1101 > 冬の夜のブッシェ・ド・ノエルかくみゐてさわく子どもは宝と思ふ(堂島屋) (12月19日 18時02分) 1102 > 樅の木を求めて森に入りし日をふと懐かしむ父の記憶と(素蘭) (12月19日 19時26分) 1103 > 来る年に持ち越す悩みであろうか夕べに重く落ち葉掻き寄す(しゅう) (12月19日 22時46分) 1104 > ふぶかれてゆくのは枯葉か鳥影か文目も分かず世紀が変はる(たまこ) (12月19日 23時46分) 1105 > 落ち葉にも未練ありしか緑と黄まだらに残すモザイクの美に(萌) (12月19日 23時40分) 1106 > ぽろぽろと崩れさるもののみ見ゆる人智悲しき二十世紀は(重陽) (12月20日 05時17分) 1107 > 凍て菊のひと群残る冬の庭滅びゆくもの思ふ黄昏(素蘭) (12月20日 19時22分) 1108 > 降りいでし冬の夜雨の玻璃越しにたわめるよふに想ひ出す人(しゅう) (12月20日 23時01分) 1109 > 真夜中の玻璃震はせて行く車ふぶく砂漠を駆る音を立て(たまこ) (12月21日 05時51分) 1110 > かつて流行りし「東京砂漠」イルミネーションの中に過去へと(萌) (12月21日 07時37分) 1111 > 華やかなイルミネーション鏤めしかって海なる「青べか」の沖(重陽) (12月21日 09時08分) 1112 > ルミナリエ燦爛として6000の死者のことなど死者のことなど(堂島屋) (12月21日 12時43分) 1113 > イブなれば「きよしこの夜」歌いたきイルミネーションの家々異形(しゅう) (12月21日 17時40分) 1114 > 「アヴェ・マリヤ」闇にながるる聖夜には雪恋ふ心われに戻り来(素蘭) (12月22日 00時44分) 1115 > 外套の若きドアマン寒風に若き二人の荷を捌きをり(重陽) (12月22日 05時25分) 1116 > 門衛の外套大き綻びに老木の枯れ凄まじく見ゆ(しゅう) (12月22日 12時18分) 1117 > 羽衣に重ねてまとふ雪あかり冬虹の裾消えのぼりゆく(堂島屋) (12月22日 18時54分) 1118 > 白龍の漁(すなど)りすらむいにしへを花降る午後の夢に追ひたし(素蘭) (12月23日 01時46分) 1119 > 大網の手に余りては漁ならむ百尺竿頭一歩進まむ(重陽) (12月23日 06時46分) 1120 > いい思ひ出になるとひたすら歩きたり羽衣伝説の村の雪道(たまこ) (12月23日 08時10分) 1121 > 雪しまき逃れ逃れて山小屋にまんじりもなき光る朝明け(重陽) (12月23日 16時49分) 1122 > キスカでは 北西の風 風力5 快晴 05ヘクトパスカル 氷点下10度 (堂島屋) (12月23日 22時54分)1123 > 恋唄に天気予報を読み込みし 寺山修司在りし日偲ぶ(素蘭) (12月24日 00時57分) 1124 > ポンポンと言葉かさねしモンタージュ リズミカルなる修司駆けゆく (重陽) (12月24日 05時23分)1125 > みちのくの鉄路を歩く等身の修司に会うや母のない子のように(しゅう) (12月24日 07時48分) 1126 > 夕暮れの丘にたたずみ聞く風はイーハトーヴに響くセロの音(素蘭) (12月24日 14時15分) 1127 > 朝浜の潮のあとの黒々と寄すさざ波の白きソナチネ(重陽) (12月24日 15時12分) 1128 > ミサ曲を奏でるチェロに瞑目し聖夜旅立つ人を悼まむ(素蘭) (12月24日 15時14分) 1129 > イヴの華BBCポップのフィナーレ電話をとれば妹の入院(重陽) (12月24日 19時29分) 1130 > 家制度から民主主義へ賢明に生きたる女(ひと)へ哀悼溢る(しゅう) (12月25日 08時42分) 1131 > 墓石にウイスキーを注ぎたる息子の背よ亡夫(つま)に似て来し(小梅) (12月25日 10時51分) 1132 > 子から子へそして私へ風邪熱の豆台風の嗚呼クリスマス(たまこ) (12月25日 11時06分) 1133 > 安息の天の恵みと思ひ伏し笑み満面の清し迎春(重陽) (12月25日 11時42分) 1134 > 吹き消して闇にいさよふ蝋の香の中に過ぎ行く歳月のあり(堂島屋) (12月25日 22時41分) 1135 > キャンドルの灯が消えゆけば激動の世紀の終わりに週を残さず(萌) (12月25日 23時54分) 1136 > 激動の世紀といへど人の世の変はらぬものをゆかしく思ふ(素蘭) (12月26日 00時23分) 1137 > 千年の時を眠らす蓮の種夜明けをまちて何の夢見る(紀) (12月26日 07時55分) 1138 > 花蓮そよぐ国なり生れかはり死にかはりする百千萬劫(堂島屋) (12月26日 12時08分) 1139 > てのひらにミルクカップは温かく転生といふを素直に思ふ(たまこ) (12月26日 18時34分) 1140 > ヒマラヤの峰よりたどる蓮の国 転生児童逃れゆきたり(素蘭) (12月26日 19時07分) 1141 > 冷えしまる空気ゆるませ降る日照雨(そばへ)父の還りし気配のやうな(たまこ) (12月26日 21時14分)1142 > 凍てつきし空気の中に灯りたる二十一世紀に続く電飾(萌) (12月26日 23時10分) 1143 > かの日にはおとぎ話のやうだつた 『2001年宇宙への旅』(素蘭) (12月27日 00時22分) 1144 > 千年のうつりありしも万象の古今にうたふもののあはれは(重陽) (12月27日 05時51分) 1145 > 「美しき青きドナウ」を鎮魂に選びし友はそを忘れゐて(晴雲) (12月27日 10時49分) 1146 > キッチンを磨いて悪しき時を遣らふ「また春はくる花をかかげて」(たまこ) (12月27日 11時42分) 1147 > 残る葉を嬲りて過ぐる木枯らしが小枝にそっと春を醸せり(重陽) (12月27日 18時49分) 1148 > 交差する枝はトライアングルで金属音の木枯らしが鳴る(萌) (12月27日 22時53分) 1149 > 裸木となりて欅の美しき樹形眺むる冬ざれの街(素蘭) (12月28日 00時40分) 1150 > ゆっくりと透く寒空をけや木道淡き西日を北に向かいて(重陽) (12月28日 04時43分) 1151 > いくたびかひとに悲しむ大歳のうすき冬日にわが愚を悔ゆる(しゅう) (12月28日 09時57分) 1152 > あゆみ去る巨人のそびらさみしくて第二千年紀を送るなり(堂島屋) (12月28日 15時03分) 1153 > 茜色の稜線を越えて鳥がゆくあれは吉事(よごと)を呼びにゆく鳥(たまこ) (12月28日 18時20分) 1154 > 咲き初めし寒梅の香のいや増しにわれは歌はむ年の緒(を)長く(たまこ) (12月28日 18時32分) 1155 > 日常に離(あ)るる心を癒さむと真夜にひとり言葉を紡ぐ(素蘭) (12月29日 01時05分) 1156 > ひとりゐてこころ許なく打つキィの着信メール無きを知りつつ(重陽) (12月29日 09時48分) 1157 > 黒鍵の位置確かめておぼつかな青空に雪兆せし気配(萌) (12月29日 22時14分) 1158 > 世のことの不覚のながれ止めずなり何ぞ不易か行く年おもふ(重陽) (12月30日 05時47分) 1159 > ならはしの世のことごとの離れなむも清げなるかな幤の門松(重陽) (12月31日 05時34分) 1160 > ぼんやりと新世紀思ゐし十代は遠火事のごとふる里山河(しゅう) (12月31日 08時44分) 1161 > 古里も皇御軍(すめらみくさ)も遠火事に返歌などして思ふやがわが (重陽) (12月31日 10時36分)1162 > 新世紀なれど夕暮迫り来てセピアの写真に杯(さかずき)返す(紀) (1月1日 21時14分) 1163 > 新世紀祝う幾多の言葉のなか生命の重さことに身にしむ(萌) (1月1日 21時37分) 1164 > 二十一世紀迎へし今日の日に賀状あらたむ つつがなしやと(素蘭) (1月1日 23時25分) 1165 > 去年今年健やかに越え初日の出東雲あたり天翔ける鳥(晴雲) (1月2日 00時12分) 1166 > 東雲の明けまく惜しみ耀ひて高みに鳶の初なきの声(重陽) (1月2日 14時45分) 1167 > 天翔る八尋白鳥東征の皇子は『古事記』の叙事詩となりぬ(素蘭) (1月2日 15時05分) 1168 > 俳句にはふたりごごろの叙情だと心に刻む年の初めに(しゅう) (1月3日 16時35分) 1169 > 花野来て花に尋ぬる幾度ぞ人の心のはかりがたきを(素蘭) (1月4日 00時37分) 1170 > 揺れうごく心の襞の眼差に何ぞ悩みを口に出さねど(重陽) (1月4日 05時38分) 1171 > とことはに吉事いやしけ大八島やまとの國は千代に八千代に(堂島屋) (1月4日 12時00分) 1172 > 幾たびもおくのほそ道たどりきし今年の友はかの山寺に(重陽) (1月4日 18時48分) 1173 > 木喰の上人ひとり旅にあり天一自在身を捨つる身は(素蘭) (1月4日 22時40分) 1174 > ゆく旅の今どのあたりしんとして夫の胸の拍動を聞く(たまこ) (1月5日 20時55分) 1175 > しんしんと雪は降りけりたちまちに白き闇なる街道をゆく(素蘭) (1月6日 00時00分) 1176 > (訂正)凍て果てし白き光りに昵みいしダイヤモンドダスト輝ける朝 (重陽) (1月6日 16時18分)1176 > 凍て果てし白き光りに昵みいてダイヤモンドダスト輝ける朝(重陽) (1月6日 11時20分) 1177 > 山巓に遙か銀嶺眺むれば天啓といふ言葉を思ふ(素蘭) (1月6日 22時16分) 1178 > 銀嶺を映せる窓の一瞬に湧き立つ湯気にとらえられたり(萌) (1月6日 22時56分) 1179 > 赤冨士の江ノ島橋に陣なせるシャッター音の波に響けり(重陽) (1月7日 10時25分) 1180 > 富士晴れて枯れ色はるか自衛隊演習場に雪はふりつつ(堂島屋) (1月7日 14時46分) 1181 > 足たたばヒマラヤの雪くはましと子規は詠みたり 無念を思ふ(素蘭) (1月8日 23時24分) 1182 > 野ざらしを風は運ぶよプルシャプラへ天山の下遥かな旅路(春秋) (1月8日 03時18分) 1183 > いく世へむ東に天地遥々のモンゴロイドの野ざらしを思ふ(重陽) (1月8日 09時36分) 1184 > モンゴルの風を聞きたいその訳を聞いたりしない人と聞きたい(たまこ) (1月8日 19時44分) 1185 > 草原で遠く遥かに響き会う星々の声古代の光(春秋) (1月8日 22時29分) 1186 > 草原の風に吹かれて佇めり ひとり夜空の星を数へて(素蘭) (1月8日 23時24分) 1187 > ウラルから南に下りマジャールは黒き瞳に星を数へつ(重陽) (1月9日 05時32分) 1188 > 星星のすべてが震へる冬の夜は眼を逸らすわけにはゆかぬ(たまこ) (1月9日 08時49分) 1189 > 冬星のまたたきよりもなほ速い鼓動にわれとわれが震えて(たまこ) (1月9日 11時12分) 1190 > 滾々と銀河は溢る生ぬるき波越えてゆくモルジブの夜は(堂島屋) (1月9日 12時13分) 1191 > ひそやかに息づく闇に星降りぬサザンクロスをふたり見つめて(素蘭) (1月10日 00時30分) 1192 > 波の間のチューブに開く新世界ノースショアーや我を包まむ(春秋) (1月10日 00時48分) 1193 > アメンボの群がる如く波立てば冷たき海にサーファー若き(重陽) (1月10日 06時46分) 1194 > 鈍色の三角波が立つ今日は小石になつて沈んでゐよう(たまこ) (1月10日 15時47分) 1195 > 幾重にもこの身をつつむ海の泡見上げてみても月さえ見えぬ(つんぼ) (1月10日 17時54分) 1196 > 掻きこみて頬をつたう滴見つけれど紅き血よりは温かき(つんぼ) (1月10日 18時03分) 1197 > 岩割りて吹き上ぐる水滝となり巻きて流れて紅葉に映ゆる(小梅) (1月10日 22時38分) 1198 > 吹き抜けしパステルカラーのスポーツカー秋晴れの街の遊撃者(春秋) (1月11日 02時04分) 1199 > 吹上の浜の秋風さやさやとさやぐ夕べに百千鳥鳴く(素蘭) (1月11日 01時14分) 1200 > おちこちの車列ぬひゆくオートバイ春着の街の若き急便(重陽) (1月11日 05時25分) |