桃李談話室
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ご挨拶とお知らせ 投稿者:ぽぽな 投稿日:2024/12/04(Wed) 00:45 No.2476  
丹仙さん、長年の常連の皆様、大変ご無沙汰しております。初対面のみなさま、はじめまして。わたくしは俳人の、月野ぽぽな、と申します。2002年にふと訪ねた桃季句会にて詩歌に魅せらせ、俳人になりました。久しぶりに今月、とても楽しく、句会に参加させていただきました。

さて、わたくしごとで恐縮ですが、この度、初の句集『人のかたち』(左右社)を刊行いたしました。初学の頃に多くを学ばせていたいた、丹仙さん、そして桃李歌壇に集う皆さまにお知らせいたしたくメッセージいたしました。以下に情報をリンクいたしますので、よろしかったらどうぞお手に取っていただきたく存じます。

左右社
https://sayusha.com/books/-/isbn9784865284188
アマゾン
https://www.amazon.co.jp/dp/4865284184


また、寄せていただきたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。



Re: ご挨拶とお知らせ 丹仙 - 2024/12/14(Sat) 10:47 No.2477   HomePage

ぽぽな様
お久しぶりです。初句集『人の形』の刊行、心よりお慶び申し上げます。

初冬やヘブライ文字は火のかたち    ぽぽな
  凍つる大地に「太陽の歌」      丹仙

私の脇句は、アッシジのフランシスという「人の形」を詠んでみました。

最近書いた私の論考「詩編に聴くー聖書と典礼の研究
」(来年3月刊行予定)の一節を以下に引用します。

 ヘブライ詩編148の賛歌を背景として、アッシジのフランシスは眼病と病苦のさなか、死の直前に、つぎのような賛歌を詠みました。(「太陽の歌」と呼ばれています)。

 ほむべきかな、主よ、主のつくりませる物みなと、
 ことに昼を与へわれらを照り輝かす兄弟(はらから)、
 太陽と日は美しく眩しきまでに照り渡る、
 かれこそは主の御姿、ああ高きにいます主よ

 ほむべきかな、わが主よ、兄弟(はらから)火は
 夜のくらきを照らし
 美(うる)はし、楽し、毅(たけ)く、剛(つよ)し。




Re: ご挨拶とお知らせ ぽぽな - 2024/12/22(Sun) 23:23 No.2479  

丹仙さま

お返事をありがとうございました。
そして、「初冬や」に含蓄のある素晴らしい脇を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。

ちょうど昨日は冬至、一年の中で生きとし生けるものが一番太陽を恋慕う日でしたので、「太陽の歌」からのご引用は心に沁みます。

来年の書籍のご刊行も楽しみです。

どうぞ楽しいクリスマスを、そして良いお年をお迎えください。



桃李11月定例句会のお知らせ 投稿者:丹仙 投稿日:2024/11/14(Thu) 20:06 No.2473   HomePage
題詠または当季雑詠

兼題T 小春日
兼題U 散紅葉
兼題V 神の旅

11月15日(金)投句開始
11月22日(金)投句締切 翌日選句開始
11月30日(金)選句締切 
12月02日(水)披講 

投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
「返信ボタン」の左のホームのアイコンをクリックして下さい。  



選句をお願いします 丹仙 - 2024/11/24(Sun) 20:50 No.2474   HomePage

投句者:素蘭、寿美子、春愁、素人、白馬、風子、秋童子、翔河川、しゐ、明子、実生、ぽぽな、ヨアヒム、丹仙

[1]:池の面を大地に仮装散紅葉
いけのもをだいちにかそうちりもみじ(散紅葉・散紅葉)

[2]:漆の葉真っ赤かの散紅葉
うるしのはまっかかのちりもみじ(散紅葉・)

[3]:神の旅色なき風の中を行く
かみのたびいろなきかぜのなかをゆく(神の旅・)

[4]:神の旅機首はエデンの東向く
かみのたびききしゅはエデンのひがしむく(神の旅・神の旅)

[5]:神の旅立ち空港は人の群れ
かみのたびだちくうこうはひとのむれ(神の旅・神の旅立ち)

[6]:神の旅能登は不在のままなるや
かみのたびのとはふざいのままなるや(神の旅・神の旅)

[7]:神の旅わが家の山の神もまた
かみのたびわがやのやまのかみもまた(神の旅・神の旅)

[8]:神の旅AIツアーかも知れず
かみのたびエイアイツアーかもしれず(神の旅・神の旅)

[9]:眼帯を外せば小春日和かな
がんたいをはずせばこはるびよりかな(小春日・)

[10]:喜寿を超え北アルプスへ神の旅
きじゅをこえきたあるぷすへかみのたび(神の旅・神の旅)

[11]:小春日に来し方ばかりよみがえり
こはるびにこしかたばかりよみがえり(小春日・)

[12]:小春日のカフェの椅子が呼んでいる
こはるびのかふぇのいすがよんでいる(小春日・冬)

[13]:小春日の手品子にすぐ見破られ
こはるびのてじなすぐこにみやぶられ(小春日・小春日)

[14]:小春日の干し菜の匂ひ暮れてなほ
こはるびのほしなのにおいくれてなお(小春日・小春日)

[15]:小春日の惑星残し詩人逝く
こはるびのわくせいのこししじんいく(小春日・)

[16]:小春日や囲碁の石音届く午後
こはるびやいごのいしおととどくごご(小春日・小春日)

[17]:小春日や伊勢の赤福はづみ買ひ
こはるびやいせのあかふくはづみがい(小春日・小春日)

[18]:小春日や小鳥と鴉の声混じり
こはるびやことりとからすのこえまじり(小春日・)

[19]:小春日や何だか一句詠めそうな
こはるびやなんだかいっくよめそうな(小春日・小春日)

[20]:小春日や白寿の母へ紅を刷く
こはるびやはくじゅのははへべにをはく(小春日・小春日)

[21]:小春日や湯島に女男の坂三つ
こはるびやゆしまにめおのさかみっつ(小春日・小春日)

[22]:小春日をうつらうつらと愉しめり
こはるびをうつらうつらとたのしめり(小春日・小春日)

[23]:さくらさくらさくらもみぢて散りにけり
さくらさくらさくらもみじてちりにけり(散紅葉・もみぢ散る)

[24]:自転する水の惑星神の旅
じてんするみずのわくせいかみのたび(神の旅・神の旅)

[25]:ソロモンの秘宝遙々神の旅
そろもんのひほうはるばるかみのたび(神の旅・)

[26]:ちょっと来い親鳥が子を小春かな
ちょっとこいおやどりがこをこはるかな(小春日・[小綬鶏])

[27]:散り紅葉影も日向も埋め尽くし
ちりもじかげもひなたもうめつくし(散紅葉・)

[28]:散紅葉遺影の夫と散策す
ちりもみじいえいのつまとさんさくす(散紅葉・冬)

[29]:散紅葉視線の高さ飛びゆけり
ちりもみじしせんのたかさとびゆけり(散紅葉・散紅葉)

[30]:散紅葉認知の母も微笑みて
ちりもみじにんちのははもほほえみて(散紅葉・散紅葉)

[31]:散紅葉踏まねばいけず先師の碑
ちりもみじふまねばいけずせんしのひ(散紅葉・散紅葉)

[32]:散もみぢ長押に鈍き釘隠し
ちるもみじなげしににぶきくぎかくし(散紅葉・散もみぢ)

[33]:散紅葉マリアの涙拭ひけり
ちるもみじマリアのなみだぬぐひけり(散紅葉・)

[34]:鳥の影よぎるベンチに散紅葉
とりのかげよぎるべんちにちりもみじ(散紅葉・)

[35]:塗椀は波に兎図神の旅
ぬりわんはなみにうさぎずかみのたび(神の旅・神の旅)

[36]:掃き寄せて空豆の新芽散り紅葉
はきよせてそらまめのしんめちりもみじ(散紅葉・[空豆発芽])

[37]:一齧りのビッグアップル神の旅
ひとかじりのビッグアップルかみのたび(神の旅・冬)

[38]:ビルの風ビルの渓谷散紅葉
びるのかぜびるのけいこくちるもみじ(散紅葉・)

[39]:水あれば水鏡して神の旅
みずあればみずかがみしてかみのたび(神の旅・)

[40]:紅葉散る坂道をなほ一歩づつ
もみじちるさかみちをなほいっぽづつ(散紅葉・紅葉散る)

[41]:紅葉散るひとひらは深き谷底へ
もみじちるひとひらはふかきたにぞこへ(散紅葉・紅葉散る)

[42]:ゲート開きもうお前しか神の旅
ゲートあきもうおまえしかかみのたび(神の旅・[ジャパンカップ])



選句一覧 丹仙 - 2024/12/02(Mon) 15:40 No.2475   HomePage

風子

天の句:[4]神の旅機首はエデンの東向く
エデンと言われると、「エデンの園」を思いジェームスデーンの日ずるい顔を思い出す。なぜか魅力的な一句となって立ち上がるのだ。

地の句:[38]ビルの風ビルの渓谷散紅葉
街なかを「ビルの谷間」と、言えば聞き慣れしていて面白くないが、「ビルの渓谷」と言い直すだけで新鮮味が出るから不思議です。

人の句:[13]小春日の手品子にすぐ見破られ
親子の微笑ましい一景が、小春日という季語によってより温かく感じられる。

寿美子

天の句:[20]小春日や白寿の母へ紅を刷く
小春日 ほのぼのと心がぬくもります

地の句:[7]神の旅わが家の山の神もまた
ウィットに富んだ一句
お賽銭たくさん供えたの?

人の句:[38]ビルの風ビルの渓谷散紅葉
ビルの渓谷 詩情そそられます

ヨアヒム

天の句:[3]神の旅色なき風の中を行く
「色なき風」の表現、素晴らしい。季語「神の旅」を生かしている。

地の句:[28]散紅葉遺影の夫と散策す
 連れ合いを失った気持ちが伝わってくる。

人の句:[24]自転する水の惑星神の旅
 スケールが大きい。

ぽぽな

天の句:[32]散もみぢ長押に鈍き釘隠し
例えば、年季の入った六葉の釘隠しでしょうか。設えてある神社仏閣が見えてきます。そこに紅葉が散る光景に静かな風情が香ります。細部の描写が周りの状況を読み手に彷彿させ、とても優れていると思いました。

地の句:[21]小春日や湯島に女男の坂三つ
湯島の坂を巡ってみるには、小春日がぴったりですね。湯島界隈の風景も見えてきます。

人の句:[9]眼帯を外せば小春日和かな
長く患っていた病かもしれません、手術の後かもしれません。眼帯をした視界は何かと不快であったことでしょう。ようやく外した時の解放感といった心の様子が、小春日和の穏やかさとよく響き合うと思います。

秋童子

天の句:[14]小春日の干し菜の匂ひ暮れてなほ
小春日ならではの大事なひと手間。豊かな暮らしぶりが想像できます。

地の句:[20]小春日や白寿の母へ紅を刷く
なんと素敵なひとときでしょう!

人の句:[40]紅葉散る坂道をなほ一歩づつ
心惹かれる一句でした。

素人

天の句:[30]散紅葉認知の母も微笑みて
記憶の底にのこる思い出

地の句:[20]小春日や白寿の母へ紅を刷く
元気でいての願いを込めて

人の句:[6]神の旅能登は不在のままなるや
復興遅し冬はそこまで

しゐ

天の句:[39]水あれば水鏡して神の旅
何とも優雅な、ゆったりした感じがします。

地の句:[31]散紅葉踏まねばいけず先師の碑
散り敷く落ち葉の美しさに踏み惑うばかり。

人の句:[24]自転する水の惑星神の旅
神の旅の速度と自転の速度が重なり、不思議な気持ちになります。

明子

天の句:[15]小春日の惑星残し詩人逝く
私たちは谷川俊太郎を失ってしまった。この惑星に残されてしまった。
寂しさが募ります。

地の句:[4]神の旅機首はエデンの東向く
現代の神の旅は飛行機も駆使して。
できることなら、エデンの東に向かう飛行機に乗ってみたいと思います。

人の句:[32]散もみぢ長押に鈍き釘隠し
長押に渋い釘隠しのあるような、趣のある古いお屋敷。散もみじの
美しさが眼前に浮かびます。

春愁

天の句:[26]ちょっと来い親鳥が子を小春かな
小綬鶏親子の微笑ましい景

地の句:[7]神の旅わが家の山の神もまた
山の神、何処へお出掛け?

人の句:[13]小春日の手品子にすぐ見破られ
アットホームな家族団らん!!

白馬

天の句:[20]小春日や白寿の母へ紅を刷く
母・娘の情が良く分かります。

地の句:[39]水あれば水鏡して神の旅
神様もおめかしして旅へ。

人の句:[28]散紅葉遺影の夫と散策す
しみじみします。

素蘭

天の句:[35]塗椀は波に兎図神の旅
縁起物とされる「波に兎」図、塗椀の漆は英語でjapan
されどglobalに展開すれば、NODA・MAP、その不条理劇、、、

地の句:[1]池の面を大地に仮装散紅葉
大胆な見立てですが、落葉や雪で地面と溝や池の境界がよくわからずおっかなびっくり足を運ぶことってありますね。
その徘味が在原業平の屏風歌「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは 」との差異。

人の句:[15]小春日の惑星残し詩人逝く
「死んだ人はみんなことばになるのだ。」とは寺山修司の名言ですが…

実生

天の句:[15]小春日の惑星残し詩人逝く
たくさん救われたです。俊太郎さん、さようなら。

地の句:[39]水あれば水鏡して神の旅
行かないで。

人の句:[31]散紅葉踏まねばいけず先師の碑
ご無沙汰してるから、私も行かねば。

翔河川

天の句:[14]小春日の干し菜の匂ひ暮れてなほ
なんの匂いでしょう

地の句:[39]水あれば水鏡して神の旅
二重写で

人の句:[09]眼帯を外せば小春日和かな
景色が暖かく

丹仙

天の句:[32]散もみぢ長押に鈍き釘隠し
紅葉の色と散りゆく時間が、その背後にある古代へと遡り行く歴史、それに配するに、鈍い釘隠しのある伝統様式の建造物のくすんだ色、落ち着いた空間性が、見事な対比を為していると思いました。

地の句:[21]小春日や湯島に女男の坂三つ
のどかな参詣風景が浮かびます

人の句:[15]小春日の惑星残し詩人逝く
二十億光年の孤独という処女詩集を出した谷川俊太郎に献げる句として印象に残りました。




桃李10月定例句会のお知らせ 投稿者:丹仙 投稿日:2024/10/13(Sun) 16:45 No.2470   HomePage
題詠または当季雑詠

兼題T 渡り鳥
兼題U 蔦紅葉
兼題V 平和賞(不言題)

10月15日(火)投句開始
10月22日(火)投句締切 翌日選句開始
10月29日(火)選句締切 
10月30日(水)披講 
  
不言題とは「平和賞」という言葉を使わずに平和賞を詠む題詠です。

投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
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選句をお願いします 丹仙 - 2024/10/23(Wed) 07:30 No.2471  

投句一覧

投句者:素人、寿美子、しゐ、素蘭、春愁、風子、白馬、実生、翔河川、秋童子、ヨアヒム、丹仙

[1]:藍蔵の白壁のぼる蔦紅葉
あいぐらのしらかべのぼるつたもみじ(蔦紅葉・蔦紅葉)

[2]:秋晴れや核廃絶に共感得
あきばれやかくはいぜつにきょうかんう(平和賞(不言題)・秋晴れ)

[3]:雨樋は赤一色に蔦紅葉
あまどいはあかいっしょくにつたもみじ(蔦紅葉・蔦紅葉)

[4]:石橋を叩けばこつと秋没日
いしばしをたたけばこつとあきいりひ(平和賞(不言題)・秋没日)

[5]:上田にて戦時の紅葉残したり
うえだにてせんじのもみじのこしたり(平和賞(不言題)・[無言館])

[6]:大鳴門小鳴門の空鳥渡る
おおなるとこなるとのそらとりわたる(蔦紅葉・鳥渡る)

[7]:菊の香や聖母に献ぐハレルヤ讃歌
きくのかやせいぼにささぐアレルヤさんか(平和賞(不言題)・菊[浦上のまりあ像])

[8]:木守柿第九条にノーベル賞
きまもりかきだいきゅうじょうにノーベルしょう(平和賞(不言題)・木守柿)

[9]:朽ち果てし民家アートに蔦紅葉
くちはてしみんかあーとにつたもみじ(蔦紅葉・蔦紅葉)

[10]:ゲーテ座のレンガの壁を蔦紅葉
げーてざのれんがのかべをつたもみじ(蔦紅葉・蔦紅葉)

[11]:小鳥来るフランシスコの高き鐘の音
ことりくるフランシスコのたかきかねのね(渡り鳥・)

[12]:小鳥たちどこから来たの秋気配
ことりたちどこからきたのあきけはい(渡り鳥・)

[13]:さびしげに仲間見送り鳥渡る
さびしげになかまみおくりとりわたる(渡り鳥・)

[14]:白きヴィラすっぽり容れて蔦紅葉
しろきヴィラすっぽりいれてつたもみじ(蔦紅葉・蔦紅葉)

[15]:住む人のいない生家や蔦紅葉
すむひとのいないせいかや蔦紅葉(蔦紅葉・)

[16]:蔦紅葉せし聖堂やミサ応へ
つたもみじせしせいどうやミサこたへ(蔦紅葉・[聖体行列])

[17]:蔦紅葉父の生家は瞽女の宿
つたもみじちちのせいかはごぜのやど(蔦紅葉・蔦紅葉)

[18]:蔦紅葉とばし読みする文庫本
つたもみじとばしよみするぶんこぼん(蔦紅葉・)

[19]:蔦紅葉古き煉瓦に星の影
つたもみじふるきれんがにほしのかげ(蔦紅葉・)

[20]:蔦紅葉放棄小屋壁真紅染め
つたもみじほうきこやかべしんくぞめ(蔦紅葉・[耕作放棄])

[21]:鶴来る北の大地の蒼き空
つるきたるきたのだいちのあおきそら(渡り鳥・鶴来る)

[22]:てんがうや酔うて湯島の蔦紅葉
てんごうやようてゆしまのつたもみじ(蔦紅葉・蔦紅葉)

[23]:灯台の光が過る渡り鳥
とうだいのひかりがよぎるわたりどり(渡り鳥・渡り鳥)

[24]:鳥渡る沖へ一筋光る潮
とりわたるおきへひとすじひかるしお(渡り鳥・鳥渡る)

[25]:鳥渡る酷暑の記憶曖昧に
とりわたるこくしょのきおくあいまいに(渡り鳥・鳥渡る)

[26]:鳥り渡る地じゅくの傾斜たしかめつ
とりわたるちじゅくのけいしゃたしかめつ(渡り鳥・)

[27]:ノーベル賞山口仙ニに告げし秋
のーべるしょうやまぐちせんじにつげしあき(平和賞(不言題)・秋)

[28]:被爆者の思い届くやノーベルに
ひばくしゃのおもいとどくやノーベルに(平和賞(不言題)・)

[29]:被爆者の御霊に捧ぐ断腸花
ひばくしゃのみたまにささぐだんちょうか(平和賞(不言題)・断腸花)

[30]:星月夜被爆のいのちの幾千万
ほしづくよひばくのいのちのいくせんまん(平和賞(不言題)・星月夜)

[31]:報われし想いは深し天高し
むくわれしおもいはふかしてんたかし(平和賞(不言題)・)

[32]:宵闇や長崎の鐘鳴り止まず
よいやみやながさきのかねなりやまず(平和賞(不言題)・宵闇)

[33]:渡り鳥「はて」とつぶやく陽気かな
わたりどり「はて」とつぶやくようきかな(渡り鳥・渡り鳥)

[34]:鳥わたるついていきたい遠い国
わたりどりついていきたいとおいくに(渡り鳥・)

[35]:渡り鳥時にはマストで友を待つ
わたりどりときにはマストでともをまつ(渡り鳥・)

[36]:割り箸に絡む水飴小鳥来る
わりばしにからむみずあめことりくる(渡り鳥・小鳥来る)



選句一覧 丹仙 - 2024/11/01(Fri) 13:55 No.2472   HomePage

素人

天の句:[1]藍蔵の白壁のぼる蔦紅葉
深まる秋を心行くまで

地の句:[21]鶴来る北の大地の蒼き空
老いたる農夫笑みを浮かべる

人の句:[36]割り箸に絡む水飴小鳥来る
飴細工師の指の巧みさ

春愁

天の句:[17]蔦紅葉父の生家は瞽女の宿
想像を超えています。草深い山中なのでしょうか。

地の句:[15]住む人のいない生家や蔦紅葉
背高泡立ち草も庭を占拠しています。

人の句:[10]ゲーテ座のレンガの壁を蔦紅葉
横浜の山手、よく見かけます。

寿美子

天の句:[32]宵闇や長崎の鐘鳴り止まず
平和賞受賞は私達の一縷の望み 長崎の鐘に励まされる

地の句:[6]大鳴門小鳴門の空鳥渡る
スケールの大きさに共感

人の句:[14]白きヴィラすっぽり容れて蔦紅葉
蓼科高原散策 紅葉の季節 モダンな山荘点在していました

風子

天の句:[29]被爆者の御霊に捧ぐ断腸花
断腸花とは、秋海棠の異名とある。なぜか悔しい思いが伝わってきて興味深い。

地の句:[10]ゲーテ座のレンガの壁を蔦紅葉
ゲーテ座は岩崎博物館。煉瓦の壁、重厚な出立ちに蔦紅葉が似合う。

人の句:[36]割り箸に絡む水飴小鳥来る
季語との関係性がつかず離れず心地よいバランス。

白馬

天の句:[17]蔦紅葉父の生家は瞽女の宿
三味線の音とご先祖様のお宅が響き合う。

地の句:[36]割り箸に絡む水飴小鳥来る
幼い頃の思い出と相俟って。ラ行も効果的です。

人の句:[34]鳥わたるついていきたい遠い国
そのお気持ち解ります。

翔河川

天の句:[01]藍蔵の白壁のぼる蔦紅葉
漆喰でしょうか

地の句:[24]鳥渡る沖へ一筋光る潮
暗闇に一瞬海が光って

人の句:[14]白きヴィラすっぽり容れて蔦紅葉
つたに埋もれて

しゐ

天の句:[36]割り箸に絡む水飴小鳥来る
水飴の絡み具合にも秋を感じる作者の、細やかな暮らしぶりが伝わります。

地の句:[27]ノーベル賞山口仙ニに告げし秋
受賞のお知らせは、山口さんはじめ多くのみたまに届いたことでしょう。でもこれがゴールではなく、今ある私たちに求められていることの重さを感じます。

人の句:[24]鳥渡る沖へ一筋光る潮
読みながら、光を追ってつい目を細めていました。

素蘭

天の句:[1]藍蔵の白壁のぼる蔦紅葉
藍職人の質実な暮らし それを象徴するような白壁 蔦紅葉  
一幅の絵ですね。

地の句:[31]報われし想いは深し天高し
過ちは繰り返します。
であるからこそ共有すべき「声」、その遡及力。
過ちを繰り返さぬよう…

人の句:[10]ゲーテ座のレンガの壁を蔦紅葉
横濱 黄昏 明治のアロマ 
於母影 しがらみ 港のエリス
ロマンス 残り火 男の未練
あの人は…
virtual hike の醍醐味です。

秋童子

天の句:[31]報われし想いは深し天高し
被爆者の方々は、長く苦しい闘いの果てにようやくひとつ報われた、と心から喜んでいらっしゃいます。
私も仕事を通じ、被爆者の方々の言い尽くせぬ苦しみや怒りに触れてきただけに、今回の受賞は本当にうれしく思っています。

地の句:[30]星月夜被爆のいのちの幾千万
人間はもちろん動植物に至るまで、幾千万の命を奪い去ってしまったあの原爆。被爆後79年が経ってなお、放射能による後遺症に苦しんでいる人もいます。
このおぞましい核兵器を2度と使わせまいとする被爆者の運動を、高く評価してくれたのが今年のノーベル平和賞でした。

人の句:[32]宵闇や長崎の鐘鳴り止まず
下半身付随の体となりながら初期の原水爆禁止運動を支えた渡辺千恵子さん、被爆者として初めて国連総会議場で「ノーモア・ヒバクシャ」の演説をした山口仙ニさん、熱線で焼かれた自分の赤い背中の写真を掲げながら国内外で核廃絶を訴え続けた谷口稜曄(すみてる)さん・・・。
私がお会いした長崎の被爆者も、すでにほとんどの方々が亡くなってしまいました。でも、いまその遺志は、被爆二世や地元の若者たちにしっかり引き継がれています。

実生

天の句:[1]藍蔵の白壁のぼる蔦紅葉
深谷かな。

地の句:[36]割り箸に絡む水飴小鳥来る
やってみょ。

人の句:[31]報われし想いは深し天高し
報道で知って嬉しかった。

ヨアヒム

天の句:[34]鳥わたるついていきたい遠い国
 ブッセの詩を思い出した。「遠い国」は夢の国かな、それとも…。

地の句:[15]住む人のいない生家や蔦紅葉
 蔦紅葉が生家の思い出と繋がっている。

人の句:[35]渡り鳥時にはマストで友を待つ
 発想が素晴らしい。大海原を感じさせる。「時にはマストで」を7文字にすれば…

丹仙

天の句:[32]宵闇や長崎の鐘鳴り止まず
長崎の鐘の記憶が人々の心に十六夜の月とともにのこりますように。

地の句:[17]蔦紅葉父の生家は瞽女の宿
瞽女の口説や歌物語という江戸時代に遡る古い伝承を感じさせる味わい深い句と思いました。

人の句:[10]ゲーテ座のレンガの壁を蔦紅葉
蔦紅葉にはその土地の風土と古い歴史を連想させる働きがありますね。現在の岩崎ミュージアムの佇まいにそういう者を感じさせると言うことですが、「ゲーテ」という文豪の名前からの連想として、「ウィリヘルム・マイスターの修業時代」や「遍歴時代」など、戦前の日本人に親しまれた自己形成物語の歴史まで感じました。




桃李9月定例句会のお知らせ 投稿者:丹仙 投稿日:2024/09/13(Fri) 08:19 No.2467   HomePage
題詠または当季雑詠

兼題T 秋出水
兼題U 彼岸花
兼題V 選挙戦(不言題)

9月15日(日)投句開始
9月22日(日)投句締切 翌日選句開始
9月29日(日)選句締切 
9月30日(日)披講   

不言題とは「選挙戦」という言葉を使わずに選挙戦を詠む題詠です。

投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
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選句をお願いします 丹仙 - 2024/09/23(Mon) 08:01 No.2468   HomePage

投句一覧

投句者:素蘭、風子、春愁、しゐ、白馬、寿美子、丹仙、翔河川、秋童子、志音、ヨアヒム、明子、実生

[1]:秋出水かっぱの行方杳として
あきでみずかっぱのゆくえようとして(秋出水・秋出水)

[2]:秋出水生活の橋流されて
あきでみずせいかつのはしながされて(秋出水・秋出水)

[3]:秋出水それでも走る3ナンバー
あきでみずそれでもはしる3ナンバー(秋出水・)

[4]:秋出水乗り捨てられたEV車
あきでみずのりすてられたイーヴィーしゃ(秋出水・)

[5]:異常なり至る所で秋出水
いじょうなりいたるところであきでみず(秋出水・[温暖化])

[6]:言はざりし言葉の重さ秋出水
いわざりしことばのおもさあきでみず(秋出水・秋出水)

[7]:幼子の天然パーマ彼岸花
おさなごのてんねんパーマひがんばな(彼岸花・)

[8]:鴉にもはらからあらむ秋出水
からすにもはらからあらむあきでみず(秋出水・秋出水)

[9]:気がつけば父の命日彼岸花
きがつけばちちのめいにちひがんばな(彼岸花・)

[10]:茎一本天に屹立曼珠沙華
くきいっぽんてんにきつりつまんじゅしゃげ(彼岸花・曼珠沙華)

[11]:くまのためドングリ山へ公約なし
くまのためどんぐりやまへこうやくなし(選挙戦(不言題)・[熊かわいそう])

[12]:黒々と土嚢つみあげ秋出水
くろぐろとどのうつみあげあきでみず(秋出水・)

[13]:候補者に拝まれている墓に秋
こうほしゃにおがまれているはかにあき(選挙戦(不言題)・秋)

[14]:今年また逢いに行こうか彼岸花
ことしまたあいにいこうかひがんばな(彼岸花・)

[15]:ご公儀の不浄払ふや秋の雷
ごこうぎのふじょうはらうやあきのらい(選挙戦(不言題)・秋の雷)

[16]:爽やかや世直し挑む女性推す
さわやかやよなおしいどむじょせいおす(選挙戦(不言題)・爽やか)

[17]:新月の魚類は歌ふ礁かな
しんげつのぎょるいはうたういくりかな(選挙戦(不言題)・新月)

[18]:自転車の一旦停車彼岸花
じてんしゃのいったんていしゃひがんばな(彼岸花・彼岸花)

[19]:棄て舟の艫のみ見ゆる秋出水
すてぶねのとものみみゆるあきでみず(秋出水・秋出水)

[20]:背くらべしてる椎の実小楢の実
せいくらべしてるしいのみこならのみ(選挙戦(不言題)・木の実)

[21]:総裁選野党党首も台風の目
そうさいせんやとうとうしゅもたいふうのめ(選挙戦(不言題)・)

[22]:「宅配便」の「宅」まで秋出水の痕
たくはいびんのたくまであきでみずのあと(秋出水・)

[23]:田の畦と思しき所曼珠沙華
たのあぜとおぼしきところまんじゅしゃげ(彼岸花・曼珠沙華)

[24]:だるまさんがころんだ束の間の秋
だるまさんがころんだつかのまのあき(選挙戦(不言題)・)

[25]:津波跡軒端に高し海猫の聲
つなみあとのきばにたかしごめのこゑ(海猫)

[26]:当選の達磨へ処暑の墨を入れる
とうせんのだるまへしょしょのすみをいれる(選挙戦(不言題)・処暑)

[27]:泥の家泥の田畑秋出水
どろのいえどろのでんぱたあきでみず(秋出水・秋出水)

[28]:亡き人は大空になほ彼岸花
なきひとはおおぞらになほひがんばな(彼岸花・彼岸花)

[29]:野仏の裾あらふ雨捨て子花
のほとけのすそあらうあめすてごばな(彼岸花・捨て子花)

[30]:彼岸花雨粒抱き光おり
ひがんばなあまつぶいきひかりおり(彼岸花・)

[31]:彼岸花の丘にクルスの墓六基
ひがんばなのおかにくるすのはかろっき(彼岸花・)

[32]:ポスターは十人十色ちんちろりん
ぽすたーはじゅうにんといろちんちろりん(選挙戦(不言題)・ちんちろりん)

[33]:曼殊沙華炎上しさうなWEB社会
まんじゅしゃげえんじょうしそうなうぇぶしゃかい(彼岸花・曼殊沙華)

[34]:曼珠沙華つま先立で舞うプリマ
まんじゅしゃげつまさきだちでまうぷりま(彼岸花・)

[35]:曼珠沙華ドローンのように風にゆれ
まんじゅしゃげどろーんのようにかぜにゆれ(彼岸花・)

[36]:曼珠沙華亡き人の声ラジオから
まんじゅしゃげなきひとのこえらじおから(彼岸花・曼珠沙華)

[37]:病む地球溢れる涙秋出水
やむちきゅうあふれるなみだあきでみず(秋出水・秋出水)

[38]:与野党の党首選終え秋本番
よやとうのとうしゅせんおえあきほんばん(選挙戦(不言題)・秋)

[39]:拉致されし吾娘に哭すや彼岸花
らちされしあこにこくすやひがんばな(彼岸花・)



選句一覧 丹仙 - 2024/09/30(Mon) 14:22 No.2469   HomePage

実生

天の句:[15]ご公儀の不浄払ふや秋の雷
雷嫌いでも、不浄払ってくれるなら。いいかも。

地の句:[39]拉致されし吾娘に哭すや彼岸花
合わせてあげたい。

人の句:[25]津波跡軒端に高し海猫の聲
洪水も津波も残酷、ごめが鳴くから、ニシンが来ると、知らせられない
ごめもかわいそう。考えるだけでぞっとする。

風子

天の句:[4]秋出水乗り捨てられたEV車
ハイブリッドも秋出水には勝てません。

地の句:[39]拉致されし吾娘に哭すや彼岸花
連想の距離感が意外で興味深い。

人の句:[32]ポスターは十人十色ちんちろりん
上五を選挙ポスターとしたら明瞭になったかも。

寿美子

天の句:[27]泥の家泥の田畑秋出水
悲惨です。速報で届く悲劇に 励ましの言葉をかけようもない

地の句:[34]曼珠沙華つま先立で舞うプリマ
彼岸過ぎてようやく曼珠沙華がひらきました
明るい視点 素敵です

人の句:[20]背くらべしてる椎の実小楢の実
全くその通り
木の実に国のハンドルを任せられますか?

志音

天の句:[17]新月の魚類は歌ふ礁かな
選挙戦(不言題)の句であることが私にはよく分かりませんでしたが、句としては一番惹かれた御句でした。詩的断定が新鮮で素晴らしいです。

地の句:[29]野仏の裾あらふ雨捨て子花
映像鮮明な御句。野の地蔵に着せられた紅い服の裾を濡らす雨。その横には、同じように雨に濡れそぼった真紅の曼珠沙華。「捨て子花」という傍題を敢えて選択したことが「野仏」と静かに響き合います。

人の句:[8]鴉にもはらからあらむ秋出水
空に鴉が一羽。眼下には未だ引かぬ泥水。あの独りぼっちの鴉にも兄弟姉妹があるに違いない、と思っている作中主体もまた、独り取り残されているか。

しゐ

天の句:[6]言はざりし言葉の重さ秋出水
とても言葉では表せないこの現実。

地の句:[28]亡き人は大空になほ彼岸花
死者と生者を繋いでいるような花。

人の句:[37]病む地球溢れる涙秋出水
この洪水は地球の涙だったのですね。

素蘭

天の句:[19]棄て舟の艫のみ見ゆる秋出水
艫乗りはいま何処…

地の句:[29]野仏の裾あらふ雨捨て子花
野仏に捨て子花の措辞が隠れ里っぽくていいですね。狐花なら、野仏ならぬ髑髏が、、、

人の句:[14]今年また逢いに行こうか彼岸花
かくありたし。

白馬

天の句:[15]ご公儀の不浄払ふや秋の雷
雷さまにも怒って欲しいです。

地の句:[31]彼岸花の丘にクルスの墓六基
上5と中7の取り合わせが面白いですね。

人の句:[1]秋出水かっぱの行方杳として
あの惨状は別として、句として面白いですね。

翔河川

天の句:[29]野仏の裾あらふ雨捨て子花
野仏のそばにも

地の句:[19]棄て舟の艫のみ見ゆる秋出水
泥水のなかに艫だけ

人の句:[28]亡き人は大空になほ彼岸花
まだ近くに

ヨアヒム

天の句:[30]彼岸花雨粒抱き光おり
日常の細やかな情景。生命の繊細さを感じる。 

地の句:[6]言はざりし言葉の重さ秋出水
テレビ画面で、人の心は写し切れない。

人の句:[37]病む地球溢れる涙秋出水
人類は21世紀を乗り切れるのだろうか。

秋童子

天の句:[6]言はざりし言葉の重さ秋出水
想像を絶する辛い体験をされたのでしょう。もはや言葉もありません。

地の句:[27]泥の家泥の田畑秋出水
家も田も、あたり一面すべて泥にまみれて。近年、こんな惨状が日常になってしまいました。

人の句:[7]幼子の天然パーマ彼岸花
なるほど。あの髪型は彼岸花にそっくり。納得です。

明子

天の句:[28]亡き人は大空になほ彼岸花
ええ、確かに大空を自由に飛び回っているのです。風とともに!

地の句:[18]自転車の一旦停車彼岸花
思わず自転車を止めてしまいました。人の足を止めさせる美しさです。

人の句:[2]秋出水生活の橋流されて
生活の基盤の全てを流された方も。胸が痛みます。

春愁

天の句:[24]だるまさんがころんだ束の間の秋
破調がかえってリズムを

地の句:[9]気がつけば父の命日彼岸花
思い当たる

人の句:[32]ポスターは十人十色ちんちろりん
蟲しぐれ

丹仙

天の句:[17]新月の魚類は歌ふ礁かな
選挙戦という不言題の句の中で、これが最も印象的でした。
新月は新たな創造のエネルギーに満ちた月、それゆえに「祈願」の意味があり、選挙戦に結びつきます。そして不言題とはべつにしても、新月と魚類が歌う礁のイメージも美しい。

地の句:[31]彼岸花の丘にクルスの墓六基
鹿児島の福昌寺にある潜伏キリシタンの墓に詣でたときのことを想起しました。ザビエルにも縁のあったこの寺、彼と忍室との交流も記録されています。浦上四番崩れのときに流謫の苦難のあったキリシタン達ですが、他県とは違ってこの福昌寺では、住民から好意を持って遇されたようです。
 この句の読みですが、「彼岸花の岡」の「の」はない方が、字余りにならず口調が良いと思いますが如何でしょうか。

人の句:[19]棄て舟の艫のみ見ゆる秋出水
「捨て船の艫のみ」というところ、いかにも颱風被害の状況を活写しています。



桃李8月定例句会のお知らせ 投稿者:丹仙 投稿日:2024/08/15(Thu) 15:14 No.2464   HomePage

兼題T 残暑
兼題U 終戦日
兼題V パリ五輪(不言題)

8月15日(木)投句開始
8月22日(木)投句締切 翌日選句開始
8月29日(木)選句締切 
8月30日(金)披講   

投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
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選句をお願いします 丹仙 - 2024/08/23(Fri) 09:53 No.2465   HomePage

投句一覧

投句者:風子、寿美子、素蘭、白馬、しゐ、素人、春愁、秋童子、ヨアヒム、翔河川、実生、丹仙

[1]:「地獄より生還」と父終戦日
「じごくよりせいかん」とちちしゅうせんび(終戦日・終戦日)

[2]:茜さす君らが決算秋暑し
あかねさすきみらがけっさんあきあつし(残暑・秋暑し)

[3]:秋野菜種まき時を見失い
あきやさいたねまきときをみうしない(残暑・[大根])

[4]:生きれるかバリからロスに酷暑中
いきれるかぱりからろすにこくしょなか(パリ五輪(不言題)・酷暑)

[5]:何時来るや世界全部の終戦日
いつくるやせかいぜんぶのしゅうせんび(終戦日・)

[6]:いつもとは様子の違ふ残暑かな
いつもとはようすのちがうざんしょかな(残暑・残暑)

[7]:炎帝や悲喜こもごもの大舞台
えんていやひきこもごものおおぶたい(パリ五輪(不言題)・炎帝)

[8]:我慢我慢いつまで続くこの残暑
がまんがまんいつまでつづくこのざんしょ(残暑・)

[9]:今日もまた安否問われて残暑かな
きょうもまたあんぴとわれてざんしょかな(残暑・残暑)

[10]:渾身の力に酔へり熱帯夜
こんしんのちからによえりねったいや(パリ五輪(不言題)・熱帯夜)

[11]:五輪果てにわかに夜の長きこと
ごりんはてにわかによるのながきこと(パリ五輪(不言題)・夜長)

[12]:最強のサーブ至らずパリ五輪
さいきょうのサーブいたらずパリごりん(パリ五輪(不言題)・)

[13]:残暑の日フェンスの向こう舟のゆく
ざしょのひふぇんすんすのむこうふねのゆく(残暑・)

[14]:残暑から酷暑に変る見舞状
ざんしょからこくしょにかわるみまいじょう(残暑・残暑)

[15]:残暑きびしきアトリエに未完の画
ざんしょきびしきアトリエにみかんのえ(残暑・)

[16]:残暑日に同じ話を三度聞き
ざんしょびにおなじはなしをさんどきき(残暑・)

[17]:式典の耳こそばゆき終戦日
しきてんのみみこそばゆきしゅうせんび(終戦日・)

[18]:しぶき跳ぶさかしまの脚水涼し
しぶきとぶさかしまのあしみずすずし(パリ五輪(不言題)・水涼し)

[19]:シャワー浴ぶまたシャワー浴ぶ残暑かな
しゃわーあぶまたしゃわーあぶざんしょかな(残暑・残暑[敢えて、季重なりに。])

[20]:終戦日忘れがちなる開戦日
しゅうせんびすれがちなるかいせんび(終戦日・8月15日[重い一日])

[21]:轍を踏む志士の小車終戦日
てつをふむししのおぐるましゅうせんび(終戦日・終戦日)

[22]:初めての競技いろいろパリ五輪
はじめてのきょうぎいろいろパリごりん(パリ五輪(不言題)・)

[23]:パリ五輪彩るアート天高し
ぱりごりんいろどるあーとてんたかし(パリ五輪(不言題)・天高し)

[24]:被爆せし聖母と祈る終戦の日
ひばくせしせいぼといのるしゅうせんのひ(終戦日・)

[25]:被爆二世と打ち明くる友秋暑し
ひばくにせいとうちあくるともあきあつし(残暑・秋暑し)

[26]:ファックスのリボン捩れる残暑かな
ふぁっくすのりぼんよぢれるざんしょかな(残暑・残暑)

[27]:風化せる戦の記憶終戦日
ふうかせるいくさのきおくしゅうせんび(終戦日・終戦日)

[28]:不戦はや空念仏か終戦日
ふせんはやからねんぶつかしゅうせんび(終戦日・終戦日)

[29]:道遠しセーヌの水泳パリ五輪
みちとおしせーぬのすいえいぱりごりん(終戦日・水泳)

[30]:みんないて父だけいない敗戦日
みんないてちちだけいないはいせんび(終戦日・敗戦日)

[31]:麦飯の匂う厨の残暑かな
むぎめしのにおうくりやのざんしょかな(残暑・)

[32]:揉めに揉め禍根を残し夏終わる
もめにもめかこんをのこしなつおわる(パリ五輪(不言題)・夏終わる)

[33]:安らかに眠れぬ御霊終戦日
やすらかにねむれぬみたましゅうせんび(終戦日・終戦日)

[34]:闇市のSin、Sing、Sing! 敗戦忌
やみいちのSin、Sing、Sing! はいせんき(終戦日・敗戦忌)

[35]:セエヌの夏気球に聖火灯しけり
セエヌのなつききゅうにせいかともしけり(パリ五輪(不言題)・)



選句一覧 丹仙 - 2024/08/31(Sat) 07:53 No.2466   HomePage

春愁

天の句:[33]安らかに眠れぬ御霊終戦日
地球のどこかで、火の臭い

地の句:[30]みんないて父だけいない敗戦日
還らぬ人を待つ

人の句:[19]シャワー浴ぶまたシャワー浴ぶ残暑かな
熱帯夜何時まで・・・

素人

天の句:[14]残暑から酷暑に変る見舞状
次は激暑か烈暑になるか

地の句:[1]「地獄より生還」と父終戦日
時の経過に記憶も褪せる

人の句:[26]ファックスのリボン捩れる残暑かな
インクジェットに変えるべきかも

風子

天の句:[30]みんないて父だけいない敗戦日
子供心に映った悲劇。

地の句:[19]シャワー浴ぶまたシャワー浴ぶ残暑かな
史上初の酷暑。

人の句:[11]五輪果てにわかに夜の長きこと
オリンピックで騒いだ夜が急に静かになって、手持ち無沙汰。

しゐ

天の句:[26]ファックスのリボン捩れる残暑かな
ある朝起きると、電信柱や物干し竿まで、何もかもが捩れているのでは、、、と怖い想像を抑えられない夏でした。

地の句:[20]終戦日忘れがちなる開戦日
始めてしまったあの日を忘れずにいなければ。

人の句:[9]今日もまた安否問われて残暑かな
その問いに「安」と応えられる幸せ。

白馬

天の句:[28]不戦はや空念仏か終戦日
戦費調達の増税やらーーー。

地の句:[11]五輪果てにわかに夜の長きこと
昼夜逆転でしたね。本当に。

人の句:[14]残暑から酷暑に変る見舞状
日付を比べてしまう。

寿美子

天の句:[1]「地獄より生還」と父終戦日
シベリア抑留から帰国した叔父の無念のゆめのまたゆめ語りを
思い出します

地の句:[34]闇市のSin、Sing、Sing! 敗戦忌
闇市のあとかたもなし終戦日

人の句:[14]残暑から酷暑に変る見舞状
実感です。敢えて季重ねいただきます
爽秋が待ち遠しいですーね

実生

天の句:[17]式典の耳こそばゆき終戦日
申し訳なく思いますが。

地の句:[8]我慢我慢いつまで続くこの残暑
種が蒔けない、台風も心配。暑さで体も心配になる畑仕事。

人の句:[35]セエヌの夏気球に聖火灯しけり
美しかった。アランドロンを思い出した。

素蘭

天の句:[24]被爆せし聖母と祈る終戦の日
13年前のパリのAssumption of Mary
ノートルダム大聖堂のミサ・聖母像の行列はとても賑やかでしたが…

地の句:[31]麦飯の匂う厨の残暑かな
夏バテ対策に麦とろ飯ですか?いいですね。。

人の句:[9]今日もまた安否問われて残暑かな
残暑に台風 いつまで続くお祈りメール、、、

秋童子

天の句:[28]不戦はや空念仏か終戦日
あの不戦の誓いも忘れ、いまや戦争準備に突き進む国になってしまいました。

地の句:[1]「地獄より生還」と父終戦日
家族には言えないような、凄まじい戦場を生き抜いて来られたのでしょう。

人の句:[30]みんないて父だけいない敗戦日
敗戦後の日本では、父親だけがいない家庭があちこちに。

翔河川

天の句:[31]麦飯の匂う厨の残暑かな
釜で炊いて

地の句:[09]今日もまた安否問われて残暑かな
こう暑いと

人の句:[28]不戦はや空念仏か終戦日
いつまでたっても

ヨアヒム

天の句:[5]何時来るや世界全部の終戦日
人類の愚かさを感じる。

地の句:[17]式典の耳こそばゆき終戦日
式典の意味が問われている!

人の句:[13]残暑の日フェンスの向こう舟のゆく
「舟のゆく」という表現がよい。

丹仙

天の句:[34]闇市のSin、Sing、Sing! 敗戦忌
ベニー・グッドマンのスウィングが聞こえてきて、文句なしの敗戦忌。

地の句:[9]今日もまた安否問われて残暑かな
残暑の季節に安否を問われるという異常事態が、昨今の異常気象をよく表しています。

人の句:[18]しぶき跳ぶさかしまの脚水涼し
パリ五輪の飛び込みの情景、情景が眼に浮かびます。



桃李7月定例句会のお知らせ 投稿者:丹仙 投稿日:2024/07/15(Mon) 10:15 No.2461   HomePage
題詠または当季雑詠

兼題T 虹
兼題U 片陰
兼題V 空蝉

7月15日(月)投句開始
7月22日(月)投句締切 翌日選句開始
7月29日(月)選句締切 
7月30日(火)披講  

投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
「返信ボタン」の左のホームのアイコンをクリックして下さい。  



選句をお願いします 丹仙 - 2024/07/23(Tue) 08:05 No.2462   HomePage

投句一覧

投句者:春愁、素蘭、風子、寿美子、しゐ、素人、白馬、翔河川、ヨアヒム、明子、秋童子、実生、丹仙

[1]:朝早くもぬけの殻にあわれみを
あさはやくもぬけのからにあわれみを(空蝉・[殻だけ残して])

[2]:渥美より鳥羽へ大きな虹の橋
あつみよりとばへおおきなにじのはし(虹・虹)

[3]:一枚の葉裏に三つ蝉の殻
いちまいのはうらにみっつせみのから(空蝉・蝉の殻)

[4]:入日影切れ切れの虹作りたる
いりひかげきれぎれのにじつくりたる(虹・虹)

[5]:空蝉とう小部屋に夜気の残りをり
うつせみとうこべやにやきののこりおり(空蝉・空蝉)

[6]:空蝉の影も形も無かりけり
うつせみのかげもかたちもなかりけり(空蝉・)

[7]:空蝉の数ほど木々に児らの顔
うつせみのかずほどきぎにこらのかお(空蝉・空蝉)

[8]:空蝉の背なの割れ目を覗き込む
うつせみのせなのわれめをのぞきこむ(空蝉・空蝉)

[9]:空蝉の主なきあとのその軽さ
うつせみのぬしなきあとのそのかるさ(空蝉・)

[10]:空蝉や明日をも知れぬ生命かな
うつせみやあすをもしれぬいのちかな(空蝉・空蝉)

[11]:うつせみや天草一揆隠る堀
うつせみやあまくさいっきこもるほり(空蝉・)

[12]:空蝉や命かけたる眼の光
うつせみやいのちかけたるめのひかり(空蝉・空蝉)

[13]:空蝉をとをも集めて罐の中
うつせみをとおもあつめてかんのなか(空蝉・空蝉)

[14]:傘さしてなほ片蔭を歩みけり
かささしてなおかたかげをあゆみけり(片陰・片蔭)

[15]:片陰に先客の居て通り過ぐ
かたかげにせんきゃくのいてとおりすぐ(片陰・片陰)

[16]:片陰のあらず畑で草を採る
かたかげのあらずはたけでくさをとる(片陰・炎天下)

[17]:片陰の陰弱くする反射光
かたかげのかげよわくするはんしゃこう(片陰・)

[18]:片陰のほとんど消えて街真昼
かたかげのほとんどきえてまちまひる(片陰・片陰)

[19]:片影や傍に遺る駒つなぎ
かたかげやかたえにのこるこまつなぎ(片陰・片影)

[20]:片陰を息絶え絶えの家路かな
かたかげをいきたえだえのいえじかな(片陰・片陰)

[21]:片影を出る一歩の怯みをり
かたかげをいづるいっぽのひるみをり(片陰・片陰)

[22]:片影を探す真昼の大都会
かたかげをさがすまひるのだいとかい(片陰・)

[23]:片陰を伝う子猫の尻尾かな
かたかげをつたうこねこのしっぽかな(片陰・)

[24]:街路樹の片陰たどる午後の街
がいろじゅのかたかげたどるごごのまち(片陰・片陰)

[25]:伐らるるを知らぬ並木の片陰り
きらるるをしらぬなみきのかたかげり(片陰・片陰り)

[26]:この虹を見せんがための嵐かな
このにじをみせんがためのあらしかな(虹・虹)

[27]:精霊の耀き空蝉の静けさ
せいれいのかがやきうつせみのしずけさ(空蝉・)

[28]:土砂降りの町をぬけ来て二重虹
どしゃぶりのまちをぬけきてふたえにじ(虹・二重虹)

[29]:虹かかる島と島をば結ぶ橋
にじかかるしまとしまとをむすぶはし(虹・虹)

[30]:虹の足見たく走りし幼き日
にじのあしみたくはしりしおさなきひ(虹・虹)

[31]:虹のない期待もできず世相なり
にじのないきたいもできずせそうなり(虹・ドジャブリ)

[32]:虹の橋わたれば逢えるかも知れず
にじのはしわたればあえるかもしれず(虹・)

[33]:半輪の虹立つ海の蒼さかな
はんりんのにじたつうみのあおさかな(虹・虹)

[34]:人絶ゆる嵐が丘に虹の橋
ひとたゆるあらしがおかにひじのはし(虹・虹[北イングランドのハワースを訪れた際の想い出])

[35]:山近し虹半円に西の空
やまちかしにじはんえんににしのそら(虹・)

[36]:世に未練秋の空蝉爪深く
よにみれんあきのうつせみつめふかく(空蝉・秋の空蝉)

[37]:ヘルモンの白き岩肌虹立ちぬ
ヘルモンのしろきいわはだにじたちぬ(虹・)

[38]:ベテスダの池の片陰水動く
ベテスダのいけのかたかげみずうごく(片陰・)




選句一覧 丹仙 - 2024/07/31(Wed) 10:21 No.2463   HomePage

春愁

天の句:[12]空蝉や命かけたる眼の光
空蝉にのこる眼光の鋭さ、生まれ出た生命力を上手く表している

地の句:[21]片影を出る一歩の怯みをり
共感!!

人の句:[29]虹かかる島と島をば結ぶ橋
見たいですね

寿美子

天の句:[32]虹の橋わたれば逢えるかも知れず
追慕の思い切なく共鳴

地の句:[19]片影や傍に遺る駒つなぎ
古びた宿場町を吟行
片影を伝って歩いた日がありました

人の句:[22]片影を探す真昼の大都会
殺人的な酷暑の昨日 今日
これより先が思いやられます

素人

天の句:[28]土砂降りの町をぬけ来て二重虹
車を止めてしばし見入るや

地の句:[21]片影を出る一歩の怯みをり
今日の会合キャンセルするか

人の句:[3]一枚の葉裏に三つ蝉の殻
競争の世をくぐり抜けねば

しゐ

天の句:[13]空蝉をとをも集めて罐の中
もう空っぽなのに、なぜか見つけるたびに心躍るものの一つ。

地の句:[21]片影を出る一歩の怯みをり
エイっと日向に飛び出して早く帰りたい気持ちと、いつまでも日陰を味わっていたい気持ちと。

人の句:[15]片陰に先客の居て通り過ぐ
木漏れ日の中の小さなベンチを想像しました。

秋童子

天の句:[21]片影を出る一歩の怯みをり
怯んで踏み出せない一歩。いかに暑い日盛りなのかが伝わってきます。

地の句:[28]土砂降りの町をぬけ来て二重虹
まだ雨が滴り落ちているような。生まれたての二重虹。

人の句:[15]片陰に先客の居て通り過ぐ
さりげなく遠慮して。白黒写真を見るような夏のひとコマです。

白馬

天の句:[12]空蝉や命かけたる眼の光
ご主人の身を思って。

地の句:[32]虹の橋わたれば逢えるかも知れず
今は遠い人

人の句:[14]傘さしてなほ片蔭を歩みけり
暑さ+暑さ

素蘭

天の句:[37]ヘルモンの白き岩肌虹立ちぬ
大地を潤す水源の地アンチレバノン山脈の最高峰。
私見ですが、グラナダ郊外から眺めたシェラネバダ山脈に似てるような…

地の句:[2]渥美より鳥羽へ大きな虹の橋
石垣島で見事に半分だけのアーチを描く大きな虹を見たことがありますが、それはさておき、海にかかる虹には鮮やかで大きなものが多いような、、、

人の句:[15]片陰に先客の居て通り過ぐ
風通しの良い木陰のベンチ、一休みしたかったけど、、、

実生

天の句:[36]世に未練秋の空蝉爪深く
すすきの葉にゆらゆらしがみ付いて。

地の句:[30]虹の足見たく走りし幼き日
確かに足が見えなくて。消えそうなので走ったり。

人の句:[23]片陰を伝う子猫の尻尾かな
夕方になると隣の家から涼しいところ選んで。隣人は無事帰れるか心配して庭に降りるまで
見てくれていた。老猫だったけど。

翔河川

天の句:[15]片陰に先客の居て通り過ぐ
入るのがためらわれ

地の句:[23]片陰を伝う子猫の尻尾かな
チョロチョロと

人の句:[32]虹の橋わたれば逢えるかも知れず
なつかしいひとに

明子

天の句:[28]土砂降りの町をぬけ来て二重虹
ドラマチックな展開です。虹を仰ぐ嬉しさが伝わります。

地の句:[23]片陰を伝う子猫の尻尾かな
猫だって暑いのは嫌ですものね。尻尾の動きがかわいいです。

人の句:[5]空蝉とう小部屋に夜気の残りをり
命の名残でもありますね。

風子

天の句:[12]空蝉や命かけたる眼の光
蝉が生まれるのを見た。背を割って精霊のような薄緑の蝉がじわじわと生まれる。掲句は空蝉に眼光を感じている。生まれた蝉の眼は黒々として大きい。手足を泳がせて欅の幹に着地?するところは感動的だ。生まれたての蝉は力強く上へ上へと登っていった。

地の句:[28]土砂降りの町をぬけ来て二重虹
トスカーナの田舎をドライブしていた時のこと。完璧な虹を見た。二重虹ではなかったけれど印象深い思い出となった。

人の句:[21]片影を出る一歩の怯みをり
やっと汗がひいた頃、さて出発するかと一歩の勇気がいりますね。

ヨアヒム

天の句:[30]虹の足見たく走りし幼き日
私もまた、虹の足に辿り着きたいと思っていました。

地の句:[14]傘さしてなほ片蔭を歩みけり
 気持ち、分かる❗️

人の句:[25]伐らるるを知らぬ並木の片陰り
「知らぬ」は、人間も同じ。

丹仙

天の句:[21]片影を出る一歩の怯みをり
最近の異常な酷暑が背景にありますね。

地の句:[12]空蝉や命かけたる眼の光
蝉の抜殻ではなく、まさに脱皮しつつある情景を詠んだところに惹かれました。

人の句:[14]傘さしてなほ片蔭を歩みけり
猛暑を詠んだ巧みな句。




桃李6月定例句会のお知らせ 投稿者:丹仙 投稿日:2024/06/14(Fri) 19:55 No.2458   HomePage
題詠または当季雑詠

兼題T 蛍
兼題U 短夜
兼題V 紫陽花

6月15日(土)投句開始
6月22日(土)投句締切 翌日選句開始
6月29日(土)選句締切 
6月30日(日)披講 

投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
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選句をお願いします 丹仙 - 2024/06/23(Sun) 14:16 No.2459   HomePage

投句一覧

投句者:寿美子、春愁、白馬、風子、素蘭、素人、しゐ、実生、秋童子、明子、翔河川、ヨアヒム、丹仙

[1]:青き眼の神父蛍をまた放つ
あおきめのしんぷほたるをまたはなつ(蛍・)

[2]:明易き時の祈りよザカリアの歌
あけやすきときのいのりよザカリアのうた(短夜・明易し)

[3]:明易の新聞配るバイク音
あけやすのしんぶんくばるばいくおん(短夜・明易)

[4]:朝夕の水にご機嫌七変化
あさゆうのみずにごきげんななへんげ(紫陽花・七変化)

[5]:紫陽花の雨に好かれてしどけなく
あじさいのあめにうたれてしどけなく(紫陽花・)

[6]:紫陽花の色鮮やかに雨に濡れ
あじさいのいろあざやかにあめにぬれ(紫陽花・紫陽花)

[7]:紫陽花の路地を巧みにピザバイク
あじさいのろじをたくみにピザバイク(紫陽花・紫陽花)

[8]:紫陽花や友亡き今宵苦期酒
あじさいやともなきこよいにがきさけ(紫陽花・紫陽花)

[9]:紫陽花や猫の束縛強い朝
あじさいやねこのそくばくつよいあさ(紫陽花・)

[10]:紫陽花や明月院へ渋滞中
あじさいやめいげついんへじゅうたいちゅう(紫陽花・紫陽花)

[11]:紫陽花やリスボンの海なつかしき
あじさいやリスボンのうみなつかしき(紫陽花・)

[12]:安曇野に住まいし祖父母蛍の夜
あずみのにすまいしそふぼほたるのよ(蛍・蛍)

[13]:洗ひ場の跡に蛍の飛びにけり
あらいばのあとにほたるのとびにけり(蛍・蛍)

[14]:一身に闇引き寄せて蛍飛ぶ
いっしんにやみひきよせてほたるとぶ(蛍・蛍)

[15]:地球とふ天河の貴石濃紫陽花
がいあとうてんがのきせきこあじさい(紫陽花・濃紫陽花)

[16]:額紫陽花ちょっと違ってちょっといい
がくあじさいちょっとちがってちょっといい(紫陽花・夏)

[17]:濃紫陽花見え隠れする過ぎし夢
こあじさいみえかくれするすぎしゆめ(紫陽花・)

[18]:心痛み眠れぬままの短夜かな
こころいたみねむれぬままのたんやかな(短夜・短夜)

[19]:漆黒の闇に希望の蛍かな
しっこくのやみにきぼうのほたるかな(蛍・蛍)

[20]:すりガラス映る紫陽花踊っている
すりがらすうつるあじさいおどっている(紫陽花・梅雨)

[21]:清少納言初ほうたるに筆はたと  
せいしょうなごんはつほうたるにふではたと  (蛍・初ほうたる)

[22]:涙貌想いださせる蛍の灯
なみだがおおもいださせるほたるのひ(蛍・)

[23]:短夜や校正作業きりもなし
にじかよやこうせいさぎょうきりもなし(短夜・短夜)

[24]:柞葉の帚弓手に夏至祭
ははそばのははきゆんでにげしまつり(夏至)

[25]:蛍追ふ認知の母のあとを追ふ
ほたるおうにんちのははのあとをおう(蛍・蛍)

[26]:蛍篭残してみんな失せにけり
ほたるかごのこしてみんなうせにけり(蛍・蛍篭)

[27]:蛍とぶ短き春の衣替え
ほたるとぶみじかきはるのころもがえ(蛍・衣替え)

[28]:蛍の点滅シナプスの伝達
ほたるのてんめつシナプスのでんたつ(蛍・夏)

[29]:短夜のながくて深い息ふたつ
みじかよのながくてふかいいきふたつ(短夜・夏)

[30]:短夜や厨の氷生るる音
みじかよやくりやのこおりあるるおと(短夜・短夜)

[31]:短夜や呑んでふと見りや外は朝
みじかよやのんでふとみりゃそとはあさ(短夜・短夜)

[32]:短夜や夢を二度見る時間割
みじかよやゆめをにどみるじかんわり(短夜・)

[33]:短夜を早駆けに過ぐ月白く
みじかよをはやがけにすぐつきしろく(短夜・短夜)

[34]:短夜や水音絶えぬ木曽の宿
みぢかよやみずおとたえぬきそのやど(短夜・短夜)

[35]:武蔵野に湧水多し額の花
むさしのにゆうすいおおしがくのはな(紫陽花・額の花)

[36]:もののふの耶蘇のクルスや蛍飛ぶ
もののふのやそのくるすやほたるとぶ(蛍・蛍)

[37]:山紫陽花祖眠る村の遥かなる
やまあじさいおやねむるむらのはるかなる(紫陽花・山紫陽花)

[38]:夜更かしに短夜はみじめ朝が来た
よふかしにたんやはみじめあさがきた(短夜・)



選句一覧 丹仙 - 2024/06/30(Sun) 07:38 No.2460   HomePage

白馬

天の句:[15]地球とふ天河の貴石濃紫陽花
濃紫陽花の最大限の激賞。同感です。

地の句:[25]蛍追ふ認知の母のあとを追ふ
御母堂と蛍、そして作者。悲しくも優しい心。

人の句:[12]安曇野に住まいし祖父母蛍の夜
蛍。そして望郷。

しゐ

天の句:[15]地球とふ天河の貴石濃紫陽花
地球が紫陽花のサイズに、紫陽花が地球のサイズに見えてきて、自分の居場所を見失いそうになる不思議な句。

地の句:[28]蛍の点滅シナプスの伝達
あの点滅がシナプスの伝達だったとは。すごい発見。

人の句:[30]短夜や厨の氷生るる音
短いながらも一番深い闇に包まれる時刻に響く音。「氷生るる音」がとても神秘的に思えます。

素蘭

天の句:[35]武蔵野に湧水多し額の花
清冽な湧水、めぐりに咲く額の花、武蔵野の情趣を今にとどめて

地の句:[11]紫陽花やリスボンの海なつかしき
日本原産ながら世界中で愛好される紫陽花
リスボン沖に浮かぶアソーレス諸島の紫陽花は殊に有名とか

人の句:[25]蛍追ふ認知の母のあとを追ふ
童心に帰ったような母上、見守る立場の逆転が切ない、、、

素人

天の句:[19]漆黒の闇に希望の蛍かな
点滅にある命の重み

地の句:[14]一身に闇引き寄せて蛍飛ぶ
おいてゆくなよこの世に未練

人の句:[7]紫陽花の路地を巧みにピザバイク
時間通りに届にゃならぬ

風子

天の句:[35]武蔵野に湧水多し額の花
地名の効果、水と紫陽花は深い仲。うまく絡み合って全体に格調が生まれた。

地の句:[13]洗ひ場の跡に蛍の飛びにけり
慣れ親しんだ田舎の生活を彷彿させる一句。

人の句:[30]短夜や厨の氷生るる音
身近な体験、今も聞いたその音。眠れぬ夜のそばだつ音。

ヨアヒム

天の句:[14]一身に闇引き寄せて蛍飛ぶ
「闇」と蛍の対比が上手い。

地の句:[15]地球とふ天河の貴石濃紫陽花
スケールがある。

人の句:[32]短夜や夢を二度見る時間割
「老い」を生きるのは大変。

翔河川

天の句:[14 ]一身に闇引き寄せて蛍飛ぶ
自分の光が際立つよう

地の句:[33]短夜を早駆けに過ぐ月白く
すぐに朝すぐに朝になり

人の句:[30]短夜や厨の氷生るる音
冷蔵庫から

実生

天の句:[14]一身に闇引き寄せて蛍飛ぶ
平家蛍だろうなぁ。闇引き寄せてに惹かれる。

地の句:[5]紫陽花の雨に好かれてしどけなく
しどけなくけど風にぶらんぶらん。

人の句:[3]明易の新聞配るバイク音
寝なくちゃ。と焦ってしまう。

秋童子

天の句:[25]蛍追ふ認知の母のあとを追ふ
童心に返ってしまった母を追う自分。ああ、昔は逆だったのに。

地の句:[30]短夜や厨の氷生るる音
「氷生るる音」が、この季語にとてもよく合っていると受け止めました。

人の句:[18]心痛み眠れぬままの短夜かな
実感があります。短い夜はあっという間に明けてしまって。

明子

天の句:[23]短夜や校正作業きりもなし
実感がこもっています。

地の句:[28]蛍の点滅シナプスの伝達
蛍の点滅は命の点滅ですね。

人の句:[26]蛍篭残してみんな失せにけり
ぽつんと残った籠が、寂しさをより強く感じさせます。

丹仙

天の句:[15]地球とふ天河の貴石濃紫陽花
濃紫陽花→地球→天河へと、小宇宙から大宇宙へと拡大、そしてまた眼前の貴石のような濃紫陽花へと縮小する宇宙、その神秘的照応が素晴らしい。

地の句:[37]山紫陽花祖眠る村の遥かなる
「遙かなる」という言葉が、目に見える山紫陽花から、悠久な過去へと連なる時間を感じさせます。

人の句:[36]もののふの耶蘇のクルスや蛍飛ぶ
「もののふの耶蘇」ということばから、小西行長や高山右近のようなキリシタン大名の姿が浮かびますね。「桃李福音歳時記」を私が編むとすれば、かならず夏の句の秀句に入れるでしょう。



桃李5月定例句会のお知らせ 投稿者:丹仙 投稿日:2024/05/14(Tue) 18:54 No.2455   HomePage
題詠または当季雑詠

兼題T 五月
兼題U 新樹
兼題V 飛魚

5月15日(水)投句開始
5月22日(水)投句締切 翌日選句開始
5月29日(水)選句締切 
5月30日(木)披講   

投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか
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選句をお願いします 丹仙 - 2024/05/23(Thu) 08:23 No.2456   HomePage

投句一覧

投句者:白馬、寿美子、春愁、しゐ、素蘭、秋童子、風子、実生、素人、翔河川、明子、丹仙

[1]:閼伽桶の水たぷたぷと新樹光
あかおけのみずたぷたぷとしんじゅこう(新樹・新樹光)

[2]:飛魚とぶやフェリーの窓に三宅島
あごとぶやふぇりーのまどにみやけじま(飛魚・飛魚)

[3]:あの歌よあの革命よパリ五月
あのうたよあのかくめいよぱりごがつ(五月・五月)

[4]:幾千の鳥歌わせて新樹揺る
いくせんのとりうたわせてしんじゅゆる(新樹・新樹)

[5]:枝ぐんと天に拡げて新樹かな
えだぐんとてんにひろげてしんじゅかな(新樹・新樹)

[6]:風五月大河に沿いてペダル漕ぐ
かぜごがつたいがにそいてペダルこぐ(五月・)

[7]:活気づく五月コンテナヤードかな
かっきづくごがつこんてなやーどかな(五月・五月)

[8]:競馬場ダービー馬走り新樹かな
けいばじょうだーひーばはしりしんじゅかな(新樹・ダービー)

[9]:下校の子新樹並木に手話弾む
げこうのこしんじゅなみきにしゅわはずむ(新樹・新樹)

[10]:小面の口元ゆるぶ新樹光
こおもてのくちもとゆるぶしんじゅこう(新樹・新樹光)

[11]:五月晴れ黄色のボール軽く投げ
ごがつばれきいろのぼーるかるくなげ(五月・)

[12]:五月巴里楕円のFとF´
ごがつぱりだえんのえふとえふだっしゅ(五月・五月)

[13]:五月闇酸素マスクを拒みをり
ごがつやみさんそますくえおこばみをり(五月・五月)

[14]:五月晴れ畑の草に草熱れ
さつきはれはたけのくさにくさいきれ(五月・草いきれ)

[15]:五月闇猫たんたんと爪を研ぎ
さつきやみねこたんたんとつめおとぎ(五月・五月闇)

[16]:ザカリヤの讃歌に息吹く新樹かな
ざかりやのさんかにいぶくしんじゅかな(新樹・)

[17]:新樹どちそらみつ大和言の葉よ
しんじゅどちそらみつやまとことのはよ(新樹・新樹)

[18]:魂の解き放されて新樹光
たましいのときはなされてしんじゅこう(新樹・新樹)

[19]:地の面新たになりぬ聖五月
ちのおもてあらたになりぬせいごがつ(五月・)

[20]:飛魚よおもい切りとべ鳥になれ
とびうおうおよおもいきりとべ鳥になれ(飛魚・飛魚)

[21]:飛魚と書かれてる出汁姿見えず
とびうおとかかれてるだしすがたみえず(飛魚・干しあご)

[22]:飛魚のおのれ忘れて空の旅
とびうおのおのれわすれてそらのたび(飛魚・飛魚)

[23]:飛魚のとんで輝く沖の島
とびうおのとんでかがやくおきのしま(飛魚・飛魚)

[24]:飛魚の羽大海に輝きて
とびうおのはねたいかいにかがやきて(飛魚・)

[25]:飛魚のひとっとびして消へ失せり
とびうおのひとっとびしてきえうせり(飛魚・飛魚)

[26]:飛魚の舞込む舟や聖母像
とびうおのまいこむふねやせいぼぞう(飛魚・)

[27]:飛魚翔ぶ群青世界恣
とびおとぶぐんじょうせかいほしいまま(飛魚・飛魚)

[28]:寝てもまた覚めても五月の中にあり
ねてもまたさめてもごがつのなかにあり(五月・五月)

[29]:花みかん亡姑に呼び止められしかと
はなみかんははによびとめられしかと(花みかん)

[30]:一枝も一山もみな新樹かな
ひとえだもひとやまもみなしんじゅかな(新樹・)

[31]:日に日にと色重ね行く新樹かな
ひにひにといろかさねゆくしんじゅかな(新樹・新樹)

[32]:目も耳も嬉し五月の森行けば
めもみみもうれしごがつのもりゆけば(五月・五月)

[33]:山深しいずれ大樹となる新樹
やまふかしいずれたいじゅとなるしんじゅ(新樹・)

[34]:夜の新樹写経の筆の遅々として
よのしんじゅしゃきょうのふでのちちとして(新樹・新樹)

[35]:若き日の飛魚士官せし兄追うて
わかきひのあごしかんせしあにおうて(飛魚・飛魚)

[36]:ベビーカーによきと児の足聖五月
ベビーカーによきとこのあしせいごがつ(五月・聖五月)



選句一覧 丹仙 - 2024/05/30(Thu) 17:05 No.2457   HomePage

素人

天の句:[6]風五月大河に沿いてペダル漕ぐ
多摩川の川崎側を河口まで走ってみました。芦原が広がって葦切りが盛んに鳴きかわしていました。

地の句:[2]飛魚とぶやフェリーの窓に三宅島
愉しい小旅行となる予感。

人の句:[32]目も耳も嬉し五月の森行けば
素直にそう思います。

春愁

天の句:[34]夜の新樹写経の筆の遅々として
写経ですか、爽やか過ぎて進まぬ筆。Me to!!

地の句:[1]閼伽桶の水たぷたぷと新樹光
若葉の瑞々しさが伝わる

人の句:[31]日に日にと色重ね行く新樹かな
今が一番いい季節

寿美子

天の句:[6]風五月大河に沿いてペダル漕ぐ
自転車を新車に乗り換えました。
 同感 爽快感を満喫しています

地の句:[27]飛魚翔ぶ群青世界恣
飛魚になった気分 海の青さが迫ります
下五 ほしひまま はいかがでしょうか。

人の句:[16]ザカリヤの讃歌に息吹く新樹かな
ベネディクトゥス ガザにも新樹が芽吹きます様に

風子

天の句:[32]目も耳も嬉し五月の森行けば
五月は一年中で一番好きな月です。私の誕生日があることも一因ですが。。。

地の句:[23]飛魚のとんで輝く沖の島
沖の島が「お!」とびっくり輝いて見えた。ファンタジーが面白い。

人の句:[1]閼伽桶の水たぷたぷと新樹光
仏に供える閼伽水をくみ入れて持ち運ぶための手桶。普通銅製で、径、高さとも一〇センチメートルぐらいの円筒形で弦(つる)をつける。グーグルから調べた。それを踏まえて新樹光。取り合わせの妙。

実生

天の句:[15]五月闇猫たんたんと爪を研ぎ
猫ほしい。いなくなってもう直ぐ1年。寂しい。

地の句:[18]魂の解き放されて新樹光
そうか森に行こう。

人の句:[22]飛魚のおのれ忘れて空の旅
飛魚てかわいそう。

翔河川

天の句:[04]幾千の鳥歌わせて新樹揺る
鳥の大合唱

地の句:[28]寝てもまた覚めても五月の中にあり
気持ちの良い季節

人の句:[29]花みかん亡姑に呼び止められしかと
気配が

秋童子

天の句:[30]一枝も一山もみな新樹かな
野にも山にも瑞々しい緑があふれて。目が覚めるような季節です。

地の句:[4]幾千の鳥歌わせて新樹揺る
明るい木漏れ日に、鳥たちも喜んでいることでしょう。

人の句:[32]目も耳も嬉し五月の森行けば
見ても、聴いても、匂っても新鮮で。五月の森は本当に心が弾みます。

素蘭

天の句:[10]小面の口元ゆるぶ新樹光
新樹光に照る面、高揚というより恍惚。。。

地の句:[35]若き日の飛魚士官せし兄追うて
群青の海、矢庭に滑空する飛魚、トルネードする鰯・バラクーダ…

人の句:[6]風五月大河に沿いてペダル漕ぐ
風薫る五月、堤防道路を颯爽と。

白馬

天の句:[20]飛魚よおもい切りとべ鳥になれ
おおらかな句ですね。中7が良いですね。

地の句:[4]幾千の鳥歌わせて新樹揺る
新樹が一本ならば、豪快な句ですね。

人の句:[15]五月闇猫たんたんと爪を研ぎ
恐ろし気な---。

しゐ

天の句:[9]下校の子新樹並木に手話弾む
特別に美しい言語が、輝くような緑の中で交わされている。

地の句:[1]閼伽桶の水たぷたぷと新樹光
神聖な水と新樹のきらめきが、読む者の心身をも浄めてくれる気がしました。

人の句:[33]山深しいずれ大樹となる新樹
希望を感じます。

明子

天の句:[36]ベビーカーによきと児の足聖五月
まるまるとした元気一杯の幼子の足。五月に相応しいと感じます。

地の句:[34]夜の新樹写経の筆の遅々として
思う事が多く、手がついつい止まってしまう。夜の新樹、が言葉にならない
感覚を伝えているように思います。

人の句:[25]飛魚のひとっとびして消へ失せり
飛魚のスピード感、勢いを感じさせます。

丹仙

天の句:[27]飛魚翔ぶ群青世界恣
群青の世界を恣に飛び跳ねる飛び魚のこころに惹かれました。

地の句:[1]閼伽桶の水たぷたぷと新樹光
静かな光の中で、閼伽桶の水の揺らぎが聞こえてくるようです。

人の句:[6]風五月大河に沿いてペダル漕ぐ
まことに気持ちの良い句ですね。

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