6601 | 青海をたゆたひつくす胆あらば埒明く道も案じつくべし | 蘇生 | 6月6日 05時23分 |
6602 | ラチたよるシャドーロールの馬なれば片目を開かむ夏のローカル | 鮟鱇 | 6月6日 19時14分 |
6603 | 山壊し里に追いやり熊の目にスプレーかけてお仕置きだとさ | 雛菊 | 6月7日 22時26分 |
6604 | 因果律因果応報知りてなほ生きとし生けるものの哀しさ | 蘇生 | 6月8日 07時48分 |
6605 | 花巻の駅降り立てば水無月の空は夜鷹の星のレリーフ | 丹仙 | 6月8日 16時43分 |
6606 | 笛の音に誘はれ見上ぐ天の川双子の星の旅物語 | 文枝 | 6月8日 18時01分 |
6607 | 万華鏡アースタワーの中に入り見上ぐる彩り宙(そら)思ひたり | れん | 6月8日 20時08分 |
6608 | 半分は探し物せし自分史の残るページは万華鏡と書く | 真奈 | 6月8日 21時45分 |
6609 | 産声も挙げず生まれし嬰児の自分史今も母の胎内 | 文枝 | 6月9日 07時48分 |
6610 | 哀しいな哀しすぎるよ火垂るの子なんて書きやあいんだろかね | 海月 | 6月9日 18時24分 |
6611 | 悲しとも愛しとも書く「かなし」とはもののあわれのキイワードなり | 茉莉花 | 6月9日 19時58分 |
6612 | 宵あかり白花浮かぶ山法師ひとのかなしみ小雨にぬれて | れん | 6月9日 22時05分 |
6613 | 花先に露をとどめて朝の日に寡黙なりしが名は山法師 | 蘇生 | 6月10日 05時11分 |
6614 | 漢土では四照花と呼ぶ山法師 四方(よも)を照らせよ法(ダルマ)の輝き | 鮟鱇 | 6月10日 12時49分 |
6615 | わが杣に冥加あれかし一隅を守りて千里照らす国寳 | 丹仙 | 6月10日 21時38分 |
6616 | 大いなる悲しみの眼に守られて修羅の涙の星となるらん | 真奈 | 6月11日 09時07分 |
6617 | 真夜中にぽとりと一つ紫陽花は涙のしづく集まりし花 | 雛菊 | 6月11日 10時17分 |
6618 | 紫陽花の白きは歳のせゐなるか憶ふ昔の春の青きを | 鮟鱇 | 6月11日 22時38分 |
6619 | 天地玄黄なれど日の本鎌倉は雨紫陽花の七色に顕つ | 丹仙 | 6月12日 12時01分 |
6620 | 人らみなあじさい寺に集まらば歌壇に声なし天に星なし | 鮟鱇 | 6月12日 22時58分 |
6621 | 紫陽花の花は散らぬとさにあらづきのふひとりの友は旅立つ | れん | 6月14日 13時49分 |
6622 | 大空の絹ひとひらも動かさず友は逝きたり五十路半ばに | 茉莉花 | 6月14日 14時24分 |
6623 | 骨を組み肉を太らす身にあれど花散る夜は月をも恨む | 鮟鱇 | 6月14日 20時43分 |
6624 | 惜しみなく花散る夜のくらがりに遠き無念の魂に出逢ふや | 真奈 | 6月14日 22時39分 |
6625 | 一粒の麦となれかし散る花の数かぎりなしいのちの底ひ | れん | 6月15日 09時21分 |
6626 | 北東の風が大樹の葉を散らし初夏は一転梅雨寒の朝 | 蘇生 | 6月15日 12時10分 |
6627 | 雨降らば野口英世も傘ささむコンビニに買う黒き蝙蝠 | 鮟鱇 | 6月15日 21時15分 |
6628 | 青梅の一つ地に落ちピアニシモ雨降り足らぬ空を窺ふ | 丹仙 | 6月16日 22時23分 |
6629 | 雨靴もレインコートも身につけず闊歩するなり若きをみなは | 茉莉花 | 6月17日 07時20分 |
6630 | 手際よく濯ぎ物干す梅雨晴れ間晴耕雨読は夢のモチーフ | 文枝 | 6月17日 08時05分 |
6631 | 梅雨晴間霧吹きかけし薄物の蜉蝣のごと竿に揺れをり | 真奈 | 6月17日 08時55分 |
6632 | 陽に映ゆる無縫の天衣干す人の影をあふぎてたたずむロミオ | 鮟鱇 | 6月17日 20時31分 |
6633 | 薔薇といふ名前は知らず是の花は永遠の昔ゆ汝のうちに咲く | 丹仙 | 6月18日 07時53分 |
6634 | 羽衣を隠す私の心根を見透かす如き深きまなざし | 海斗 | 6月18日 08時04分 |
6635 | かくすよりいったらいいよ好きならば両手ひろげてとおせんぼして | 鮟鱇 | 6月18日 20時28分 |
6636 | 通せんぼ通せんぼして誰も無い天神様の薄暗がりよ | 海月 | 6月18日 23時15分 |
6637 | 境内の人の影なき手水には暫し明るき空が滴る | 蘇生 | 6月19日 06時16分 |
6638 | ひさかたの空を蜚びゆくあぶら虫 浮く塵の身も羽あり眼あり | 鮟鱇 | 6月19日 09時40分 |
6639 | 無者といふ福音説きし父の日の明るき空に沙羅の花散る | 丹仙 | 6月19日 17時22分 |
6640 | 三代の父存命の平らかな世の萬緑の常しえにあれ | 蘇生 | 6月19日 18時45分 |
6641 | 「路傍の石」読み聞かせれば父の泣く吾一に重なる少年時代 | 雛菊 | 6月19日 21時38分 |
6642 | 父の日に絹のパンツを買ったのさだれが履くのか知らねえけれど | 海月 | 6月20日 01時53分 |
6643 | するすると絹の靴下高く投げカッコ良かった往昔の映画 | 真奈 | 6月20日 13時57分 |
6644 | 鳩時計スイスを笑ふ第三の男の映画みて桜桃忌 | 丹仙 | 6月20日 23時56分 |
6645 | 三十年太宰眠れる街に住み桜桃忌には行かず過ぎたり | 茉莉花 | 6月21日 10時22分 |
6646 | あれこれの明け暮れに追はれ過ぎてゐし海人忌ふと浮かべたれども | れん | 6月21日 14時52分 |
6647 | 明石てふ海で泳いださなんも知らないなんも知らない無銭旅行で | 海月 | 6月21日 19時39分 |
6648 | 列島のおらが浜にはおらが蛸須磨の明石も江戸前もよし | 蘇生 | 6月22日 05時35分 |
6649 | キレのいい鯔背の衆もいなくなり多言語飛び交う今の大江戸 | 茉莉花 | 6月22日 11時59分 |
6650 | わが家は代々江戸に住みをれど母は伊予なり妻は長州 | 鮟鱇 | 6月22日 20時47分 |
6651 | 流感に「久松留守」の札貼れば感染しない江戸ジョークとか | 真奈 | 6月22日 21時15分 |
6652 | 大江戸という名の都営地下鉄のその名の訳を誰か知るかや | 蘇生 | 6月23日 07時12分 |
6653 | しみじみと都会の孤独噛み締めり迷子の子猫麻布十番 | 文枝 | 6月23日 07時32分 |
6654 | 若きころの東山魁夷の表紙絵にであう楽しみ銀座の画廊 | 雛菊 | 6月23日 10時43分 |
6655 | 年寄れば思ひ出ばかりが増えてをり列なす蟻をひねもす数ふ | 鮟鱇 | 6月24日 21時29分 |
6656 | 碌々となほ生きてあり蟻のごとき6666ゲットを狙ふ | 堂島屋 | 6月25日 13時36分 |
6657 | 時にあい連作和歌に日次して五歳千首は指呼の間に | 蘇生 | 6月25日 17時49分 |
6658 | 合歓の花ねむりに落ちる掌を時のしっぽはすり抜けてゆく | ぽぽな | 6月25日 22時04分 |
6659 | 合コンは合歓のなまるにはあらねども時は酒なり恋も酒なり | 鮟鱇 | 6月25日 22時42分 |
6660 | 紆余にては悲喜交々に酒ありき末は交々酒を愛でなむ | 蘇生 | 6月26日 05時57分 |
6661 | 袈裟を脱ぎ叫びて踊る佐渡おけさ醒めて迎へる今朝のやす酒 | 鮟鱇 | 6月27日 22時51分 |
6662 | わが名いかで惜しまざらむと澄江堂風に舞ひたる艶のすげ笠 | 真奈 | 6月28日 17時11分 |
6663 | たちあがる蓮の群れにやすらぎぬ風わたりきてひとひらの舞ふ | れん | 6月29日 07時19分 |
6664 | ゆらぎつつ色を秘めたる花の芽の今朝は満ちたり凌霄の花 | 蘇生 | 6月30日 05時17分 |
6665 | リビングにラベンダーのかをり満つリボンで包まむこのひとときも | 雛菊 | 6月30日 20時39分 |
6666 | 空青く丘いちめんのラベンダー時間につけよ永き休止符 | 真奈 | 7月1日 11時57分 |
6667 | 梅雨の間の空の青さや紫の山虎の尾のはやゆれて咲く | れん | 7月1日 17時51分 |
6668 | 梅雨の間の明るき海の潮の目に鳥山立ちて遠ざかりゆく | 蘇生 | 7月2日 19時14分 |
6669 | サイパンのバンザイクリフに海さけぶ国のほまれはゆめ説くまじと | 鮟鱇 | 7月2日 23時25分 |
6670 | 潮騒の微か遥かに戻り来る常なるものはいづこなりやと | 海斗 | 7月3日 23時02分 |
6671 | 磯を這う潮の音が長調にすでに真夏は波のまにまに | 蘇生 | 7月4日 05時16分 |
6672 | 海底にチェロ響きたる鳥の歌一片の自由空に求めて | 真奈 | 7月4日 05時23分 |
6673 | 一片(ひとひら)へこころ托しぬ知らづして山棲みの花の自由の底ひ | れん | 7月4日 07時38分 |
6674 | 山棲みの花鳥諷詠思ふまま天地こぞりてシャッターチャンス | 文枝 | 7月4日 08時07分 |
6675 | 鳥に空 蝶に花あり人に歌 池に首あり亀らにカメラ | 鮟鱇 | 7月5日 19時47分 |
6676 | 花鳥の奥を尋ぬる旅にして生れしばかりの星撮らんかな | かわせみ | 7月6日 09時10分 |
6677 | 梅雨の間に薄曇りたるもうれしきか年にひと夜の星合の空 | 真奈 | 7月7日 12時10分 |
6678 | ほうたるに誘かれてゆく星合は母の産土もうあらぬ村 | かわせみ | 7月7日 22時50分 |
6679 | 古代蓮幾千年もの眠りより覚めて咲きたるその産土に | 雛菊 | 7月9日 08時35分 |
6680 | ロータスと呼ばれし紋様砂漠なる古代にのこるロマン聞きたり | れん | 7月10日 07時42分 |
6681 | 蓮の実を胸に抱きて眠り姫とはに目覚めず月の砂漠に | かはせみ | 7月10日 15時56分 |
6682 | 竹林の涼しき風にひと時の夢にうつつに思う姫あり | 蘇生 | 7月11日 07時00分 |
6683 | 仙人球(サボテン)の中にも姫は眠りをりささやきかけらば日語を覚ゆ | 鮟鱇 | 7月12日 07時40分 |
6684 | 大地より響もす聲は恨(ハン)の國パンソリといふ弔ひの唄 | 丹仙 | 7月14日 23時24分 |
6685 | 底籠る恨のひびきよパンソリを謡うオモニの遠き眼差し | かわせみ | 7月15日 00時19分 |
6686 | 残照に円を描きて昇りゆく鳶は高空祈る如くに | 蘇生 | 7月18日 18時48分 |
6687 | 残照に灼ける路地底南口マッカリ呑んで今宵も喧嘩 | 海月 | 7月19日 22時45分 |
6688 | 今君は夏果つる日の武蔵野館と詠ひし友の永遠に眠れり | 真奈 | 7月19日 23時23分 |
6689 | 老いの日の果つるはいつか有らむとて楽しく目覚む明日の吾あり | 蘇生 | 7月20日 17時38分 |
6690 | わが財布冷凍庫内に三日居てこの現実を老いと笑おう | 雛菊 | 7月20日 19時42分 |
6691 | ボケたふり死んだふりして老いの知恵フリーズ財布も神の恩寵 | 真奈 | 7月25日 14時07分 |
6692 | フリーズ財布の紐締めなほし老いてなほ心はあつく保ちて往かな | かわせみ | 7月28日 01時37分 |
6693 |
-「ねむの木のこどもたちとまり子展」にて - まり子さんに導かれたる子どもらの歌声清く心あつくなり |
雛菊 | 7月28日 07時58分 |
6694 | 終りまで聴いたことなきラジオあり鐘が鳴りますキンコンカンと | 海月 | 7月28日 17時37分 |
6695 | 蓮なるめでつつ鳴るは鐘楼堂朝の響きの深くしみくる | れん | 7月28日 22時44分 |
6696 | 朝涼の清かな風に交わりつ午前六時の鐘がとどきぬ | 蘇生 | 7月29日 05時11分 |
6697 | 一声を鳴きて渡りぬ不如帰このあかときの夢に入りきて | かわせみ | 7月29日 10時09分 |
6698 | 一枚の切符となりし不如帰少年の眸もて遠ざかり行く | 真奈 | 7月29日 10時50分 |
6699 | 屋根棟に四十九日は留まりて一座に一言もの申すらん | 千種 | 7月29日 16時13分 |
6700 | 申しおくこと並でいい君ひとりおればよいのだ曼珠沙華咲く | 海月 | 7月30日 20時45分 |