7301 | 幽庭にいとど散りたる紅塵を踏んで去り行く春風か君は | 深海鮟鱇 | 4月14日 06時44分 |
7302 | 春の日の庭を斜めに切る影は鴉にあらむ羽音がきしむ | たまこ | 4月16日 10時49分 |
7303 | からたちの花ふれかてに咲く春の夕へうばらの君ならなくに | ぎを | 4月16日 21時01分 |
7304 | 夕焼空雀子たかたか歩きおり密談なるか三羽寄り添ひ | 海月 | 4月17日 07時46分 |
7305 | 古き日の三羽烏のドキュメントそろそろ始む身辺整理 | 文枝 | 4月17日 11時32分 |
7306 | 身のめぐり整理いくたび思ひしか整はぬまま富士の白雪 | れん | 4月17日 17時32分 |
7307 | 思い出の整理をしつつ削ぎゆけばついには笑う髑髏となりぬ | 深海鮟鱇 | 4月18日 08時26分 |
7308 | 銀河のやうに煙つてゐたと誰か言ひみんなの気持になじむ結論 | たまこ | 4月18日 13時04分 |
7309 | わたくしを揺さぶる展開ほしくなる新玉葱をシャリリと噛めば | 雛菊 | 4月18日 19時53分 |
7310 | 幾度のほぞを噛みつつ生きつぎぬ魂のそこより希ふやすらぎ | れん | 4月18日 20時34分 |
7311 | 一日の疲れ湯船に身を任せ小さき者の唄にやすらぐ | 文枝 | 4月19日 08時08分 |
7312 | 窓の外子どもの声に目を覚まし春うららかな日曜の午後 | 調 | 4月19日 22時26分 |
7313 | 背に余る色とりどりのランドセル集きて散りて駆けて転げて | 蘇生 | 4月20日 05時24分 |
7314 | ランドセルに鉛筆カタカタ鳴らしつつ吾は駆けにき我が子も駆ける | たまこ | 4月20日 15時29分 |
7315 | 赤色に蝶の描かれたランドセルわれの記憶の目にぞ甦りぬ | れん | 4月20日 20時57分 |
7316 | ランドセル駆ければ音する筆箱とノ−トの踊る板橋の上 | 弁慶 | 4月20日 22時10分 |
7317 | 天仰ぎふたりで渡りし板橋は今ただひとり揺れて渡りつ | 小調 | 4月20日 23時41分 |
7318 | 春の獅子駆け去るごとく雨晴れて一人ゆく君いやしけ吉事 | ぎを | 4月21日 00時54分 |
7319 | 轟々と春の嵐が吹き荒れて愁いひととき霧に散りたり | 蘇生 | 4月21日 09時00分 |
7320 | 春風になびく欅の新葉の先は薄紅はじらふやうに | 雛菊 | 4月22日 11時15分 |
7321 | うさもろと散りゆく花の春の風つかれたる身にあおぞら深し | れん | 4月22日 20時32分 |
7322 | 白薔薇の花びら端よりまたなえて反りゆく雨の春日に思ふも | ぎを | 4月23日 18時25分 |
7323 | 春霖の相合い傘は軽やかにあなたの顔が右肩の上 | 小調 | 4月23日 19時40分 |
7324 | 春の霧晴れ行く山を眺むれば色とりどりの木々の若葉よ | 弁慶 | 4月23日 21時22分 |
7325 | 子規鳴いて俳句の森の鶯の鳴かざる夏は緑一色 | 深海鮟鱇 | 4月23日 23時15分 |
7326 | 風を聞く太古の耳はたちまちに哭く蜀魂その声を知る | 真奈 | 4月24日 00時06分 |
7327 | 春風を聡く聞く為の耳として椋の老樹が茸を生やせり | たまこ | 4月24日 00時27分 |
7328 | 道辺の椋の梢の音清さか春風ぞふく小夜の中山 | 弁慶 | 4月24日 22時59分 |
7329 | 夜明け前闇のしじまが揺れ動く出庫注意のブザーの音(ね)かな | 小調 | 4月25日 00時33分 |
7330 | 少年期明るき目して自転車の菜の花畑駆け抜けにけり | 真奈 | 4月25日 10時18分 |
7331 | 三十路にて戦時迎えし母が今航路の果てに生死さまよう | 蘇生 | 4月25日 15時25分 |
7332 | 時の間の花も思ひもうち散らし春の嵐は過ぎ去りにけり | ぎを | 4月26日 01時43分 |
7333 | みのめぐり過ぎゆきのこと思ひなし静寂なれるありどにきづく | れん | 4月26日 06時10分 |
7334 | 夕立受け山に今年もミモザが咲き満ちて別れしはほんの昨日のやうな | たまこ | 4月28日 09時44分 |
7335 | 立しまま目薬差さばおのづからイナバウァ−となるにけるかも | 弁慶 | 4月28日 10時26分 |
7336 | ひなげしの花は華やか茎細く長くまっすぐモデルの姿 | 小調 | 4月30日 19時18分 |
7337 | すみれ咲く門を過ぎれば犬がいて花盗むかとわれに吠えたり | 深海鮟鱇 | 5月1日 20時29分 |
7338 | 静けさもたやすく破れ門を出づ行方もしらぬ途は傾斜へ | れん | 5月2日 00時40分 |
7339 | 自転車で坂を下れば思い出す友と走った制服の暮れ | 小調 | 5月2日 06時18分 |
7340 | 沈みゆく陽へくだりゆく坂の風 時は追い越す人と人影 | 深海鮟鱇 | 5月2日 07時57分 |
7341 | 古もかくや愛しき人思へば多摩川崖に青嵐立つ | ぎを | 5月2日 10時45分 |
7342 | おもふさま辛き四年を臥していま遺影にいとし母の福耳 | 蘇生 | 5月2日 12時42分 |
7343 | ひたすらに越えこし辛さなにならむ生命(いのち)ある身の掟にあるや | れん | 5月3日 06時57分 |
7344 | ぎっくりと詩魔わが腰を打ちにけり砕けて沈む黄金週間 | 深海鮟鱇 | 5月3日 07時27分 |
7345 | ふるさとの桜はついに目を開けず沈む心に岩木山笑ふ | 雛菊 | 5月3日 08時19分 |
7346 | 竹の子に独活にタラの芽蕗に芹里山満載弟が来た | 寂 | 5月4日 09時29分 |
7347 | 津軽野に櫻咲く日の近からむ岩木の山の微笑むがごと | 弁慶 | 5月4日 22時07分 |
7348 | 岩木山笑ふ裾野に生受けて友は笑みつつ逝きて五年目 | 文枝 | 5月5日 14時56分 |
7349 | 幼きに手をかざしたるふた瘤の有珠山は無く母も逝きたり | 蘇生 | 5月5日 18時25分 |
7350 | タラの芽を水挿し陽に当て少しでも太らせやうと伯母のもてなし | 雛菊 | 5月5日 21時04分 |
7351 | 陽だまりの中を駈けてく子どもたち君とわれとの子を思いつつ | 詠人知らず | 5月6日 23時40分 |
7352 | もう若くはないと思ひつ恩寵の錯誤なるかな麗はしのとき | 真奈 | 5月7日 16時45分 |
7353 | 陽だまりの中を駈けてく子どもたち君とわれとの子を思いつつ | 小調 | 5月7日 18時26分 |
7354 | 還暦にさらに干支など重ねても日々に思うは老いはひとごと | 蘇生 | 5月7日 19時43分 |
7355 | 思ひつつ日長くなりぬ早緑の若葉もむなしくはや夏立ちぬ | ぎを | 5月7日 23時45分 |
7356 | 悲しみの淵むなしくもたちもどる長らふことのせつなさにあり | れん | 5月8日 16時29分 |
7357 | 現世の悲しみ壷に封じ込め背に太陽画架に向かひぬ | 文枝 | 5月8日 17時33分 |
7358 | あかねさす長き廊下ですれ違ふ走るつむじは球児に似たり | 小調 | 5月8日 22時42分 |
7359 | あかねさす高き木々の枝の先山藤薄き紫のふさ | 弁慶 | 5月9日 19時27分 |
7360 | 緑なす谷(やつ)に色なす山藤の高みにゆれて夏は来にけり | 蘇生 | 5月11日 08時51分 |
7361 | はやも夏さびしく偲ふ人ゆゑに卯の花くたし音も花もなく | ぎを | 5月12日 00時46分 |
7362 | 講義する机の紙片をひるがえすあわてふためき夏は来にけり | くりおね | 5月13日 08時48分 |
7363 | 繚乱の花も冷雨に翳さしぬ母も逝きたり夏は来ぬかや | 蘇生 | 5月13日 09時33分 |
7364 | 共に行きし最後は初夏の霧ヶ峰 蓮華躑躅に朱に染まりいき | たまこ | 5月13日 20時58分 |
7365 | 夏の雨この世の仕事成し遂げて母は逝きたり行きつ戻りつ | くりおね | 5月14日 09時55分 |
7366 | 夏薊うすくれないの花のなか小さき雨の雫残れり | 弁慶 | 5月14日 10時47分 |
7367 | 繁りては紛れるほどの梅の葉の緑の雨にそぼ濡れてをり | 蘇生 | 5月14日 11時00分 |
7368 | はつ夏のあまい旋律言の葉のひかりとかぜにたわむれてをり | くりおね | 5月15日 06時34分 |
7369 | はつ夏の風にゆらめく乙女らの緑の髪の美しきかな | 弁慶 | 5月16日 23時02分 |
7370 | 干潮の浜に満ちたる磯の香のいつとは無しに夏は来にけり | 蘇生 | 5月18日 08時30分 |
7371 | 夏の朝山川草木皆悉佛と称えて僧は峠越え行く | 弁慶 | 5月18日 10時02分 |
7372 | ま幸くと願ふに万花をくたす雨ふれる今朝より手術つづくも | ぎを | 5月18日 10時40分 |
7373 | きりさめに隠れてまたもあらはるる薄むらさきの桐の花なり | れん | 5月18日 15時39分 |
7374 | 「恋」は「孤悲」だよってひっそりと桐の雨降るむらさきの花 | 真奈 | 5月18日 21時26分 |
7375 | 五月雨の峠を一人越えて行けば薄紫の桐の花みゆ | 弁慶 | 5月20日 03時35分 |
7376 | 母を護り寡婦を通しし祖母なりき谷間の空に高く咲く桐 | たまこ | 5月20日 14時00分 |
7377 | たかだかと聳えて咲くはむらさきの桐のはななり彷徨ひしころ | れん | 5月20日 16時02分 |
7378 | 奥山の真木の密林黒々と中に紫桐の花かな | 弁慶 | 5月21日 18時00分 |
7379 | 闇深き原生林を背(そびら)にし夢中山幻住寺とぞ誰がつけし名か | たまこ | 5月21日 22時02分 |
7380 | 外にも出で胸をもひらき薫風の五月を行かんか誰が恋となく | ぎを | 5月22日 01時40分 |
7381 | 額ほどの庭を彷徨うまだら猫追えどもゆるり五月の風に | 蘇生 | 5月22日 08時24分 |
7382 | ふるさとの宿のガラスに額をつけ夜の街灯り眼をとづる | れん | 5月22日 15時53分 |
7383 | 閉づる眼のなきなめくじにへのへのと目鼻を書きて過ぐる人の世 | 深海鮟鱇 | 5月23日 20時23分 |
7384 | みどりなす五月の風にふかれつつ面影橋を渡る君かな | 弁慶 | 5月24日 06時42分 |
7385 | 雷の夜しづかに秒針い巡れり今頃いづくに君いますらん | ぎを | 5月24日 21時46分 |
7386 | 遠雷の途絶えし後の山脈の上なる雲の夕焼けの色 | 弁慶 | 5月25日 23時45分 |
7387 | 頬染めて雲乗る人の帰りゆく巫山の空に朝は明けゆく | 深海鮟鱇 | 5月27日 06時49分 |
7388 | ブランコに忘れし『のんちゃん雲に乗る』小学校の跡も今なく | たまこ | 5月27日 23時46分 |
7389 | 廃村の真中に広き空き地あり村立尋常小学校跡 | 弁慶 | 5月28日 01時18分 |
7390 | 人ら去り草木深き山河あり時に感じて鳴きをる鳥ら | 深海鮟鱇 | 5月28日 08時31分 |
7401 | 我町に郭公啼いて夏が来た尾っぽふりふり屋根であいさつ | 雛菊 | 5月28日 19時27分 |
7402 | 老鶯の谷また谷の囀りにショットに立ちて暫し愛でをり | 蘇生 | 5月28日 20時27分 |
7403 | 甘き香に誘われ森に分入ればおがたまていふ花の咲きしよ | 寂 | 5月30日 00時37分 |
7404 | おがたまの薄紫の花の香や慰められてさらに哀しく | たまこ | 5月30日 03時00分 |
7405 | なんの木とかって問いたるおがたまの花が社に香る初夏 | 蘇生 | 5月30日 06時00分 |
7406 | 我が魂もあくがれ出でな招霊の花薫りたつ五月の闇に | ぎを | 5月30日 21時52分 |
7407 | 五月闇物ともせずに峠道越ゆれば海に昇る朝日よ | 弁慶 | 5月31日 00時30分 |
7408 | 招霊のいにしえよりのひびきあり甘き香りのひともとの帯 | くりおね | 5月31日 07時32分 |
7409 | 落ちゆける後醍醐天皇の手触れしと伝はる桜の今年の若葉 | たまこ | 5月31日 11時18分 |
7410 | 実朝を偲ぶ縁の大公孫樹老い曝ひて青葉悲しき | 蘇生 | 6月1日 08時24分 |