5401 | 天翔ける歌の調べは在りし日の人も景色も蘇らせし | 茉莉花 | 1月21日 22時21分 |
5402 | 舟型の古き竪琴歌ひだす魚の音符の虹のロンドを | 真奈 | 1月21日 23時32分 |
5403 | もがり笛岬の外れに飛ぶしぶき中に虹見ゆ冬の海かな | 弁慶 | 1月22日 17時12分 |
5404 | 笛なれば悲鳴あげよと北風が荒れてひねもす富士に波立つ | 蘇生 | 1月22日 20時15分 |
5405 | シベリアの荒野に生(あ)れし風ならん高圧線を暗く哭(な)かせる | たまこ | 1月23日 20時02分 |
5406 | シベリアの風吹きつける富士山頂雪の煙は東へたなびく | 弁慶 | 1月23日 20時27分 |
5407 | 富士山に蜜柑をひとつ置いてみた哭いてる雪にそれは映えたさ | 海月 | 1月23日 21時26分 |
5408 | 氷ノ山下ろしの吹雪に晒されて木守り柿の実の清冽な赤 | たまこ | 1月24日 11時51分 |
5409 | ふる雪に木守の柿の実赤々と梢に残れり故郷の廃家 | 弁慶 | 1月24日 13時26分 |
5410 | 万両の赤きが消えぬ庭の隅いづれも鳥の餌となりつべし | 蘇生 | 1月24日 15時24分 |
5411 | はやみかんしなびてきたよこたつのうえのかしざらことり | 海斗 | 1月24日 22時41分 |
5412 | 枯枝に蕾のありて紫陽花の地の温りに「営為」が浮ぶ | 海月 | 1月24日 22時42分 |
5413 | 櫻木のいまだ花芽は固けれど樹皮黒々と輝き初むる | 蘇生 | 1月25日 11時50分 |
5414 | 杉並の泉湧き出る井ノ頭あふれし水は花の墨田へ | 弁慶 | 1月25日 16時10分 |
5415 | 古のここに山城ありつべし谷(やつ)尽きる辺に泉湧きをり | 蘇生 | 1月25日 19時05分 |
5416 | 城落ちて雑兵奔る切通し夢幻のなかに寒木瓜が咲く | 海月 | 1月25日 21時49分 |
5417 | 鎌倉は疎開の地なり今もなほ機銃掃射の耳底の音 | 真奈 | 1月25日 22時01分 |
5418 | 夕立はみぞれ混じりの北鎌倉我は駆け込む女寺かな | 弁慶 | 1月26日 10時03分 |
5419 | 東慶寺いまも欲する女あらむアジアアフリカ搾取さるる地に | 茉莉花 | 1月26日 10時50分 |
5420 | 末枯れの岩根たどりて化粧坂そろり下りて古きを思ふ | 蘇生 | 1月26日 12時52分 |
5421 | 暗かった三月十日そこだけが明るかったな友のいた町 | 海月 | 1月26日 15時51分 |
5422 | 色秘めつミモザの蕾ゆれをりて風に色あり空に色あり | 蘇生 | 1月27日 08時06分 |
5423 | 固く合わす阿修羅の御手になに籠めし色即是空空即是色 | 茉莉花 | 1月27日 09時48分 |
5424 | 国問わず母親達はいとし子を育てむとして阿修羅のごとく | 弁慶 | 1月27日 14時30分 |
5425 | 願ふのは子らを羽ぐるめ喜びの春ひらくのはこの子らなれば | 海月 | 1月27日 17時26分 |
5426 | 初めての保育園より帰宅して寝息たており小さき大の字 | 千種 | 1月27日 23時00分 |
5427 | 寒晴れに嬉々と戯る下校子の未来にしかと幸あれよかし | 蘇生 | 1月28日 06時18分 |
5428 | ランドセル背負いくぐりし校門も廃校ゆえに人影もなし | 弁慶 | 1月28日 18時03分 |
5429 | 廃校のわが新制の中学校会へば高らか校歌斉唱 | 真奈 | 1月28日 20時28分 |
5430 | 親に親子に子が無きをけふも読む廃れた末に何方で逢ふ | 海月 | 1月28日 21時15分 |
5431 | 身体も髪膚も父母に賜りしことを忘れぬ人で有りたし | 弁慶 | 1月29日 21時36分 |
5432 | いとほしき吾妹は疾うになきものを今もうつつに見ゆる面影 | 冬扇 | 1月30日 15時48分 |
5433 | 木枯らしの音を聞きつつ眠りたる昨夜の夢に君あらはれぬ | たまこ | 1月31日 11時05分 |
5434 | 白梅の花の遅きを待ちわびし夕べの夢のけさの正夢 | 蘇生 | 1月31日 12時06分 |
5435 | 夢ならば早く覚めたし冬桜抱へて行けり病む人の辺に | たまこ | 1月31日 16時34分 |
5436 | 昨夜見し夢は真冬の陽だまりの筵の上で花いちもんめ | 弁慶 | 1月31日 17時33分 |
5437 | 二月来て百韻詠みし昨春の春さりてなる発句を思ふ | 蘇生 | 2月1日 06時29分 |
5438 | 年々に日の過ぎゆくは速くして詩心探るこの一年なり | 茉莉花 | 2月1日 11時17分 |
5439 | 大切なページに栞をはさむやうに歌はむ気泡のやうなわが歌 | たまこ | 2月1日 12時41分 |
5440 | 如月の日差しが机上明るくす我が愛読の栞を繰りぬ | しゅう | 2月1日 15時41分 |
5441 | 音楽と活字に浸るサ店隅わがオアシスの時の充ちたる | 真奈 | 2月1日 16時40分 |
5442 | 喫茶店の店先自転車立てかけてひと隅占める詩人のノート | しゅう | 2月1日 17時03分 |
5443 | 見渡せば一つだに無き喫茶店鄙びた街のすたれ行くさま | 弁慶 | 2月1日 17時44分 |
5444 | スタバーの若者集くその奥で小さき本のページをめくる | 蘇生 | 2月1日 18時29分 |
5445 | ハンセン病文学全集無名の作家綺羅星の如き詩歌を遺す | しゅう | 2月1日 21時29分 |
5446 | 賑はひし店に二冊のフィクションふしぎの世とぞ思ふはやわが | 蘇生 | 2月2日 09時24分 |
5447 | フィクションにはあらず橋の無き島に病み歌い続けし明石海人 | たまこ | 2月2日 10時20分 |
5448 | 子の死まで葬り終えて知らされし悲嘆絶唱海人憐れ | しゅう | 2月2日 17時31分 |
5449 | ふしぎの世とぞ思ひしは芥川賞なるものを受けしフィクション | 蘇生 | 2月2日 18時36分 |
5450 | 梅に梅・桜に桜の咲くことの不思議ではないことの不思議さ | たまこ | 2月2日 21時19分 |
5451 | アリスてふ不思議の国の少女いて春来るらし雨も上りて | 海月 | 2月2日 22時11分 |
5452 | 女王のその教訓は左の通り「自分に厚く他人に薄し」 | 弁慶 | 2月2日 22時52分 |
5453 | 若者は大人の厚さ忌みるかな自虐のような「蛇にピアスを」 | しゅう | 2月3日 10時57分 |
5454 | 襟に顔を埋める癖は止めにせむ薄手のコートに替へて立春 | たまこ | 2月3日 16時31分 |
5455 | 雨たへて朧に明くる日の光けだるく白き春の色なり | 蘇生 | 2月4日 06時16分 |
5456 | 梅桜菜の花咲くとの記事ありて疑いもなき今日は立春 | 弁慶 | 2月4日 13時44分 |
5457 | 春立てりこの青空に春立てり母洗ふ父の背の細きこと | 海月 | 2月4日 14時26分 |
5458 | 春分の昼の綿雪ほのぼのと父母の愛のごとくに積もる | たまこ | 2月4日 23時20分 |
5459 | 春が来たイーストリバーの岸に立つ煙突四本おしゃべり止めず | ぽぽな | 2月5日 08時28分 |
5460 | 立春の賑わう夜空見上げれば真珠を抛り上げたような月 | しゅう | 2月5日 09時37分 |
5461 | アーモンドのかたちの月が浮く夜を二人で語る転生のこと | たまこ | 2月5日 12時40分 |
5462 | 肌白く乳こぼしたる聖母あり深き井戸より星語るらむ | 奈都 | 2月5日 16時12分 |
5463 | かの人と乳白色の霧の中彷徨い歩きし尾瀬のぬかるみ | 弁慶 | 2月5日 20時07分 |
5464 | つやつやし緑が原の木道を池塘眩しく黙々歩く | しゅう | 2月5日 21時43分 |
5465 | 春立てば二本の塔が立ち上がる二本の塔を亡くした島に | ぽぽな | 2月6日 11時31分 |
5466 | 暖かき日もあり寒き日もありて春の初めの天のいたずら | 弁慶 | 2月6日 21時17分 |
5467 | 二三分に咲き出す梅の冴え返り肩抱かれたる花心かも | しゅう | 2月6日 22時40分 |
5468 | 月光のソナタを浴びるきみの背(せな)振り向きたまえ花芯つつもう | 海月 | 2月7日 08時35分 |
5469 | 雪深き出雲の旅より戻りきて月光青き駅頭に立つ | たまこ | 2月7日 10時10分 |
5470 | 駅前の花舗の明るき灯に吸われヒヤシンス買う春待つ心 | しゅう | 2月7日 23時09分 |
5471 | 目くるめく代はりゆくゆく仲通りそこは春なる丸の内なり | 蘇生 | 2月8日 12時52分 |
5472 | 丸の内の一丁目ロンドン赤レンガビル失せしよりはや50年 | 弁慶 | 2月8日 17時42分 |
5473 | 霜枯れの蔦のからまる赤レンガ博物館に人影もなく | たまこ | 2月9日 12時00分 |
5474 | 暁闇にほとほと胸を叩きおり濃くなる影は春の兆しや | 海月 | 2月9日 18時11分 |
5475 | ほとほとと扉叩かるけはひして問へば群雲隠れなるかな | 紅 | 2月10日 00時49分 |
5476 | 仙境に埋もれるさまに日向ぼこ寝るではないと閲す群雲 | 蘇生 | 2月10日 09時05分 |
5477 | 松林の向こうは多分海だろう光りつつ沸く冬の雲あり | たまこ | 2月10日 11時24分 |
5478 | 何気なく仰ぎてみると雲間にはひそかに春を孵す兆しが | 蘇生 | 2月10日 19時04分 |
5479 | 寒林の静寂の中に身をおけば姫沙羅の枝に春は兆して | 弁慶 | 2月11日 17時19分 |
5480 | 兆さんか兆すやろかい一片の春は塹壕深くしており | 海月 | 2月11日 17時33分 |
5481 | 明日香村棚田の上の陵の森のははそぎ春めきてあり | 弁慶 | 2月12日 20時12分 |
5482 | 鹿島神宮常陸の国の一ノ宮春は名のみの森の神霊 | しゅう | 2月12日 23時06分 |
5483 | 砂浜に若布干したる浜すだれ名のみの春の風の冷たき | 蘇生 | 2月13日 13時48分 |
5484 | 壇ノ浦波に漂う若緑波の下にも春はさぶらう | 弁慶 | 2月13日 21時37分 |
5485 | 梅が枝を箙に挿して戦ひし若き武者あり一の谷には | 真奈 | 2月14日 00時49分 |
5486 | 遥かなる古戦場のうえの大橋の白波眩し後部座席かな | しゅう | 2月14日 11時33分 |
5487 | この春の疾風一番くるらしと違ひたるかや沖は白波 | 蘇生 | 2月14日 11時54分 |
5488 | 春一番心して吹けおみなごの黒髪乱すことはゆるさじ | 弁慶 | 2月14日 18時24分 |
5489 | 調へし髪は乙女の気色なむ見初む裳裾は許されよかし | 蘇生 | 2月14日 18時44分 |
5490 | 春の名を告ぐるミューズの脛白く七色の谷駆け抜けてゆく | 真奈 | 2月14日 19時05分 |
5491 | 久米仙人白き脛を見て墜落す色香に迷うは人に限らず | 弁慶 | 2月14日 19時13分 |
5492 | 十五坪の庭に森羅万象の仙人のような老画家熊谷守一 | しゅう | 2月15日 18時22分 |
5493 | 敦盛草少し隔てて熊谷草花を眺めて平家を偲ぶ | 弁慶 | 2月16日 16時42分 |
5494 | 舞殿をけみし続けて千年の銀杏古木に静をおもふ | 蘇生 | 2月16日 18時52分 |
5495 | 石の辺の猫によりそう蕗の薹おおきな背伸び銀杏越さんと | 海月 | 2月16日 21時26分 |
5496 | 美容院のつよい香りを身に纏い恋猫の鳴く家に戻りき | しゅう | 2月17日 15時34分 |
5497 | 月見夜に命のかぎり涼み虫いずくに消えし秋の夜はもう | 泉情 | 2月17日 15時47分 |
5498 | 立春も初午も過ぎ梅も咲く春の楽園永久にあれかし | 弁慶 | 2月17日 16時10分 |
5499 | 立春の月の夜です「!」をいつぱい散らしてメールを送る | たまこ | 2月17日 21時42分 |
5500 | 「!」きらきら舞うよ宙高く銀河鉄道たんぽぽ便です | 海月 | 2月17日 23時33分 |