桃李歌壇  目次

黄葉よ舞へよ

連作和歌 百首歌集

 

 

5201  出づる息入る息待たぬこの冬に黄葉よ舞へよ吾にひと吹き  12月9日 14時38分
       
5202  街騒<まちざい>に物売りの声混じりいてやがて今年も暮れてゆくかな 茉莉花 12月9日 21時53分
       
5203  物売りの声微かなる路地の奥年の瀬間近き佃島かな  弁慶 12月9日 22時04分
       
5204  薄墨に時雨るる余呉の湖<うみ>暮れて遙かとなりぬ過ぎし日の憶<も>ひ 12月9日 23時28分
       
5205  『時雨の記』われに薦めしかの人も幼子抱く母となりけり   弁慶 12月9日 23時51分
       
5206  しぐるるや路傍の石を想いたり吾一は今をいかに生きむと  蘇生 12月10日 07時13分
       
5207  生きるとはかく歩むこと物言はぬ君車椅子にて教へ給ひき  12月11日 07時51分
       
5208  神の手に依りて花々草々を描くは詩人星野富弘 茉莉花 12月11日 12時04分
       
5209  野の花の咲き乱れたる故郷の丘に登りし十五の春よ  弁慶 12月11日 20時50分
       
5210  乱れ髪風になびかせひた走る野の火となりて空に消えゆけ  12月12日 14時26分
       
5211  乱れ髪掻き上ぐる時するしぐさ今なお若き君の片鱗  弁慶 12月12日 19時25分
       
5212  ダイヤモンドダストの朝の思い出はしばれて白き彼奴の耳だ 蘇生 12月12日 19時53分
       
5213  地を覆ふ ま白き霜の しんしんと更けゆく夜に亡きひとぞ想ふ  12月12日 20時50分
       
5214  武蔵野の恋ヶ窪にも冬来たる白き額と長き黒髪  弁慶 12月12日 21時02分
       
5215  その胸を微かに揺らせ時を待つ白鶏<しらとり>のごと祈る暁闇(あかとき) 12月12日 23時24分
       
5216  あかときの優しき会話咲く花のふくらむ紅のけふのきらめき 真奈 12月13日 00時13分
       
5217  紅の匂うがごとき海棠の花咲く寺の暁の鐘  弁慶 12月13日 17時17分
       
5218  鎮魂の歌地に満つるこの夕べ薔薇散りてなほ花ぞ昂ぶる  12月13日 17時50分
       
5219  水色の冬空をゆく白い雲 今日は三度目の君の命日 たまこ 12月14日 13時44分
       
5220  君が好きだった林檎でありますズボンで拭いてガブリと噛んだ 海斗 12月14日 23時09分
       
5221  歯形など真白きままの林檎なり君の若さの何と眩しき 茉莉花 12月15日 00時46分
       
5222  もぎ取りて素手で磨きし紅玉をガブリと噛んだあれが青春  蘇生 12月15日 07時59分
       
5223  受け皿の熱き紅茶を飲み干せば革命を説く君のまなざし  12月15日 10時30分
       
5224  革命を経て豊かなる国々になりたるためし無きがごとくに  弁慶 12月15日 12時08分
       
5225  立ちて寝る君の流離ふ夜明けまへ蜜と乳の地何処にかある  12月16日 09時31分
       
5226  蜜も乳も神の恵にあらずして奮闘努力の結果ならずや  弁慶 12月16日 20時22分
       
5227  神々の愛するその身如何ならむ路傍に咲ける花弁なき花  12月16日 21時29分
       
5228  振り向けば朝のひかりの吾亦紅こころざし持てと風に歌へる 真奈 12月17日 11時13分
       
5229  吾亦紅すすきかるかや寂しきと詠いし人の歌集とりだし  12月18日 00時50分
       
5230  草も木も実りて次を託すなり人は寂しきことと歌うが  蘇生 12月18日 06時17分
       
5231  ゆずりはの季節となりて若き等に希望託しつ逝きたきものを 茉莉花 12月18日 09時30分
       
5232  たまゆらの現身生きる虹と修羅告げたきもののあまり重きに 真奈 12月18日 15時24分
       
5233  末枯の曠野に懸かる時雨虹いつ果つるらむ ひとり行く道  12月18日 15時28分
       
5234  時雨止みて空に架かる冬の虹かなたに雪の富士の山見ゆ  弁慶 12月18日 18時41分
       
5235  忙しき師走の昼の階段を一気に駆けて屋上に月 ぽぽな 12月19日 11時27分
       
5236  家の外寒々とした冬の月寝屋の幼子今夢の途中  弁慶 12月19日 14時49分
       
5237  冬ざれの小庭見下ろす窓辺にて挙句の春を練りてをさめり  蘇生 12月20日 10時51分
       
5238  歌仙巻く見事に詠みし発句から挙句に至る名句秀吟  弁慶 12月20日 20時25分
       
5239  この年の移りを知るは一枚の残り日数ふ古暦かな  蘇生 12月22日 05時15分
       
5240  街はいまメルヘンのなか梢まで光まとひて聖樹きらめく 真奈 12月22日 13時13分
       
5241  その往昔聖母の汲みし井戸の底きらめく空の星棲まひけり  丹仙 12月22日 22時25分
       
5242  ベルリンの奇しきその夜の体験をともにし友の遺作まぶしき  蘇生 12月24日 05時57分
       
5243  なきひとの忘れ形見やクリスマス・イヴの灯ともし君がふみ読む  丹仙 12月24日 22時59分
       
5244  クリスマスの天に栄光地に平和賛歌地球をめぐりいるらん  千種 12月25日 00時20分
       
5245  冬日影引き寄せてゐるレクイエム先遣隊のけふ発ちてゆきたる 真奈 12月25日 01時18分
       
5246  雪つぶて投げてたくまし少年よ今日は誰が為銃持て走る やんま 12月25日 06時57分
       
5247  与え来し武器は積りて銃口は天を仰いで唾する如くに  蘇生 12月25日 08時11分
       
5248  なにほどのことやあらむとけふもまた正しき者のクリスマスとや  海月 12月25日 11時03分
       
5249  枡のうへ燈火をともす深夜ミサ義人はなしと読みあげにけり  丹仙 12月25日 23時01分
       
5250  仲通り行き交う人にミレナリオ冬青空に淡く光りぬ  蘇生 12月26日 09時07分
       
5251  ポラリスはどこの☆かと見上ぐれど恋のドラマのようにはいかず 茉莉花 12月26日 09時22分
       
5252  海底の千尋の深みに湧く清水人知らずとも辛きわが恋  千種 12月26日 11時49分
       
5253  秘すほどに想い募れば曼陀羅の夜明けの夢となりし惑乱 茉莉花 12月26日 12時54分
       
5254  林檎の香に目覚めれば雪 明け方の夢にあなたが丸囓りせし たまこ 12月26日 16時56分
       
5255  鐘鳴りてカムパネルラの空はるか星のざわわと焼芋の香と 海月 12月26日 22時09分
       
5256  ジョバンニの我に与へし小宇宙林檎の中を汽車走り行く   丹仙 12月26日 23時27分
       
5257  たまきはる沈黙<しじま>の中の妹よ欲りせるみぞれさあ受け給へ 海斗 12月27日 08時06分
       
5258  一生をあかるくせよとこの白いさいごのたべもの我に頼みし 真奈 12月27日 11時41分
       
5259  新宿の展望塔より丹沢の屏風の上に富士はま白に  千種 12月27日 20時13分
       
5260  茜さす劫初の雲の海連ね蒼き冬富士立ちにけるかも  丹仙 12月28日 10時17分
       
5261  波待ちのサーファー浮かぶ蒼海に真白き富士の偉大なるかな  蘇生 12月28日 10時52分
       
5262  富士ヶ嶺へ降り積む雪のしんしんと荒ぶる風に舞ひにけるかも 海斗 12月28日 11時28分
       
5263  病床で雪の深さを訊ねしはなべて詩となる心持つ人 茉莉花 12月28日 11時38分
       
5264  かつてかくも美しかった日本語をおぼつかなくも辿り詠むかな 真奈 12月28日 11時46分
       
5265  麗しき言の葉をもつ日の本の歌詠む習い永遠にあれかし  弁慶 12月28日 17時55分
       
5266  弟よ雪は消えたぞ飛鳥山ことだま込めた桜来るのだ 海月 12月28日 22時46分
       
5267  もういくつくしゃみをすれば新しき年が来るかと風邪の床にて ぽぽな 12月29日 08時37分
       
5268  抽出しに胃薬・頭痛薬・風邪薬職場の戦士だった60年代 真奈 12月29日 10時57分
       
5269  二日目の朝の拘置所歯磨きのほかに誰かがチョコ差入れし  丹仙 12月29日 12時07分
       
5270  群がれる子に交はれず隅に居る子に差し出せるチョコレートかな 海斗 12月29日 15時57分
       
5271  配給のザラメ貰いてかるめ焼き作りつ大人はアメリカさんと呼ぶ 茉莉花 12月29日 16時05分
       
5272  南平台三泊四日のお泊まりでアメリカさんのスピーチ聴いた 海月 12月29日 18時19分
       
5273  渋谷なる南平台や桜ヶ丘鶯谷はわれ住し街  弁慶 12月30日 16時07分
       
5274  大年の用な尽してあはいをば終の荒らに香をきくかな   蘇生 12月31日 09時19分
       
5275  月隠りの人皆忙しそのなかに今し匂ひの花詠むを聴く   丹仙 12月31日 15時57分
       
5276  歌詠みの中に交じりて去年今年迎える朝の光まぶしく  弁慶 12月31日 19時51分
       
5277  年用意すませし厨明日待つをしずもりて聴く春の羽音   12月31日 22時39分
       
5278  孫たちに古希を祝わる元朝に生きたることを実感す今  蘇生 1月1日 09時44分
       
5279  桃李<もゝすもゝ>七たび帰る新玉の年を迎へて賑はひにけり  丹仙 1月1日 16時42分
       
5280  桃李七たびめぐる花の香にむせびてうれし歌を詠むわれ 弁慶 1月1日 22時56分
       
5281  新玉や犬一猫二人間二桃李の下を往けるとこまで 海月 1月2日 00時00分
       
5282  新玉の春の初めの凪海を静かに照らす有明の月 弁慶 1月2日 00時22分
       
5283  紅白を横目に見つつ初膳の支度終えればあらたまの年 茉莉花 1月2日 02時01分
       
5284  この春は壁消え失せて十五年業かや未だ戦火絶えなし  蘇生 1月2日 06時35分
       
5285  一日中子供ら捜すボスニアの昨日はありし虹の架橋  丹仙 1月2日 12時42分
       
5286  石塊を投げて鉄弾貫かる菓子は食えたか新年なんだ 海月 1月2日 14時01分
       
5287  此処彼処爆弾破裂イラク国隣イランは大地震かな   弁慶 1月2日 17時04分
       
5288  初空の高きに鳥は遊べども一目散に銀の飛行機 ぽぽな 1月3日 03時33分
       
5289  烈々と夕日に染まる初富士の高きを西へ機翼光りて  蘇生 1月3日 06時39分
       
5290  初夢を見るべき時に寝付かれず戯曲の筋書き浮かんで消えた 海斗 1月3日 07時47分
       
5291  梅が枝に紅点々と咲きのぼり年祝ぐさまに春は立ちけり  蘇生 1月3日 16時40分
       
5292  白梅の花咲き初めし伊豆の国熱海の町の初日の出かな  弁慶 1月3日 17時29分
       
5293  初夢は久方ぶりの平泳ぎ春をかぎつつ空を流れつ 海月 1月3日 21時44分
       
5294  真青なる空美しき江戸の春罅われぬこと祈る民草 真奈 1月3日 22時57分
       
5295  初釣の岩礁透けて魚眼には列なす竿がよく見えたげな  蘇生 1月4日 05時54分
       
5296  透きとほる空に列なす加賀鳶よ鯉吹き流せ竿の先にて   丹仙 1月4日 10時00分
       
5297  出初めとて四日になりて一年のすでに過ぎてぞ百分の一  蘇生 1月4日 12時20分
       
5298  寒気団箱根の山を越えたるやわが小庭にも初霜の跡  弁慶 1月4日 19時47分
       
5299  公園の芝生広場にピカチュウやハム太郎凧あげる歓声  千種 1月4日 20時57分
       
5300  あけおめでことよろてふ嬌声に思春期の凧乱れ舞ゐたり 海月 1月4日 22時14分