6301 | 電線は空の綾取り祖母の手より取りし箒や川やすぢ雲 | たまこ | 2月6日 18時21分 |
6302 | あの雲を取ってくれろと猫のいう遊び場なんだもう往かなくちゃ | 海月 | 2月6日 22時48分 |
6303 | 夕雲に拍子木鳴らし防犯とご近所さんが井戸端をする | 蘇生 | 2月7日 05時54分 |
6304 | 「改革は男子の本懐」なんちゃって目を覚まさうね女小人は | 真奈 | 2月7日 08時43分 |
6305 | 寅さんと松陰同じ名前だね無鉄砲だね会って見たいね | 海斗 | 2月7日 23時04分 |
6306 | 美味きもの旬の河豚刺白子酒昔鉄砲さてもさてもや | 蘇生 | 2月8日 07時08分 |
6307 | チバリヨの祈りよ届けひたすらに美味きものなど食ふは惜しかり | 文枝 | 2月8日 09時48分 |
6308 | 美味いものなどこの世には無いのだ祈る今のみ甘味溢れる | 田所勉 | 2月8日 21時33分 |
6309 | 美味きもの喰らふためにと人は生く一椀の水一挺の銃 | 海月 | 2月9日 22時22分 |
6310 | 学校帰りに友と寄りゐし「フランセ」が今もあり窓に葉のそよぐこと | たまこ | 2月9日 23時27分 |
6311 | 本売って本を買ひし日身辺にたえてなかりき今の襤褸は | 千種 | 2月10日 10時14分 |
6312 | 言葉をばたったひとつの武器として君に迫りし若き日の我よ | 茉莉花 | 2月10日 10時51分 |
6313 | 若き日のボーヴォワールはサルトルに哲学で負け文学に行ったとか | 真奈 | 2月10日 22時05分 |
6314 | 鮮明なる敗北感も勝利感もなく生きてきて鳴らす鳩笛 | たまこ | 2月11日 01時10分 |
6315 | 親鸞もモーッアルトもいらざりきわが生のしんしんと餓えてこそあれ | 花 | 2月11日 11時46分 |
6316 | 煙草断ち貴様と一服するためさ櫻の下に案内をせいよ | 海月 | 2月11日 11時53分 |
6317 | 春立ちて桜の枝の黒々と脈じんじんと満つる様なり | 蘇生 | 2月11日 19時03分 |
6318 | 突きあぐるテーマ共生と創造なりディスク思へど駆りたてられり | れん | 2月12日 20時21分 |
6319 | 我が胸に風立てねやも今は春たのむからけつぱれ櫻見よ | 海月 | 2月12日 21時46分 |
6320 | 靱帯は千切れんばかり春寒の風に昨日も明日も半旗 | ぽぽな | 2月13日 00時16分 |
6321 | 春浅き朝の光がたをやかに床の柱の裾を照らしぬ | 蘇生 | 2月13日 07時23分 |
6322 | 朝日さす床にゆうらり眠たさう私の息の詰まる風船 | たまこ | 2月14日 10時10分 |
6323 | 縄文の女神のやうな胸ならび赤・青・白と飛ばす風船 | 真奈 | 2月15日 13時16分 |
6324 | 屋久杉の脇芽を残しなに祈る山の民てふいまは何処に | 海月 | 2月15日 21時49分 |
6325 | 大揺れのなゐに目覚めし春暁のなぜか待ち侘ぶ朝の光を | 蘇生 | 2月16日 06時14分 |
6326 | 飛び起きてニュース確かむ朝の地震胸襟正し今日の御言葉 | 文枝 | 2月16日 07時18分 |
6327 | なゐありて猫の不思議よ寝もやらで机の下に坐つていたよ | 海月 | 2月16日 21時30分 |
6328 | 錆び猫は錆びた階段に座ってゐる緑の大きな瞳だけ貴族のやうに | 真奈 | 2月17日 09時01分 |
6329 | 夫をみる眼差し胸に顔を埋める仕草まつたく猫に降参 | たまこ | 2月17日 18時43分 |
6330 | そう言へば春立つ猫の声色を聞き初めたるはなゐのその朝 | 蘇生 | 2月17日 19時07分 |
6331 | 風花のモザイク模様に舞ひくれば春立ちしかと今朝の寒さよ | 真奈 | 2月19日 10時08分 |
6332 | 「ちちよ、ちちよ」蓑虫は泣く風のむた揺るるばかりの一生なりせば | かわせみ | 2月19日 12時22分 |
6333 | かざはなの ゆふらりゆらり あらはれて ちにおつさきに きゆはまぼろし | 海斗 | 2月19日 12時47分 |
6334 | 風花のドブ板またぎマツカリを異国語と呑む裸電球 | 海月 | 2月19日 14時13分 |
6335 | 折鶴のつばさを畳む夜となりて外の面静かに涅槃雪ふる | 花 | 2月19日 14時26分 |
6336 | 折鶴は白頭山かウスリーか夢に翔びゆく「お休み」の声 | 真奈 | 2月20日 08時46分 |
6337 | マタギてふ何処にもあり我が血にもデルスウザーラお休みなさい | 海月 | 2月20日 11時41分 |
6338 | わが友よ心重くもある夜は『吉野紀行』を読んだらいかが? | 花 | 2月20日 21時54分 |
6339 | 早暁の成田の霞け散らして機首は北へとミラノへの旅 | 蘇生 | 2月21日 07時11分 |
6340 | 水上の都市を思ふよバイトして信長が冬逃げる途なし | 海月 | 2月21日 16時46分 |
6341 | 貴種流離、いづべに熄まん積む雪に血潮のごとき朱実南天 | かわせみ | 2月22日 09時32分 |
6342 | 毀るほど白くなりたる埋み火の朱の吐息の知るや爆ぜるを | 真奈 | 2月22日 11時49分 |
6343 | かって歌はきみを射る火矢心寄せ厭離さみしく焚火をかこむ | 花 | 2月22日 15時49分 |
6344 | 団塊の世代の者ら火を囲み背はだれともわからぬ暗さ | たまこ | 2月23日 10時06分 |
6345 | 老が居て若が居る春思います人は殺すなマッチも売った | 海月 | 2月23日 12時57分 |
6346 | チャッカマン使へぬ人の空マッチ暖へ毛布の二重三重 | 文枝 | 2月24日 08時08分 |
6347 | この空のどこかで小さい子供たちマッチのやうな火を焚いてゐる | かわせみ | 2月24日 08時48分 |
6348 | マッチ擦るつかの間の不安哨戒機禁じられたる小さき十字架 | 真奈 | 2月24日 10時38分 |
6349 | トレンチコートの修司の背[そびら]を想ひつつモカコーヒーはあくまで苦く | たまこ | 2月24日 20時16分 |
6350 | 春近く遠くもありて定まらずポットの茶葉がジャンピングしてる | 花 | 2月24日 20時58分 |
6351 | 修司とは青のジーンズサンダルよクリープのお湯割り飲んで春 | 海月 | 2月24日 21時25分 |
6352 | 遠き日の叛旗顕ちくる雪の朝かごめかごめの幼き面輪 | 真奈 | 2月25日 13時58分 |
6353 | 街灯の明かりを過ぎるぼたん雪過去世も暗し来世も暗し | たまこ | 2月25日 17時54分 |
6354 | 甘美なる夜の記憶の底にふるあれが終りの雪であったか | 花 | 2月26日 13時49分 |
6355 | シチリアの夜の眠りより地を蹴りて踊るサテュロス甘きくびれよ | 真奈 | 2月27日 18時07分 |
6356 | たとふれば夜の路地底溢れくるカストリ色の『晴れた空』なり | 海月 | 2月27日 19時20分 |
6357 | 夢の又夢も頼もし信實の白き輝き梅林を行く | 丹仙 | 2月28日 11時15分 |
6358 | サン・ルイの雪のセーヌを上りゆく長き艀が渦を残しつ | 蘇生 | 2月28日 15時34分 |
6359 | 思ひ出も未練も同じ色に染み流るる艀歌ふわくら葉 | 真奈 | 3月1日 20時48分 |
6360 | わくら葉の浮つ沈みつ流れゆく花水川に冬の靄立つ | 弁慶 | 3月2日 04時15分 |
6361 | 水底にしづもる泥鰌に「春だよ」とくすぐるやうなわくら葉の影 | たまこ | 3月4日 05時25分 |
6362 | ハンセンの患者残せし抱き人形生めざりし児に春を見させよ | 真奈 | 3月4日 07時47分 |
6363 | 去り行きし君に相模の紅白の梅の花咲く春を見せばや | 弁慶 | 3月4日 09時53分 |
6364 | 行着けぬ星のある家なんでかな日枝に梅咲き原付き取ろふ | 海月 | 3月4日 12時22分 |
6365 | 名残雪降る足柄の関の跡紅き梅咲く春のあけぼの | 弁慶 | 3月5日 08時00分 |
6366 | 残雪に時を刻みてひと冬の層なす縞はバウムクーヘン | 蘇生 | 3月5日 10時10分 |
6367 | 地下鉄の階段登り見渡せば春の雪降る霞ヶ関かな | 弁慶 | 3月5日 10時19分 |
6368 | 二月堂の階登りゆく練行の僧の黒衣も滲むあは雪 | かわせみ | 3月6日 00時14分 |
6369 | 網代木も絶えて久しき宇治川に淡雪の舞う雛祭りの朝 | 3月6日 05時17分 | |
6370 | 吊り雛の花やぎをみて出でくれば消残りし雪は黒く汚れつ | 花 | 3月6日 08時01分 |
6371 | つるし雛金目の鯛も泳ぎをりつらつら椿の伊豆の山里 | 真奈 | 3月6日 09時22分 |
6372 | 遠近の人訪れて仰ぎ見る伊豆の河津の桜満開 | 弁慶 | 3月6日 10時05分 |
6373 | 絵島へのしるべの残る古道の小川にかかる大桜かな | 蘇生 | 3月6日 15時22分 |
6374 | 高遠の小彼岸桜咲きにけり江島の住みし庵の跡に | 弁慶 | 3月6日 21時36分 |
6375 | 忍ぶこひ忍ばざるこひ、こひがんの色にでにけり 忍ぶこひこそ | かわせみ | 3月6日 23時28分 |
6376 | わがうちの杳き愛恋雪中のレンテンローズはうすくれないに | 花 | 3月7日 07時26分 |
6377 | 天平の香気ひめたる二月堂大松明のくれないが散る | 蘇生 | 3月7日 09時59分 |
6378 | くれないの桜花散る川筋の小道を行きしかの踊り子も | 弁慶 | 3月7日 10時06分 |
6379 | こんにちは挨拶しをり吾[あれ]もまたレンテンローズの薄紅に | 海月 | 3月7日 20時16分 |
6380 | 草の香と罪のにほひを引き連れてわたし無邪気なキンポウゲです | 真奈 | 3月8日 11時45分 |
6381 | 草の香がたてばたちまち無邪気にも白いマスクで艶をふせをり | 蘇生 | 3月8日 18時28分 |
6382 | 草の香のほのかに香る望月の牧の跡にも犬ふぐり咲く | 弁慶 | 3月9日 08時56分 |
6383 | そこここにふぐりきらきら蕎麦の里こころ紡ぎて友と行く道 | 文枝 | 3月9日 17時21分 |
6384 | 友といて云うことなんかなにもなく犬のふぐりをめっけたとだけ | 海月 | 3月9日 21時21分 |
6385 | 人はみな花の下へと集いゆくいぬのふぐりを踏みつけながら | 花 | 3月9日 22時07分 |
6386 | いぬふぐり薄空色の小さき花土手一面に咲きにけるかな | 弁慶 | 3月9日 22時32分 |
6387 | ぬまたばの闇を横切る灯がひとつ川土手をゆく人のあるらし | たまこ | 3月9日 23時48分 |
6388 | 「いぬふぐり」の歌反戦のうた戻らぬくにさん偲ぶ芝山 | 真奈 | 3月9日 23時49分 |
6389 | 芝原の彼方に雪の富士見えて夕暮れ近き足柄の関 | 弁慶 | 3月10日 00時17分 |
6390 | 朝焼けの富士に背を向け黙々と若布干しをり漁師老いたり | 蘇生 | 3月10日 15時01分 |
6391 | さねさしの相模の原の朝焼けに君と出会いしあの日忘れず | 弁慶 | 3月11日 00時29分 |
6392 | あのままになるのだろうか噴水は涸れてゐたりき風の日なりき | たまこ | 3月11日 03時45分 |
6393 | 瓢箪池も無くなつて無数の友が死んだんだよね火が風巻ゐた | 海月 | 3月11日 14時03分 |
6394 | 噺家のお内儀の建てし慰霊碑に三月十日忘れまじきと | 真奈 | 3月11日 17時46分 |
6395 | 「凧になったかあさん」ぼくはいまもなほ真っ赤な夢から逃れられない | かわせみ | 3月11日 19時02分 |
6396 | 隆よおまえのかあちゃん出べそだろごめんなごめんほんとにごめん | 海月 | 3月11日 22時28分 |
6397 | 悲しきは焔降る夜の隅田川ともがら数多水漬く屍 | 弁慶 | 3月12日 00時03分 |
6398 | 眼裏に三月十日の空の色川は下流へ下流へ海へ | 文枝 | 3月12日 07時52分 |
6399 | 母のなき六十年が過ぎてゆく忘れ雪いつしか消えてゆうぐれ | 花 | 3月12日 08時07分 |
6400 | 悪童もおちゃっぴーもみな死にました宝物だっためんこビー玉 | 真奈 | 3月12日 09時25分 |