7137 |
電線に凍雀並べば春が来て梅に花あり人に風あり |
深海鮟鱇 |
1月14日
21時38分 |
7138 |
光りみな昨日の雨に洗われて寒の草木が春めきてをり |
蘇生 |
1月15日
09時36分 |
7139 |
コ〜ンとな全山春よ苔光り脇芽出したる屋久杉の斧 |
海月 |
1月15日
21時34分 |
7140 |
数日の寒には温き雨降りて日ごと伸びたり梅の枝先 |
蘇生 |
1月16日
12時08分 |
7141 |
梅咲いて庭に鶴無く盗みしは春風なりと亭主のたまふ |
深海鮟鱇 |
1月18日
13時26分 |
7142 |
ざざざんと篠竹ゆする北風にねこ呆然とサイレン聞こゆ |
海月 |
1月19日
11時31分 |
7143 |
北風に揺るる枝にも芽がはらみ紅梅盛る日も遠からじ |
蘇生 |
1月19日
16時07分 |
7144 |
東京も明日は雪の町になる悩める人よ安けく眠れ |
ぎを |
1月20日
14時14分 |
7145 |
夢醒めてまこと世間は雪のなか布団に巣篭もる我も君も |
深海鮟鱇 |
1月21日
07時59分 |
7146 |
夜明けても止むことのなき雪道を真っ赤な傘がならび行くなり |
蘇生 |
1月21日
09時58分 |
7147 |
少納言よ香炉峰の雪いかにと尋ねし定子の声の優しき |
弁慶 |
1月22日
07時23分 |
7148 |
森森と香炉に雪の降る夜はまこと銀河が天より落つる |
深海鮟鱇 |
1月22日
09時04分 |
7149 |
香こもる寺苑のみちを歩みたり桜さかりのわかれぞ遠く |
れん |
1月22日
13時15分 |
7150 |
白梅に先立つ紅のふくらみに香りたつ日を心待つなり |
蘇生 |
1月22日
20時09分 |
7151 |
残り雪肉球捺して猫のゆく紅と見しきみが泪や |
海月 |
1月23日
15時37分 |
7152 |
さざ波のひねもす如く降る雪に弓なる浜は白く染まりぬ |
蘇生 |
1月23日
18時33分 |
7153 |
メルヘンはもう歌へない冬の海六本木ヒルズ鰐の悲鳴が |
真奈 |
1月24日
14時44分 |
7154 |
苦学あり功立てむの思い善くも金では買へぬ徳ぞ哀しき |
深海鮟鱇 |
1月24日
21時14分 |
7155 |
心まで買うると言いし冒涜を咎め立てなき世上哀しき |
蘇生 |
1月25日
05時56分 |
7156 |
黄金の牡牛に群がる群集は地上の縮図モーゼはどこに |
ぎを |
1月26日
10時50分 |
7157 |
牛もまた輪廻転生の階踏まば何れ天にて菩薩とならむ |
深海鮟鱇 |
1月27日
07時55分 |
7158 |
階梯を昇りて月に届かんか継ぐのはなにか猫かも知れん |
海月 |
1月27日
18時12分 |
7159 |
明け暗れの星へ伸べたる冬の木が影絵の如く旧正の朝 |
蘇生 |
1月29日
06時09分 |
7160 |
月あらぬ旧正に買ひ月餅を豊かな頬の君に送らむ |
深海鮟鱇 |
1月29日
11時07分 |
7161 |
明けいろのあかくそまりし明けくれの明くる明りに明けのあかぼし |
蘇生 |
1月30日
05時27分 |
7162 |
明野町ふと甦(かへ)りくる記憶あり幾十年の束の間なりき |
れん |
1月30日
20時24分 |
7163 |
行き違いすれ違いては別れゆく束の間佇むちまたよ今生 |
ぎを |
1月30日
21時55分 |
7164 |
今生の別れとなるや八衢の行き交ひ繁き人にまぎれて |
かわせみ |
2月2日
20時40分 |
7165 |
煙突に薄煙立つ夕焼空無言の列に紛れ切れない |
海月 |
2月2日
21時28分 |
7166 |
切なさの涙噛みしめ追いゆけば振り返らずに遠ざかる背よ |
茉莉花 |
2月3日
09時30分 |
7167 |
求むべき西の浄土に旅立たむこの世の花は雨に譲らむ |
深海鮟鱇 |
2月3日
20時39分 |
7168 |
掌に西方の蝶遊ばせて飛天の楽に笑まふ弱法師 |
真奈 |
2月5日
06時45分 |
7169 |
なにげなく東に向けた飛蚊の目まばらに笑みし紅の梅が枝 |
蘇生 |
2月6日
17時58分 |
7170 |
億万の雪片ふりつむ夜の道うしろを向いてもうしろはうしろ |
ぎを |
2月7日
01時58分 |
7171 |
そんな夜は志ん生なんざ聞きながら蒲団被ってひとり泣くんさ |
海月 |
2月7日
07時46分 |
7172 |
昨今は男泣きこそ減りにけり女に振られ猫が鳴きをり |
深海鮟鱇 |
2月7日
08時05分 |
7173 |
美しき五月を待とうたびら雪ねんねこ火燵の子猫のように |
ぎを |
2月7日
21時15分 |
7174 |
キリコキリコ順三郎のクレー夕焼だんだん子猫あいさつ |
海月 |
2月7日
22時07分 |
7175 |
寒の朝ふと思いたりのら猫に丈の雪ふる北では如何 |
蘇生 |
2月8日
05時59分 |
7176 |
黒猫に雪降りゆかばブチとなりやがては白き野に消へゆかむ |
深海鮟鱇 |
2月8日
08時09分 |
7177 |
春泥に足をとられて新調の淡き上下がブチとなりぬる |
蘇生 |
2月8日
18時51分 |
7178 |
風寒く名のみの春に倦む人よ光の春に眼晴らせよ |
ぎを |
2月10日
01時13分 |
7179 |
薄氷を割りて水浴む雀子の尾羽根きららに春の光が |
かわせみ |
2月10日
08時19分 |
7180 |
問われればスギの花粉を閉じ込める名のみの春を今は所望す |
蘇生 |
2月10日
08時30分 |
7181 |
春なれば空也てふ僧歩みゆきすずめいろどき水は温いか |
海月 |
2月10日
21時59分 |
7182 |
さよならが近づいてきぬポインセチアの色黒ずみて早春の光 |
かげ |
たまこ |
7183 |
花はくろ人に白髪の定めあり髑髏にあるは万寿の愁ひ |
深海鮟鱇 |
2月11日
00時01分 |
7184 |
人生は別離に足るや花ふふむ二月逃げるな三月去るな |
ぎを |
2月12日
00時35分 |
7185 |
春愁の季(とき)とはちかしも如月の雨の夜明けを鳴く猫の声 |
たまこ |
2月12日
06時29分 |
7186 |
季を超へさきもりびとの声聴こゆ妻(め)の恋しふて野芹摘んと |
海月 |
2月12日
17時51分 |
7187 |
過ぎし日に確かあったと懐かしく記憶を探るわれをわれ見る |
蘇生 |
2月13日
06時27分 |
7188 |
われを見るわれをばここに名付けなば純粋自我と呼ぶにしかずや |
深海鮟鱇 |
2月13日
10時21分 |
7189 |
考ふる葦となるべく如月の岸辺に葦は生ひそむるかな |
かわせみ |
2月13日
18時57分 |
7190 |
ふさなりの丸み手のうち鬼胡桃実も葉も剥がれて川岸に立つ |
ぎを |
2月13日
19時44分 |
7191 |
破れ舟の亀鳴きをりき汽水域渡らんかいね月も出たれば |
海月 |
2月13日
21時25分 |
7192 |
夜の喇叭右も左も月の色をみなの系の海が恋しい |
真奈 |
2月13日
21時46分 |
7193 |
たぶん海を湛へてをらむ寒の夜の窓に滲めるあの蒼い星 |
たまこ |
2月14日
01時57分 |
7194 |
トゥテクゥー夜の喇叭に応ふるや嫦娥(つき)のをみなはこよひ舞ひ舞ふ |
かわせみ |
2月14日
09時56分 |
7195 |
冴え返りゆるみ返って夜気さやか素手ともなれば手が手を慕う |
ぎを |
2月15日
01時23分 |
7196 |
いたみゐる吾のまえに君あらはれて素手となりにし荷づくりくれき |
れん |
2月15日
08時21分 |
7197 |
蟇の舞ひ美といふものの哀しいに吾かにもあらぬ兎と杵の |
海月 |
2月15日
09時11分 |
7198 |
老いやすき少年なれど志もちて舞ふらん蟇となりても |
真奈 |
2月16日
05時40分 |
7199 |
今更と思えどゴルフレッスンの褒めの言葉の嬉しきことを |
蘇生 |
2月16日
07時17分 |
7200 |
老耄の渚に微笑むこの母がピアノを教へて厳しかりにき |
たまこ |
2月16日
07時26分 |