けてしばらく目閉じれば匂袋ぞ記憶運べる |
ぽぽな |
6月20日
06時59分 |
4750 |
正式の俳諧なれば一っ紋にはか仕込みの小笠原流なり |
真奈 |
6月20日
08時54分 |
4751 |
あまた寄り銘茶愉しむ草庵は宇宙のごとき静寂の中 |
人真似 |
6月20日
09時00分 |
4752 |
宮川の夜の静寂に飛ぶ蛍まるで光の呼吸のやうに |
たまこ |
6月20日
09時45分 |
4753 |
魂を螢と歌う和泉式部私の歌の原点はそこ |
茉莉花 |
6月20日
10時52分 |
4754 |
旅の記の限りはおろか俳諧の式目までもおくの細道 |
蘇生 |
6月20日
12時23分 |
4755 |
旅枕わびさび色褪せ昨今は カラオケ唸るバスの徘徊 |
人真似 |
6月20日
14時46分 |
4756 |
サスペンスドラマに君の街映りホシ乗せてバスが画面を過(よ)ぎる |
たまこ |
6月20日
20時07分 |
4757 |
はじき持ちしけもくくわえポーズとる水鉄砲とチョコシガー哉 |
ぽぽな |
6月21日
06時57分 |
4758 |
悔しきはバレンタインディの義理チョコの数で若さに勝てぬこの頃 |
人真似 |
6月21日
08時47分 |
4759 |
空模様
子らはこよみに日ごと書く「雨」の漢字をすっかり覚え |
ぽぽな |
6月21日
23時51分 |
4760 |
ベランダに忘れし歌集が昨夜(きぞ)の雨に湿りて微かにふくらみてゐる |
たまこ |
6月22日
00時26分 |
4760 |
求愛の雨や嵐をかいくぐり 手に余りある君の幸せ |
人真似 |
6月22日
00時10分 |
4762 |
雨を得て土も緑も吾が胸も未知の出会ひにときめきてゐる |
ぽぽな |
6月22日
02時46分 |
4763 |
ときめきてねたさもねたしあやめぐさ あやめもしらぬいけのこいかな |
ひとまね |
6月22日
06時03分 |
4764 |
何人が覚えてゐるか人面魚 池を叩いて俄雨ふる |
たまこ |
6月22日
07時23分 |
4765 |
黄揚羽淡き光りの雨あがり上を下へと舞い舞いし朝 |
蘇生 |
6月22日
08時52分 |
4766 |
雨上がりの緑陰に入りしんしんと傷んだ心recuperated |
ぽぽな |
6月23日
00時21分 |
4767 |
大海に憧れ抱く吾とても自然の一部と思うことあり |
人真似 |
6月23日
04時53分 |
4768 |
ベランダにくくるるくくるる唄ふ鳩「私はたまこ、きみの名は何?」 |
たまこ |
6月23日
06時32分 |
4769 |
朝なさな心待つなり老鶯のアンテナ二つ今朝も二啼き |
蘇生 |
6月23日
11時18分 |
4770 |
巣立ちする雀の仔らの覚束な喚きふらつき親の枝見る |
人真似 |
6月23日
20時45分 |
4771 |
新しいプロジェクト今日発進す彼方で星が導いている |
ぽぽな |
6月24日
09時00分 |
4772 |
梅雨の夜は高層ビルの濡れた灯に真直ぐ働く人の懐かし |
人真似 |
6月24日
21時56分 |
4773 |
モルヒネの盗聴さるる幻覚は心の闇に耐へきれぬゆゑか |
海斗 |
6月24日
22時51分 |
4774 |
徒労感にひと日は暮れてすつぽりと布団かぶれば温かき闇 |
たまこ |
6月25日
06時31分 |
4775 |
薬師寺の五重の塔の歳月も昨日の如く僧は語れり |
人真似 |
6月25日
09時55分 |
4776 |
歳を経し疎ましきこと解けゆきて梅雨の朝とて美しきかな |
蘇生 |
6月26日
08時12分 |
4777 |
今宵また我に満ち潮訪れてひたひたひたと逆らわず行く |
ぽぽな |
6月26日
10時34分 |
4778 |
かぎりなき流れを容れて溢れない海を思へり君のかたへに |
たまこ |
6月26日
23時47分 |
4779 |
階段の合わせ鏡にゆれ動く人の果てなき都会の虚像 |
人真似 |
6月27日
00時42分 |
4780 |
重厚なノブを回せば白檀の香りに心安らぐばかり |
蘇生 |
6月27日
07時00分 |
4781 |
恋愛に性の垣根はいらないと街虹色にパレードの行く |
ぽぽな |
6月27日
22時20分 |
4782 |
鮮烈な羽根そり返し誇りたる孔雀二羽いる苑の陽だまり |
人真似 |
6月28日
00時20分 |
4783 |
梅雨の雨にこもりて思ふはかの皇女の動物園の真白き孔雀 |
たまこ |
6月28日
05時38分 |
4784 |
薄桃の薄衣まとふ舞姫の幽玄Auditoriumを魅了す |
ぽぽな |
6月28日
23時56分 |
4785 |
花伝書の世阿弥の花も時のはな ほのか明りの醸す幽玄 |
人真似 |
6月29日
08時06分 |
4786 |
天窓ゆ明かり差し込む水槽に緋目高たまご一つ孵しぬ |
たまこ |
6月30日
11時26分 |
4787 |
歳を経て金魚も銀の鱗つけ ついには池の名主となりぬ |
人真似 |
6月30日
17時33分 |
4788 |
「メデタシ」と童話のやうにはゆかぬことを知つてやうやく大人になれた |
たまこ |
6月30日
18時59分 |
4789 |
幸せはほんの僅かの「めでたし」も零さずコップに注いでゆくこと |
ぽぽな |
7月1日
03時22分 |
4790 |
愉しみはエッセイ書き溜め本にして通夜の御礼に差上げること |
人真似 |
7月1日
08時48分 |
4791 |
詠みきれぬ焦燥感に迫られてワードを閉じて辞書をまさぐる |
蘇生 |
7月2日
06時50分 |
4792 |
梅雨の間に晴れて涼しき風のあり紫陽花ゆれる文月の庭 |
人真似 |
7月2日
08時33分 |
4793 |
詠めないと言へど貴方は詠んでいるYou
don't need to worry about it. |
ぽぽな |
7月2日
09時21分 |
4794 |
もの思ふ心の深き水掬ぶ指の間を零る言霊 |
千種 |
7月2日
21時23分 |
4795 |
その女(ひと)にふさわしくなき句を投げしその日は辛きことぞありなむ |
蘇生 |
7月3日
03時56分 |
4796 |
虚と実のあはひにありて歌詠みは己の修羅もつらく見つめる |
茉莉花 |
7月3日
08時40分 |
4797 |
眠りをる老顔をみてわが振りをあたら電車で眠るものかと |
蘇生 |
7月3日
09時35分 |
4798 |
吊革の白き輪は静かな列をなし夕べの電車に運ばれてゆく |
たまこ |
7月3日
19時40分 |
4799 |
一様に携帯ささげ吊り輪持ち親指操るHiテク?空間 |
人真似 |
7月3日
22時08分 |
4800 |
るいるいの頭の上の青い海は通勤電車の旅の広告 |
たまこ |
7月4日
18時07分 |