5801 | 横書きのうた読む窓辺ゆるやかにわが感官は昂ぶりそめつ | 花 | 7月15日 18時10分 |
5802 | 炎帝の腋の下から突き抜けぬ ゆふらりゆらと汝は崩れぬ | 海月 | 7月15日 21時13分 |
5803 | 南溟に台風生るるこのゆふべ海月のやうな望の月出づ | かわせみ | 7月16日 05時43分 |
5804 | われに会うため咲きくれし花かとも月下烟れるライムライトは | 花 | 7月16日 07時15分 |
5805 | 遥かなる富嶽に降りし氷雪の今湧き出づる柿田の水は | 蘇生 | 7月16日 09時36分 |
5806 | 柿田川みなもにうつるわが影にこひをしてゐるかはひらこ ひら | かわせみ | 7月16日 23時02分 |
5807 | 水飛沫上げつつどよむ滝の辺の沙羅の花なる我が思ひかも | 海斗 | 7月17日 06時41分 |
5808 | 瑠璃玉を飾りし胸の谷間より夏蝶翅をひろげ翔たむと | 真奈 | 7月17日 06時47分 |
5809 | 夏山の木の下闇の静けさに飛び交う蝶の婆沙羅婆沙羅と | 海斗 | 7月17日 07時39分 |
5810 | 胸に咲く一輪ありきさわされど項垂れてゆく片陰の道 | 花 | 7月17日 08時24分 |
5811 | いづこへか風に向かひて海原を紙片のごとく蝶は舞いゆく | 蘇生 | 7月17日 08時50分 |
5812 | 蝶のよう蜂のようにと語られた病身のアリの深い眼差し | 海斗 | 7月17日 10時13分 |
5813 | 展翅して動かざるものゐ並みけり不思議の桃の誰彼も欲し | 紅 | 7月17日 15時48分 |
5814 | この世ではここが桃源郷なのか塔婆に止まるミヤマアカネよ | 花 | 7月17日 18時04分 |
5815 | 名もしれぬ夏蝶翔べり裏の川 銭湯にゆく牛乳飲みに | 海月 | 7月17日 21時28分 |
5816 | 一刷けに道塗り替えし大夕立つっかけで行くセブンイレブン | 花 | 7月17日 23時06分 |
5817 | 夏蝶を追えば格子の街の中藍の反物十貫しょって | ぽぽな | 7月17日 23時12分 |
5818 | 焼くものを追へばお好み鳥たこそば生ビールありいざ花火待つ | 海斗 | 7月18日 07時37分 |
5819 | 花火待つ天神祭りのお役者のうなじちりちり夏の陽の灼く | かわせみ | 7月18日 08時22分 |
5820 | 江戸の風着こなして飛ぶ夏燕打ち上げ花火の宵の涼しき | 真奈 | 7月18日 08時34分 |
5821 | 手花火のうしろに誰か立っているポトリと落ちし小さき火の玉 | 花 | 7月18日 10時52分 |
5822 | ささげたる掌に受け揚花火どうんどうんと胸の高波 | 紅 | 7月18日 10時53分 |
5823 | 潮汲めば音なく点る夜光虫こぼるるままにわが掌(てのひら)に | 蘇生 | 7月18日 18時50分 |
5824 | 夜光虫わが腕より零れ落つ星あるを知る諏訪瀬の夏 | 海月 | 7月18日 21時18分 |
5825 | 青光るその掌に抱け黎明に膨らみたわむとほき山脈(やまなみ) | かわせみ | 7月18日 22時44分 |
5826 | 生まれたての蝉は若葉の色をして朝日に濡れた羽根をひろげた | 海斗 | 7月19日 07時00分 |
5827 | 蝉なくと誰かささやく未明です夢の淵より薄目をあけて | 花 | 7月19日 08時22分 |
5828 | 蝉時雨ただ暑かつた腹減つたそんな日が来る忘れずに来る | 海月 | 7月19日 13時16分 |
5829 | 列島の寒さの夏の昨年の今日の暑さの蝉時雨かな | 蘇生 | 7月19日 16時23分 |
5830 | 六本木ヒルズアリーナ七月の葉加瀬太郎のLive聴いてる | 花 | 7月19日 17時35分 |
5831 | 空間と時間共有する奇跡軽んずべからず蝉時雨をり | ぽぽな | 7月20日 07時07分 |
5832 | 炎昼の盛んなるかな蝉の声憂うるようなる夕べひく声 | 蘇生 | 7月20日 07時33分 |
5833 | 蝉もまた一夏の過客夕されば群唱のこえ遠ざかりつつ | 花 | 7月21日 07時35分 |
5834 | 相似たる野の花なれどそれぞれに季(とき)の移りにかわりゆくなり | 蘇生 | 7月22日 09時12分 |
5835 | 油照り油蝉ああ兄の忌の久のふる里瞳孔開く | しゅう | 7月22日 09時28分 |
5836 | 夕光のなかに不動の向日葵よ首のみ垂れて祷りのごとく | 花 | 7月22日 09時30分 |
5837 | 我もまた空をゆく雲 たたみこも平群の樫に蝉時雨満ち | かわせみ | 7月22日 09時32分 |
5838 | めぐる季のいつでも恋うる長崎かも風見治著「季(とき)時(どき)」ゆ | しゅう | 7月22日 09時54分 |
5839 | 空の果て地の果て往かんめぐる季 内耳音鳴る海も閃れば | 海月 | 7月22日 11時32分 |
5840 | 根府川の海よカンナの咲く駅よ今年また不羈の朱に満ちたり | 真奈 | 7月22日 12時54分 |
5841 | 気が変わり一駅手前で降りゆけばポンポンダリアが機嫌よく咲いてた | 花 | 7月23日 06時35分 |
5842 | もう一駅が行き着けぬ脳天に待ち針入りてダリア乱れる | 海月 | 7月23日 11時24分 |
5843 | 行きゆけど永久(とは)にとどかぬ次の駅 足裏(あうら)貼りつく灼けし鉄路に | かわせみ | 7月23日 15時37分 |
5844 | 無名なる安息にいてされどまた渉りかゆかむ銀河鉄道 | 花 | 7月23日 16時40分 |
5845 | ああ、ぼくは行かねばならぬどこまでもサウザンクロスに双手(もろて)さしのべ | かわせみ | 7月23日 17時20分 |
5846 | 往き往けど片道切符海の底ほたる舞いたる銀河鉄道 | 海月 | 7月23日 18時33分 |
5847 | 吊革を掴む幼子将来はウルトラCよ父は「もういいか」 | 海斗 | 7月23日 22時59分 |
5848 | 宿題の針穴写真「ウルトラの父」いまもなほ倒立のまま | かわせみ | 7月24日 07時00分 |
5849 | 波さゆれかぐろきまでに倒立の一樹はわれの父かもしれぬ | 花 | 7月24日 11時35分 |
5850 | 犬と猫ちいさき仕事われにあり無言の父母にまた酷暑くる | 海月 | 7月24日 20時58分 |
5851 | 炎昼の汗止めどなくTシャツの胸にまつはる我が恋心 | 海斗 | 7月25日 00時09分 |
5852 | 人の上に人をひたすら積む辺りプラトニックに起重機赤し | ぽぽな | 7月25日 00時20分 |
5853 | 男とは花より淡くすぎにしと贋アカシアは花を零して | 花 | 7月25日 06時26分 |
5854 | 雨けぶる花房白き針槐(ハリエンジュ)にせアカシアというは哀しき | 蘇生 | 7月25日 15時49分 |
5855 | 曼荼羅華・ダトゥラ・エンジェル・トランペット致死量ほどの毒嘉すべし | 花 | 7月25日 17時21分 |
5856 | 暮れなずむ凪に聳ゆる富士の山わが心には曼荼羅華かな | 蘇生 | 7月25日 18時19分 |
5857 | 曼珠沙華メッキ工場どぶの川致死量たまるアメリカ輸出 | 海月 | 7月25日 21時19分 |
5858 | どぶに落ちる瞬間に知るせせらぎの清けき音の次に知る痛み | 海斗 | 7月25日 23時13分 |
5859 | 片恋の形而上的わたくしは影一枚と溜息一つ | ぽぽな | 7月26日 03時02分 |
5860 | 永遠にならぬか明日か係恋のわが裡の暗渠しずかに流るる | 花 | 7月26日 06時34分 |
5861 | ふた年の別居の夫を両腕に熱帯のキス曽我ひとみさん | しゅう | 7月26日 08時40分 |
5862 | 唇をあわせしことも一炊の夢ひそやかに沙羅の花咲く | 花 | 7月26日 16時48分 |
5863 | 宿業を憐れみ給ふ如来像の唇慕ふやるせなき思ひ | 海斗 | 7月26日 23時52分 |
5864 | 木下闇ゆらと顕ちくる石仏の声くぐもりて昏々と朱夏 | 花 | 7月27日 07時16分 |
5865 | 鼻欠けの交通地蔵に蝉時雨花を置きしが係累絶えたか | 海月 | 7月27日 12時02分 |
5866 | 大隈半島(おおすみ)の野面に晒す石像の仁王の貌の親しも娑婆ゆ | しゅう | 7月27日 13時44分 |
5867 | をさなげな野仏ふたつよりそひて蔭にさびしく苔にをりけり | 蘇生 | 7月27日 17時21分 |
5868 | おさなごがつむり撫でやる野仏のまなこやさしく微笑むと見ゆ | 茉莉花 | 7月28日 08時18分 |
5869 | 人はみな幼きころはかくあらんに矜羯羅童子を不意に思うも | 花 | 7月28日 08時34分 |
5870 | ははそはのははのみはらにやどりてしころを偲べる子守唄かも | 海斗 | 7月28日 23時46分 |
5871 | 羊水の湖に小舟を浮かばせて生まざる吾子があくびをしてる | 花 | 7月29日 07時36分 |
5872 | 泣きし嬰(こ)泣きし嬰 こ が羊水の音すスーパーの袋の擦れる音に笑みにし | しゅう | 7月29日 09時59分 |
5873 | わが戸籍入らずの妹ふたりいる午睡から覚めてひつじぐさ咲け | 海月 | 7月29日 18時17分 |
5874 | みどりごの命は絶へて骨とせば四十九日に水に還ると | 海斗 | 7月29日 22時13分 |
5875 | 反芻は砂噛むごときひとり居て真水に心さらしたき宵 | 寂 | 7月30日 00時11分 |
5876 | 貝釦掛け間違えた午前五時向いの島に雷雨の兆し | ぽぽな | 7月30日 01時34分 |
5877 | 雷雲はすでに妖しく西ゆくに常選択をあやまちて来つ | 花 | 7月30日 07時30分 |
5878 | 過てりまた過てり夏雲になんだかんだと猫と遊びつ | 海月 | 7月30日 21時44分 |
5879 | 感情のやりとりできる眼もてひとつベンチに猫と坐れり | 花 | 7月30日 22時48分 |
5880 | seriousにmysteriousに七月は手染めの丹と紺と消え行く | ぽぽな | 7月31日 22時32分 |
5881 | 七月の尽きし日中の会堂に七十兄姉の笑みあふれたり(増俳八周年記念句会) | 蘇生 | 8月1日 08時38分 |
5882 | 暑いからこれは飲まねばなりませぬ訳はともあれ笑みが笑み呼ぶ | やんま | 8月2日 05時38分 |
5883 | 憧れは憧れのまましばらくはここでグラスを掲げています (祝増俳八周年) | ぽぽな | 8月2日 07時12分 |
5884 | 増俳のページを開けまだ三ヶ月お写真前に先づは乾杯 | 真奈 | 8月2日 22時54分 |
5885 | つぶやく堂増俳歳時記桃李歌壇主宰三者の個性輝く(於 増俳八周年記念句会) | 蘇生 | 8月3日 07時11分 |
5886 | 氣をもらふ桃李つぶやく連衆にけふも駄句ゝ汗もだくだく | 海月 | 8月3日 08時26分 |
5887 | 面白や記念句会の水中花手品の如き二人のロゴも | 丹仙 | 8月3日 08時55分 |
5888 | あなたが楽しかったねと言ったから今日のこの日は俳句記念日 | 海斗 | 8月3日 23時13分 |
5889 | 蜂蜜の昨日は去れど今日もまた桃李まで来ぬ花を探しに | ぽぽな | 8月4日 05時35分 |
5890 | 桔梗のうつつを裂きて咲く力言葉もて人を殺めてはならぬ | 花 | 8月4日 06時57分 |
5891 | ほどのよき風に小庭の笹竹の今は茂りて過ぎたる如し | 蘇生 | 8月4日 07時51分 |
5892 | 「水に書く文字のようだね」と万智さんはチョコかじりつつ空を見上げる | 真奈 | 8月4日 09時03分 |
5893 | 行く川の水の流れは絶えざれど瀬音かなしもひとみとざして | 海斗 | 8月4日 10時56分 |
5894 | 五時ですよ紫陽花の下のらが云ふ朝な夕なと水と缶詰 | 海月 | 8月4日 23時16分 |
5895 | エノラ・ゲイなほスミソニアンに生きてをり「平和」のための「悪」を謳へり | 真奈 | 8月5日 05時13分 |
5896 | 国敗レタンダロ原爆落トサレタンダロ老婆の視線の先には誰もいない | 海斗 | 8月5日 06時03分 |
5897 | 薄明の厨にたちて一本の匙磨きおり今日原爆忌 | 花 | 8月6日 06時24分 |
5898 | 銀の匙握りて笑ふ嬰児よ忘れ給うなその笑みをこそ | 海月 | 8月6日 07時00分 |
5899 | 電話にて仮免取れたとはしゃぐ娘よ屈託無き笑顔消させぬぞ母は | 雛菊 | 8月6日 18時47分 |
5900 | 身籠りの報せ受けたる携帯電話(けいたい)の着信音は Yesterday once more | かわせみ | 8月7日 09時47分 |