6001 | 宇宙語になりたる伯母の目に写るひかりとかげの境を説けど | 寂 | 9月12日 23時06分 | ||
6002 | 二十四時間十年を看し妻に義母の最期はぼくにありがと | 海月 | 9月12日 23時18分 | ||
6003 | ひとりごと小鍋に混ぜて冬至粥ルーペの中に探す未来図 | 真奈 | 9月12日 23時30分 | ||
6004 | パソコンをオンにいつもの朝なれど風は清かに秋を醸せり | 蘇生 | 9月13日 07時39分 | ||
6005 | 薄刈る両手に余し童(わらんべ)の甲高き声風船流る | 海月 | 9月13日 13時32分 | ||
6006 | 雨の木のなかへ雨の木を通りぬけわれ招かれて花すすきまで | 花 | 9月13日 15時45分 | ||
6007 | 恐ろしき夢畳まるる一睡にわれ招かるることの幾度 | ぽぽな | 9月13日 21時51分 | ||
6008 | 絶筆にジャンセン歌う春日井健マスカレードのワルツさびしき | 真奈 | 9月14日 16時22分 | ||
6009 | 精霊(とんぼう)は啄ばむごとく震えつつ己が名を水にしるして去りぬ | 花 | 9月14日 19時12分 | ||
6010 | アキアカネ霧晴れて朝きぬぎぬの光りをまとう谷間かな | しゅう | 9月15日 11時20分 | ||
6011 | 幾重なる歴史のとばりこの山に谷間の霧と吸はれてまほし | れんか | 9月15日 13時27分 | ||
6012 | 野の百合の何処に生ると云ふけれど砂の谷間の闇は深くし | 海月 | 9月15日 15時19分 | ||
6013 | 現実がぼんやりとしてよく見えぬ耳朶りんりんと盲導鈴をきく | 花 | 9月15日 19時46分 | ||
6014 | 現なるしがらみ朧になりゆきぬ葛藤しつつにわれは人間 | れんか | 9月15日 22時12分 | ||
6015 | 薄墨に時雨るる余呉の湖(うみ)暮れて遙かとなりぬ過ぎし日の憶(も)ひ | 瑞 | 9月15日 22時18分 | ||
6016 | わが裡に昏々とある余呉の湖三橋節子の夭逝を思えば | 花 | 9月16日 07時18分 | ||
6017 | (ハンセン病文学)全集の戦前の部は夭折の作家の多し小泉(雅二)もまた | しゅう | 9月16日 17時48分 | ||
6018 | それでもなほなす事なして駆けぬけし人々ありぬわれは凡々 | れんか | 9月16日 20時53分 | ||
6019 | 生きるとはかく歩むこともの言はぬきみ義足にて教へ給ひき | 瑞 | 9月16日 22時54分 | ||
6020 | 彼岸きて三月を残すカレンダー臥す老父母の生きゆく日々を | 蘇生 | 9月17日 06時55分 | ||
6021 | 卒寿過ぎ耳遠けれどいまだ吾を気遣ふ母になに応ふべき | 茉莉花 | 9月17日 09時20分 | ||
6022 | 幼き日みな仏の子と慈しむ祖母の形見の数珠の重さよ | 真奈 | 9月17日 11時21分 | ||
6023 | 白曼珠 天(そら)あをあをとあをあをと命静かにもういいかと云ふ | 海月 | 9月17日 15時05分 | ||
6024 | 母は母父は父なり老いたれど永久にわれには至上なりけり | 蘇生 | 9月17日 18時40分 | ||
6025 | 吹き晴れて白鳥一羽渡りきぬ水柔らかき光やどせり | 真奈 | 9月18日 09時23分 | ||
6026 | しかしまたなぜ躊躇うか海風よ人と季との移ろうなかに | 花 | 9月18日 09時42分 | ||
6027 | 不器量なこねこ一匹置き去られ岬の涯はひたすらの藍(あを) | かわせみ | 9月18日 10時34分 | 9月18日 10時34分 | |
6028 | 置き去られし少年の日こそ無垢なりき俄に秋の雨暗くなり | れん | 9月18日 11時44分 | ||
6029 | 弧鴉のお〜いお〜いは淋しいぞナイフ飛び交う秋づく夕陽 | 海月 | 9月18日 21時02分 | ||
6030 | 子をとろことろ、鬼に追はれてをとうとの帰らずなりし青すすき原 | かわせみ | 9月18日 22時32分 | ||
6031 | 夕陽色の「アンネのばら」が咲きました祖は隠れ家の庭に咲きいし | 雛菊 | 9月18日 22時49分 | ||
6032 | ビルヂング皆海へ向き何思ふ虎杖の花くるぶしに揺れ | ぽぽな | 9月19日 01時13分 | ||
6033 | 遊覧にビルは裏なる隅田川うららは失せてすでに久しき | 蘇生 | 9月19日 06時25分 | ||
6034 | 満ち潮に永代渡ればかすかなる潮の匂ひに海懐かしく | 真奈 | 9月19日 11時09分 | ||
6035 | 厩橋都電乗り換え学校へ渡り鳥見る不忍池 | 海月 | 9月19日 22時40分 | ||
6036 | 漂泊の駅幾千を乗り継ぎて返り見すれば霧の遥けし | ぽぽな | 9月20日 00時14分 | ||
6037 | ちちははの精霊は墓処にあらざればわれにはとおき、杳きちちはは | 花 | 9月20日 09時07分 | ||
6038 | 里帰りすべくもあらざり父母の御墓に詣でむ神無月こそ | れん | 9月20日 14時39分 | ||
6039 | 健やかに老いいく生が正なのか病む人にだって豊かな生あり | 雛菊 | 9月20日 20時29分 | ||
6040 | モットーは「苦しきときはおほらかに楽しきときは緻密に」なれど・・ | 真奈 | 9月21日 09時22分 | ||
6041 | <思想>は即ち<私想>とあえて思いおり雲ちぎれとぶ坂下りつつ | 花 | 9月21日 17時26分 | 9月21日 17時26分 | |
6042 | 雨やみて薄ら日のさす黒瀬橋渡りつつ下の濁流激し | れん | 9月22日 11時07分 | ||
6043 | 秋日和傘が干されてふくらんで「楽天」なる野球チーム生るといふ | 真奈 | 9月22日 23時17分 | ||
6044 | とんぼうの夢はいつでも楽しいに野原どんどん足りなくなるの | 海月 | 9月23日 16時41分 | ||
6045 | かなしみて鳴くにはあらね蟋蟀よ夜の底いに死支度せよ | 花 | 9月23日 19時26分 | ||
6046 | 長き夜を「かたさせすそさせ」針足も滞りがちなる君が帷子 | かわせみ | 9月24日 08時40分 | ||
6047 | 臨界を越えてぐいぐい増殖す人の業。針六腑に至る | ぽぽな | 9月24日 09時57分 | ||
6048 | 繁りたる廃家の庭に柿見えて盛りし頃のその賑わいを | 蘇生 | 9月24日 18時19分 | ||
6049 | 柿の木を庭に植えた人きつと生きていること喜びてなり | しゅう | 9月25日 07時15分 | ||
6050 | うすらかな雨もて今朝は明けそめぬ林檎かじりて一途に生きよ | 花 | 9月25日 08時46分 | ||
6051 | はげしくもときにけだるく日のめぐり今朝は雨後なる滴のかがやき | れん | 9月25日 12時11分 | ||
6052 | 紅玉の酸味もなくて曖昧に日暦やぶく朝餉の雨に | 海月 | 9月25日 12時53分 | ||
6053 | 珈琲と新聞かかへ今日もまた 何処から来たの 何処へ向ふの | 真奈 | 9月25日 12時54分 | ||
6054 | 稲架ぬれて一入深む青丹いろ寧楽は遠しとさびしと思う | 花 | 9月25日 17時12分 | ||
6055 | 一人居も人中に居ても人は淋しさびしがりやは唄う「真夜中のギター」 | 雛菊 | 9月25日 21時07分 | ||
6056 | 平城山をいまか越ゆらん秋風の辻に別れし人ぞ恋しき | かわせみ | 9月25日 22時21分 | ||
6057 | 幾つもの辻よぎる度十字切る人も車も風も月日も | ぽぽな | 9月25日 23時21分 | ||
6058 | 手をとりて越えなば笑まふひとつ影歌姫越のふるき細道 | 真奈 | 9月25日 23時26分 | ||
6059 | 白粉の首垂れをぬ影ぼふと背反り返るマラリアの父 | 海月 | 9月26日 13時25分 | ||
6060 | 日本はいま雨のくに深甚と首(こうべ)をたれて何をか祈らむ | 花 | 9月27日 08時09分 | ||
6061 | ジャングルに水漬く屍となりし人つひの眼に見しやふるさと | かわせみ | 9月27日 08時11分 | ||
6062 | 胸打つは避寒に訪いしサイパンに未だ残りし錆びた戦車が | 蘇生 | 9月27日 17時29分 | ||
6063 | 古代への回帰が国家主義となったこの日本的悲劇の根っことは | 真奈 | 9月27日 22時54分 | ||
6064 | まなぶたを閉づれど遠き父母よ今やうやくに時代は人権 | れん | 9月28日 13時10分 | ||
6065 | 酒すこし供養にふりて秋刀魚焼く定年貴族は貧しくも自由 | 真奈 | 9月30日 10時36分 | ||
6066 | 頼りになるは酒ばかりたふたふと廃船揺れるグラウンドゼロ | 海月 | 10月1日 12時04分 | ||
6067 | 遙かなる日日への思ひは照り翳り秋の浜辺に燃ゆる廃船 | たまこ | 10月1日 18時27分 | ||
6068 | 空のみちに幻の船浮かべたり和賀江の海は深き青なり | 真奈 | 10月2日 10時46分 | ||
6069 | 一艘の舟が沖から近づけり何者かからの伝言積んで | 花 | 10月2日 14時27分 | ||
6070 | 君からのメールのやうなゆりかもめ差し伸べし手に触れんばかりに | かわせみ | 10月2日 19時28分 | ||
6071 | ようこそとふたたび巡る旋律の天までとどけ春咲小紅 | 真奈 | 10月3日 10時22分 | ||
6072 | 雷鳴の過ぎし夜空の漆黒に蠍の全き姿煌めく | たまこ | 10月5日 06時54分 | ||
6073 | 東雲の群れる鴉を追い散らし台湾リスが秋の実を追う | 蘇生 | 10月5日 15時56分 | ||
6074 | 醜いね熊の仔捕えにやけてる団栗なけりゃ残飯喰うに | 海月 | 10月5日 17時25分 | ||
6075 | 友だちよあの日の仔熊はゾーヴァの箱舟に乗って旅をしている | 花 | 10月6日 10時02分 | ||
6076 | プーさんもティがーも乗せて椎の実のピチピチ転がる森を捜さう | かわせみ | 10月7日 08時18分 | ||
6077 | 椎落ち葉の乾反(ひぞり)を踏みて当てもなし冬眠前のはらぺこの熊 | たまこ | 10月8日 06時56分 | ||
6078 | 黒きもの列島覆ひ累々と山も眠らず熊も眠らず | 真奈 | 10月8日 20時51分 | ||
6079 | 重ね来し豪雨を凌ぐ当てもなく避難に明ける老いし人々 | 蘇生 | 10月9日 07時23分 | ||
6080 | ぐしやぐしやに今日も雨降る日本の方向指示器の電池も切れて | たまこ | 10月9日 17時42分 | ||
6081 | 泥酔し理屈っぽいとだめ出せど知らず知らずに好きになりけり | ぽぽな | 10月12日 02時44分 | ||
6082 | 君と飲みし甘やかな時間物語の終章として改札口は | 花 | 10月12日 08時07分 | ||
6083 | ディーゼル車すこし傾ぎて着きたるは釣鐘ニンジン揺るる停車場 | かわせみ | 10月12日 08時26分 | ||
6084 | 遊びだとわかっていてもグレーゾーン血液型別性格判断 | 雛菊 | 10月12日 08時35分 | ||
6085 | トラックがオモチャのように重なりてはっと息のむ台風の痕 | 蘇生 | 10月13日 06時10分 | ||
6086 | キャサリンとかキティ台風とか女性名何故と思ひし占領時代 | 真奈 | 10月13日 08時35分 | ||
6087 | 売り出しの空き地の幟が色あせて風に鳴りをり秋深みゆく | たまこ | 10月13日 19時59分 | ||
6088 | 野襤褸菊南蛮煙管灸花さみしききわみきみにつげえず | 花 | 10月14日 19時58分 | ||
6089 | 穂すすきのトンネル抜けてゆく猫の恋のおもひの思ひ草咲く | かわせみ | 10月14日 23時39分 | ||
6090 | 首傾げなに思ふらん思ひ草恋する猫は凛と見ゆるに | 真奈 | 10月14日 23時51分 | ||
6091 | 屹立として凛として吹く風に向き合う人と恋してみたい | 茉莉花 | 10月15日 10時23分 | ||
6092 | 木犀の花の零るる昼下がり風より軽く竿売りの声 | たまこ | 10月15日 18時52分 | ||
6093 | 凶暴な風にひれ伏したのではない嗚呼いちめんの木犀絨毯 | 真奈 | 10月17日 10時23分 | ||
6094 | 凶暴な風にひれ伏してはならぬ子等を守らむ教基法死守 | 雛菊 | 10月17日 16時20分 | ||
6095 | 次々と地図なぞるかに列島を暴風来たり何故に今年は | 蘇生 | 10月17日 17時43分 | ||
6096 | 鈍色の野分の雲の垂れこめて高層ビル群墓碑のごとくに | 真奈 | 10月19日 13時28分 | ||
6097 | CCレモンの空缶跳ねてる大野分濡れてもいいから転ばぬように | 花 | 10月20日 13時58分 | ||
6098 | 薄荷ドロップひとつ残りし缶のそこ覗けばすいーと淋しいよ、秋 | かわせみ | 10月21日 13時48分 | ||
6099 | 時鳥草私の好きな秋の花野分けに負けぬ硬き茎持つ | 雛菊 | 10月22日 09時08分 | ||
6100 | 時鳥草手折りて我にくれしそは古拙の微笑孤高の佳人 | 茉莉花 | 10月22日 16時33分 |