桃李歌壇

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12. 夭折

太陽のかすむ朝にまだ若き胡瓜のひとつ枯死していたり

死に行きし胡瓜いとおし人知れず歌もうたわず夢も思わず

せめてものいのちの水を濺(そそ)ぎてん屍(かばね)をさらすあわれ汝に

いのちあるものの死ゆえにひたぶるに怖き顔して朝の道ゆく

永遠に種子にしあらば生くべきをふと彗星の光よぎりつ

生き生きと伸びて来し日も憂かりけんさながらいとし青き夭折

道なりに歩いてゆけば雨降りていよよますます悲しかりけり

鉛筆でふいに指突く痛めるもなおかなしくていとしき痛み

久々に歩いて駅へ下りたればいのちの色のそっと囁く

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