桃李歌壇  目次

森羅万象

連作和歌 百首歌集

5001  はらからと詠いつぎたる五千首の果てなきことよ森羅万象 蘇生
(
祝五千首達成 ) 
1015 0455
5002  朝な朝な桃李の園に身を置きて夜な夜な詩魔に身を委ねたり ぽぽな 1015 2121
5003  珍しき桃李の園に迷い来てうたに酔ひつつともに遊ばむ 寛子 1016 2231
5004  折々を心のままに詠みたればその折々をかへり思へり  蘇生 1017 0551
5005  省みる飛び石の如き半年の つたなき即詠ようやく200首  人真似 1017 0752
5006  言の葉は春夏秋冬うつろひて桃李のながめいと面白き ぽぽな 1017 0952
5007  喜びにまた哀しみに歌ひては千の五たびの峠越えゆく やんま 1018 0810
5008  桃李咲き揃う朝御園生へ花守人の御座しますれば  1018 0940
5009  木石にあらねば歌に身のふるふ人とうまれし僥倖ここに  ぎを 1020 0050
5010  古事記読みてつと日が翳る午後にそは隠れ給ふたか天の岩屋戸 ぽぽな 1021 0719
5011  猫を見ていると思っていたんだよ見られていたよ花野のすみで 海斗 1021 2352
5012  見つめられ見つめ返せばその時に時空を超えた浪漫漂う  李花 1022 2305
5013  鴉鳴く木によじ登る子猫有りねめつけられてあとずさりせり 海斗 1022 2344
5014  笑止と一羽の鴉降り来たり不帰の荒野へわれ誘へり  ぎを 1024 0024
5015  さびしさも秋陽の内に溶け居たり不帰の世界もかくの如きか 詠み人知らず 1024 2043
5016  百合鴎が今年も河口に戻り来て久く聞かぬ声を思へり たまこ 1024 2202
5017  鴨がいてそのとなりにはアヒルいてアヒルが鴨に話し掛けてる 海斗 1025 0114
5018  都鳥いざ言問わん橋の下くぐりて千住のかなたへと飛ぶ 詠み人知らず 1025 1223
5019  巴里ならば巴里へ月なら月までも飛べ想像といふ名の翼 ぽぽな 1025 2220
5020  人麻呂の月の船詠むその船はUFOの漕ぎ隠る見ゆ 海斗 1026 1130
5021  日の光うねうね曲がるいろは坂車窓に迫る蔦もみじかな   弁慶 1027 1201
5022  行く秋の岩手の山の頂に新冠(ういこうぶり)の雪を見るかな 詠み人知らず 1027 1755
5023  (やつ)入りて鎌倉山を見上げれば終の緑の錆の色かな  蘇生 1028 0612
5024  みんないなくなっちまったなあおじいさんの声漏れている日暮れこおろぎ 海斗 1028 2319
5025  真鰯が漁港に群れて釣れ盛り古老が知らぬ海も有りなむ  蘇生 1029 0554
5026  息弾ませ故郷を語る青年はわたしの知らぬ空を見ている ぽぽな 1029 0639
5027  故郷の病める母のそのかみの教えは赤き唐辛子のごと  弁慶 1029 1152
5028  赤きもの赤しと言はであげつらひ五十路は過ぎぬ哲学の道   丹仙 1030 2250
5029  数多集い歌数多きこの歌壇桃李の花の盛りのごとし   弁慶 1030 2250
5030  ももすもも連歌の道を踏みゆかば天神地祇も伏して離るる   丹仙 1030 2306
5031  帰燕群潮の岬を目のしたに南を目指して大空を行く  弁慶 1030 2306
5032  みまかりし師のみたま彼の天空に詩心遺し翔び立ちされり 茉莉花 1031 1123
5033  詩心をば求めて今日も荒き野をさすらい歩む人にてありき 寛子 1031 1206
5034  南柏に花詠み継ぎし三十年風羅の旅にいま師は発てり 真奈 1031 1505
5035  三十年風雅の道を歩み来て今越えなんとする黄泉比良坂  弁慶 1031 1529
5036  俊英の五十路半ばの訃音ありしづかに愛でし後の月かな  蘇生 1031 1831
5037  小夜ふけて信濃の国の姥捨の山に隠れし後の月かな   弁慶 1031 1846
5038  新造の介護施設の遠近のぬくき血潮の無きが如くに  蘇生 1031 1913
5039  遠近の人に伝えよこもりくの初瀬の寺に白梅咲くと   弁慶 1031 2105
5040  戸を閉ざしギターを愛す少年の音しなやかに古城の闇へ ぽぽな 111 0336
5041  何時にても没するほどに凝視してポケモン愛す少年ありき  蘇生 111 0640
5042  大空のほころびのごと三日月の浮かばば誰か降りて来まさな 海斗 111 1022
5043  伊豆の国の修善寺の竹取台かぐや姫の育ちし跡かな  弁慶 111 1258
5044  たわいない喧嘩の卓のおでん鍋箸のこんにゃくつるりと逃げる ぽぽな 111 2252
5045  坊ちゃんが腹の掃除はこんにゃくに限ると口説く山嵐君に  弁慶 112 0439
5046  岩波の漱石全集手に取れば旧仮名遣ひずしりと重し 海斗 112 0811
5047  流れ行く祭りの中の川の岸建ち並びたる古本屋かな  弁慶 112 1238
5048  道ばたにうち捨てられし書の行方嘆くはむかし文学青年の父 茉莉花 112 1334
5049  書物をば跨ぐ勿れと教えしは我が祖父なりしが今は居まさず  弁慶 112 1355
5050  浮雲の銀杏大樹を越へ行けり秋去る音の耳に残りて 海斗 112 1504
5051  (おとがい)の産毛を風になびかせて銀杏並木行く秋の乙女よ 弁慶 112 1728
5052  スワトウの刺繍の如く一面に小枝みえ初む欅道ゆく  蘇生 112 1950
5053  ゆっくりと車椅子行く並木道押すも押さるるも頬輝きて 茉莉花 112 2118
5054  口笛は埴生の宿や空高く雲流れゆく古城のほとり ぽぽな 113 0021
5055  そのかみの遊子悲しむ城跡に秋風ぞ吹く小諸なる町  弁慶 113 0127
5056  車椅子押す手を緩め紅葉愛で落暉の中へ溶け入りにけり 海斗 113 0932
5057  見つめ合う瞳に夕日映え言葉なく佇ちしはセピアになりし彼の日よ 茉莉花 113 1006
5058  明日やある今を尽くさね不可思議の命を得たる今を尽くさね 海斗 113 1020
5059  病床の母の御櫛に白きもの九十九髪まで後わずかなり  弁慶 113 1232
5060  李なほ白き庭にはひととせの満つる時待つ汝 なれ 丹仙
5061  小諸なる古城のほとりビイドロの器砕けて君の去り行く ぽぽな 114 0045
5062  法王がかって住まいしアビニョンにローヌの赤きワインを思う  蘇生 114 0529
5063  ロゼワイン透かしてみれば君の頬恥じらうごとく染まりて美し 茉莉花 114 0912
5064  茉莉花茶の匂い豊かな姿こそロゼワインにも勝るも劣らず  弁慶 114 1043
5065  主を守り矢面に立つ弁慶の気高き勇姿他に勝る無し 茉莉花 114 1210
5066  難問の起こるたびごとに立ち往生ゆえに我が名を弁慶と号す  弁慶 114 1438
5067  たおやかに会釈を交わす隣人の側をオカリナ吹きゆく吾は ぽぽな 115 0708
5068  旬のものめづらしき酒ささやかな挨拶言葉添えて送らん 茉莉花 115 0857
5069  信濃から松茸送るとの便り今年も秋の恵に感謝   弁慶 115 1141
5070  焼さんまレモン生牡蠣秋かつを長茄子漬に芥子蓮根  蘇生 115 1847
5071  食すれば命のびると初のもの心よせあふ秋の夜長を  116 0008
5072  赤蕎麦の花一面にみすずかる信濃の峰のすそ野浸さん ぽぽな 116 0634
5073  十余なる時差を隔てし故郷の晩秋とこそ思ひこはらん  蘇生 116 0750
5074  晩秋の日の衰えに筋雲は黄瀬戸の色に染まりけるかも 弁慶 116 1103
5075  秋霖の日はそれぞれの哀しみを拭うがごとくガラス磨けり 寛子 116 1103
5076  向こう岸の大樹一本くらぐらと空く口に見ゆ冬の入り口 たまこ 116 1513
5077  大樹とは征夷将軍のことなりし我等はひとしく草莽なりき  弁慶 116 1705
5078  黒雲の山を覆ひつくしけり山裾漏るる雲の残り香 海斗 117 0017
5079  孤独とは何かを空に問うてみる太陽系を離るるVOYAGER ぽぽな 117 0920
5080  地球儀を離れて見ている子供等は太陽系の縁の辺りか  弁慶 117 1018
5081  地球儀に載らぬ島にも人々の日々の暮らしと生業のあり 茉莉花 117 1129
5082  人々の日々の暮しを請け負うとマニフェスト文書空中に舞う  弁慶 117 1214
5083  この国の政治に何故にマニフェスト偽りなるか母なる言語  蘇生 118 0836
5084  古きには「ろ」は親愛の接尾語と知りて嬉しき犬の名はコロ 海斗 118 0925
5085  幼き日「イロハ」を覚え歳を経て「ハ」の字忘れる世の人多し  弁慶 118 1052
5086  ひと葉またひと葉はらはら光りつつ草書のやうに舞散る紅葉 たまこ 118 2321
5087  白物の洗濯たんとしてをればシャボンもたんと舞ふ今朝の冬 ぽぽな 118 2321
5088  襁褓をばたんと叩いて陽光を待ち侘ぶ若き母なりし思い出 茉莉花 119 0038
5089  乳をやる妻の笑顔を見て居りぬ我に見せたることなき顔を 海斗 119 0815
5090  床に伏す母の寝息の健やかなリズム確めうなずく我等  弁慶 119 1116
5091  磯竿の糸鳴るさまに満を引く猛き魚信のリズム楽しむ  蘇生 119 1852
5092  魚釣りの人に釣果を尋ねるは礼を失する事もあるべし  弁慶 119 2346
5093  如何ほどと釣果を問ふはともかくもとくと奥義を語らせたまへ  蘇生 1110 0805
5094  息凍る朝ジャケツを重ね着て氷に座する穴釣りの人 ぽぽな 1110 0846
5095  宰相を目指して今日も氷上に糸垂らす人の何と多きか  弁慶 1110 1109
5096  江ノ島で釣りを楽しむ人々の天狗話はつとに楽しも  蘇生 1112 1018
5097  江ノ島や真白き富士のメロディを世の人今も口ずさみけり  弁慶 1112 1312
5098  絵島とも金亀島ともいい伝ふいにしへからの美景なりせば  蘇生 1112 1447
5099  絵島なる美女の流刑地高遠は小彼岸桜の花盛りかな  弁慶 1112 2043
5100  ビルの間の狭き空き地の桜の木 小学校の跡と伝えて たまこ 1113 1133