6201 | 電線の銀色の波のその一つに百舌鳥がきてゐる初雪がふる | たまこ | 12月18日 06時30分 |
6202 | 水晶体替わりし眼に一本の裸木立てり冬深みつつ | 花 | 12月20日 07時59分 |
6203 | 心痩せて裸木に添ふ白き壁冬の日まるく両の手に受く | 真奈 | 12月20日 11時32分 |
6204 | 添ふてゐる猫とわたしが添ふてゐる凩の穴掘つたのだけど | 海月 | 12月20日 22時07分 |
6205 | シリウスを連れてオリオン昇る空いつまでも父を待ちしあの夜 | 千種 | 12月21日 00時34分 |
6206 | 清浄(きよら)なる光を曳きて枯葉舞う見守りいるほかあらざる痛み | 花 | 12月21日 06時45分 |
6207 | 星形に割れてしまった鏡からガラスのかけら七つ微笑って | 真奈 | 12月21日 10時56分 |
6208 | 夜を彫(え)りてオリオン光る寒の空ひそみて生くる深きの在りし | れん | 12月23日 14時06分 |
6209 | 被災地の窓に灯りの点り初め空に響ける第九の祈り | 文枝 | 12月24日 08時25分 |
6210 | 降誕祭前夜のミサに額づけりまだ希望あるこの世なるべし | 千種 | 12月24日 23時14分 |
6211 | 在るのかな壊れてんじゃないのかな宙から見れば青い星でも | 海月 | 12月24日 23時38分 |
6212 | 沈黙は雄弁に語りはちゃめちゃの国よりワタクシの目が大事 | 花 | 12月25日 08時21分 |
6213 | もの言ひと別にうつるはカメラアイ鋭さこそにテレビを視つつ | れん | 12月26日 12時32分 |
6214 | 母哭けり津波のテレビ残像の内なる母がこの吾の前に | 丹仙 | 12月28日 22時22分 |
6215 | うちつづく天災人災に壊れゆく亡き人びとのふるさと地球 | たまこ | 12月29日 01時32分 |
6216 | 現世にそぞろ煙りて雪降れり父母夫逝き国亡ぶとも | 花 | 12月29日 09時13分 |
6217 | 鐘を鳴らしからくれなゐの消防車が疾駆してゆき雪の歳晩 | たまこ | 12月29日 16時28分 |
6218 | 数へ日の暦の写楽目を剥いて客を呼び込む雪の大店 | 真奈 | 12月29日 16時46分 |
6219 | 写楽斎われの歌詠み真似事に歳晩のとき学び楽しく | れん | 12月30日 13時43分 |
6220 | モーセの杖一振り欲しき大津波大つごもりの出エジプト記 | 文枝 | 12月31日 10時47分 |
6221 | すっぽりとなべてを包む大歳の雪に天降(あも)れる神もあるべし | かわせみ | 12月31日 13時50分 |
6222 | 聖樹となれぬ木々ら穏やかなそれぞれの姿に白き雪を冠りて | 花 | 12月31日 22時25分 |
6223 | 新玉の年の明けたる愛鷹の尾根の高きに白き半月 | れん | 1月1日 12時30分 |
6224 | なかなかに雲から出でぬ初日の出群像黒く浜に溢れて | 蘇生 | 1月2日 07時34分 |
6225 | 天色の蜜滴れる今朝の空ガラスの梟は羽をたたみて | 花 | 1月5日 06時40分 |
6226 | ふくふくとあまたの夢に膨らみし翼たたみて眠るふくろふ | かわせみ | 1月5日 09時27分 |
6227 | ふくろふと貌向き合ひし昼下がり突とひらめく絵文字の心 | 文枝 | 1月5日 21時10分 |
6228 | 星ばかり喰ふて痩せしふくろふに優しき古歌の森に流るる | 真奈 | 1月7日 08時50分 |
6229 | 情況はゆるやかに解けあけぼのの星を喰らいて友よ生き抜け | 花 | 1月7日 08時51分 |
6230 | 幾万の紋白蝶の羽のやう二千五年のあけぼのの雪 | たまこ | 1月7日 14時25分 |
6231 | 幾万のほたる舞ひ飛ぶ海底に六〇年の生をこそ生く | 海月 | 1月7日 21時06分 |
6232 | 耳許に「僕です」の声聞えしか残る蛍のきらきらとして | 真奈 | 1月8日 00時00分 |
6233 | 幾度なく目覚めて夜の浅浅に夜光時計の数字は光る | れん | 1月9日 07時43分 |
6234 | 風音に母の寝息の消されつつ夜光時計の秒針光る | たまこ | 1月9日 15時49分 |
6235 | 生きなむか寒木瓜の空三角に猫の目光る廃屋の庭 | 海月 | 1月9日 17時19分 |
6236 | どのように生きてもさみし高空に辛夷の蕾光あつめて | 花 | 1月9日 17時50分 |
6237 | 冬休み終はれば淋し夜の茶の間グランマ・モーゼスの絵画の世界 | 文枝 | 1月9日 21時12分 |
6238 | わが年を諾ひて佳き年の酒生も死もさて諾へるかな? | 真奈 | 1月10日 06時32分 |
6239 | 木伝いに鳥影のぼる束の間は飲食のこと忘れいるべし | 花 | 1月10日 09時03分 |
6240 | 膨らんでおなかが土を擦りさうな寒の雀が落ち実つひばむ | たまこ | 1月10日 10時04分 |
6241 | キッチンを覗く雀と目が合ひぬパピプペポットの湯は滾りたち | かわせみ | 1月10日 12時23分 |
6242 | ノックして物語またはじまってドレミファソラシド雪の舞ふ夜 | 真奈 | 1月10日 23時47分 |
6243 | 「叩けボンゴ・踊れサンバ」とまねすればカキクケキャットのつぶら目と合ふ | たまこ | 1月10日 23時47分 |
6244 | 飛蚊症かなと見据える4分休符鳶の数羽が高く舞いをり | 蘇生 | 1月11日 09時01分 |
6245 | 尖りゆく言葉を止めてお茶をのむはろばろと鳶の鳴く声はして | たまこ | 1月12日 05時49分 |
6246 | 白梅のこれから凛と咲きをるか勇気を出せと声の聞えて | 海月 | 1月12日 21時51分 |
6247 | 永遠に「第二の性」を語るとも海と大地は女性名詞よ | 真奈 | 1月13日 06時29分 |
6248 | ゆらのとをくるめきわたるゆめのふちかのふくろうにふかいりをして | 花 | 1月13日 08時01分 |
6249 | 風花にノロウイルスの紛れをり黄泉の淵より呼びし梟 | 文枝 | 1月13日 22時03分 |
6250 | 風花の流るる果ての蒼き淵あかき椿が炎のごとし | たまこ | 1月14日 10時13分 |
6251 | いま落ちて息あるごとし寒椿アカペラで聞く風のバラード | 真奈 | 1月15日 07時46分 |
6252 | ひとりへの愛半ばにて椿落つ蕭条と雨は雪にかわりつ | 花 | 1月15日 09時26分 |
6253 | けふ明日と予報の雪を案じつつ坂のぼり行く氷雨降るなか | れん | 1月15日 18時45分 |
6254 | 坂の上はあこがれに似て白い雲のゆるやかにゆく空につながる | たまこ | 1月15日 21時12分 |
6255 | なんでかな氷雨降りをり猫は寝てぼくと空気が息をしてゐる | 海月 | 1月15日 22時35分 |
6256 | 胸に手を置けばゆるやかに上下して眠れる冬の雷鳥を戀う | 花 | 1月16日 10時07分 |
6257 | 拍動をさらに早める氷ノ山(ひようのせん)颪がはこぶ狼の声 | たまこ | 1月17日 11時46分 |
6258 | 雪渓をアイゼンの音さくさくと天狼星を胸に抱きて | 真奈 | 1月18日 06時13分 |
6259 | 胸底に幾日かジラフを抱きおり天変地異の鎮まらぬ地球よ | 花 | 1月20日 07時47分 |
6260 | 首伸ばし麒麟は仰ぐおほ空へもろびとの夢放ちやらんと | かわせみ | 1月20日 09時10分 |
6261 | 空高く麒麟翔ばせよ大欅眉青くして朝の駅頭 | 真奈 | 1月20日 10時51分 |
6262 | 灯籠の空に昇りて祈らむか安らけくあれ安らけくあれ | 海月 | 1月20日 21時00分 |
6263 | 雪道をかさじぞうが祈りを持ってやってくる川に棄てた水子らよ/大きくおなり | 花 | 1月23日 07時52分 |
6264 | 雪道に落ちた胡桃の芽吹くころ乳垂れいちやうの乳飲みに来よ | かわせみ | 1月23日 11時12分 |
6265 | 冬空に欅の枝はスワトウの黒きレースの如く広がる | 蘇生 | 1月23日 12時00分 |
6266 | べうべうと流れ灌頂風の影撓められたる木々の悲しき | 真奈 | 1月23日 22時33分 |
6267 | べうべうとガンジス河の波の間に御霊たゆたひ小鳥さへずり | 文枝 | 1月25日 08時42分 |
6268 | 鶴(たづ)の群れ気流に乗りて舞ひあがり嶺越ゆるとき光の微塵 | かわせみ | 1月25日 08時46分 |
6269 | 蒼穹に磔刑のごと凧がゐる動かずにゐる動かずにゐる | 海月 | 1月25日 14時48分 |
6270 | 銀翼の点となりしを見失う告げ足らぬ目を吾子は残して | 花 | 1月25日 17時26分 |
6271 | 大空に一と引きたる糸雲の先には見えぬ機影あるらし | 蘇生 | 1月27日 06時41分 |
6272 | 台風に薙ぎ倒されし杉山の上にふかぶかと青き冬空 | たまこ | 1月27日 09時54分 |
6273 | 杉の葉は茶に色づきて福々としたり顔なり憎らしきかな | 蘇生 | 1月28日 09時14分 |
6274 | 聞き役はのっぺらぼうにしたり顔相槌を打つ梅干しの種 | 真奈 | 1月31日 08時30分 |
6275 | 忽と逝くALSの友の夫嘆きの底に梅のほころび | 文枝 | 1月31日 09時59分 |
6276 | 盆栽をを土におろしし紅梅のわが丈越ゆるまでの歳月 | かわせみ | 1月31日 11時04分 |
6277 | 紅梅を目白つひばむこのショット予定調和も悪くはなくて | たまこ | 1月31日 20時39分 |
6278 | 吹く風の冷えびえとして里山の白梅ひとつはつかに開く | れん | 1月31日 22時10分 |
6279 | 夜半より疾風が空を吹き抜けて梅の二月の朔は明けたり | 蘇生 | 2月1日 06時22分 |
6280 | 梅の花が今日散りました病床の母の手紙に一輪の影 | 田所勉 | 2月1日 09時40分 |
6281 | をさな母が読み我が読みし古絵本を窓辺に開く猫日和なり | たまこ | 2月1日 11時07分 |
6282 | ゆふ闇にかすか香りのありければ梅咲くらむと盲ひたる父 | かわせみ | 2月1日 11時17分 |
6283 | しろじろとしだれ梅さく衣更着にゆきし記憶もふりまさりつつ | 花 | 2月1日 13時59分 |
6284 | 霜天に鳩笑ひつつ降る降るぞ雲の遠足ぶらららららら | 海月 | 2月2日 14時09分 |
6285 | 笑うこと忘れ来た道戻り行く水の流れる音を頼りに | 田所勉 | 2月2日 22時46分 |
6286 | 遊学の子は渡りしやロンドン橋マザーグースの歌などうたって | 花 | 2月3日 09時36分 |
6287 | 漱石も渡りし橋に佇める汝の影に添ひ母もうたわん | かわせみ | 2月3日 11時34分 |
6288 | 明暗の凍道に佇つ白き月一盞を置くそれからの君 | 真奈 | 2月3日 12時26分 |
6289 | 林檎の香の言葉なりにきそれからの私の底に仄かに香る | たまこ | 2月3日 17時32分 |
6290 | 凍道に林檎がひとつ有りました子守唄など聞かせませふか | 海月 | 2月3日 20時52分 |
6291 | 山盛りに陳列されしりんごパイ夕べには失せ朝な朝なに | 蘇生 | 2月4日 06時38分 |
6292 | 着ぶくれたアダムの拾ふ冬林檎エスポワールの帽を取りつつ | 真奈 | 2月4日 09時05分 |
6293 | 林檎の名あまたを吾に教えたる父の若かかりふと顕ちくる | れん | 2月4日 21時45分 |
6294 | 味爽の朝ひとり紅玉の皮剥けばロンドンゆ届く子のEメール | 花 | 2月5日 08時26分 |
6295 | 竹田てふ子守唄などありまして紅絹の切れ端すれきれました | 海月 | 2月5日 12時56分 |
6296 | ぽっかりと空には赤い紙風船盆がきたよと鳶が啼いた | 真奈 | 2月5日 16時09分 |
6297 | ふらここの鉄の鎖の凍てつきて華やぐ月夜待つは寂しき | 海斗 | 2月6日 11時06分 |
6298 | 木枯らしにふるふシリウス鞦韆の鉄の鎖の感触に似る | たまこ | 2月6日 12時19分 |
6299 | 綾取りの川ならできる何本も母の背に似た雲の懐かし | 真奈 | 2月6日 13時11分 |
6300 | 綾取りのひとり遊びの女童の細きうなじの微かに震ふ | 海斗 | 2月6日 14時53分 |