5701 | きらきらと大観覧車は廻りをり岬の公園さびれさびれて | たまこ | 6月12日 09時53分 |
5702 | 梅もぐと脚立に登りまろまろと色づく実梅睥睨す我は | 海斗 | 6月12日 16時01分 |
5703 | 荷を解きてグリーンアスパラ手にとれば北の大地の春香り立つ | 蘇生 | 6月13日 06時22分 |
5704 | 馬鈴薯の花咲く畑に翁立ち羊蹄山の上の雲みる | 弁慶 | 6月13日 07時03分 |
5705 | 独歩描く武蔵野の野の風景や何処に行かば見むことを得む | 海斗 | 6月13日 08時14分 |
5706 | 独り寝の独り荒野を啄ばみぬここはガザなり石榑の空 | 海月 | 6月13日 08時42分 |
5707 | 独歩なる物書き人の武蔵野は渋谷道玄坂のあたりと | 詠人知らず | 6月13日 11時22分 |
5708 | 若者が思い思いに群れて散る道玄坂下坩堝のような | 蘇生 | 6月13日 18時21分 |
5709 | 道玄坂宮益坂もその昔授業逃れて通りし坂なり | 弁慶 | 6月13日 19時57分 |
5710 | ふるさとの心に残る急坂は今そのままにさてもなだらか | 蘇生 | 6月14日 09時24分 |
5711 | 富士アザミ籠坂峠の傍らに俯きながら咲きにかるかも | 弁慶 | 6月15日 02時28分 |
5712 | いくたびも背負ひし恋の重き荷も君ゆゑならば厭ふことなき | 冬扇 | 6月15日 09時08分 |
5713 | 草いきれあをく立つ野に風わたりわれら二本の草とさゆらぐ | たまこ | 6月15日 10時57分 |
5714 | さわさわとたださわさわとさきゆかむすずらんテープ風となるまで | ぽぽな | 6月16日 06時24分 |
5715 | 星さららさららさららと夏宇宙恋てふものよ猫の遊びよ | 海月 | 6月16日 18時41分 |
5716 | 夏の夜の翳宿したる瞳にて寡黙なる君寡黙なるまま | 寂 | 6月17日 22時34分 |
5717 | 空梅雨の真昼を響くドリル音 われに激しき夏の来るべし | たまこ | 6月18日 14時45分 |
5718 | 屈従か孤立か多に花咲けるパティオに立てばふる梅時雨 | 花 | 6月18日 16時01分 |
5719 | エレオノラ・ロッシ・ドラゴの雨が降る激しい季節月光の床 | 海月 | 6月18日 16時37分 |
5720 | 助手席に「月光」を聴きつまどろみしマラソンの夫高速道疾く | しゅう | 6月19日 06時32分 |
5721 | 夜深く弦縺れては解けては無調にいたる髪濡れしまま | ぽぽな | 6月20日 00時18分 |
5722 | 朝露の黒く滲みたる砂浜に深浅二つ続く足跡 | 蘇生 | 6月20日 05時47分 |
5723 | 砂浜に穴を掘りおりほろほろと大朝焼にほろほろと | 海月 | 6月20日 06時54分 |
5724 | あのねぼくね大きな海へ電車でね行ってね砂でとおさん埋めたよ | 海斗 | 6月20日 07時22分 |
5725 | あれからもう美しき蛇は現れぬかとのぐもる日の海を眺めて | 花 | 6月20日 08時43分 |
5726 | をとつひの戯るごとき海いづこ命危ふしけふの荒波 | 蘇生 | 6月20日 09時05分 |
5727 | サスペンスのラストシーンに海は光り渚を少女と子犬が走る | たまこ | 6月24日 05時43分 |
5728 | 『渚にて』波は変らず打ち寄せて「まだ時間はある。兄弟たちよ」 | 海月 | 6月24日 21時30分 |
5729 | 「心配をしないで!」と告げやらん同胞よ夜の渚はふかく病むとも | 花 | 6月25日 09時22分 |
5730 | 漆黒の渚もやがて朝焼けの色に染まりて君を誘うよ | 蘇生 | 6月25日 11時08分 |
5731 | ビルどちもそのかんばせのそれぞれにうけて輝く朝焼けの色 | ぽぽな | 6月26日 05時40分 |
5732 | 東雲のきのふをのごふ叢雲に幽かにけふの光り見えたり | 蘇生 | 6月26日 07時22分 |
5733 | 光立つ山谷公園夏溜りトタンの割れ目夾竹桃咲く | 海月 | 6月26日 20時40分 |
5734 | 夾竹桃が乱れ咲きゐし暑かりしと敗戦の日を老婆がかたる | たまこ | 6月26日 21時54分 |
5735 | さるすべりあなたの居ない庭に咲き骨はうたふやすめろぎの歌 | 真奈 | 6月27日 13時54分 |
5736 | 天皇制批判を日記に記す民雄身命賭して書きやらめやも | しゅう | 6月27日 16時39分 |
5737 | 九年の空白ありてけふもまた書くことのなし十年日記 | 海月 | 6月27日 21時06分 |
5738 | 我の辺に夫なき仕合せなどと書く夜の机上に梔子匂えば | 詠人知らず | 6月27日 21時35分 |
5739 | 寂として万象の声あらぬ夜に隠れて生きよと書き泥みつつ | 花 | 6月27日 21時49分 |
5740 | 岩道にさしかかりたるわが耳に木の葉隠れの諸鳥の声 | たまこ | 6月28日 06時54分 |
5741 | 琵琶の音よ折るる矢通る甲冑の武者呼ばはれば両耳 | りょうじ | 海斗 |
5742 | 古刹なる寺を巡りしコンサートで床をゆるがすモーツアルトを聴く | 蘇生 | 6月29日 10時18分 |
5743 | 目に見えぬ天の子午線月下弦奢れる人は久しからずや | 真奈 | 6月29日 10時35分 |
5744 | 聴くほどに遠のいてゆく雨音よ濡れればよかった濡れればよかった | 紅 | 6月29日 10時43分 |
5745 | 猫が寝るトクタクタクと猫が寝る夜空透かして心音を聴く | 海月 | 6月29日 16時05分 |
5746 | 文字摺の咲きのぼる芝庭にゆったりと来て猫の午后なり | しゅう | 6月29日 17時20分 |
5747 | 茎のびてしのぶもじずり小さくも捩じるる花として紅淡き | 花 | 6月29日 18時41分 |
5748 | その人の母韻の差異のかすかにも恋は捩じれる恋は剥がれる | ぽぽな | 6月30日 00時21分 |
5749 | ただ白くしろく咲くよとゆうまぐれ浜木綿の花一途にかほる | 寂 | 6月30日 01時39分 |
5750 | 夕化粧遠く電車の音がして街灯ぽつん猫がすり足 | 海月 | 6月30日 22時41分 |
5751 | 雨音の飽和状態のわが耳に猫が冷たい鼻をすりよす | たまこ | 7月1日 00時33分 |
5752 | 四重奏の弓たをやかに静止してピアニッシモは古刹に果てり | 蘇生 | 7月1日 05時42分 |
5753 | ベートーヴェン四重奏曲全曲をボーナスはたき買ひしあの頃 | 真奈 | 7月2日 22時50分 |
5754 | 月光のシャワー隈なく浴びて立つだれか「蘇州夜曲」をうたってくれぬか | 花 | 7月3日 08時35分 |
5755 | 満月の梅雨の雲間に出でて君瑞々しいか愛は涸れぬか | しゅう | 7月3日 10時29分 |
5756 | 涸湖は西へ東へ移りゆき跡にポプラを植える人いて | 海月 | 7月3日 11時40分 |
5757 | 興奮に高窓開けん緑揺れ貨物過ぐるも朝の挨拶 | ぽぽな | 7月4日 00時33分 |
5758 | 豆の木にジャックは登るか登れぬかかの蔵の窓ゆ魔女が見ている | 花 | 7月4日 09時02分 |
5759 | 紫陽花の葉っぱの裏で暑いねと地霊つぶやく水撒いてやる | 海斗 | 7月4日 09時45分 |
5760 | 侏儒たちの集いの果てし紫陽花は色あお空に吸われて褪せぬ | しゅう | 7月4日 13時39分 |
5761 | 蕗の葉のコロポックルよ輩よ石もて追われ今は何処ぞ | 海月 | 7月4日 17時48分 |
5762 | ふるさとのアイヌの小母への思い出はやさしき笑みと口の刺青 | 蘇生 | 7月5日 06時19分 |
5763 | イタンペはトドのアイヌ語悪戯好きトド鍋にされ缶詰にされ | 真奈 | 7月5日 22時15分 |
5764 | イタンキの浜ハマナスの赤き実を無心に摘んだ遠き日のこと | 蘇生 | 7月6日 05時56分 |
5765 | イヨマンテああ溢れくる感情は旋律となる喉熱くして | ぽぽな | 7月6日 06時20分 |
5766 | ざわわざわわざわわさとうきび畑の旋律の湧きて来る夏 | しゅう | 7月7日 07時02分 |
5767 | オレンジの西日をうけて遥かなる畑に西瓜の全音符 | 蘇生 | 7月7日 07時17分 |
5768 | 西日うけ夏蝶とまる布グラブのどが渇いた三角ベース | 海月 | 7月8日 08時14分 |
5769 | 君知るやオオムラサキの渇望をくぬぎ林に日は傾きて | 花 | 7月8日 09時47分 |
5770 | 逢へぬ日は海を見に行く風の中あらん限りのひなげしを抱き | 真奈 | 7月8日 15時55分 |
5771 | 天地の境もあらず曖としてまた逢う日はいつ?杳いあなたよ | 詠人知らず | 7月9日 07時15分 |
5772 | 胡蝶夢の汝に逢ゐしは我なりや天地幽暗梯は在り | 海月 | 7月9日 13時49分 |
5773 | 湖暮れて鴨のかぼそき水脈の糸天の扉の閉じる音する | 花 | 7月9日 22時45分 |
5774 | 天気予報のはづれて雨の降る池に水脈引きピュンピュン泳ぐペンギン | たまこ | 7月9日 23時57分 |
5775 | ひつぢ草ポと咲き出でてもう一人のおまへの子供と風がささやく | かわせみ | 7月10日 05時48分 |
5776 | 神さまが置き忘れたような小さき湖病葉一葉浮きて流れず | 花 | 7月10日 08時18分 |
5777 | クレヨンのぬり絵のやうな緑青の水の華なる相模湖の鬱 | しゅう | 7月10日 11時12分 |
5778 | 瞳濃き乙女が髪を靡かせて夾竹桃は輝きにけり | 海斗 | 7月10日 15時05分 |
5779 | 昼下がり夾竹桃の花ゆれて炎帝の座を鎮めけるやに | 蘇生 | 7月10日 15時24分 |
5780 | 散華とふ自死のかたちをいまもなほ讃ふや朱の花の放列 | かわせみ | 7月10日 23時29分 |
5781 | いろいろのわたしに会ひぬフラクタルの奥の奥まで歩いていって | ぽぽな | 7月10日 23時46分 |
5782 | POPOとNAのPOPOの貴女に逢いたくて夢に漕ぎだす笹舟小舟 | 花 | 7月11日 08時05分 |
5783 | ぬばたまの夜空の星の瞬きを猥だりがはしき星の上より | 海斗 | 7月11日 08時18分 |
5784 | 泡立草蓬蓬として空覆ふ鬱といつしよに伐つてやるべえ | 海月 | 7月11日 13時20分 |
5785 | なだらかな西瓜畑の向こうには小高い山の遥か雲の峰 | 海斗 | 7月11日 21時45分 |
5786 | 掌の中の蝉が鳴きだし子も泣きぬ雲の峰ぐらり崩るる真昼 | かわせみ | 7月12日 01時12分 |
5787 | 接点はかすかにあったあのときの遠いひぐらし遠いいかずち | 花 | 7月12日 08時28分 |
5788 | いかずちにからだ半分傾けてスタンドの灯へ半分親しむ | しゅう | 7月12日 17時35分 |
5789 | 百雷の生まるる頃か祖父(ほちち)銀の煙管の小さき放電 | かわせみ | 7月12日 19時39分 |
5790 | まいまいよ葉裏にもどれ今すぐにくわばらくわばら雷雨がくるよ | 花 | 7月13日 08時16分 |
5791 | 斜交いの連なる雨の緞帳がわれに向いて沖より来たる | 蘇生 | 7月13日 08時21分 |
5792 | 河口より黒蝶翔べり対岸へ風は沖へと吹いているのに | 海月 | 7月13日 21時44分 |
5793 | 朝顔の蔓の絡まる柵の上風に合わせて尾を振りすずめ | 海斗 | 7月13日 23時50分 |
5794 | 上へ上へ蔓の果てまで昇りゆくゴマダラカミキリ空は青いか | かわせみ | 7月14日 01時07分 |
5795 | シータテハ・ギンボシヒョウモン・クジャクチョウ愛しきものは死に近き匂い | 花 | 7月14日 08時01分 |
5796 | クジャクチョウ美しすぎること恥じてわが視野逸れし西施なるかも | しゅう | 7月14日 14時58分 |
5797 | 斑猫(ハンミョウ)の骸につづく蟻の道 ゆふべの夢の隧道(とんねる)ぬけて | かわせみ | 7月15日 07時24分 |
5798 | 「ねえ!聞いてよ」目を逸らさずにあの話七節虫も窓に寄りきて | 花 | 7月15日 08時28分 |
5799 | 冷房の窓より眺む三伏の木々は喘ぎし葉裏を返す | しゅう | 7月15日 13時48分 |
5800 | 夏の日のギリシャの空は澄みたるか日時計黙す図書館の窓 | 真奈 | 7月15日 16時46分 |