桃李歌壇 連歌作品集


歌仙:枝ふるふ花

1997/3/31-4/18  捌き評釈と投句者解題

連番 投句 俳号
発句 枝ふるふ花のすきまのそらの青 りう
 野に遊ぶ君綱引きし駒  ひとし
3 亜麻色の髮に夕日のとき長く りう
4  箒を立てて払ふ蜂の巣  ひとし
5 胡蝶舞ひ夢より出でぬ朧月  ゆう
6  弾むボーナス背広に溢る  ひとし
7 税といふ見えぬ籬(まがき)に囲はれて りう
8  語らふ遊女名乗る尊師を  ひとし
9 萩の露しろき裳裾を濡らしつつ りう
10  灯す篝火いざ茸狩らむ ゆう
11 猿楽を奏し終れば閨の月 ひとし
12  涼しき耳を敷きてまどろむ りう
13 手枕や瞼に燃ゆる蔦紅葉  はる
14  仮の契りも誠尽くして ひとし
15 リストラもフレッシュマンの心意気 はる
16  日々の刷新人寄り集ひて きこ
17 花形スター少女の夢は翼持つ 登代子
18  割ったら大変春の卵を はる
19 シスターも絵筆の意匠イースター きこ
20  アダム創造交す御指に ゆう
21 イチジクのはらわた崩ゆる残暑かな りう
22  白き産毛に袋角立ち  ゆう
23 少年よ逆光の地に刺すナイフ りう
24  雪の頂上痛き頬向け きこ
25 友眠る山巓の月凍りゆく ゆう
26  涙涸らすか焚き火の煙  きこ
27 破れたる手紙の恋のちりちりと はる
28  麦の穂先のこそばゆき朱夏 りう
29 をち水を一息飲みて荒れ神輿 ゆう
30  蒼穹眩しイカロスも飛び  きこ
31 蜜蝋を煮るゆふぐれはひもじくて りう
32  炉辺の父母途絶えし会話 ゆう
33 逝きし子の歳を数へし彼岸かな  きこ
34  涅槃の風に池水ぬるみて  ゆう
35 花散りて七宝光る白き象 東鶴
挙句  香にたつ草を踏みて旅立 りう