5901 | 母上よあれから五十九年目です不亡草が今朝咲きました | 花 | 8月7日 13時20分 |
5902 | 秋立つとウソだね暑かったんだよ五十九年前からの空 | 海月 | 8月7日 16時23分 |
5903 | 初秋の砂浜白く歩み行くワタシハドチラガワニイルノカ | ぽぽな | 8月7日 21時38分 |
5904 | 夕凪の沖遥かなる日輪のまかがやく中へ鳥の影行く | 海斗 | 8月8日 10時53分 |
5905 | こゆるぎて相模の海の夏夕焼マストの鳥の瞳つぶらか | 真奈 | 8月8日 12時05分 |
5906 | 小余綾(こゆるぎ)の磯を東に十里なる腰越の地に小動 (こゆるぎ)岬が | 蘇生 | 8月8日 15時27分 |
5907 | 少年の岬に浮いた白ら雲がいまも耀ふ人の哀しも | しゅう | 8月9日 07時10分 |
5908 | 遥かなる浦上につづく今朝の空わが黙ふかく頭を垂れてゆく | 花 | 8月9日 08時11分 |
5909 | ふるさとに似て懐かしき港町その長崎のその日の朝を | 蘇生 | 8月9日 09時05分 |
5910 | 端居して読経聴きをり雲ぽかり幼き朋のけふの朝なり | 海月 | 8月9日 13時37分 |
5911 | 視覚障害者からの音読依頼朝から始めるさだまさし著「解夏」 | 雛菊 | 8月9日 20時07分 |
5912 | 知らぬ間に唇零るペリカンは秋晴れよりもうつくしいかな | ぽぽな | 8月10日 10時14分 |
5913 | わが胸に深き井戸ある美しき水満たすべく歓びあれよ | 花 | 8月10日 15時02分 |
5914 | 遠き日の清らかなりし風と水仄かに想う懐かしき恋 | 白馬 | 8月10日 20時26分 |
5915 | まつすぐに空をめざせる蚕豆の稚実 (わかみ)のごとき恋なりしかな | かわせみ | 8月11日 08時42分 |
5916 | ヒロシマ・モナムール 私はすべてを見たわ君はなにも見てはいない | 海月 | 8月11日 13時02分 |
5917 | たまゆらの情事に燃えし残像よ死の影きえぬヒロシマ思えば | 花 | 8月11日 16時25分 |
5918 | 何もかも朝の色に染まるとき夢のかけらの風にキラキラ | 真奈 | 8月12日 09時08分 |
5919 | いつしらに法師蝉鳴きゆく夏の朝まっしろな皿をならべる | 花 | 8月12日 09時32分 |
5920 | けふもまた絶えることなき蝉の声けだし盛りの主は代はらむ | 蘇生 | 8月12日 15時41分 |
5921 | さいならと猫にあいさつ残り蝉 敗戦日まだ虫は鳴かない | 海月 | 8月13日 23時30分 |
5922 | 体ごと壁に突っ込む残り蝉お母さーんと叫んで散ったか特攻兵士 | 雛菊 | 8月14日 08時51分 |
5923 | 恋人の裸体画遺し散ゆきぬ画学生はも哀しかりけり | しゅう | 8月14日 09時39分 |
5924 | つ・・・と寄りて「告別」をみし「涅槃」みし香月泰男の没後三十年 | 花 | 8月14日 10時04分 |
5925 | 囚われて黒きフードに縄打たれアブグレイブに人は居りしか | 真奈 | 8月14日 10時47分 |
5926 | 戦いは人の心を荒ますか心中巣食ふ虫の出ずるか | 海斗 | 8月14日 11時49分 |
5927 | 帰る家もうないのにと山崎ハコ ふつうの雨が降っている今日 | 海月 | 8月15日 11時39分 |
5928 | しみじみと「米軍キャンプ」を聴きながら辛ラーメンをすすっている | 花 | 8月15日 13時22分 |
5929 | 還暦にあとひと年の終戦日インターネットで玉音を聴く | 蘇生 | 8月15日 20時25分 |
5930 | 「自らの馬車を星に繋げ」とて桜かざして神兵たちは | 真奈 | 8月15日 21時49分 |
5931 | 大の字に刈り込まれたる如意ケ岳火入れ支度の人影見えて | 蘇生 | 8月16日 08時53分 |
5932 | 空こがす遠き炎を見てづくと野性の風の吹き出だすかな | しゅう | 8月16日 09時54分 |
5933 | 松明が点り始めた山稜に何やら黒く浮かぶ大文字 | 蘇生 | 8月16日 22時18分 |
5934 | サヌカイトもゆらに韻き山稜の舟形の炎(ほ)は風を孕みつ | かわせみ | 8月17日 08時28分 |
5935 | 夏葱を厨にきざみ送り火をみしことなければ不意にさぶしく | 花 | 8月17日 09時00分 |
5936 | 盆の唄とほくちかくに舟は出づちひさき川の此彼のこと | 海月 | 8月17日 17時54分 |
5937 | 舟歌の間奏曲の流れ来るふとまどろみの小夜の涼風 | 真奈 | 8月18日 13時21分 |
5938 | 腹を割ってなにを語ればよいのやら典雅なる樂聴くふりをして | 花 | 8月18日 20時26分 |
5939 | 喫茶店の2時間会話を推奨する斎藤孝に異議のありけり | しゅう | 8月19日 10時26分 |
5940 | 天才も人たるゆえのアテネ発こもごも悲喜に異議なかりけり | 蘇生 | 8月20日 16時45分 |
5941 | 嘗てわが喝采を浴びしことなきにオリーブの冠欲しくはないか | 花 | 8月21日 10時07分 |
5942 | 金メダルと決まりし刹那なにもかも忘れてしまうひとの顔見し | 白馬 | 8月21日 11時30分 |
5943 | 金銀のメダル話に踊る島パソコンやりにここまできたよ | ぽぽな | 8月21日 12時20分 |
5944 | 異国から桃李に詠うぽぽなさん久しぶりなる故郷はいかが | 蘇生 | 8月21日 16時19分 |
5945 | 飛行機はとても怖くて乗れません夕焼の里はやさしいですか | 海月 | 8月21日 17時12分 |
5946 | ねぶた囃子遠くに去りてふる里は黄色の女郎花山染める頃 | 雛菊 | 8月22日 08時48分 |
5947 | 秋風のそ知らぬ顔で脇抜けてゆくこの頃の淋しくもあり | しゅう | 8月22日 13時37分 |
5948 | 父母を看取りし後のふるさとの友の孤食はさみしくあらむに | 花 | 8月22日 14時24分 |
5949 | 朝・昼・夕 食と食との間合いでは我のむさぼる自由には足らず | しゅう | 8月23日 09時59分 |
5950 | 死なむほど狂はむほどに愛ほしき君に捧げむ我が恋心 | 冬扇 | 8月23日 16時42分 |
5951 | 「冬ソナ」にはまりし友の熱射病「ヨン様ヨン様」とうるさくてかなわぬ | 雛菊 | 8月23日 20時42分 |
5952 | 「そら」といふ友の居りけり昨日まで雨に紛れてどこまでいつた | 海月 | 8月23日 21時23分 |
5952 | ヨンというモンゴロイドのやさ男芝生は隣のやまとなでしこ | 蘇生 | 8月23日 21時21分 |
5953 | 端的に、もし言うならば親友よ 心病むとは天の采配 | 花 | 8月23日 22時09分 |
5954 | 発狂は神の救いに外ならず癩療養所君(東條耿一)付添夫 | しゅう | 8月24日 06時27分 |
5955 | カッターナイフに友を刺ししはしらぬひのつくしをとめご齢 | よはひ | かわせみ |
5956 | 死などなにほどのこともなしとう大き手に攫われゆきし天の高処に | 花 | 8月24日 17時01分 |
5957 | 生き急ぐ二十三歳の死をほっと寮友たちは葬りまいらす | しゅう | 8月25日 06時50分 |
5958 | 蝉消えてしづかな晩は黒七味はらはらかけて粥をいただく | 海月 | 8月25日 22時50分 |
5959 | 扁炉という鍋を煮るわたくしの真の飢えを君知るやゆめ | 花 | 8月26日 06時21分 |
5960 | わが夫の淋しさは知らじひまわりは振り払いてもアイデンティティー | しゅう | 8月26日 10時19分 |
5961 | 朱夏過ぎて白秋に入りて想うこといかなる道にも辻はありけり | 雛菊 | 8月26日 16時24分 |
5962 | 扶桑社版「教科書」採択わが母校曲り角にたつ日本の子ども | 真奈 | 8月27日 10時31分 |
5963 | ものを知るなにほどのことあらん秋(とき)見ることを語れ痛みなにいろ | 海月 | 8月27日 17時44分 |
5964 | 秋の夜の静寂に座し夭折の人の遺稿をつつしみて読む | 花 | 8月27日 18時47分 |
5965 | わが生を怯懦の子なりとおん神に許しをこうは受け容れがたき | (東條の遺稿、訪問者)しゅう | 8月28日 09時04分 |
5966 | 我よりもなほ吾(あ)に近きものなれば汝(な)は吾が主なり木槿花散る | 瑞恵 | 8月28日 11時04分 |
5967 | 夕蜩のこえ澄むは神のこえ木道は天に架けたる階(きざはし)のよう | 花 | 8月28日 13時56分 |
5968 | 梢の間秘めたるごとく高き空神しろしめす秋の夕暮れ | 白馬 | 8月28日 15時58分 |
5969 | 初秋の夕べにシャワーを浴びをりてぴりりと熱き風呂が恋しき | 蘇生 | 8月28日 18時18分 |
5970 | 桔梗野湯木の札竹かご大風呂敷番台のおばさんちりちりパーマ | 雛菊 | 8月28日 21時49分 |
5971 | 政治家になっとらんとの罵声浴びせ女湯からの子供呼ぶ声 | 海斗 | 8月29日 10時41分 |
5972 | シーサーは大き目を剥きヤマトンチューよまたわれわれを見殺しにするとか! | 真奈 | 8月29日 11時31分 |
5973 | 江ノ島に寄す高波の本源は南西諸島沖の台風 | 蘇生 | 8月29日 13時39分 |
5974 | 西表あさがお露をふふみつつこの世に咲(ひら)天上の青 | かわせみ | 8月31日 20時19分 |
5975 | 此処より先へ生きて何視む蕣の明日咲く花の数をかぞえて | 花 | 8月31日 21時02分 |
5976 | 満月のこの満月の皓々と猫と遊ばむ天地有情 | 海月 | 8月31日 21時29分 |
5977 | 前肢を揃えてしばらく坐りおり風吹けば風のなかの野良猫 | 花 | 9月1日 21時37分 |
5978 | あきかぜにはこばれてくるをさなごのゆらゆらゆらりんぶらんこのうた | 雛菊 | 9月2日 17時01分 |
5979 | しのびやかに世は秋の国正座して東條耿一の詩を朗読す | 花 | 9月3日 19時50分 |
5980 | 語らひは刹那刹那に出で消えてねこじやらしただ風に輝く | ぽぽな | 9月3日 22時13分 |
5981 | 耿一は縄文杉の哄笑のごと詠み尽くせしかかの詩かの生 | 命日に寄せて・真奈 | 9月4日 06時18分 |
5982 | チェシャー猫の笑いのやうな月うかび風は耿々花野をわたる | かわせみ | 9月5日 09時23分 |
5983 | 花野果て点々々と黒の粒あれはものなの元は人間 | 海月 | 9月5日 13時14分 |
5984 | 新しき翼に替えて発ちゆかな天に連なる花野があらば | 花 | 9月5日 20時21分 |
5985 | 暗がりに花野は白く沈みいて明けて華やぐ萬色の原 | 蘇生 | 9月6日 05時53分 |
5986 | 獣らに踏み荒らされし花野にはなぜ?なぜ?なぜ?と童の言霊 | 雛菊 | 9月6日 10時24分 |
5987 | 嘆くとも祈るともなく葉ももたず全生園に曼珠沙華咲く | 花 | 9月6日 18時27分 |
5988 | 曼珠沙華空に吸われし少女らの声の湧ききし百合舎廃屋 | しゅう | 9月8日 07時25分 |
5989 | 彼岸花咲ける間(あはひ)の道をゆく美智子皇后陛下詠いし | 寂 | 9月8日 20時15分 |
5990 | 御歌碑も今は昔となりにけり遺跡にひそと黒曼珠沙華 | 瑞 | 9月9日 16時08分 |
5991 | 薬袋に夫の遺筆の掠れつつ瓶にさしたる白曼珠沙華 | 花 | 9月9日 16時51分 |
5992 | 此岸に葉見づ花見づ黒白と彼岸は如何望郷臺の児 | 海月 | 9月9日 18時07分 |
5993 | 今昔や望郷臺に近隣の子らが遊びのマウンテンバイク | しゅう | 9月10日 06時21分 |
5994 | 望郷の思ひ凝りし曼珠沙華その首なべて高空を指し | かわせみ | 9月10日 08時32分 |
5995 | 猫が死ぬこの曇天の道端でとくりとくりと息いま絶えた | 海月 | 9月10日 14時04分 |
5996 | 秋雨のふるゆうぐれの街上の惨劇としてわれは忘れぬ | 花 | 9月10日 19時13分 |
5997 | 九月十一日島は青空と雲を湛へて祈り続ける | ぽぽな | 9月12日 01時12分 |
5998 | いくさ熄まず地球の裏に歎き満ちインティファーダの砂の軋みが | 真奈 | 9月12日 01時28分 |
5999 | 壁こわれまた壁つくるシジフォスのどんづまりです花野あるけど | 海月 | 9月12日 15時42分 |
6000 | お母さまは淋しいのではないかしらヘルパーのひと言わかってはいるけれど | 雛菊 | 9月12日 19時09分 |