桃李歌壇

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最後の箱

ひとつずつ歌のいのちを確かめて最後の箱に入れる心根

嘘をつく自分が嫌で本当の心をしまう箱つくったけれど

冗談じゃないとわかって引き受けてくれたあなたに委ねた秘密

本当はいけないと思いつつ誓ってくれたひとのやさしさ

耐えられるわけもないのに寂しさを耐えてみようと思う秋の日

またひとつ最後の箱にしまい込み自分のまことに封印をする

側溝の隅に咲いてる秋草のかなしい心わかってるつもり