過去ログ[3] |
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管理者の個人的な事情により9月句会の選句の開始が大幅に遅れましたことをお詫びします。
9月句会の選句の時期と10月句会の開催時期を次のように変更します。
9月句会選句締め切りを10月22日に変更
9月句会披講は10月23日です
10月句会の投句は10月24日より開始します。
10月句会投句締め切りは10月31日です
11月1日より選句開始
11月7日 選句締め切り
11月8日 披講
11月句会以降は定例通りの期間に開催します
9月定例句会の題詠または当季雑詠は
兼題T 十六夜
兼題U 草の花
兼題V アフガニスタン(不言題)
この選句をお願いします。
また10月定例句会の兼題は10月24日に連絡致します。
投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
「返信ボタン」の左のホームのアイコンをクリックして下さい。
[Res: 2276] 選句をお願いします 投稿者:丹仙 投稿日:2021/10/15(Fri) 20:55 <HOME>投句一覧
投句者:やんま、寿美子、鈴居、しゐ、素蘭、秋童子、素人、実生、英治、翔河川、明子、春愁、風子、白馬、丹仙
[1]:秋彼岸中村無念仏告げ
あきひがんなかむらむねんほとけつげ(アフガニスタン(不言題)・秋彼岸[墓参りにて])
[2]:あはれこの誤算に誤謬草の花
あわれこのごさんにごびゅうくさのはな(草の花・草の花)
[3]:生き抜きし大正昭和草の花
いきぬきしたいしょうしょうわくさのはな(草の花・草の花)
[4]:十六夜や思わず猫を抱きかかえ
いさよいやおもわずねこをだきかかえ(十六夜・中秋の名月)
[5]:十六夜につられ今宵は先斗町
いざよいにつられこよいはぽんとちょう(十六夜・十六夜)
[6]:十六夜の影みづうみにたゆたへり
いざよいのかげみずうみにたゆたえり(十六夜・十六夜)
[7]:十六夜の月を愛でをり友白髪
いざよいのつきをめでをりともしらが(十六夜・十六夜の月)
[8]:十六夜の妻の歩幅で歩みけり
いざよいのつまのほはばであゆみけり(十六夜・)
[9]:十六夜や日嗣の御子の影慕ふ
いざよいや「ひつぎのみこのかげしたふ(十六夜・)
[10]:十六夜やいざ鎌倉の母心
いざよいやいざかまくらのははごころ(十六夜・十六夜)
[11]:十六夜や狐に化かさるる辺り
いざよいやきつねにばかさるるあたり(十六夜・)
[12]:十六夜や救援の手の届かざり
いざよいやきゅうえんのてのとどかざり(十六夜・十六夜)
[13]:十六夜や人遠ざけて人を恋ふ
いざよいやひととおざけてひとをこう(十六夜・十六夜)
[14]:十六夜や別れのことば言ひそびれ
いざよいやわかれのことばいいそびれ(十六夜・十六夜)
[15]:鎌の手を止めよと指示する草の花
かまのてをとめよとしじするくさのはな(草の花・彼岸花[芽])
[16]:乾性も湿性もありて草の花
かんせいもしっせいもありてくさのはな(草の花・)
[17]:北から来南からも来草の花
きたからきみなみからもきくさのはな(草の花・)
[18]:草の花スケッチブック使い切る
くさのはなすけっちぶっくつかいきる(草の花・草の花)
[19]:草の花摘む子等もなく風渡る
くさのはなつむこらもなくかぜわたる(草の花・)
[20]:草の花そこは雀の終の地に
くっさのはなそこはすずめのついのちに(草の花・草の花)
[21]:攫われて他国で育つ草の花
さらわれてたこくでそだつくさのはな(草の花・草の花)
[22]:十六夜手摺の肘の心地良き
じゅうろくやてすりのひじのここちよさ(十六夜・十六夜)
[23]:十六夜メルケル氏去る日の近く
じゅうろくやめるけるしさるひのちかく(十六夜・十六夜)
[24]:すさまじや誤爆に消ゆる子の命
すさまじやごばくにきゆるこのいのち(アフガニスタン(不言題)・冷まじ)
[25]:タリバンの砂漠を照らす名月や
たりばんのさばくをてらすめいげつや(アフガニスタン(不言題)・名月)
[26]:茶の湯とは生死の作法草の花
ちゃのゆとはしょうじのさほうくさのはな(草の花・)
[27]:哲さんの壁画消されて月何処
てつさんのへきがけされてつきいづこ(アフガニスタン(不言題)・月)
[28]:テンジュクの風に運ばれ草の花
てんじゅくのかぜにはこばれくさのはな(草の花・)
[29]:外つ国の街騒絶えて月明り
とつくにのまちざいたえてつきあかり(アフガニスタン(不言題)・月)
[30]:なまよみの甲斐なき荒城秋入日
なまよみのかいなきあらきあきいりひ(アフガニスタン(不言題)・秋入日)
[31]:名も知らぬ草花愛づる旅鞄
なもしらぬくさばなめずるたびかばん(草の花・)
[32]:二十年の時無駄にして威銃
にじゅうねんのときむだにしておどしづつ(アフガニスタン(不言題)・威銃)
[33]:庭田山我が家霞みて草の花
にわだやまわがやかすみてくさのはな(草の花・草の花)
[34]:遺されし父の日記よ草の花
のこされしちちのにっきよくさのはな(草の花・草の花)
[35]:控え目に小さく健気に草の花
ひかえめにちさくけなげにくさのはな(草の花・草の花)
[36]:陽のコロナ地球経由で十六夜に
ひのコロナちきゅうけいゆでいざよいに(十六夜・)
[37]:ふるさとは目路の限りに草の花
ふるさとはめじのかぎりにくさのはな(草の花・草の花)
[38]:米兵のともかく去りて十三夜
べいへいのともかくさりてじゅうさんや(アフガニスタン(不言題)・十三夜)
[39]:ベビーカー押す饒舌や草の花
べびーかーおすじょうぜつやくさのはな(草の花・)
[40]:身に入むや怯え飢える児傷付く児
みにしむやおびえうえるこきずつくこ(アフガニスタン(不言題)・身に入む)
[41]:無辜の民苛政に惑ひ龍渕に
むこのたみかせいにまどいりゅうふちに(アフガニスタン(不言題)・龍渕に)
[42]:無に帰すも和平を願う磨崖仏
むにきすもわへいをねがうまがいぶつ(アフガニスタン(不言題)・)
[43]:落書きの壁にとび散る割れ柘榴
らくがきのかべにとびちるわれざくろ(アフガニスタン(不言題)・柘榴)
[44]:露地に眠る子らアフガンの秋深む
ろじにねむるこらあふがんのあきふかむ(アフガニスタン(不言題)・秋深む)
[45]:タリバンの思想は知らず良夜かな
タリバンのしそうはしらずりょうやかな(アフガニスタン(不言題)・)
[Res: 2276] 選句一覧 投稿者:丹仙 投稿日:2021/10/23(Sat) 09:45 <HOME>寿美子
天の句:[43]落書きの壁にとび散る割れ柘榴
連日の紛争の悲惨なニュースに心が痛みます
割れ柘榴に見事に託されたと感銘
地の句:[22]十六夜手摺の肘の心地良き
残暑ようやく収まった宵、心地良い至福の一時ですね
人の句:[31]名も知らぬ草花愛づる旅鞄
名も知らぬ草の花に心よせるも俳人ならこそ
旅心さそわれます
風子
天の句:[13]十六夜や人遠ざけて人を恋ふ
やはりコロナ禍。人に会うのも躊躇いがちになる。でも会いたいのです。
地の句:[18]草の花スケッチブック使い切る
いっぱいスケッチして草の花を楽しんでいる。ホッとさせられる一句です。
人の句:[38]米兵のともかく去りて十三夜
先行き不安の多い状況で、一区切りついた。季語十三夜に想いを寄せている。
鈴居
天の句:[3]生き抜きし大正昭和草の花
わたしは、まだまだですが、昭和、平成、令和と知らない内に3世代を生き抜いてしまいました。それでも世代を生きるということがどういうことなのか少し実感したような気がします。🙇
地の句:[28]テンジュクの風に運ばれ草の花
調べのよさで選んでしまいました。
人の句:[31]名も知らぬ草花愛づる旅鞄
素朴な旅行観に共感しました。
やんま
天の句:[13]十六夜や人遠ざけて人を恋ふ
そんなものです。
地の句:[3]生き抜きし大正昭和草の花
激動もあり平和もあり。
人の句:[44]露地に眠る子らアフガンの秋深む
お茶の間のテレビで見ている日本人。
春愁
天の句:[44]露地に眠る子らアフガンの秋深む
無辜の民、子らの行く末、如何ばかり
地の句:[19]草の花摘む子等もなく風渡る
秋の侘びしさ・・・巧い
人の句:[7]十六夜の月を愛でをり友白髪
名月で一献の友も老けて・・・
素人
天の句:[8]十六夜の妻の歩幅で歩みけり
婦唱夫随なのですね。 老いたれば円満の秘訣かも。
地の句:[34]遺されし父の日記よ草の花
草花の栞でも挟んであったのかも。
人の句:[24]すさまじや誤爆に消ゆる子の命
愚かな行為による犠牲。痛ましい限りです。
実生
天の句:[22]十六夜手摺の肘の心地良き
暖かい、あったかい。
地の句:[35]控え目に小さく健気に草の花
かわいい、どんな花かな。
人の句:[25]タリバンの砂漠を照らす名月や
名月はどこにいても名月。眺める余裕をも。
しゐ
天の句:[11]十六夜や狐に化かさるる辺り
化かされたい衝動も。
地の句:[43]落書きの壁にとび散る割れ柘榴
胸が痛む映像が日々。
人の句:[15]鎌の手を止めよと指示する草の花
伸び放題の草の中に立つ楚々とした花の姿に、鎌を持つ手が動かなくなることがある。あれは草の花からの切ない指示だったのか、、、
白馬
天の句:[8]十六夜の妻の歩幅で歩みけり
老夫婦の静かな夜の散歩
地の句:[40]身に入むや怯え飢える児傷付く児
残虐非道の暴挙
人の句:[41]無辜の民苛政に惑ひ龍渕に
権力者の罪は常に
秋童子
天の句:[7]十六夜の月を愛でをり友白髪
言葉は何もいりません。
地の句:[37]ふるさとは目路の限りに草の花
いまもこんな風景が残っているとは。うらやましい限りです。
人の句:[24]すさまじや誤爆に消ゆる子の命
恨みの応酬。いつも真っ先に犠牲になるのは子どもたちです。
英治
天の句:[13]十六夜や人遠ざけて人を恋ふ
地の句:[20]草の花そこは雀の終の地に
人の句:[40]身に入むや怯え飢える児傷付く児
素蘭
天の句:[43]落書きの壁にとび散る割れ柘榴
「割れ柘榴」のインパクト!!! 視覚言語化しそうです。
地の句:[24]すさまじや誤爆に消ゆる子の命
誤爆に限らず…
人の句:[31]名も知らぬ草花愛づる旅鞄
寅さんの鞄みたい。
翔河川
天の句:[08]十六夜の妻の歩幅で歩みけり
気持ちの良い夜
地の句:[43]落書きの壁にとび散る割れ柘榴
アフガンで一人長距離バスに乗っていた時に隣の乗客が黙って石榴とじゃがいもをくれた、みんな優しかった
人の句:[37]ふるさとは目路の限りに草の花
わざわざ植えなくとも
丹仙
天の句:[44]露地に眠る子らアフガンの秋深む
難民の子ども達への思いが偲ばれます。
地の句:[7]十六夜の月を愛でをり友白髪
友白髪と詠む作者自身に歳月を越えてきた感懐を自然に表現しています
人の句:[8]十六夜の妻の歩幅で歩みけり
これは背の高い夫の心遣いを感じさせてほのぼのとした印象を与えますね。
明子
天の句:[26]茶の湯とは生死の作法草の花
季語「草の花」の本意に通じるものがあります。
地の句:[24]すさまじや誤爆に消ゆる子の命
言葉にならない思いをすさまじという季語に託します。
人の句:[13]十六夜や人遠ざけて人を恋ふ
十六夜ならではの寂しさ。
題詠または当季雑詠
兼題T 終戦日
兼題U 朝顔
兼題V 気候変動(不言題)
8月17日(火) 投句開始
8月24日(火) 投句締切 翌日選句開始
8月31日 (火) 選句締切・翌日披講
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[Res: 2273] 選句をお願いします 投稿者:丹仙 投稿日:2021/08/25(Wed) 07:31 <HOME>投句一覧
投句者:春愁、寿美子、やんま、素人、実生、風子、丹仙、秋童子、翔河川、しゐ、英治、明子、素蘭
[1]:秋出水地球の壊れゆく兆し
あきでみずちきゅうのこわれゆくきざし(気候変動(不言題)・秋出水)
[2]:あさがほ白下町気質受け継ぎて
あさがおしろしたまちかたぎうけつぎて(朝顔・あさがほ)
[3]:朝顔に傘さしかける雨三日
あさがおにかささしかけるあめみっか(朝顔・朝顔)
[4]:朝顔の明日咲くつぼみ数へをり
あさがおのあすさくつぼみかぞえおり(朝顔・朝顔)
[5]:朝顔の咲いて懐かし紫紺かな
あさがおのさいてなつかししこんかな(朝顔・)
[6]:朝顔の視線引き込むグラデーション
あさがおのしせんひきこむぐらでーしょん(朝顔・)
[7]:朝顔の昇り行く手の深き空
あさがおののぼりゆくてのふかきそら(朝顔・朝顔)
[8]:朝顔は天空の花海の花
あさがおはてんくうのはなうみのはな(朝顔・朝顔)
[9]:朝顔や思い通りに生きるひと
あさがおやおもいどうりにいきるひと(朝顔・)
[10]:朝顔や千代尼の見たる神のわざ
あさがおやちよにのみたるかみのわざ(朝顔・)
[11]:朝顔や二胡伸びやかにしなやかに
あさがおやにこのびやかにしなやかに(朝顔・朝顔)
[12]:アフガンのゆくえを祈る終戦日
あふがんのゆくえうをいのるしゅうせんび(終戦日・終戦日)
[13]:痛いほど蒼すぎる空敗戦忌
いたいほどあおすぎるそらはいせんき(終戦日・敗戦忌)
[14]:かなかなや顔に眼のみの黙示録
かなかなやかおにめのみのもくしろく(気候変動(不言題)・蜩)
[15]:唐箱に恩賜の煙草終戦日
からばこにおんしのたばこしゅうせんび(終戦日・しゅうせんび)
[16]:口かたく閉じ朝顔の咲き終えて
くちかたくとじあさがおのさきおえて(朝顔・)
[17]:今年また秋の出水に責めらるる
ことしまたあきのでみずにせめらるる(気候変動(不言題)・秋出水)
[18]:この星の何かが狂ふ秋出水
このほしのなにかがくるうあきでみず(気候変動(不言題)・秋出水)
[19]:志士死して花実は咲かぬ終戦日
ししししてはなみはさかぬしゅうせんび(終戦日・終戦日)
[20]:終戦日神宮球場無観客
しゅうせんびじんぐうきゅうじょうむかんきゃく(終戦日・)
[21]:少女らの預言どおりや氷河消ゆ
しょうじょらのよげんどおりやひょうがきゆ(気候変動(不言題)・)
[22]:スパイの妻と呼ばれし祖母や敗戦忌
すぱいのつまとよばれしそぼやはいせんき(終戦日・敗戦忌)
[23]:そそくさと来て朝顔のごみ置場
そそくさときてあさがおのごみおきば(朝顔・)
[24]:空仰ぐばかり八月十五日
そらあおぐばかりはちがつじゅうごにち(終戦日・八月十五日)
[25]:父母の何も語らぬ終戦日
ちちははのなにもかたらぬしゅうせんび(終戦日・)
[26]:土塊に鳥の骸や処暑の雨
つちくれにとりのむくろやしょしょのあめ(気候変動(不言題)・処暑)
[27]:年ごとに記憶薄れる終戦日
としごとにきおくうすれるしゅうせんび(終戦日・終戦日)
[28]:問われても語れぬ父よ敗戦忌
とわれてもかたれぬちちよはいせんき(終戦日・敗戦忌)
[29]:畑より戻る朝顔萎む頃
はたけよりもどるあさがおしぼむころ(朝顔・朝顔)
[30]:「反省」の2文字捨て去る終戦日
はんせいのにもじすてさるしゅうせんび(終戦日・終戦日)
[31]:ひび割れの地球の吐息荒南風
ひびわれのちきゅうのといきあらみなみ(気候変動(不言題)・荒南風)
[32]:父子共に臥す如己堂の終戦日
ふしともにふすにょこどうのしゅうせんび(終戦日・)
[33]:降りやうに怯えてゐたり秋の雨
ふりようにおびえていたりあきのあめ(気候変動(不言題)・秋の雨)
[34]:星飛ぶや白亜の地球明日の地球
ほしとぶやはくあのがいああすのてら(気候変動(不言題)・星飛ぶ)
[35]:無言館夢を放映終戦日
むごんかんゆめをほうえいしゅうせんび(終戦日・8月15日[若き画家])
[36]:猛暑下イトウに影響胸痛む
もうしょかイトウにえいきょうむねいたむ(気候変動(不言題)・猛暑[絶滅危惧イトウ])
[37]:病む地球責めは我にも秋出水
やむちきゅうせめはわれにもあきでみず(気候変動(不言題)・秋出水)
[38]:マスクして朝顔市風情消え
マスクしてあさがおいちふぜいきえ(朝顔・朝顔市)
[Res: 2273] 選句一覧 投稿者:丹仙 投稿日:2021/09/01(Wed) 09:06鈴居
天の句:[12]アフガンのゆくえを祈る終戦日
世界情勢は複雑を極めるばかり、そのなかに必ず必ず弱者が生まれる構図は何も変わっていないのでは。
地の句:[1]秋出水地球の壊れゆく兆し
不安の一言
人の句:[7]朝顔の昇り行く手の深き空
空に登って行く様がよい
風子
天の句:[13]痛いほど蒼すぎる空敗戦忌
湾岸戦争が始まった日も、ワールドトレードセンターが爆破された日も、真っ青の空でした。
終戦の日も真っ青だったと聞きます。蒼い空が怖いです。
地の句:[23]そそくさと来て朝顔のごみ置場
朝顔の情緒にも触れず、素っ気ない読みっぷりが魅力的です。
人の句:[9]朝顔や思い通りに生きるひと
朝顔の蔓が自由奔放に伸びてあらゆる物に絡みつく様を、人の生き様と重ね合わせた。
しゐ
天の句:[28]問われても語れぬ父よ敗戦忌
語りたくても語れない何かを胸に秘めたまま逝ってしまった。
地の句:[4]朝顔の明日咲くつぼみ数へをり
朝も明日も「あした」。翌朝、間違いなく花開くであろうそのつぼみに、あしたの平穏を重ねて祈る姿が見える気がする。
人の句:[29]畑より戻る朝顔萎む頃
農にかかわる人の、自然に即した営みの心地よさが伝わる。
春愁
天の句:[20]終戦日神宮球場無観客
今は無観客の球場、嗚呼、ここから学徒出陣・・・別の感慨が!
地の句:[24]空仰ぐばかり八月十五日
碧すぎる空、ただ虚しく見あげ・・・
人の句:[4]朝顔の明日咲くつぼみ数へをり
凡々たる生活の一齣を、上手く切り取った・・・
やんま
天の句:[1]秋出水地球の壊れゆく兆し
確実に進行する地球の温暖化。荒れ狂う気象。
地の句:[28]問われても語れぬ父よ敗戦忌
それぞれの胸にある敗北感又罪悪感。
人の句:[4]朝顔の明日咲くつぼみ数へをり
毎朝の楽しみ。
秋童子
天の句:[33]降りやうに怯えてゐたり秋の雨
線状降水帯はもちろんのこと、最近の雨の降り方はただごとではありません。
地の句:[22]スパイの妻と呼ばれし祖母や敗戦忌
戦前、治安維持法で逮捕された人の家族は、周囲からひどい言葉を浴びせられ村八分になりました。つい最近は元首相が、五輪開催に反対する人たちに「反日」という言葉を浴びせています。再び、危ない時代になりました。
人の句:[21]少女らの預言どおりや氷河消ゆ
スウェーデン人の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんですね。彼女が始めた「気候のための学校ストライキ」は、いま日本の若者たちにも広がり始めていて、とても心強く思っています。
実生
天の句:[20]終戦日神宮球場無観客
学徒出陣、戦後生まれだけど残像あり。
地の句:[33]降りやうに怯えてゐたり秋の雨
災害を体験しないと怖さは分からない。怯え、いつも長雨には怯えている。
人の句:[10]朝顔や千代尼の見たる神のわざ
つるべとられしもらい水、優しい花。孫の蒔いた朝顔とひまわり、ひまわりの茎に朝顔が。ひまわり優しく耐えていた。
英治
天の句:[4]朝顔の明日咲くつぼみ数へをり
観察日記か。
地の句:[28]問われても語れぬ父よ敗戦忌
もうどうでもよい。
人の句:[26]土塊に鳥の骸や処暑の雨
感じるものが。
寿美子
天の句:[14]かなかなや顔に眼のみの黙示録
蝉と黙示録の取り合わせすごいと感銘
地の句:[20]終戦日神宮球場無観客
一読学徒出陣の昔と,コロナ禍の高校野球が重なりました
何とか平和を維持してほしいと思いました
人の句:[2]あさがほ白下町気質受け継ぎて
下町気質の下駄の音が聞こえます
明子
天の句:[21]少女らの預言どおりや氷河消ゆ
グレタさんの呼びかけを、今こそ全ての人が自分の事としなければ!
地の句:[12]アフガンのゆくえを祈る終戦日
地球上にまた命を脅かされる人々が・・・祈ることしかできないのだろうか
人の句:[34]星飛ぶや白亜の地球明日の地球
明日のテラに人類は存在するのだろうか
翔河川
天の句:[2]あさがほ白下町気質受け継ぎて
路地に咲く白い朝顔
地の句:[29]畑より戻る朝顔萎む頃
朝はきれいに咲いていたのに
人の句:[31]ひび割れの地球の吐息荒南風
人間の所業
素蘭
天の句:[15]唐箱に恩賜の煙草終戦日
多くを語らずにきた人の眼差し…「8月15日」に象徴される日本への
地の句:[3]朝顔に傘さしかける雨三日
天晴下町気質!
人の句:[20]終戦日神宮球場無観客
学徒動員の今昔、、、
丹仙
天の句:[7]朝顔の昇り行く手の深き空
「昇り行く」で読者の視線は朝顔にそって上方に動き。「行く手の」でその届かぬ先の方向に向けられ、「深き空」で無限に遠く底知れず深き蒼穹の実在に入っていくーそのような宇宙的な深淵を背景とする可憐なる朝顔の佇まいを実感させます。
地の句:[26]土塊に鳥の骸や処暑の雨
気候変動による異常気象のせいか、処暑の雨のなかにも通常とは異なる不穏なものを予感させます。それを象徴するものが「鳥の骸」。何か、日本固有のアニミズム的な感性に映った終末意識を感じました。
人の句:[14]かなかなや顔に眼のみの黙示録
黙示録はさまざまな象徴に託して終末を語ります。かなかなは、記憶の中に沈んでいる敗戦の日を彷彿とさせますが「顔に眼のみ」とありますから、その聲は沈黙のうちに沈み込み、預言者は視ること以外のすべての感覚を奪われ、来るべき未来の破局の幻視者として、沈黙のことばをかたるのみ。俳句に黙示録を語らせる可能性を垣間見ることができました。
題詠または当季雑詠
兼題T 梅雨明
兼題U 昼寝
兼題V オリンピック(不言題)
7月16日(金) 投句開始
7月23日(金) 投句締切 翌日選句開始
8月01日 (日) 選句締切・披講
投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
「返信ボタン」の左のホームのアイコンをクリックして下さい。
[Res: 2270] 選句をお願いします 投稿者:丹仙 投稿日:2021/07/25(Sun) 21:39 <HOME>投句者:春愁、水、白馬、素蘭、万歩、風子、鈴居、素人、英治、しゐ、やんま、秋童子、実生、翔河川、寿美子、明子、丹仙
[1]:朝雲の綺麗に染まり梅雨明くる
あさぐものきれいにそまりつゆあくる(梅雨明・梅雨明)
[2]:五つの輪只あるばかり西日の矢
いつつのわただあるばかりにしびのや(オリンピック(不言題)・)
[3]:忌まわしきことの数々梅雨明ける
いまわしきことのかずかずつゆあける(梅雨明・梅雨明ける)
[4]:現し世に薄目でもどる昼目覚
うつしよにうすめでもどるひるねざめ(昼寝・昼目覚)
[5]:縁側の猫と並んで昼寝かな
えんがわのねことならんでひるねかな(昼寝・)
[6]:炎天や空にくすぶる五輪の火
えんてんやそらにくすぶるごりんのひ(オリンピック(不言題)・炎天)
[7]:おもてなし疑問符付きの夏の宴
おもてなしぎもんふつきのなつのえん(オリンピック(不言題)・夏の宴)
[8]:かけ違ふボタンそのまま溽暑かな
かけちがうぼたんそのままじょくしょかな(オリンピック(不言題)・溽暑)
[9]:九天に鳴神在す希臘かな
きゅうてんになるかみいますぎりしゃかな(オリンピック(不言題)・鳴神)
[10]:金メダル予想あれこれ夜の秋
きんめだるよそうあれこれよるのあき(オリンピック(不言題)・夜の秋)
[11]:逆転をラジオの叫ぶ昼寝覚め
ぎゃくてんをらじおのさけぶひるねざめ(昼寝・)
[12]:コロナの世ああ堂々の昼寝かな
ころなのよああどうどうのひるねかな(昼寝・昼寝)
[13]:500種のハスの花咲くオリンピック
ごひゃくしゅのはすのはなさくおりんぴっく(オリンピック(不言題)・蓮の花[遺伝資源])
[14]:さあ五輪されど五輪のプレオープン
さあごりんされどごりんのぷれおーぷん(オリンピック(不言題)・五輪)
[15]:祝日に休日からむ大昼寝
しゅくじつにきゅうじつからむおおひるね(昼寝・昼寝)
[16]:白南風や音軽やかにプルトップ
しらはえやおとかろやかにプルトップ(梅雨明・白南風)
[17]:尻にくるサドルの熱さ梅雨明ける
しりにくるサドルのあつさつゆあける(梅雨明・)
[18]:自転する水の惑星梅雨あがる
じてんするみずのわくせいつゆあがる(梅雨明・梅雨あがる)
[19]:接種終へさて何をする梅雨の明け
せっしゅおえさてなにをするつゆのあけ(梅雨明・)
[20]:建前と本音のはざま夏の陣
たてまえとほんねのはざまなつのじん(オリンピック(不言題)・夏)
[21]:妻と猫つかずはなれず昼寝中
つまとねこつかずはなれずひるねちゅう(昼寝・)
[22]:梅雨明けて天地漲る生命かな
つゆあけててんちみなぎるいのちかな(梅雨明・梅雨明け)
[23]:梅雨明けて遠き山河の透明に
つゆあけてとおきさんがのとうめいに(梅雨明・)
[24]:梅雨明けてひっくりかえる猫の腹
つゆあけてひっくりかえるねこのはら(梅雨明・)
[25]:梅雨明けに鳴くヒグラシに耳すまし
つゆあけになくひぐらしにみみすまし(梅雨明・セミ[ヒグラシ])
[26]:梅雨明けのヤエーの嵐155
つゆあけのやえーのあらしいちごーご(梅雨明・梅雨明け)
[27]:梅雨明けの雷に地軸の傾けり
つゆあけのらいにちじくのかたむけり(梅雨明・)
[28]:梅雨明けやコロナ前線明けやらず
つゆあけやころなぜんせんあけやらず(梅雨明・梅雨明け)
[29]:梅雨明や酒場の裏の忘れ傘
つゆあけやさかばのうらのわすれがさ(梅雨明・梅雨明)
[30]:梅雨明や真昼のひかり肌に滲み
つゆあけやまひるのひかりはだにしみ(梅雨明・梅雨明)
[31]:どうか夢でありますように夏五輪
どうかゆめでありますようになつごりん(オリンピック(不言題)・夏五輪)
[32]:夏五輪起立忘れし首相かな
なつごりんきりつわすれししゅしょうかな(オリンピック(不言題)・)
[33]:ぬいぐるみしかと抱えて昼寝の子
ぬいぐるみしかとかかえてひるねのこ(昼寝・昼寝)
[34]:ぬばたまの夢見るメタル昼寝覚
ぬばたまのゆめみるめたるひるねざめ(昼寝・昼寝覚)
[35]:溌溂のオリンピアンズ夏旺ん
はつらつのおりんぴあんずなつさかん(オリンピック(不言題)・夏[夏旺ん])
[36]:腹を出し猫と添い寝の昼寝かな
はらをだしねことそいねのひるねかな(昼寝・昼寝[あったかさ])
[37]:昼寝あと覇気ある欠伸出でにけり
ひるねあとはきあるあくびいでにけり(昼寝・昼寝)
[38]:昼寝覚め窓に白帆のエーゲ海
ひるねさめまどにしらほのえーげかい(昼寝・昼寝覚)
[39]:昼寝覚め亡父の面ざしありありと
ひるねざめちちのおもざしありありと(昼寝・昼寝覚め)
[40]:昼寝してゐたり大樹に身をあづけ
ひるねしていたりたいじゅにみをあずけ(昼寝・昼寝)
[41]:昼寝よし欠伸するなと師は講ず
ひるねよしあくびするなとしはこうず(昼寝・昼寝)
[42]:まだ残る嵐のにおい梅雨あがる
まだのこるあらしのにおいつゆあがる(梅雨明・梅雨あがる)
[43]:無理なのに無理を重ねて蟻地獄
むりなのにむりをかさねてありじごく(オリンピック(不言題)・蟻地獄)
[44]:目的は現実逃避ひるねする
もくてきはげんじつとうひひるねする(昼寝・)
[45]:わっわわぁ輪が五つ夏空高し
わっわわぁわがいつつなつぞらたかし(オリンピック(不言題)・夏空高し)
[46]:カピバラに前歯が二本梅雨明ける
カピバラにまえばがにほんつゆあける(梅雨明・梅雨明ける)
[47]:ブランチの時間に起き出す昼寝かな
ブランチのじかんにおきだすひるねかな(昼寝・)
[48]:ヨブのごと腰に帯せよ昼寝覚
ヨブのごと腰に帯せよ昼寝覚(昼寝・)
[49]:蛾のみ待つ聖火リレーの終着点
蛾のみまつせいかりれーのしゅうちゃくてん(オリンピック(不言題)・蛾)
[Res: 2270] 選句一覧 投稿者:丹仙 投稿日:2021/08/01(Sun) 22:51 <HOME>万歩
天の句:[22]梅雨明けて天地漲る生命かな
梅雨明けの空はこんな風です
地の句:[27]梅雨明けの雷に地軸の傾けり
激しい雷に地球がさらに傾くのではないかという不安が出ています
人の句:[4]現し世に薄目でもどる昼目覚
「薄目で戻る」状態が、いかにも昼寝ざめの感じがあります
風子
天の句:[12]コロナの世ああ堂々の昼寝かな
お陰様で、気遣いもなく昼寝ができますと、アイロニーの利いた一句。
地の句:[14]さあ五輪されど五輪のプレオープン
単純に喜んでもいられない、問題を抱えたままのキックオフでした。でもやっぱり
選手たちの喜びの笑顔を見ると、無理してもやってよかったように思います。
人の句:[17]尻にくるサドルの熱さ梅雨明ける
一夜明けてスッキリ青空でしたね。梅雨明けをお尻で体感している好感度のある一句。
白馬
天の句:[12]コロナの世ああ堂々の昼寝かな
他にする事何もない
地の句:[32]夏五輪起立忘れし首相かな
元々そんな人みたいですね。
人の句:[41]昼寝よし欠伸するなと師は講ず
先生の身になってみれば。
翔河川
天の句:[41]昼寝よし欠伸するなと師は講ず
その気持ち分かる
地の句:[18]自転する水の惑星梅雨あがる
梅雨時のいやとゆうほどの水
人の句:[32]夏五輪起立忘れし首相かな
恥ずかしいひと
鈴居
天の句:[10]金メダル予想あれこれ夜の秋
何とか開けた事に感謝
地の句:[20]建前と本音のはざま夏の陣
オリンピック!!されどオリンピック😱
人の句:[45]わっわわぁ輪が五つ夏空高し
ブルーインパルス見たかった。
英治
天の句:[4]現し世に薄目でもどる昼目覚
昼寝覚めの様子が。
地の句:[16]白南風や音軽やかにプルトップ
情感が在る。
人の句:[24]梅雨明けてひっくりかえる猫の腹
面白い。
素蘭
天の句:[22]梅雨明けて天地漲る生命かな
夏旺ん、とはいえ季寄せでは晩夏。
地の句:[40]昼寝してゐたり大樹に身をあづけ
dream vision が紡げそう。。
人の句:[32]夏五輪起立忘れし首相かな
妙に印象的な光景でした。
しゐ
天の句:[23]梅雨明けて遠き山河の透明に
心まで透明に。
地の句:[27]梅雨明けの雷に地軸の傾けり
我が家にこの雷が落ちた。何かがガクンと音を立てて傾いた気がした。地軸そのものだったのか、、、、。
人の句:[3]忌まわしきことの数々梅雨明ける
明けてもなお。
秋童子
天の句:[8]かけ違ふボタンそのまま溽暑かな
「アンダーコントロール」に始まり、「かけ違い」があまりにも目立つ五輪です。
地の句:[33]ぬいぐるみしかと抱えて昼寝の子
かわいらしい寝姿が目に浮かびます。
人の句:[23]梅雨明けて遠き山河の透明に
「透明に」が魅力的です。
実生
天の句:[29]梅雨明や酒場の裏の忘れ傘
破れ傘、コロナ禍酒場も、梅雨明けで用なしになった。悲しいな。
地の句:[5]縁側の猫と並んで昼寝かな
猫も私も高齢になって良く昼寝する。
人の句:[2]五つの輪只あるばかり西日の矢
五輪反対、でも始まったらみんな応援している。アスリートは素晴らしい。
寿美子
天の句:[16]白南風や音軽やかにプルトップ
白南風とプルトップの組合せ、胸のもやもやが晴れて
すっきりしました
地の句:[20]建前と本音のはざま夏の陣
国民の目を甘く見ないでください
人の句:[21]妻と猫つかずはなれず昼寝中
旦那様の顔が見てみたいですね
春愁
天の句:[40]昼寝してゐたり大樹に身をあづけ
緑蔭の昼寝、おおらかで・・・
地の句:[11]逆転をラジオの叫ぶ昼寝覚め
侍ジャパンの快哉
人の句:[8]かけ違ふボタンそのまま溽暑かな
すべてが、ちぐはぐ・・・
明子
天の句:[29]梅雨明や酒場の裏の忘れ傘
どこか昭和の匂いがしてきます。
物語が始まりそう・・・
地の句:[4]現し世に薄目でもどる昼目覚
戻りたいような、戻りたくないような。
人の句:[43]無理なのに無理を重ねて蟻地獄
全て終わった後が恐ろしい。
丹仙
天の句:[22]梅雨明けて天地漲る生命かな
「天地漲る生命」の畏敬。シュバイツアー博士に捧げたい一句です。
地の句:[9]九天に鳴神在す希臘かな
発想の飛躍が面白い。炎天とコロナ禍だけでなく颱風にも見舞われた五輪はどうなることやら。風神、雷神は、宗達の有名な畫のように、どこかギリシャの神々の姿を彷彿させます。
人の句:[19]接種終へさて何をする梅雨の明け
緊急事態宣言の再発でますます何をしてよいやら分からなくなりましたね。
題詠または当季雑詠
兼題T 蛍
兼題U 梅雨
兼題V 時の日
6月16日(火) 投句開始
6月23日(火) 投句締切 翌日選句開始
7月01日 (水) 選句締切・披講
投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
「返信ボタン」の左のホームのアイコンをクリックして下さい。
[Res: 2267] 選句をお願いします 投稿者:丹仙 投稿日:2021/06/24(Thu) 09:12 <HOME>投句一覧
投句者:春愁、鈴居、白馬、やんま、万歩、実生、寿美子、翔河川、素蘭、しゐ、秋童子、英治、明子、素人、風子、丹仙
[1]:青梅雨の匂へる島の泉かな
あおつゆのにほへるしまのいづみかな(梅雨・)
[2]:あしばやに過ぎゆく日々や水すまし
あしばやにすぎゆくひびやみずすまし(時の日・水すまし)
[3]:洗ひ場の跡ある流れ蛍飛ぶ
あらいばのあとあるながれほたるとぶ(蛍・蛍)
[4]:蝦夷梅雨や雲厚き日も空広き
えぞつゆやくもあつきひもそらひろき(梅雨・梅雨)
[5]:かみ合わぬ会話の行方梅雨籠り
かみあわぬかいわのゆくえつゆごもり(梅雨・梅雨)
[6]:岩窟の聖母に祈る時の記念日
がんくつのせいぼにいのるときのきねんび(時の日・)
[7]:さがしもの見つからぬまま梅雨に入る
さがしものみつからぬままつゆにいる(梅雨・)
[8]:彷徨へる龍馬のをんな梅雨の蝶
さまよえるりょうまのおんなつゆのちょう (梅雨・梅雨の蝶 )
[9]:篠笛の音取りに青む梅雨の月
しのぶえのねとりにあおむつゆのつき(梅雨・梅雨の月)
[10]:主の御手に放つ蛍の島の弥撒
しゅのみてにはなつホタルのしまのみさ(蛍・)
[11]:田が消えて蛍飛ぶ飛ぶ飛んで跳ね
たがきえてほたるとぶとぶとんではね(蛍・蛍発見[再生])
[12]:誰がために開く五輪や梅雨寒し
たがためにひらくごりんやつゆさむし(梅雨・梅雨寒し)
[13]:九十九橋渡れば異界蛍飛ぶ
つくもばしわたればいかいほたるとぶ(蛍・蛍)
[14]:梅雨空にうたた寝ばかりの還暦じい
つゆぞらきうたたねばかりのかんれきじい(梅雨・)
[15]:梅雨空を見上げて迷ふウオーキング
つゆぞらをみあげてまよううおーきんぐ(梅雨・梅雨空)
[16]:梅雨の蝶日向に翅を拡げけり
つゆのちょうひなたにはねをひろげけり(梅雨・梅雨)
[17]:梅雨の雷南真っ黒上真白
つゆのらいみなみまっくろうえましろ(梅雨・)
[18]:時の日の鐘ごんと鳴る寛永寺
ときのひのかねごんとなるかんえいじ(時の日・)
[19]:時の日は時を惜しみて過ごしけり
ときのひはときをおしみてすごしけり(時の日・時の日)
[20]:時の日もコロナの死者を数へをり
ときのひもころなのししゃをかぞえをり(時の日・)
[21]:時の日も老化時計の刻々と
ときのひもろうかどけいのこくこくと(時の日・時の日)
[22]:時の日やガキ大将の訃報聴く
ときのひやがきだいしょうのふほうきく(時の日・時の日)
[23]:時の日や叩けば動きだす時計
ときのひやたたけばうごきだすとけい(時の日・時の日)
[24]:時の日や遅刻ばかりの少年期
ときのひやちこくばかりのしょうねんき(時の日・時の日)
[25]:時の日や血筋は科学者天皇家
ときのひやちすじはかがくしゃてんのうけ(時の日・)
[26]:時の日や天使正時に鳴らす鐘
ときのひやてんししょうじにならすかね(時の日・時の日)
[27]:時の日や電子レンジに呼ばれをり
ときのひやでんしれんじによばれおり(時の日・時の日)
[28]:時の日やフリー走行予約取る
ときのひやふりーそうこうよやくとる(時の日・)
[29]:時の日や錻力の嬰は棚の上
ときのひやぶりきのややはたなのうえ(時の日・時の日)
[30]:時の日や孫歌う歌古時計
ときのひやまごうたううたふるどけい(時の日・時の日[大きな古時計])
[31]:残されていよよ一人の蛍狩り
のこされていよよひとりのほたるがり(蛍・)
[32]:八十歳の傘の重さや梅雨に入る
はちじゅうのかさのおもさやつゆにいる(梅雨・)
[33]:初ほうたる清少納言筆を止む
はつほうたるせいしょうなごんふでをとむ(蛍・初ほたる)
[34]:梅雨間に野菜苗植え予報見る
ばいうまにやさいなえうえつけよほうみる(梅雨・梅雨間[夏野菜])
[35]:日の暮を車中に待つや蛍狩
ひのくれをしゃちゅうにまつやほたるがり(蛍・蛍狩)
[36]:ファミレスの日替わりランチつゆの晴れ
ふぁみれすのひがわりらんちつゆのはれ(梅雨・)
[37]:父母の手を握り連れ出す蛍の夜
ふぼのてをにぎりつれだすほたるのよ(蛍・蛍の夜)
[38]:方円に従へど水梅雨出水
ほうえんにしたがえどみずつゆでみず(梅雨・梅雨出水)
[39]:ほうたるや心の闇が照らせない
ほうたるやこころのやみがてらせない(蛍・)
[40]:蛍を掌に受け話し込む
ほうたるをてのひらにうけはなしこむ(蛍・)
[41]:ほうたるを呼んでみたしと思ふ夜
ほうたるをよんでみたしとおもうよる(蛍・蛍)
[42]:蛍飛ぶ金のぬいとり宵闇に
ほたるとぶきんのぬいとりよいやみに(蛍・蛍)
[43]:蛍飛ぶ闇に明かりを灯しつつ
ほたるとぶやみにあかりをともしつつ(蛍・)
[44]:蛍の夜シャボンの匂ふ男の子
ほたるのよしゃぼんのにおうおとこのこ(蛍・ほたる)
[45]:蛍火に孫も忘れて祖父母かな
ほたるびにまごもわすれてそふぼかな(蛍・蛍火)
[46]:堀の影蛍光淡きマッピング
ほりのかげけいこうあわきまっぴんぐ(蛍・蛍)
[47]:世の囃すパンダ誕生梅雨晴間
よのはやすぱんだたんじょうつゆはれま(梅雨・)
[48]:カピバラに前歯が二本あけの梅雨
カピバラにまえばがにほんあけのつゆ(梅雨・あけの梅雨)
[Res: 2267] 披講結果 投稿者:丹仙 投稿日:2021/07/01(Thu) 19:37・11点句
洗ひ場の跡ある流れ蛍飛ぶ 明子
<英治(人)>
趣がある。
<万歩(人)>
蛍とぶ姿をみて、ありし日、そこでは人の交流があったと、懐旧の念に囚われている
<素蘭(天)>
写実的ながら実に幻想的。
<寿美子(天)>
戦前 城下の対岸に紡績工場の寮の洗い場がありました
絶え間ない水音草むらに飛ぶ蛍、母に聞いた女工哀史迄
思い出されます
<風子(天)>
昔は小川に洗い場があり、野菜、茶碗、おむつも洗っていた。その跡が残る川辺に蛍が飛んでいる。昔も今も蛍は飛んでいる。その川の自然が保たれている事が喜ばしい。
・10点句
九十九橋渡れば異界蛍飛ぶ 素蘭
<英治(地)>
異界への橋らしい。
<万歩(地)>
橋はこの世とあの世を分ける結界である。その橋の向こうに飛ぶ蛍は異界の幻である
<風子(人)>
九十九髪で良いのではないか。橋は<渡れば>があるから省略できると思う。
気になる一句として頂いた。
<明子(地)>
蛍は一気に異界へ連れていってくれます。
<丹仙(天)>
九十九橋という名前と蛍の配合が、戦国乱世の時代に遡る異界伝説を思い出させますね。
蛍の夜シャボンの匂ふ男の子 寿美子
<春愁(天)>
風呂上がりの蛍狩り。天花粉と石けんの匂い
<しゐ(地)>
早めにお風呂を済ませて、おばあちゃんに着せてもらった浴衣を夕闇に踊らせながら蛍を追う、愛らしい姿が目に浮かびます。
<秋童子(地)>
昭和の匂いと情景を思い出します。
<明子(天)>
初々しさの溢れる句。今でいう胸キュンなシチュエーションですね。
・6点句
青梅雨の匂へる島の泉かな 丹仙
<万歩(天)>
いかにもみずみずしい、別天地の景が見えてきます
<やんま(天)>
島の泉にふくいくと薫る風。
時の日や電子レンジに呼ばれをり 寿美子
<鈴居(地)>
侘しい電子音が今どき風景であり、時の記念日にも重なり。ピンポン。🎵
<春愁(地)>
現代社会の生活を上手く切り取っている
<翔河川(地)>
機会に使われて
・5点句
時の日や叩けば動きだす時計 春愁
<英治(天)>
面白い。
<寿美子(地)>
コロナ禍のせいで動かない毎日
私も誰かに叩いてほしい、動き出す時計は立派!
・4点句
八十歳の傘の重さや梅雨に入る やんま
<しゐ(天)>
傘というものの重さ、、、、、、これまで気づかなかった重さを実感する思いでした。
<翔河川(人)>
ビニール傘にするか
・3点句
あしばやに過ぎゆく日々や水すまし 風子
<実生(天)>
水すまし、時を告げるのか。
かみ合わぬ会話の行方梅雨籠り しゐ
<素蘭(人)>
夏百日とはいうものの、、、
<寿美子(人)>
ため息の聞えてきそうな一句です
<やんま(人)>
同し部屋に同居する時間の長さよ。
誰がために開く五輪や梅雨寒し 秋童子
<素人(天)>
説明しないまま押し切ろうとする狡さ。
梅雨の蝶日向に翅を拡げけり 明子
<翔河川(天)>
やれやれ天日干し
ファミレスの日替わりランチつゆの晴れ 翔河川
<鈴居(天)>
ほっと一息する一時
父母の手を握り連れ出す蛍の夜 素人
<秋童子(天)>
足元が不安な老父母を誘って。いい孝行ができたことでしょう。
・2点句
彷徨へる龍馬のをんな梅雨の蝶 春愁
<風子(地)>
梅雨の蝶が飛んでいる。まるでお竜さんのようだ。
時の日は時を惜しみて過ごしけり 万歩
<素人(地)>
不可逆な時の流れに想い馳せる。
時の日やガキ大将の訃報聴く しゐ
<やんま(地)>
ガキ大将も時の流れにはかなわない。
時の日や遅刻ばかりの少年期 素人
<素蘭(地)>
サンズイをシンニョウ、シカバネの雨は羊となって、迷える少年。たぶん、今も、どこかに…
時の日や天使正時に鳴らす鐘 明子
<丹仙(地)>
「天使正時」が何とも言い得て妙。天智天皇の御代であれ大正天皇の御代であれ、精密に時を刻む「時計」は外来の機械で、日本土着の時間感覚はアバウトなものだったかもしれませんね。
初ほうたる清少納言筆を止む 春愁
<実生(地)>
見ていたような。
・1点句
さがしもの見つからぬまま梅雨に入る 翔河川
<春愁(人)>
最近の"あるある" です。上手い
時の日の鐘ごんと鳴る寛永寺 やんま
<明子(人)>
いつもの鐘の音が、時の日と気づくと胸に響きます。
時の日や孫歌う歌古時計 実生
<しゐ(人)>
無邪気に歌う孫なのだが、「今はもう動かない♪」と歌われると、何とも複雑な気持ちに。
残されていよよ一人の蛍狩り 英治
<秋童子(人)>
これもまた人生ですね。
ほうたるを呼んでみたしと思ふ夜 万歩
<鈴居(人)>
ほうほうほうたる来い。
蛍飛ぶ金のぬいとり宵闇に しゐ
<丹仙(人)>
「金のぬいとり」が鮮やかに情景を際立たせています。
世の囃すパンダ誕生梅雨晴間 英治
<素人(人)>
明るい話題です。 小さいですねえ。
カピバラに前歯が二本あけの梅雨 風子
<実生(人)>
かわいい。
題詠または当季雑詠
兼題T 幟
兼題U 薔薇
兼題V ワクチン(不言題)
5月15日(土) 投句開始
5月22日(土) 投句締切 翌日選句開始
5月31日 (月) 選句締切・披講
投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
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[Res: 2264] 選句をお願いします 投稿者:丹仙 投稿日:2021/05/23(Sun) 09:09投句一覧
投句者:素蘭、寿美子、やんま、春愁、しゐ、素人、万歩、秋童子、実生、英治、翔河川、風子、明子、丹仙
[1]:青嵐ワクチン接種もままならず
あおあらしわくちんせっしゅもままならず(ワクチン(不言題)・青嵐)
[2]:青空をひたすら泳ぐ鯉のぼり
あおぞらをひたすらおよぐこいのぼり(幟・鯉のぼり)
[3]:朝晴れてコップに一輪バラ挿して
あさはれてこっぷにいちりんばらさして(薔薇・)
[4]:天草の古城の跡や幟立つ
あまくさのこじょうのあとやのぼりたつ(幟・)
[5]:貴婦人の踊るがごとし薔薇の園
きふじんのおどるがごとしばらのその(薔薇・薔薇の園)
[6]:薫風の丘に村あり幟立つ
くんぷうのおかにむらありのぼりたつ(幟・)
[7]:華厳寺の左右の柱や聖五月
けごんじのそうのはしらやせいごがつ(ワクチン(不言題)・聖五月)
[8]:鯉のぼり子の命日の近づけり
こいのぼりこのめいにちのちかづけり(幟・鯉のぼり)
[9]:コロナ禍も大口開けて鯉幟
ころなかもおおぐちあけてこいのぼり(幟・鯉幟)
[10]:定まらぬままの接種日梅雨に倦む
さだまらぬままのせっしゅびつゆにうむ(ワクチン(不言題)・梅雨に倦む)
[11]:三代の女花摘む薔薇の家
さんだいのおみなはなつむばらのいえ(薔薇・薔薇)
[12]:潮騒の能登の陣屋に幟立つ
しおざいののとのじんやにのぼりたつ(幟・幟)
[13]:白薔薇や天は二物を与ふもの
しろばらやてんはにぶつをあたうもの(薔薇・白薔薇)
[14]:青天を貫く幟靜哀れ
せいてんをつらぬくのぼりしずあわれ(幟・幟[靜の舞])
[15]:接種券ようやく届く梅雨の入り
せっしゅけんようやくとどくつゆのいり(ワクチン(不言題)・梅雨の入り)
[16]:接種後の卯の花腐たし蟄居かな
せっしゅごのうのはなくたしちっきょかな(ワクチン(不言題)・卯の花腐たし)
[17]:接種とや無事の聲聴く五月かな
せっしゅとやぶじのこえきくさつきかな(ワクチン(不言題)・五月)
[18]:蒼穹に旗幟鮮明の武者幟
そうきゅうにきしせんめいのむしゃのぼり(幟・武者幟)
[19]:梅雨明けを待つ身にチクリ注射針
つゆあけをまつみにちくりちゅうしゃばり(ワクチン(不言題)・梅雨明け)
[20]:梅雨寒やデジタル難民てふ存在
つゆざむやでじたるなんみんちょうそんざい(ワクチン(不言題)・梅雨寒)
[21]:戸惑いて鍾馗幟は立ち尽くす
とまどいてしょうきのぼりはたちつくす(幟・鍾馗幟)
[22]:毒をもて毒を制する蝮酒
どくをもてどくをせいするまむしざけ(ワクチン(不言題)・蝮酒)
[23]:丼池は糸へんの街鯉幟
どぶいけはいとへんのまちこいのぼり(幟・鯉幟)
[24]:曇天にピンクの薔薇誇らしげ
どんてんにびんくのばらほこらしげ(薔薇・ばら)
[25]:庭の薔薇剪り届けたし母生きよ
にわのばらきりとどけたしははいきよ(薔薇・薔薇)
[26]:薔薇一輪大人食堂卓上に
ばらいちりんおとなしょくどうたくじょうに(薔薇・薔薇)
[27]:薔薇園に入りていつそう睦みをり
ばらえんにいりていっそうむつみをり(薔薇・)
[28]:薔薇苑の鉄のベンチの飾り物
ばらえんのてつのべんちのかざりもの(薔薇・薔薇苑)
[29]:薔薇にほふ棺の蓋をとづる刻
ばらにおうひつぎのふたをとづるとき(薔薇・薔薇)
[30]:薔薇アーチ潜りて十字切る童女
ばらアーチくぐりてじゅうじきりどうにょ(薔薇・)
[31]:人嫌ひサクラも嫌ひ白薔薇
ひとぎらいさくらもきらいしろそうび(薔薇・白薔薇)
[32]:人寄るを暫しいましめ武者幟
ひとよるをしばしいましめむしゃのぼり(幟・)
[33]:不安の中予約取れずが菖蒲咲く
ふあんのなかよやくとれずがしょうぶさく(ワクチン(不言題)・菖蒲[安寧な暮らしが])
[34]:ベランダも我が空として鯉幟
べらんだもわがそらとしてこいのぼり(幟・鯉幟)
[35]:もたもたもせっかちもいて緑雨かな
もたもたもせっかちもいてりょくうかな(ワクチン(不言題)・緑雨)
[36]:谷戸の天競ふものなき幟かな
やとのてんきそうものなきのぼりかな(幟・幟)
[37]:妖艶と言ふ他はなし薔薇の花
ようえんというほかはなしばらのはな(薔薇・薔薇の花)
[38]:汝が垣の薔薇の蕾の朱の濃かり
わかかきのばらぼつぼみのしゅのこかり(薔薇・)
[39]:ワクチンに関はりなしと蟻走る
わくちんにかかわりなしとありはしる(ワクチン(不言題)・蟻)
[40]:ワクチンのかくも迷走五月闇
わくちんのかくもめいそうさつきやみ(ワクチン(不言題)・五月闇)
[Res: 2264] 選句一覧 投稿者:丹仙 投稿日:2021/06/01(Tue) 09:01 <HOME>英治
天の句:[34]ベランダも我が空として鯉幟
その鯉幟さへもはや。
地の句:[12]潮騒の能登の陣屋に幟立つ
風格が在る。
人の句:[9]コロナ禍も大口開けて鯉幟
マスクもせずに。
春愁
天の句:[39]ワクチンに関はりなしと蟻走る
蟻は蟻の生活がある。面白い
地の句:[23]丼池は糸へんの街鯉幟
糸へんの街、栄えていますか
人の句:[6]薫風の丘に村あり幟立つ
さわやか
風子
天の句:[9]コロナ禍も大口開けて鯉幟
人間はマスクしてソーシャルディスタンスを守り続けているのに、鯉のぼりは大口を開けて
泳いでいる。コロナ禍の心情が滲んでいる一句。
地の句:[20]梅雨寒やデジタル難民てふ存在
「デジタル難民」 今年の流行語になりそうな言葉です。ワクチン予約の混乱は国の配慮が行き届いていない。夫は掛り付けの医者から薬を毎月出されるからOK、妻は健康で医者の薬を飲んでいないので予約は取れないなどと詰まらない理由で断られ、困っている人がいた。
人の句:[29]薔薇にほふ棺の蓋をとづる刻
最後の別れを告げるかに薔薇が匂った。まさしく絶唱の一瞬。
しゐ
天の句:[29]薔薇にほふ棺の蓋をとづる刻
その瞬間の、あの世とこの世が音をたてて隔絶されていくような切なさが、薔薇の香りからいっそう強く伝わります。
地の句:[4]天草の古城の跡や幟立つ
舟越保武さんの作品「原の城」の像が、風に向かってむっくりと立ち上がるさまが胸に浮かんできました。
人の句:[36]谷戸の天競ふものなき幟かな
ただゆったりと。
万歩
天の句:[29]薔薇にほふ棺の蓋をとづる刻
薔薇の香りが永遠のわかれを告げる、一瞬を詠んだ句
地の句:[36]谷戸の天競ふものなき幟かな
静かな景のなかの鮮やかな幟が鮮明
人の句:[20]梅雨寒やデジタル難民てふ存在
梅雨寒にふさわしいフレーズ
実生
天の句:[3]朝晴れてコップに一輪バラ挿して
朝、新聞を取りに行って薔薇の開花を。一輪切り花にしても、ためらって。キッチンテーブルに。ごめん。
地の句:[8]鯉のぼり子の命日の近づけり
親より先に逝くな。子供達に申し伝え。
人の句:[25]庭の薔薇剪り届けたし母生きよ
遠く離れても、母生きよ。
秋童子
天の句:[34]ベランダも我が空として鯉幟
ベランダだって堂々と。
地の句:[10]定まらぬままの接種日梅雨に倦む
この調子では、本当にいつになるやら。
人の句:[26]薔薇一輪大人食堂卓上に
この一輪で、会場の雰囲気もガラリと変わったことでしょう。
素蘭
天の句:[29]薔薇にほふ棺の蓋をとづる刻
かの人の在りし香のように。。。
地の句:[36]谷戸の天競ふものなき幟かな
天晴、皐月晴!
人の句:[20]梅雨寒やデジタル難民てふ存在
ローテクに切り替えた自治体もあるやに…
翔河川
天の句:[34]ベランダも我が空として鯉幟
大きな空が
地の句:[31]人嫌ひサクラも嫌ひ白薔薇
薔薇もひとも
人の句:[11]三代の女花摘む薔薇の家
祖母娘孫が
寿美子
天の句:[40]ワクチンのかくも迷走五月闇
今の人類をずばり、五月闇に納得
地の句:[30]薔薇アーチ潜りて十字切る童女
ヨーロッパの映画にありそうなシーン、素敵です
人の句:[34]ベランダも我が空として鯉幟
子供の幸せを祈る気持ちに変わりはありません
明子
天の句:[29]薔薇にほふ棺の蓋をとづる刻
辛い刻。薔薇の匂いが辛さをほんの少し和らげてくれる。
地の句:[8]鯉のぼり子の命日の近づけり
口には出さないけれど、重い胸の内です。
人の句:[16]接種後の卯の花腐たし蟄居かな
ワクチンを打った後はやはり蟄居した方が良さそうです。
季語がうまいと思いました。
鈴居
天の句:[2]青空をひたすら泳ぐ鯉のぼり
ただひたすら泳いでいる姿がよい
地の句:[12]潮騒の能登の陣屋に幟立つ
響きがよい
人の句:[3]朝晴れてコップに一輪バラ挿して
飾り気なくでもきれい。それが一番うつくしかったりして。
丹仙
天の句:[7]華厳寺の左右の柱や聖五月
コロナ禍という予測困難な状況で、人心の不安の募る時期を背景とします。この句は、そういう未来の見えない時に、観音菩薩による衆生救済の願の実現を願う巡礼の寺を詠んだものでしょうか。
「聖五月」は聖母マリアを祝うキリスト教に由来する季語ですが、ラッチンガー枢機卿のように、イエスは万人の救済のために自らを捧げた「究極の菩薩」であると解釈した聖書学者もいますから、この句は宗派を超えて、危機の時代を生きる人の希望を詠んだものともいえるでしょう。
地の句:[36]谷戸の天競ふものなき幟かな
情景がはっきりと浮かびました。
人の句:[10]定まらぬままの接種日梅雨に倦む
ワクチンの不言題として技ありの句でしょう。