6101 | わびしかるときもあらなむ天(あめ)のもと嵐のなかの花ほととぎす | れん | 10月24日 08時09分 | ||
6102 | すでに今ひと葉とてなき梅が枝に春をはぐくむ午後の陽だまり | 蘇生 | 10月25日 12時59分 | ||
6103 | 差しのべる手に一椀の汁の民マグマの怒りいまだ熄まずに | 真奈 | 10月25日 13時13分 | ||
6104 | 生きることの隠れた意味を思う夜ぞ小千谷の友に酷寒がくる | 花 | 10月27日 18時01分 | ||
6105 | 幼児のつぶら眼に見たるもの黄泉平坂、根の堅州国 | かわせみ | 10月28日 08時27分 | ||
6106 | 優太ちゃん救い出したる隊員の歯見せぬ口元美しと思ふ | 雛菊 | 10月29日 21時24分 | ||
6107 | 約束の本屋まであと一光年。毛糸、紅花、つんでよつんで | ぽぽな | 10月30日 06時25分 | ||
6108 | 携帯の話し言葉で往き来する「博物誌一冊送ってください」 | 花 | 10月31日 17時09分 | ||
6109 | 道の隈いゆきかくゆきカーナビの導くままに古書店までを | かわせみ | 10月31日 21時23分 | ||
6110 | 古書店の棚に見つけし「リラと薔薇」ルイ・アラゴンは古く新らし | 真奈 | 11月1日 07時44分 | ||
6111 | 借り出した本のどこにも折り目なく立ち読むようにそっと開きぬ | 蘇生 | 11月1日 15時51分 | ||
6112 | 小津映画折り目ただしき父と娘の会話に秋の日差しやはらか | 真奈 | 11月4日 13時17分 | ||
6113 | 小六月野天にひとり猫といる禁欲的に生きなむとして | 花 | 11月4日 19時48分 | ||
6114 | 点になり宙(そら)に消えゆく風船に許されぬ愛閉じ込めしまま | かわせみ | 11月5日 22時17分 | ||
6115 | 卓上の秋の恵みに延々とありとあらゆる死告ぐるラヂオ | ぽぽな | 11月6日 22時31分 | ||
6116 | 長き腕でたぐりよせたる夢あらむ卓上にまどろむマティスの女 | 雛菊 | 11月7日 18時27分 | ||
6117 | 夢なれば醒めて忘るることなれど中越地震の余波の荒波 | 文枝 | 11月7日 23時02分 | ||
6118 | 地の基(もとゐ)揺らぐファルージャ逃れ来て天幕(テント)に眠るモスリムの子ら | 柿の木 | 11月9日 08時17分 | ||
6119 | 束の間の眠りの中に見る夢はやさしき人に守られてあれ | 茉莉花 | 11月9日 15時19分 | ||
6120 | うたたねのなかに泣きいる声入り来誰とも知らず覚めて驚く | 花 | 11月11日 22時02分 | ||
6121 | ゆめのゆめ、天幕の中に眠る児の夢の花野は万紫千紅 | かわせみ | 11月12日 07時31分 | ||
6122 | 花のない季節の旅の凋落の村ひとつ越ゆ熊は死んだ | 花 | 11月13日 18時30分 | ||
6123 | むらきのも砂と零るるさらさらと星と耀ふ言の葉つらね | ぽぽな | 11月14日 01時04分 | ||
6124 | 台風一過の道の落ち葉の散乱は告げられなかつた数多の言葉 | たまこ | 11月15日 06時31分 | ||
6125 | 散り急ぐ散り急がさるる言の葉もありなむ今朝も冷たき雨降る | ギオ | 11月15日 12時14分 | ||
6126 | 言葉にて文化伝え来し人類よ我は信ずる言葉の力 | 雛菊 | 11月15日 13時23分 | ||
6127 | 葉を脱ぎし枝にはすでに硬き芽が光りを放ち春を待つらん | 蘇生 | 11月15日 20時29分 | ||
6128 | 絡み合う美男葛のしゅう悪をしばらく見つつやがて暗澹 | 花 | 11月16日 07時47分 | ||
6129 | 椎の木に絡まる蔓は「山芋だ掘つてみよう」と秘密めく声 | たまこ | 11月16日 23時28分 | ||
6130 | さねかづらその紅の濃く猛く見れば眠れぬ蔦とはなりぬ | ギオ | 11月17日 00時12分 | ||
6131 | 言の葉を翫あそんで理を得べからず蔓枯れて鳴る夕べとなりぬ | 花 | 11月17日 07時12分 | ||
6132 | 眉月の夕べ親しき友の逝き終の辺りで唄ふ賛美歌 | 文枝 | 11月17日 15時36分 | ||
6133 | 夕月のかたぶくさきに心寄すいかにしがたき闇とぞ知るも | 寂 | 11月18日 01時25分 | ||
6134 | 後よりたれか呼ばふと振りむけば闇に泛べる白萩の花 | かわせみ | 11月18日 20時04分 | ||
6135 | 恢復の兆しもみえぬ暗闇に運を掴めとあなたは言うが・・・ | 花 | 11月18日 22時06分 | ||
6136 | ふいに薔薇身奥に匂ひ咲きそむるドラマならさう悪(ワル)もいいよね | 真奈 | 11月19日 13時34分 | 11月19日 13時34分 | |
6137 | 花店の日本水仙謙譲に束ねられいまが去り時か | 花 | 11月19日 14時24分 | ||
6138 | 親譲りの躁鬱病を持つ我は光射すまで闇底生きる | 雛菊 | 11月20日 11時52分 | ||
6139 | 鬱は辛いね躁もさねくたぶれてくたぶれちゃって闇夜閃光 | 海月 | 11月20日 22時20分 | ||
6140 | 泣きながら光る一縷を手繰れども見えぬ母胎ぞ雪雪しまき | ぽぽな | 11月21日 00時05分 | ||
6141 | :懸想して蓑虫となるほかはなし鬱蒼として森は暗いよ | 花 | 11月21日 07時37分 | ||
6142 | 梟の森で見上ぐる月冴やかそは真なる足の灯火 | 文枝 | 11月21日 08時35分 | ||
6143 | 梟とならんで風を聞く夜は遠く血に染むチグリスぞ思ふ | 真奈 | 11月21日 09時17分 | ||
6144 | 灯の下に赤い目をして猫が鳴く野分の風が雨戸を鳴らす | たまこ | 11月21日 21時21分 | ||
6145 | 「猫飼好五十三疋」の組曲は鯵呂兵衛には鱚八の連れ | 真奈 | 11月24日 22時14分 | ||
6146 | ふうわりと庭の千草にふりそそぐ夕光はわが静けき伴侶 | 花 | 11月26日 08時42分 | ||
6147 | 風船は皮膚一枚の哀しみに虚空を満たす街流れ行く | ぽぽな | 11月26日 11時18分 | ||
6148 | 思ひきり生きてみやうと紅をひき優しい虚空に爪立ててみる | 真奈 | 11月26日 11時50分 | ||
6149 | 今度こそと飛ばした綿毛「届いた」と海の知らせはまだ返らない | たまこ | 11月27日 08時00分 | ||
6150 | 今度こそ視野から外すと決意して仰げば風が梳きゆく黄葉 | 花 | 11月27日 08時20分 | ||
6151 | 細やかに書くことなどはなけれども手になじみたる手帳求めり | 蘇生 | 11月27日 08時52分 | ||
6152 | 選びかねて迷ふもたのし来年より仕事を始めむ私の手帳 | たまこ | 11月28日 07時38分 | ||
6153 | エッシャーの手帳を開く午前2時読んでいるのは私だろうか | ぽぽな | 11月28日 08時31分 | ||
6154 | うず高く積みたる黒き手帳には塵積み来たるわが日々がある | 蘇生 | 11月28日 09時51分 | ||
6155 | 吾が罪の前に生まれしキリストの福音静かに待降節 | 文枝 | 11月28日 21時06分 | ||
6156 | 十二月埋る予定は通院日科なくて死す科ありて死す | 海月 | 11月30日 12時30分 | ||
6157 | 極月や三十一かぞふ一夕に寒き月など愛でたきものを | 蘇生 | 11月30日 14時40分 | ||
6158 | 日だまりに寒月さんのヴァイオリンついうとうとと吾輩は猫 | 真奈 | 11月30日 22時59分 | ||
6159 | 余念なく毛繕いするわが猫の五指ひらくときむめのようなる | 花 | 12月1日 13時26分 | ||
6160 | 五指ひろげ幹を抱けば霜月の林にまぎれわれも樹となる | かわせみ | 12月3日 07時50分 | ||
6161 | 「五本指で数をかぞえゼロを知らず」不幸な人間棲む大都会 | 真奈 | 12月3日 11時52分 | ||
6162 | 東京の空の下なる病院の屋上にゐて時を貪る | 文枝 | 12月3日 19時17分 | ||
6163 | 昼寝てふ惰眠貪り月も出たなんだかなあと笑ふしかない | 海月 | 12月3日 22時36分 | ||
6164 | ミモザの花咲きあふれいし夢の中こころ枯るるなと目覚めて思う | 花 | 12月4日 00時36分 | ||
6165 | ミモザの花もすでに散りゐむ別れしはパースの街の早春のころ | たまこ | 12月4日 12時51分 | ||
6166 | 銀座より海見ゆる日の「みもざ館」ロゼエを真似て啜る珈琲 | 真奈 | 12月4日 13時44分 | ||
6167 | 火の如き会いならざれど君といて死ぬほど苦き珈琲を飲む | 花 | 12月4日 19時17分 | ||
6168 | 検診のオールマイナスなんて嘘いつもと違ふ珈琲の味 | 文枝 | 12月4日 20時50分 | ||
6169 | 二夜三夜読みてかがなべ夢十夜、君と酌みたき朝の珈琲 | かわせみ | 12月5日 21時00分 | ||
6170 | 珈琲を飲みながら読む言説のふかき無意味を君しるやゆめ | 花 | 12月5日 21時24分 | ||
6171 | くるくると四つ葉のクローバー回しつつ君には無意味なことも楽しく | たまこ | 12月5日 21時55分 | ||
6172 | 無意味なることは何にも無いなどと何とわたしは無意味なことを | ぽぽな | 12月6日 00時36分 | ||
6173 | 無意味なることこそよけれ簫々と冬樹の梢(うれ)の風を聴きつつ | かわせみ | 12月6日 08時26分 | ||
6174 | l寥々と風吹く朝寄りゆけば冬芽の貌はこねこに似ている | 花 | 12月6日 08時54分 | ||
6175 | 小庭にはわれと同じく冬暖の光りをあびて冬芽つややか | 蘇生 | 12月6日 12時14分 | ||
6176 | 慌ただし師走の庭へ目をやれば万両の赤連ねつややか | 雛菊 | 12月6日 20時39分 | ||
6177 | 憂きことは浮寝の鳥にいささかの佳音とどけむ冬桜さく | 花 | 12月7日 09時34分 | ||
6178 | 思ひ出をいくつも連れて百合鴎が今年も河口に冬陽を返す | たまこ | 12月7日 18時55分 | ||
6179 | 掌に大いなる夢握りしめインター歌ふ罅われし空 | 真奈 | 12月7日 21時39分 | ||
6180 | 一切を遍く包む天空へ声なき声の祈り放てり | 文枝 | 12月8日 07時46分 | ||
6181 | 叶ふことを願へば机に一つ置く花梨の香にも息詰まりさう | たまこ | 12月8日 22時13分 | ||
6182 | くもりなき冬青空に願はくば小春賜はせ罹災の地には | 蘇生 | 12月9日 08時07分 | ||
6183 | クシュクシュと猫が風邪ひく小六月榠櫨酒のんで眠っていなさい | 花 | 12月9日 08時24分 | ||
6184 | 窓に射す冬陽の中の白猫は一度も外へ出たことがない | たまこ | 12月9日 17時47分 | ||
6185 | 来し方や視しもの霞む窓越しに天使の梯子しばらく消えず | 花 | 12月10日 06時51分 | ||
6186 | 朝霧を解き放ちつつ昇りゆく虹にも雌雄(めを)のあるといふこと | かわせみ | 12月10日 08時13分 | ||
6186 | 陽だまりの土手に楽しむ孤独あり突と拓くる天使の梯子 | 文枝 | 12月10日 08時12分 | ||
6188 | 天国に裏階段もあるものを半音階の虹微笑んで見ゆ | 真奈 | 12月10日 10時53分 | ||
6189 | 「天国への梯子」は誰の発想か足悪き母はどうしたらいい | たまこ | 12月10日 12時52分 | ||
6190 | ギター弾く君よ一度は弾いたかいZEPのイントロStairway to Heaven | ぽぽな | 12月11日 05時57分 | ||
6191 | 散瞳薬点眼しつつ朝まだきこころ鎮めて聴く "Orinoco Flow" | 花 | 12月11日 08時07分 | ||
6192 | かつかつと夜の深さに磨かれて地に屹立と石畳踏む | 海斗 | 12月11日 16時01分 | ||
6193 | 群雲のいくつか過ぎし漆黒に冬三日月は鋭く冴えり | 蘇生 | 12月12日 05時34分 | ||
6194 | 天空の底さへ氷る月を見ゆ冬の断章書き綴る夜は | 真奈 | 12月12日 21時56分 | ||
6195 | ドキドキと胸躍るもの欲しいだけ今夜見たいな双子座流星 | 雛菊 | 12月13日 19時30分 | ||
6196 | いましばし生きて何視む眼疾の加療の日々は自浄のごとき | 花 | 12月15日 07時10分 | ||
6197 | 生かされて四年過ぎ越す自らの明日に贈るクリスマスローズ | 文枝 | 12月15日 22時19分 | ||
6198 | 今を生きこの世の花に逢ふことは雅に遊ぶこころとぞ知る | 真奈 | 12月15日 23時42分 | ||
6199 | なかなかにこれぞと思うことなくも過ぎてままよと是も好日 | 蘇生 | 12月16日 08時17分 | ||
6200 | 左目の施術の朝友もまたつつがなくあれ雪中花匂う | 花 | 12月18日 06時06分 |