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5742 |
古刹なる寺を巡りしコンサートで床をゆるがすモーツアルトを聴く |
蘇生 |
6月29日
10時18分 |
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5743 |
目に見えぬ天の子午線月下弦奢れる人は久しからずや |
真奈 |
6月29日
10時35分 |
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5744 |
聴くほどに遠のいてゆく雨音よ濡れればよかった濡れればよかった |
紅 |
6月29日
10時43分 |
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5745 |
猫が寝るトクタクタクと猫が寝る夜空透かして心音を聴く |
海月 |
6月29日
16時05分 |
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5746 |
文字摺の咲きのぼる芝庭にゆったりと来て猫の午后なり |
しゅう |
6月29日
17時20分 |
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5747 |
茎のびてしのぶもじずり小さくも捩じるる花として紅淡き |
花 |
6月29日
18時41分 |
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5748 |
その人の母韻の差異のかすかにも恋は捩じれる恋は剥がれる |
ぽぽな |
6月30日
00時21分 |
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5749 |
ただ白くしろく咲くよとゆうまぐれ浜木綿の花一途にかほる |
寂 |
6月30日
01時39分 |
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5750 |
夕化粧遠く電車の音がして街灯ぽつん猫がすり足 |
海月 |
6月30日
22時41分 |
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5751 |
雨音の飽和状態のわが耳に猫が冷たい鼻をすりよす |
たまこ |
7月1日
00時33分 |
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5752 |
四重奏の弓たをやかに静止してピアニッシモは古刹に果てり |
蘇生 |
7月1日
05時42分 |
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5753 |
ベートーヴェン四重奏曲全曲をボーナスはたき買ひしあの頃 |
真奈 |
7月2日
22時50分 |
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5754 |
月光のシャワー隈なく浴びて立つだれか「蘇州夜曲」をうたってくれぬか |
花 |
7月3日
08時35分 |
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5755 |
満月の梅雨の雲間に出でて君瑞々しいか愛は涸れぬか |
しゅう |
7月3日
10時29分 |
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5756 |
涸湖は西へ東へ移りゆき跡にポプラを植える人いて |
海月 |
7月3日
11時40分 |
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5757 |
興奮に高窓開けん緑揺れ貨物過ぐるも朝の挨拶 |
ぽぽな |
7月4日
00時33分 |
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5758 |
豆の木にジャックは登るか登れぬかかの蔵の窓ゆ魔女が見ている |
花 |
7月4日
09時02分 |
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5759 |
紫陽花の葉っぱの裏で暑いねと地霊つぶやく水撒いてやる |
海斗 |
7月4日
09時45分 |
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5760 |
侏儒たちの集いの果てし紫陽花は色あお空に吸われて褪せぬ |
しゅう |
7月4日
13時39分 |
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5761 |
蕗の葉のコロポックルよ輩よ石もて追われ今は何処ぞ |
海月 |
7月4日
17時48分 |
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5762 |
ふるさとのアイヌの小母への思い出はやさしき笑みと口の刺青 |
蘇生 |
7月5日
06時19分 |
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5763 |
イタンペはトドのアイヌ語悪戯好きトド鍋にされ缶詰にされ |
真奈 |
7月5日
22時15分 |
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5764 |
イタンキの浜ハマナスの赤き実を無心に摘んだ遠き日のこと |
蘇生 |
7月6日
05時56分 |
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5765 |
イヨマンテああ溢れくる感情は旋律となる喉熱くして |
ぽぽな |
7月6日
06時20分 |
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5766 |
ざわわざわわざわわさとうきび畑の旋律の湧きて来る夏 |
しゅう |
7月7日
07時02分 |
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5767 |
オレンジの西日をうけて遥かなる畑に西瓜の全音符 |
蘇生 |
7月7日
07時17分 |
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5768 |
西日うけ夏蝶とまる布グラブのどが渇いた三角ベース |
海月 |
7月8日
08時14分 |
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5769 |
君知るやオオムラサキの渇望をくぬぎ林に日は傾きて |
花 |
7月8日
09時47分 |
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5770 |
逢へぬ日は海を見に行く風の中あらん限りのひなげしを抱き |
真奈 |
7月8日
15時55分 |
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5771 |
天地の境もあらず曖としてまた逢う日はいつ?杳いあなたよ |
詠人知らず |
7月9日
07時15分 |
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5772 |
胡蝶夢の汝に逢ゐしは我なりや天地幽暗梯は在り |
海月 |
7月9日
13時49分 |
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5773 |
湖暮れて鴨のかぼそき水脈の糸天の扉の閉じる音する |
花 |
7月9日
22時45分 |
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5774 |
天気予報のはづれて雨の降る池に水脈引きピュンピュン泳ぐペンギン |
たまこ |
7月9日
23時57分 |
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5775 |
ひつぢ草ポと咲き出でてもう一人のおまへの子供と風がささやく |
かわせみ |
7月10日
05時48分 |
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5776 |
神さまが置き忘れたような小さき湖病葉一葉浮きて流れず |
花 |
7月10日
08時18分 |
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5777 |
クレヨンのぬり絵のやうな緑青の水の華なる相模湖の鬱 |
しゅう |
7月10日
11時12分 |
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5778 |
瞳濃き乙女が髪を靡かせて夾竹桃は輝きにけり |
海斗 |
7月10日
15時05分 |
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5779 |
昼下がり夾竹桃の花ゆれて炎帝の座を鎮めけるやに |
蘇生 |
7月10日
15時24分 |
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5780 |
散華とふ自死のかたちをいまもなほ讃ふや朱の花の放列 |
かわせみ |
7月10日
23時29分 |
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5781 |
いろいろのわたしに会ひぬフラクタルの奥の奥まで歩いていって |
ぽぽな |
7月10日
23時46分 |
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5782 |
POPOとNAのPOPOの貴女に逢いたくて夢に漕ぎだす笹舟小舟 |
花 |
7月11日
08時05分 |
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5783 |
ぬばたまの夜空の星の瞬きを猥だりがはしき星の上より |
海斗 |
7月11日
08時18分 |
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5784 |
泡立草蓬蓬として空覆ふ鬱といつしよに伐つてやるべえ |
海月 |
7月11日
13時20分 |
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5785 |
なだらかな西瓜畑の向こうには小高い山の遥か雲の峰 |
海斗 |
7月11日
21時45分 |
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5786 |
掌の中の蝉が鳴きだし子も泣きぬ雲の峰ぐらり崩るる真昼 |
かわせみ |
7月12日
01時12分 |
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5787 |
接点はかすかにあったあのときの遠いひぐらし遠いいかずち |
花 |
7月12日
08時28分 |
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5788 |
いかずちにからだ半分傾けてスタンドの灯へ半分親しむ |
しゅう |
7月12日
17時35分 |
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5789 |
百雷の生まるる頃か祖父(ほちち)銀の煙管の小さき放電 |
かわせみ |
7月12日
19時39分 |
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5790 |
まいまいよ葉裏にもどれ今すぐにくわばらくわばら雷雨がくるよ |
花 |
7月13日
08時16分 |
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5791 |
斜交いの連なる雨の緞帳がわれに向いて沖より来たる |
蘇生 |
7月13日
08時21分 |
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5792 |
河口より黒蝶翔べり対岸へ風は沖へと吹いているのに |
海月 |
7月13日
21時44分 |
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5793 |
朝顔の蔓の絡まる柵の上風に合わせて尾を振りすずめ |
海斗 |
7月13日
23時50分 |
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5794 |
上へ上へ蔓の果てまで昇りゆくゴマダラカミキリ空は青いか |
かわせみ |
7月14日
01時07分 |
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5795 |
シータテハ・ギンボシヒョウモン・クジャクチョウ愛しきものは死に近き匂い |
花 |
7月14日
08時01分 |
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5796 |
クジャクチョウ美しすぎること恥じてわが視野逸れし西施なるかも |
しゅう |
7月14日
14時58分 |
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5797 |
斑猫(ハンミョウ)の骸につづく蟻の道 ゆふべの夢の隧道(とんねる)ぬけて |
かわせみ |
7月15日
07時24分 |
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5798 |
「ねえ!聞いてよ」目を逸らさずにあの話七節虫も窓に寄りきて |
花 |
7月15日
08時28分 |
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5799 |
冷房の窓より眺む三伏の木々は喘ぎし葉裏を返す |
しゅう |
7月15日
13時48分 |
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5800 |
夏の日のギリシャの空は澄みたるか日時計黙す図書館の窓 |
真奈 |
7月15日
16時46分 |