7601 | ぼんぼんと生きつつなほも理念のみ高くとらえし相克ふかし | れん | 11月13日 18時56分 |
7602 | 子どもらが未来を捨てて命絶つなぜになぜにとうそ寒き朝 | 蘇生 | 11月14日 08時14分 |
7603 | いのち絶つ子らの残せし訴へに傷まぬものか角なき鬼よ | 深海鮟鱇 | 11月14日 10時06分 |
7604 | 学び舎のみ生きる世界にはあらじ死に急ぐなよ若き人たち | 楓 | 11月14日 10時31分 |
7605 | いじめなり虐待なりしは無知なるか生育歴の足らざる思ふ | れん | 11月14日 15時36分 |
7606 | いじめられ図書室に一人読みながら時間を去なす事を覚えぬ | たまこ | 11月15日 13時57分 |
7607 | ことのはの いたはるこころ かぎりなく うたひあふなら いのちいきいき | しん | 11月15日 16時58分 |
7608 | ことのはの散りゆくごとにシカトされ鹿と向きあう六十の秋 | 深海鮟鱇 | 11月16日 09時37分 |
7609 | 風に散る木の葉を見てをり朝からの私の言葉をもはや忘れて | たまこ | 11月16日 11時54分 |
7610 | 風吹けば空高く舞う欅の葉表参道冬真近なり | 弁慶 | 11月16日 20時18分 |
7611 | 気づきたる表参道の花恵びる歳月街もわれも飛び越えて | れん | 11月17日 11時36分 |
7612 | 未舗装の土の触りの心地良き桜紅葉の段かずら道 | 蘇生 | 11月18日 05時40分 |
7613 | 奥入瀬の瀬音真近き宿に来て夕日に映える蔦紅葉見る | 弁慶 | 11月18日 08時45分 |
7614 | 時雨時雨の十和田の旅のつかのまの晴れ間に小さき虹立ちしこと | たまこ | 11月19日 00時50分 |
7615 | ヒメマスの塩焼き食べて思うかな和井内貞行なる人のこと | 弁慶 | 11月19日 09時36分 |
7616 | ぐんぐんと流れを逆に黒々と鮭は群れたり瀬に背立てつつ | 蘇生 | 11月19日 12時07分 |
7617 | 鮭こそは末期に撒かむ清流に精虫百億銀河のごと | 深海鮟鱇 | 11月20日 09時47分 |
7618 | 思い出は銀河にも似ていくつかの鋭く光る星のかなしさ | たまこ | 11月21日 00時57分 |
7619 | いきゆくは難しと思ふ星くずのちひさきにならむ銀河の底に | れん | 11月21日 08時59分 |
7620 | 人の世をただに過ぎ来し航路なり波風起たず頭髪に銀河 | 深海鮟鱇 | 11月21日 10時01分 |
7621 | 強くならう銀の薄の原をただ一匹でゆく狐のやうに | たまこ | 11月22日 01時11分 |
7622 | 淋しさは自我の渇きか一人発つ「遥かな町へ」さまよふ父は | ギオ | 11月22日 12時46分 |
7623 | 目の前の父母が一緒のポートレート昔のままに今もそのまま | 蘇生 | 11月23日 06時55分 |
7624 | ねむりよりさめてきこゆは母のこえ生きなさいとぞはるかをこえて | れん | 11月23日 07時15分 |
7625 | ちちははの居ますが如く朝の膳しつらえ終えて手を合わす妻 | 弁慶 | 11月23日 07時53分 |
7626 | 西方のキャンバスいっぱいちちははは笑まふがごとく励ますごとく | 真奈 | 11月23日 19時47分 |
7627 | 真つ直ぐに図書館に続く銀杏並木かの青春をくれし父母 | たまこ | 11月23日 22時25分 |
7628 | 銀杏散る真っ直ぐな道歩みつつ君と語らいし彼の日懐かし | 弁慶 | 11月24日 01時00分 |
7629 | 銀杏葉の散りしくつづく空のしたビュフェ作品をあまたみし後 | れん | 11月24日 16時11分 |
7630 | ビュッフェの描く黒き林の風の音サンタマアリア闇に消えゆく | たまこ | 11月24日 23時31分 |
7631 | ビュッフェの絵の暗き男の三角の顔に良く似た哲学の師よ | 弁慶 | 11月25日 00時06分 |
7632 | この枠の せまき窓かな 横ほそめ たてよこ四角 筆がはしれば | 眞 | 11月25日 14時06分 |
7633 | 小さなる障子の枠の紙あけてインスタレーション風の跡とぞ | れん | 11月25日 23時09分 |
7634 | 張り替えし白き障子の光りなか二羽の小鳥の影が去りゆく | 蘇生 | 11月26日 05時54分 |
7635 | 色づきし木の葉で障子の破れめをふさぎし祖母の今日は命日 | たまこ | 11月26日 12時09分 |
7636 | 哀しみを木の葉ひとつで化けてみる技もなかりし雨ふる真夜は | れん | 11月27日 01時45分 |
7637 | 隙間なく壁を覆いしかの蔦がまばらな紅を壁に散らしぬ | 蘇生 | 11月27日 06時32分 |
7638 | 蔦紅葉古き社の庭の隅苔むす杉の上の枝まで | 弁慶 | 11月28日 00時52分 |
7639 | 紅葉の向かいの山に木霊する媼が田圃に藁を打つ音 | たまこ | 11月28日 23時22分 |
7640 | 多摩川に紅葉流るる朝まだき砧の音の遠く微かに | 弁慶 | 11月29日 21時13分 |
7641 | 庭先にハイビスカスの大輪が帰化した様に咲く師走かな | 蘇生 | 12月1日 07時12分 |
7642 | 過ぎし世に梅も帰化せり祖先らも渡り来たれりこのうまし国 | 深海鮟鱇 | 12月1日 11時55分 |
7643 | 国境がある帰化もあるなり人はみな等しきものぞ人間なりし | れん | 12月1日 16時34分 |
7644 | 国境の長きトンネル抜け出でて白く積もりし綿雪を見る | 弁慶 | 12月1日 22時58分 |
7645 | 無人駅に電車を待てば雪虫が風の流れに遅れつつ飛ぶ | たまこ | 12月1日 23時57分 |
7646 | 雪虫がいつしか湧きて雪がきた北の師走は厳しかりけり | 蘇生 | 12月2日 06時19分 |
7647 | 故里の峠に立ちて眺むれば南アルプスはや雪化粧 | 弁慶 | 12月2日 10時03分 |
7648 | 人生の峠を過ぎてふり向けば雪に凍えるあの紅き唇 | 深海鮟鱇 | 12月3日 21時55分 |
7649 | つもりなく 長けりた年を 祝う日に 嫁入り道具 鮮冷蔵庫 | しん | 12月4日 11時52分 |
7650 | 花嫁の手を取る老婆の歩に合わせ雪降る中を進む行列 | 弁慶 | 12月7日 00時53分 |
7651 | 電飾の街に降る雪悲しみの器と人間を言ひし人はも | たまこ | 12月9日 02時51分 |
7652 | あけぼのの若葉に夏は万緑とめぐりて今朝の冬ざれの雨 | 蘇生 | 12月9日 16時19分 |
7653 | あけぼのの春は去り行き夏秋も過ぎ去り行きて今朝は木枯 | 弁慶 | 12月10日 14時12分 |
7654 | ソルヴェイグの歌くちずさみ女なら待ってるはずと決めていないか | 千種 | 12月11日 17時54分 |
7655 | 久女とか円地は男に恐れらるこの不器用こそが珠玉なるのに | 真奈 | 12月11日 19時22分 |
7656 | 女流らに 流れるたまは おほしくて あはれ詩ふも 華やぐはなぜ | 眞 | 12月12日 02時52分 |
7657 | 思いては数え日の明日埃及へ旅立つわれは今宵華やぐ | 蘇生 | 12月12日 18時09分 |
7658 | はしやぎすぎていたかもしれず木枯らしが乾きすぎたるくちびるに凍む | たまこ | 12月13日 01時05分 |
7659 | 気負わずに日々の勤めを果たし終えて一人くだりし紀尾井坂かな | 弁慶 | 12月13日 22時39分 |
7660 | 時雨きて傘持ちかへる女坂また愛国心の踏み絵ふむ世に | 真奈 | 12月14日 21時24分 |
7661 | 戦争へ傾いてゆく危うさに両手をたれてみているばかり | たまこ | 12月15日 22時29分 |
7661 | 踏みにぢむ かくごを決めて 愛すつる うたにのみ有る このよ生くすべ | 眞 | 12月15日 22時37分 |
7662 | 非を認め謝ることはつらいこと「謝るくらいなら言うな」という君 | 茉莉花 | 12月17日 10時24分 |
7664 | ちいさなる非すら認めづご免さい言えなき人と距離はわびしく | れん | 12月17日 11時50分 |
7665 | 西行の越えし足柄踏みしめて思えば時は八百年経し | 弁慶 | 12月17日 21時30分 |
7666 | 薄紅のゆかりの女(ひと)の俤の旅にしありて永遠に澄みゆく | 真奈 | 12月18日 22時30分 |
7667 | 一世なる歳晩まえの旅なりし澄むもすまぬも今を生きゐる | れん | 12月19日 11時24分 |
7668 | 歳晩に詩筆は墨に染まれども硯池に落つるわが髪は白 | 深海鮟鱇 | 12月19日 19時14分 |
7669 | 雪に釣る蓑の翁の一幅の墨絵にそえし詩文江雪 | 弁慶 | 12月19日 20時04分 |
7670 | 朗読は岸田今日子の例ふれば背な撫でくれるゆるやかな声 | 千種 | 12月22日 23時48分 |
7671 | 悼むべし 二つの心 表裏にて 演ぜし今日子 かけがいのなく | 眞 | 12月24日 01時25分 |
7672 | けふありし いのちたふとし まよひつつ よりそひてなほ 救はれてゐし | れん | 12月25日 19時11分 |
7673 | 迷いつつ右往左往の人生も他人には言えぬ楽しみもあり | 弁慶 | 12月25日 23時07分 |
7674 | 路地裏の猫のあいさつにゃあにゃあと何かいいこと伝えるらしく | 千種 | 12月27日 14時37分 |
7675 | モノクロのマフラー掛けて摺り足で猫科の目してをのこ等の行く | 真奈 | 12月28日 07時09分 |
7676 | 猫抱いてマフラ−をしたチョビ髭の老人登る夏目坂かな | 弁慶 | 12月28日 09時05分 |
7677 | 白亜紀のいのちのあとを辿りみるアンモナイトを胸にぞ押さふる | れん | 12月31日 22時47分 |
7678 | 一瞬のうちに永遠きり結ぶかの歌びとの白描の翳 | 丹仙 | 1月1日 17時46分 |
7679 | 念願のナイルの月を仰ぎみてファラオのミイラ時空遥かに | 蘇生 | 1月2日 18時06分 |
7680 | シュルル紀の海の蠍を初めてに見たる震へぞ涙あふれき | れん | 1月2日 22時32分 |
7681 | ロッキーの山頂にある魚類化石カンブリヤ紀に栄えし生物 | 弁慶 | 1月2日 23時46分 |
7682 | 化石てふ渾名の友の人の世の矛盾みつめし眸は澄みてゐし | 真奈 | 1月4日 00時05分 |
7683 | 明石なる楽生病院兵庫なりき恐竜化石みつかる元朝 | れん | 1月4日 08時43分 |
7684 | 天地(あめつち)のナイルの流れ去年今年ファラオの謎にわれは悩めり | 蘇生 | 1月4日 19時22分 |
7685 | エジプトの死後はジョイフル聖書にも似たる話あり卵贈り合ふ | れん | 1月5日 10時44分 |
7686 | グレゴリオ聖歌の調べ悲しくも人みな「死への道半ば」とかや | ギオ | 1月6日 00時13分 |
7687 | 戦時下にグレゴリオ聖歌絶やさじとフランス人神父ミッションの日々 | 真奈 | 1月7日 05時54分 |
7688 | 十四にて写譜せし秘曲ミセレーレ異国にあれど家舎を離れず | 丹仙 | 1月8日 12時54分 |
7689 | モノクロのルオーの版画ふと浮ぶミゼレーレなる曲は知らずに | れん | 1月8日 16時28分 |
7690 | ふと浮かぶ十八にしてなぜか世を去ったファラオのツタンカーメン | 蘇生 | 1月8日 18時28分 |
7691 | アメンホテップ其の名を聞けば幼き日読みし「少年王者」なる本 | 弁慶 | 1月8日 21時57分 |
7692 | 九条を世界遺産にといふ書あり戦争放棄が奇跡とは、さて | ギオ | 1月8日 22時52分 |
7693 | 九条は珍品にして宝物普通の物に変えないでね | 真奈 | 1月9日 05時21分 |
7694 | 硫黄島散るぞ悲しきその手紙共に読むなり平成の子と | 丹仙 | 1月9日 20時35分 |
7695 | 戦争の疎開先にてこのわれを背負ひて逃げし叔父も子供にて | れん | 1月9日 22時39分 |
7696 | 唐黍のひと粒ひと粒噛みしめた疎開の日々のただ青い空 | 真奈 | 1月10日 06時58分 |
7697 | 束の間に六十年は経ちにけり青き初空凧(いかのぼり)舞ふ | 丹仙 | 1月12日 22時10分 |
7698 | 空の青こころにとめて遊びたり柏谷の百穴ながれし歳月 | れん | 1月12日 23時24分 |
7699 | 函南の柏谷の百穴懐かしく幼き頃を思い出ずる日 | 弁慶 | 1月14日 00時19分 |
7700 | 人生の秋を生くるや独り夜は思はゆ彼の人何すらむかと | ギオ | 1月14日 21時59分 |