4901 |
秋風に水すさまじく小夜ふけて月も満ちたる想いこそすれ |
人真似 |
8月12日
05時37分 |
4902 |
中々な梅雨去りけるを喜びつ何故に冷たき今朝の八月 |
蘇生 |
8月12日
07時28分 |
4903 |
夜となりて小雨の濡らす竹林 あと幾日の夏日なるらむ |
人真似 |
8月14日
01時28分 |
4904 |
嵐すぎて藻屑をぬらす浜の雨すでに夏日はすぎて人なく |
蘇生 |
8月14日
05時50分 |
4905 |
この冷夏電力危機をまぬがれて 思いもかけぬNY停電 |
人真似 |
8月15日
08時11分 |
4906 |
八月の中の五の日の炎昼に家のラジオで玉音を聴いた |
蘇生 |
8月15日
19時45分 |
4907 |
宿題に茅の団扇を作ってたあの夏国民学校一年 |
茉莉花 |
8月16日
12時52分 |
4908 |
夏物を十重に積みたる売場にはすでに秋なる色が過ぎゆく |
蘇生 |
8月17日
18時37分 |
4909 |
冷夏なる日本にありて気がかりはマンハッタンの冷蔵庫なり |
ぽぽな |
8月19日
10時31分 |
4910 |
エノラゲイ誇らに展示する今日の午後はいたみし牛乳を飲む |
紀 |
8月19日
12時24分 |
4911 |
長梅雨の明けて間もなく戻り梅雨 熟れ切るまへにいたむ白桃 |
たまこ |
8月20日
08時23分 |
4912 |
ようやくに羽化せし蝉をヒヨドリが咥えて逃げる今朝の庭先 |
人真似 |
8月20日
22時36分 |
4913 |
ホーシツクツクと鳴く蝉の音が吾が耳に「放心つくづく」と聞こえる夕べ |
たまこ |
8月22日
06時49分 |
4914 |
土地土地でミンミン蝉やクマ蝉の声抑揚に差ある可笑しさ |
人真似 |
8月22日
23時08分 |
4915 |
土地土地で呼び名の違う魚の名にルーツは北か南かわれは |
蘇生 |
8月23日
18時20分 |
4916 |
誰が見ても幸せさうな私ゆゑ魚のやうにポーカーフェイス |
たまこ |
8月26日
01時09分 |
4917 |
君が住む彼方の岸の家並ゆれ夏の終わりの花火があがる |
寂 |
8月26日
23時35分 |
4918 |
遥かなる春に萌えたる山稜がとき過ぎゆくを錆びに知らさむ |
蘇生 |
8月27日
08時44分 |
4919 |
雪解けの水もほのかに温きものを君が心のなど冷たかる |
冬扇 |
8月27日
11時29分 |
4920 |
君とともに過ごしし記憶がこの後の日日を巡らむ むしろ喜び |
たまこ |
8月29日
00時35分 |
4921 |
思ひ出は糧となるべし亡き人の道定まりて去ぬる今日より |
径 |
8月30日
22時26分 |
4922 |
諍ひしきはの切なき言の葉をふと想ひては今は懐かし |
蘇生 |
8月31日
15時52分 |
4923 |
かなかなの声に憑かれて佇めば懐の深くを山霧這いて |
寂 |
9月2日
10時41分 |
4924 |
やまと歌ことの葉連ね五千首を越ゆるその日のいや重け吉事 |
丹仙 |
9月2日
10時46分 |
4925 |
ときうつり実りを兆す秋の風和歌連作を五千へ吹かな |
蘇生 |
9月3日
08時17分 |
4926 |
美しい便箋を買はむ 蝉の音のいつしか消えてもう秋ですね |
たまこ |
9月3日
10時19分 |
4927 |
連綿と胸に綴りしことのはを託さむ星の早も飛ばぬか |
径 |
9月3日
20時30分 |
4928 |
詠うには雅言が優ると思いつつ漢字多用のわが歌の跡
|
人真似 |
9月4日
01時59分 |
4929 |
久々の日本で吾はなる浦島に
言葉は生きて変わりゆくなり |
ぽぽな |
9月5日
01時54分 |
4930 |
まち並みに馴染みなきもの見ゆれども風も匂ひもうまし古里 |
蘇生 |
9月5日
09時24分 |
4931 |
単線に入れば列車の揺れやすく開発の手の及ばぬ功罪 |
径 |
9月7日
06時10分 |
4932 |
減反の地の一面の朝顔の藍に目覚める故郷の秋 |
ぽぽな |
9月8日
00時58分 |
4933 |
物忘れの深まる母が誤たず歌ふは「古里の遠い夢の日」 |
たまこ |
9月8日
09時32分 |
4934 |
三代の孫子に守られゐる母のときをり開く亡夫の手紙 |
径 |
9月8日
13時35分 |
4935 |
今は昔物語りには仮の世の深き縁(えにし)の綴じられて有り |
海斗 |
9月8日
16時37分 |
4936 |
今はしも小波たつや空澄むや絵島のあたり鎌倉人は |
寂 |
9月10日
01時56分 |
4937 |
海よりの風は残暑を吹きつけて雲間に富士は黒々と見ゆ |
蘇生 |
9月10日
19時54分 |
4938 |
待宵の雲みなまろき虹生みて月読渡る空ぬぐひゆく |
径 |
9月10日
21時41分 |
4939 |
名月に添いたる大きな星見ては巡り合わせの幸い思う |
人真似 |
9月12日
18時01分 |
4940 |
火の星を東の窓にさぐりつつ地にありわれは生を享めむ |
蘇生 |
9月13日
18時49分 |
4941 |
蓮の葉の底の朝露星の露これさへあれば乗り越えられる |
たまこ |
9月14日
13時38分 |
4942 |
死線越え戻りしものの強さもて生涯漁師を貫きし父 |
径 |
9月16日
06時17分 |
4943 |
父在らばなんと返すやなんと見る休耕田となりし里の田 |
寂 |
9月17日
09時33分 |
4944 |
思い出す父の笑顔の特上は運動会のゴールの前に |
李花 |
9月17日
11時49分 |
4945 |
若き日の母の笑顔を思いては介護に伏せし今は悲しき |
蘇生 |
9月17日
20時38分 |
4946 |
若き日の父の頬っぺを突くたびに煙草の輪っかぽつぽつと出る |
やんま |
9月17日
20時57分 |
4947 |
二箱で足らぬHopeを喫してはつとめの日々を越えきたりけり |
蘇生 |
9月18日
07時22分 |
4948 |
素のままに風行く方佳とする佳き人吾に置きし御言葉 |
寂 |
9月19日
23時08分 |
4949 |
佳き人のよしと告りたる秋山の真木の下草色づきにけむ |
径 |
9月21日
06時16分 |
4950 |
言葉にはできぬ思ひよ底紅(そこべに)の木槿の花に霧雨が降り |
たまこ |
9月21日
07時27分 |
4951 |
台風の余波に託ちて人知れずごろ寝楽しむ連休の日々 |
蘇生 |
9月21日
09時45分 |
4952 |
土砂降りの音を大の字になりて聞くわれに清しき秋のくるべし |
たまこ |
9月22日
06時34分 |
4953 |
窓外の左手から北の風吹くや洋上遠く野分過ぎなむ |
蘇生 |
9月22日
08時36分 |
4954 |
秋風に流るる雲を見てゐれば地球はまことによく廻るなり |
ぽぽな |
9月22日
10時17分 |
4955 |
右の手に力の少し戻りきて薄を活けるカチリと切りて |
寂 |
9月22日
10時20分 |
4956 |
穂薄の日差し明るくなびかせてわれを誘ふ小さな旅へ |
径 |
9月22日
11時46分 |
4957 |
木もれ日のゆらぐ光を手にうけて美し悲しすり抜けり風 |
海斗 |
9月23日
08時45分 |
4958 |
風に揺るる木漏れ日のなかを木漏れ日のひとつのやうに紋白蝶は |
たまこ |
9月23日
18時15分 |
4959 |
物忘れの風吹きダブルブッキング思ひはあまた身体はひとつ |
ぽぽな |
9月24日
07時03分 |
4960 |
さび色の露をのせたる草や穂の同じ小径を往きつ返りつ |
蘇生 |
9月25日
09時41分 |
4961 |
呪縛今解くと神の申されどなんとしましょう過ぎた年月 |
寂 |
9月26日
09時32分 |
4962 |
綿雲の影を沖へと曳き行きて北の大地は現はれにけり |
海斗 |
9月27日
01時11分 |
4963 |
冷害に祟り目なりし大地震けっぱれ越さな北の同胞 |
蘇生 |
9月27日
20時06分 |
4964 |
極北の空に揺らめくアポロンの衣の裾のとらへがたかり |
径 |
9月30日
18時29分 |
4965 |
無人駅色なき風のすぎゆきぬ修行の僧の衣ひらりと |
寂 |
10月2日
10時23分 |
4966 |
作務衣着たアメリカ人のブディストのバックパックにキティー微笑む |
ぽぽな |
10月4日
22時06分 |
4967 |
世に立つは苦しかりけり信号機 三しょくありて不足なけれど |
人真似 |
10月5日
08時27分 |
4968 |
うっすらと色づき初むる柿の実に夕陽が赤く秋を告げたり |
蘇生 |
10月5日
17時01分 |
4969 |
夕焼けを膝まづいては手を合わせ紅き雲間に明日を夢見る |
李花 |
10月5日
21時19分 |
4970 |
希望に満ち放電している君の眼は次の日の出が待切れなくて |
ぽぽな |
10月6日
03時10分 |
4971 |
鵜の鳥のねぐらを立ちて急ぐ影 夜釣の人は仰ぐ東雲 |
人真似 |
10月6日
14時55分 |
4972 |
上げ七分魚信は未だし下げ三分強まる風にぼうず已む無し |
蘇生 |
10月7日
18時57分 |
4973 |
スズキ釣る筈が外道の鬼オコゼ 汁に投げ入れ不運を呪う |
人真似 |
10月8日
00時09分 |
4974 |
とつとつと言葉やさしく魚たちへみすずの詩の咲くやたをやか |
蘇生 |
10月8日
06時35分 |
4975 |
街に居てふと耳にする旋律に遠い記憶の海騒がせる |
ぽぽな |
10月8日
10時16分 |
4976 |
Webの世はクロスオーバーセッションのゆらぎ織りなす蒼き星雲 |
人真似 |
10月8日
16時54分 |
4977 |
やさしさは澄みたる光この夕べ皓月くまなく心に通ふ |
ぎを |
10月9日
00時39分 |
4978 |
青々と明けくる空のむなしさに夕べやさしき後の月かな |
蘇生 |
10月9日
05時27分 |
4979 |
見えぬものをしつかと見すゑて鳥たちは飛びゆく虚空の深さに堪へて |
ぎを |
10月10日
00時47分 |
4980 |
くだり魚集く野の虫鳥雲も侘びしげなるはなべて転生 |
蘇生 |
10月10日
05時53分 |
4981 |
ほんとうは言ってはならぬ一言を言ってしまいぬさざ波の雲 |
ぽぽな |
10月10日
10時13分 |
4982 |
もう一言聞けば悲しくなりさうで笑つて断つて飲む発泡酒 |
たまこ |
10月11日
12時34分 |
4982 |
語られぬ言葉はいづくに果つるやら枳殻の実けさも踏まれてありぬ |
ぎを |
10月11日
00時04分 |
4983 |
金色の日浴びて悲しきわたくしの指に触るるはからたちの棘 |
ぽぽな |
10月11日
07時13分 |
4983 |
慟哭をこらえてグッと上向けば鼻腔をツンとあつい何かが |
蘇生 |
10月11日
15時57分 |
4984 |
さびしさに友呼ぶ如き虫の音にポケットに手を突っ込んで歩む |
海斗 |
10月11日
07時30分 |
4984 |
もう少し若かったらと言える日はまだまだ熱い想いのありき |
李花 |
10月11日
20時28分 |
4985 |
封印を切りて木箱の中みれば雨ふる夜道をゆく影 我か? |
ぎを |
10月11日
23時40分 |
4986 |
はらはらと木の葉散るごと雨のふる陽水ジェラシー愛しむ夕べ |
寂 |
10月12日
01時44分 |
4987 |
末枯れの訪うもまばらな道の駅ビンの千草が風に枯れゆく |
蘇生 |
10月12日
05時43分 |
4988 |
うす雲のうすくれなゐの月明り虫の音とほく広がり渡る |
海斗 |
10月12日
12時52分 |
4989 |
眠りまで五里の遠きにある心地ただ枕のみ深く濡らして |
ぽぽな |
10月12日
22時10分 |
4990 |
涸れ川に雨ふり雨やみ雨たまる流砂を掬ひて砂男泣く |
ぎを |
10月13日
01時20分 |
4991 |
春には春秋には秋の風やあるいきどほろしく心吹く風 |
海斗 |
10月13日
15時27分 |
4992 |
まどろみて移りゆく秋身を任せ天の動きを仰ぎ見るかな |
李花 |
10月13日
16時46分 |
4993 |
紺碧のふかきみ空の底にたちため息をつく天までのぼれ |
ぎを |
10月13日
23時47分 |
4994 |
まんまるのランタン白く民謳うマンハッタンの満月の庭 |
ぽぽな |
10月14日
00時02分 |
4995 |
末枯れの梅の梢を白壁に印画の如く刻す満月 |
蘇生 |
10月14日
05時40分 |
4996 |
満月に我の思いを潜めつつ秋の夜長を思ひ巡らす |
李花 |
10月14日
21時33分 |
4997 |
淡き虹まといて駆けるアルテミス彼の心臓銀の矢で射よ |
寛子 |
10月14日
22時08分 |
4998 |
深む秋吾が乱心に草ゆれて斑紋白き蝶の舞い立つ |
寂 |
10月14日
23時08分 |
4999 |
寝てもさめても心音とくとく数きざむ 打ち止むときのカウンタが見たい |
ぎを |
10月14日
23時16分 |
5000 |
経歴の有時の功徳の窮むれば而今に満つる五千首の歌 |
丹仙 |
10月14日
23時44分 |