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題詠または当季雑詠
兼題T 十薬 兼題U 蝸牛 兼題V 時の日
6月15日(水)投句開始 6月22日(水)投句締切 翌日選句開始 6月29日(水)選句締切 6月30日(木)披講
投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか 「返信ボタン」の左のホームのアイコンをクリックして下さい。
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| 選句をお願いします 丹仙 - 2022/06/23(Thu) 22:31 No.2304 | |
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投句者:寿美子、素蘭、実生、しゐ、白馬、翔河川、鈴居、風子、明子、春愁、丹仙
[1]:ありなむといへど今様蝸牛 ありなんといえどいまようかたつぶり(蝸牛・蝸牛)
[2]:梅もぎにちび蝸牛葉に隠れ うめもぎにちびかたつむりはにかくれ(蝸牛・蝸牛の幼生)
[3]:帰り来ば木戸十薬にふさがれて かえりこばきどどくだみにふさがれて(十薬・)
[4]:蝸牛蟻のアンテナより太し かたつむりありのアンテナよりふとし(蝸牛・)
[5]:かたつむり家付娘の母は老ゆ かたつむりいえつきむすめのはははおゆ(蝸牛・かたつむり)
[6]:かたつむり殻に銀河の渦誌す かたつむりからにぎんがのうづしるす(蝸牛・)
[7]:毀誉褒貶はたかだか五尺かたつぶり きよほうへんはたかだかごしゃくかたつぶり(蝸牛・かたつぶり)
[8]:少女駆け来るででむしを手に這はせ しょうじょかけくるででむしをてにはわせ(蝸牛・ででむし)
[9]:十薬の薫り深まり梅雨本番 じゅうやくのかおりふかまりつゆほんばん(十薬・十薬)
[10]:十薬の風の通へる外厠 じゅうやくのかぜのかよえるそとかわや(十薬・十薬)
[11]:十薬や庭にはびこりいつか売る じゅうやくやにわにはびこりいつかうる(十薬・十薬の花[漢方薬に])
[12]:十薬を抜かずにオラショ唱へけり じゅうやくをぬかずにおれしょとなへけり(十薬・)
[13]:十薬を揉んでニキビに当てし頃 じゅうやくをもんでニキビにあてしころ(十薬・)
[14]:でで虫や軋みて開く裏の木戸 ででむしやきしみてひらくうらのきど(蝸牛・でで虫)
[15]:時の日や科学者でありし天皇様 ときのひやかがくしゃでありしてんのうさま(時の日・)
[16]:時の日や銀座は闊歩するところ ときのひやぎんざはかっぽするところ(時の日・時の日)
[17]:時の日や終末時計また進み ときのひやしゅうまつどけいまたすすみ(時の日・時の日)
[18]:時の日やスマホ時計の味気なく ときのひやすまほどけいのあじけなく(時の日・時の日)
[19]:時の日や捻子のゆるみし鳩時計 ときのひやねじのゆるみしはとどけい(時の日・時の日)
[20]:時の日や振れど叩けど金時計 ときのひやふれどたたけどきんどけい(時の日・時の日)
[21]:時の日やわが蒐集の砂時計 ときのひやわがしゅうしゅうのすなどけい(時の日・時の日)
[22]:時の日やマリアの禱り繰返す ときマリアマリアのいのりくりかへす(時の日・)
[23]:どくだみ咲く闇に無数の十字持て どくだみさくやみにむすうのじゅうじもて(十薬・どくだみ)
[24]:どくだみは六月の花庫裏の花 どくだみはろくがつのはなくりのはな(十薬・六月)
[25]:猫眠る次の時の日我と共か ねこねむるつぎのときのひわれとともか(時の日・[猫17歳にて])
[26]:軒先に十薬吊す未亡人 のきさきにじゅうやくつるすみぼうじん(十薬・十薬)
[27]:軒下に十薬干して住みつげり のきしたにじゅうやくほしてすみつげり(十薬・十薬)
[28]:花十薬重き荷背負ひジャンバルジャン はなじゅうやくおもきにせおひジャンバルジャン(十薬・花十薬)
[29]:葉の裏にはずかしがりの蝸牛 はのうらにはずかしがりのかたつむり(蝸牛・)
[30]:葉をつたい天めざし行く蝸牛 はをつたいてんめざしゆくかたつむり(蝸牛・)
[31]:パチバチとカキ上がる音夕なずむ ぱちぱちとかきあがるおとゆうなずむ(カキ)
[32]:右に巻く水の都の蝸牛 みぎにまくみずのみやこのかたつむり(蝸牛・蝸牛)
[33]:漏刻の頃より流る畦の水 ろうこくのころよりながるあぜのみず(時の日・漏刻)
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| 選句一覧 丹仙 - 2022/06/30(Thu) 09:17 No.2305 | |
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風子
天の句:[10]十薬の風の通へる外厠 「の」と「や」の違いを考えてみた。掲句の場合、現実に、今、外厠と十薬を見ている。あるいは作者自身が厠の中に居て十薬の匂いを感じている、一物仕立ての句。
「や」の切れ字を入れると十薬は目の当たりにあり、「風の通える外厠」は取り合わせの言葉選びかもしれぬ。この場合、二重構造となり句に深みが増す。二句一章の句。
地の句:[6]かたつむり殻に銀河の渦誌す 小さな蝸牛から大きな宇宙への飛躍は素晴らしい。
人の句:[16]時の日や銀座は闊歩するところ 時の日と銀座、どんな関係性があるのか。強いて言えば時間を楽しむ場所か。付かず離れずの関係が快い。
英治
天の句:[16]時の日や銀座は闊歩するところ 勢いがあって面白い。
地の句:[27]軒下に十薬干して住みつげり もはや見られぬ景。
人の句:[10]十薬の風の通へる外厠 ついこの間まで。
寿美子
天の句:[6]かたつむり殻に銀河の渦誌す 近年ついぞ蝸牛を見ません。 ならばいっそのこと気宇壮大に銀河まで心を広げましょう
地の句:[27]軒下に十薬干して住みつげり 下五住みつげりに心ひかれます
人の句:[17]時の日や終末時計また進み 今回は人間の愚かさ浅ましさ痛切に感じています 地球の終末が神様には見えているのでしょうか?
しゐ
天の句:[33]漏刻の頃より流る畦の水 そこでは時も、水も、ただゆったりと流れているように思える。
地の句:[28]花十薬重き荷背負ひジャンバルジャン どくだみとジャンバルジャン! その取り合わせに驚いた後に、不思議な共感が。
人の句:[3]帰り来ば木戸十薬にふさがれて このたびの家主の留守は、少しばかり長引いたのでしょうか。待ちくたびれたどくだみが精一杯のお出迎え。
鈴居
天の句:[17]時の日や終末時計また進み 漏刻はゆっくり流れて時を刻む
地の句:[26]軒先に十薬吊す未亡人 薬にするのでしょうか。オマジナイのようで雰囲気がある。
人の句:[30]葉をつたい天めざし行く蝸牛 ゆっくり、しっかり。
素蘭
天の句:[33]漏刻の頃より流る畦の水 麦の収穫を終えた田に何日もかけて水を張り、田植えを待つ。 そして今、近江はまさに早苗月。
地の句:[23]どくだみ咲く闇に無数の十字持て 梅雨闇を仄かに照らす白い十字花 学生期の心象風景ともいえそうな
人の句:[8]少女駆け来るででむしを手に這はせ はち切れんばかりの笑顔で…
明子
天の句:[6]かたつむり殻に銀河の渦誌す 目前の蝸牛から宇宙の銀河までワープ‼
地の句:[10]十薬の風の通へる外厠 懐かしい景色ですね。
人の句:
翔河川
天の句:[23]どくだみ咲く闇に無数の十字持て 白い十字ですね
地の句:[06]かたつむり殻に銀河の渦誌す 小さな殻に宇宙が
人の句:[10]十薬の風の通へる外厠 トイレに起きるとドクダミの香り
丹仙
天の句:[17]時の日や終末時計また進み ウクライナの戦乱はNATOとロシアとの対立によって、世界は核兵器を使用する第三次世界大戦に突入する危険性を増大させました。俳句はたんなる花鳥諷詠だけでなく、そのような切迫した世界の終末をさりげなく予示することもできます。さらにいえば、そのような終末論に直面しても、平常心を持って植樹することを薦めたキリスト者にも通底する奥行きの深いジャンルでもあります。
地の句:[10]十薬の風の通へる外厠 十薬の咲いている場所その風情を実に的確に捉えています。
人の句:[5]かたつむり家付娘の母は老ゆ 家付娘の母とカタツムリとの配合がなんともユーモラスです。
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題詠または当季雑詠
兼題T 麦秋 兼題U 薔薇 兼題V 薄暑
5月29日(日)投句開始 6月05日(日)投句締切 翌日選句開始 6月12日(日)選句締切 6月13日(月)披講
5月句会開催の遅れをお詫びします。
投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか 「返信ボタン」の左のホームのアイコンをクリックして下さい。
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| 選句をお願いします 丹仙 - 2022/06/06(Mon) 06:50 No.2301 | |
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投句一覧
投句者:寿美子、春愁、白馬、素蘭、やんま、素人、風子、鈴居、しゐ、秋童子、明子、実生、丹仙
[1]:青色のワイン飲み干す薄暑かな あおいろのワインのみほすはくしょかな(薄暑・)
[2]:青空のやや濁りくる麦の秋 あおぞらのややにごりくるむぎのあき(麦秋・麦の秋)
[3]:赤き薔薇咥へて踊るフラメンコ あかきばらくわえておどるふらめんこ(薔薇・赤き薔薇)
[4]:いざ選挙燃える草の根薄暑かな いざせんきょもえるくさのねはくしょかな(薄暑・薄暑)
[5]:祈り上ぐ嘗ての豊穣麦の秋 いのりあぐかつてのほうじょうむぎのあき(麦秋・麦の秋)
[6]:卯月なる薄暑の候にこの暑さ うづきなるはくしょのこうにこのあつさ(薄暑・)
[7]:観世音あまた近江路麦の秋 かんぜおんあまたおうみじむぎのあき(麦秋・麦の秋)
[8]:ガーデンの黄色の薔薇で待合はす がーでんのきいろのばらでまちあわす(薔薇・ばら)
[9]:紅の薔薇語りけり五旬祭 くれないのばらかたりけりごじゅんさい(薔薇・五旬祭(ペンテコステ))
[10]:社用門薄暑薄暑と日は沈む しゃようもんはくしょはくしょとひはしずむ(薄暑・薄暑)
[11]:種苗法書き替えられて麦の秋 しゅびょうほうかきかえられてむぎのあき(麦秋・麦の秋)
[12]:白薔薇をはりよければ良しとせむ しろそうびおわりよければよしとせん(薔薇・白薔薇)
[13]:善男の阿弥陀かぶりや寺薄暑 ぜんなんのあみだかぶりやてらはくしょ(寺薄暑)
[14]:躊躇いて潜る新婦の薔薇アーチ ためらいてくぐるしんぷのばらアーチ(薔薇・ばら)
[15]:大本営発表ありき薄暑かな だいほんえいはっぴょうありきはくしょかな(薄暑・薄暑)
[16]:時々はマスクを外す街薄暑 ときどきはますくをはずすまちはくしょ(薄暑・薄暑)
[17]:隣家の薔薇三色を戴けり となりやのばらさんしょくをいただけり(薔薇・)
[18]:薄暑かなスクランブルの交差点 なくしょかなすくらんぶるのこうさてん(薄暑・薄暑)
[19]:野薔薇咲くふるさとはダムの水底に のばらさくふるさとはだむのみなぞこに(薔薇・野薔薇)
[20]:薄暑を野菜高値に芋を掘る はくしょをやさいたかねにいもをほる(薄暑・薄暑[ジャガイモ])
[21]:麦秋の2色切り裂き戦火かな ばくしゅうのにしょくきりさきせんかかな(麦秋・麦秋)
[22]:麦秋の野辺に無人の青物屋 ばくしゅうののべにむじんのあおものや(麦秋・麦秋)
[23]:麦秋や男一匹鎌を研ぐ ばくしゅうやおとこいっぴきかまをとぐ(麦秋・)
[24]:麦秋や吉良へ十里の道標 ばくしゅうやきらへじゅうりのみちしるべ(麦秋・麦秋)
[25]:麦秋や農婦の祈る聖母像 ばくしゅうやのうふのいのるせいぼぞう(麦秋・)
[26]:麦秋や部活帰りのセーラー服 ばくしゅうやぶかつがえりのセーラーふく(麦秋・)
[27]:麦秋を喜ぶはずのいくさ場や ばくしゅうをよろこぶはずのいくさばや(麦秋・麦秋[ウクライナ])
[28]:薔薇咲くや趣味仰雲の友とゐる ばらさくやしゅみぎょううんのともといる(薔薇・)
[29]:薔薇にほふ紅き日覆ひのベイホテル ばらにおうあかきひおひのベイホテルテル(薔薇にほふ)
[30]:薔薇の香に積もる憂いもふと消えて ばらのかにつもるうれいもふときえて(薔薇・薔薇)
[31]:雹が降る薔薇も野菜も花が散る ひょうがふるばらもやさいもはながちる(薔薇・夏野菜[異常気象])
[32]:返事なく君薔薇のごと佇めり へんじなくきみばらのごとたたずめり(薔薇・薔薇)
[33]:街薄暑人気の店に長き列 まちはくしょにんきのみせにながきれつ(薄暑・薄暑)
[34]:窓という窓開け放つ薄暑かな まどというまどあけはなつはくしょかな(薄暑・薄暑)
[35]:真昼間の日差に薔薇の揺蕩へり まひるまのひざしにばらのたゆたえり(薔薇・薔薇)
[36]:麦の秋戦果て無きウクライナ むぎのあきいくさはてなきうくらいな(麦秋・麦の秋)
[37]: わが妻を「母さん」と呼ぶ薄暑かな わがつまを「かあさん」とよぶはくしょかな(薄暑・)
[38]:我歩む土の香りの麦秋を われあゆむつちのかおりのばくしゅうを(麦秋・)
[39]:チンドンの髷の犬キャラ街薄暑 チンドンのまげのいぬきゃらまちはくしょ(薄暑・薄暑)
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| 選句一覧 丹仙 - 2022/06/13(Mon) 08:02 No.2302 | |
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しゐ
天の句:[22]麦秋の野辺に無人の青物屋 おおらかな景色が目に浮かぶ。青物屋のお客さまは小さな動物たちで、お支払いは葉っぱのお金??などと、想像は広がるばかり。
地の句:[31]雹が降る薔薇も野菜も花が散る 聴覚的にも視覚的にも、とにかく、バラバラバラと。
人の句:[23]麦秋や男一匹鎌を研ぐ これからたった一人でこの麦を刈り取るのだろうか。
鈴居
天の句:[9]紅の薔薇語りけり五旬祭 ばには異国情緒な香りがあるのかなー。
地の句:[16]時々はマスクを外す街薄暑 マスクと初夏はイマドキを表わす。
人の句:[24]麦秋や吉良へ十里の道標 旅好きだったおじいちゃんを思い出します。
風子
天の句:[24]麦秋や吉良へ十里の道標 麦秋を背景に芭蕉さんが佇んでいそうな吉良街道。
地の句:[12]白薔薇をはりよければ良しとせむ 献花代の前で故人を偲んでいるのか。
人の句:[16]時々はマスクを外す街薄暑 マスク不要の時がまちどうしい。
素蘭
天の句:[9]紅の薔薇語りけり五旬祭 炎を模して薔薇の花びらを撒く教会もあるそうな
地の句:[24]麦秋や吉良へ十里の道標 義央公の遺徳をたたえる名跡はその名も金堤(こがねづつみ)とか。。
人の句:[1]青色のワイン飲み干す薄暑かな 薄暑にサムシングブルーのワイン…Cheers!
秋童子
天の句:[34]窓という窓開け放つ薄暑かな この開放感、この季節ならでは、です。
地の句:[36]麦の秋戦果て無きウクライナ 実りの大地に無慈悲な仕打ち。沈痛な日々です。
人の句:[32]返事なく君薔薇のごと佇めり 何があったのでしょうか。気になります。
寿美子
天の句:[12]白薔薇をはりよければ良しとせむ 我が人生もかくありたいと思います
地の句:[36]麦の秋戦果て無きウクライナ 私たちの本音!
人の句:[33]街薄暑人気の店に長き列 今日はもう酷暑です
明子
天の句:[16]時々はマスクを外す街薄暑 実感ですね。そろそろ外してもいいと思うけど・・・
地の句:[12]白薔薇をはりよければ良しとせむ 良しとしましょう。白薔薇を見ているとなぜか納得できます。
人の句:[7]観世音あまた近江路麦の秋 渡岸寺の十一面観音の面影が浮かびました
丹仙
天の句:[12]白薔薇をはりよければ良しとせむ 薔薇は様様な物語を内に秘めています。高貴なる白薔薇はなにかそのような物語の潔い終末を暗示していますね。
地の句:[21]麦秋の2色切り裂き戦火かな 小麦の産地として有名なウクライナの今の状況をよく表現していると思いました。ウクライナの国旗は青空と大地の麦を象徴する2色。ただし、「2色切り裂き戦火かな」ではなく「2色切り裂く戦火かな」としたほうが句姿がすっきりと立ちあがります。
人の句:[16]時々はマスクを外す街薄暑 マスクをすべきなのか、しなくてもよいのか日本の今の曖昧な状況をよく映し出しています。
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題詠または当季雑詠
兼題T 鳥雲に 兼題U 復活祭 兼題V 避難民(不言題)
4月22日(金)投句開始 4月29日(金)投句締切 翌日選句開始 5月06日(金)選句締切 5月07日(土)披講
句会開催時期が遅れましたことをお詫びします。
投句/選句するには、左の「投句選句用紙」のリンクか 「返信ボタン」の左のホームのアイコンをクリックして下さい。
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| 選句をお願いします 丹仙 - 2022/04/30(Sat) 07:03 No.2298 | |
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投句者:万歩、素蘭、やんま、春愁、風子、白馬、鈴居、明子、実生、秋童子、寿美子、しゐ、翔河川、丹仙
[1]:朝焼けの湖はなれ鳥雲に あさやけのみずうみはなれとりくもに(鳥雲に・)
[2]:足弱き一羽も混じり雀の子 あしよわきいちわもまじりすずめのこ(避難民(不言題)・雀の子[避難の列に車いすの子も見えて])
[3]:戦果て瀕死の街や鳥雲に いくさはてひんしのまちやとりくもに(鳥雲に・鳥雲に)
[4]:飢えし日の記憶さだかに大根飯 うえしひのきおくさだかにだいこめし(避難民(不言題)・大根)
[5]:えんとつや遺書も残さず鳥雲に えんとつやいしょものこさずとりくもに(鳥雲に・鳥雲)
[6]:かげろふの身になりてなほ鬱あふる かげろうのみとなりてなおうつあふる(避難民(不言題)・かげろふ)
[7]:カロナール飲めばやれやれ鳥雲に かろなーるのめばやれやれとりくもに(鳥雲に・)
[8]:嘴に木枝をはさむ復活祭 くちばしにこえだをはさむふっかつさい(復活祭・復活祭)
[9]:国超えて平和を祈るイースター くにこえてへいわをいのるいーすたー(復活祭・イースター)
[10]:ざわめきのかあごめかごめ鳥雲に ざわめきのか〜ごめかごめとりくもに(鳥雲に・雲に鳥)
[11]:死ぬまでは息するつもりイースター しぬまではいきするつもりイースター(復活祭・イースター)
[12]:石楠花に小さき巣あと鳥雲に しゃくなげにちいさきすあととりぐもに(鳥雲に・鳥雲に[石楠花の花])
[13]:「侵攻」のはやふた月に鳥雲に しんこうのはやふたつきにとりくもに(鳥雲に・鳥雲に)
[14]:煽情と座学の蹉跌鳥雲に せんじょうとざがくのさてつとりくもに(鳥雲に・鳥雲に)
[15]:戦没者無数の遺影復活祭 せんぼつしゃむすうのいえいふっかつさい(復活祭・)
[16]:染卵ドールハウスに隠さるる そめたまごどーるはうすにかくさるる(復活祭・染卵)
[17]:ちはやぶる神 風船のごとく人 ちはやぶるかみ ふうせんのごとくひと(避難民(不言題)・風船)
[18]:鳥雲に湖面の黙の深まりぬ とりくもにこめんのもくのふかまりぬ(鳥雲に・)
[19]:鳥雲に留まる鳥のさびしげに とりくもにとどまるとりのさびしげに(鳥雲に・)
[20]:鳥くもに目指す地しかとわきまえて とりくもにめざすちしかとわきまえて(鳥雲に・)
[21]:鳥曇気水域の模糊として とりくもりきっすいせんのもことして(鳥雲に・鳥曇)
[22]:射干玉の夢より黄金染卵 ぬばたまのゆめよりこがねそめたまご(復活祭・染卵)
[23]:願はくば戦無き地へ鳥雲に ねがわくばいくさなきちへとりくもに(鳥雲に・鳥雲に)
[24]:覇権主義復活祭と名のれるか はけんしゅぎふっかつさいとなのれるか(復活祭・[プーチン])
[25]:花筏乗せられたらと避難民 はないかだのせられたらとひなんみん(避難民(不言題)・花筏[ウクライナ])
[26]:春嵐けふは流浪の民となる はるあらしけふはるろうのたみとなる(避難民(不言題)・春嵐)
[27]:ひと気なき人道回路リラの雨 ひとけなきじんどうかいろリラのあめ(避難民(不言題)・リラの雨)
[28]:人声に鯉の群れなすイースター ひとごえにこいのむれなすいーすたー(復活祭・イースター)
[29]:避難民日本に住めば日本人 ひなんみんにほんにすめばにほんじん(避難民(不言題)・避難民)
[30]:復活祭主よ死に給うことなかれ ふっかつさいしゅよしにたもうことなかれ(復活祭・)
[31]:復活祭尼僧に道を問はれたる ふっかつさいにそうにみちをとはれたる(復活祭・)
[32]:砲弾に瓦礫の教会復活祭 ほうだんにがれきのきょうかいふっかつさい(復活祭・復活祭)
[33]:望郷のショパンの像や鳥雲に ぼうきょうのしょぱんのぞうやとりくもに(鳥雲に・鳥雲に)
[34]:毎年のことと言えども鳥雲に まいとしのことといえどもとりくもに(鳥雲に・)
[35]:ままごとの朝餉に盛られ散り桜 ままごとのあさげにもられちりざくら(散り桜)
[36]:ままごとの子らの手紅にイースター ままごとのこらのてべににイースター(復活祭・イースター)
[37]:身ひとつの流浪の民よ春寒し みひとつのるろうのたみよはるさむし(避難民(不言題)・春寒し)
[38]:麦育つ大地理不尽に追はれしは むぎそだつだいちりふじんにおわれしは(避難民(不言題)・麦)
[39]:行く春や人道回廊怖々と ゆくはるやじんどうかいろうこわごわと(避難民(不言題)・)
[40]:抑留の父は黙せり鳥雲に よくりゅうのちちはもくせりとりくもに(鳥雲に・)
[41]:コサックの唄声ひびけ月朧 コサックのうたごえひびけつきおぼろ(朧月)
[42]:パンドゥーラ奏きて歌ふは母の國 パンドゥーラひきてうたふはははのくに(避難民(不言題)・)
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| 選句一覧 丹仙 - 2022/05/08(Sun) 11:11 No.2299 | |
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寿美子
天の句:[9]国超えて平和を祈るイースター 何もできないもどかしさ 神様にも仏様にもお願いしたい❣一日も早くウクライナに平和が戻ります様に
地の句:[2]足弱き一羽も混じり雀の子 雀の子にもうくらいなの悲劇を重ねられる作者に共鳴します
人の句:[26]春嵐けふは流浪の民となる 流浪の民の歌曲好きで良く歌いました しかし今 朝毎のニュ‐スを追っていると避けては通れない 民族の悲しみの様々が思われます。
春愁
天の句:[33]望郷のショパンの像や鳥雲に ウクライナにあるショパン像のことでしょうか。確かに・・・
地の句:[21]鳥曇気水域の模糊として ぼんやりとした花曇りの景
人の句:[31]復活祭尼僧に道を問はれたる 風子
天の句:[18]鳥雲に湖面の黙の深まりぬ 鳥たちは去り湖に静けさが深まっていく。静謐な空気感が漂う。 賑やかだった家族が去っていき、老夫婦だけが取り残された悲哀感と共に、静けさの中に平和感を取り戻す現実と重ね合わせた上質の風景画を想う。
地の句:[27]ひと気なき人道回路リラの雨 人道回廊は実際どうなんだろうか? リラの雨が心に沁みる。「ひと気なき」に心細さを感じる。国際社会は嘘つきプーチンに人道回廊を確約させることは出来るのか。
人の句:[16]染卵ドールハウスに隠さるる 大きな手が小さなドールハウスにぬっと入って染め卵を置いた。シュールなイメージ。 子供たちは真剣な眼差しで卵を探す。まさかドールハウスの隠れているとはつゆ知らず。
鈴居
天の句:[18]鳥雲に湖面の黙の深まりぬ 静けさに動きがあってよい。
地の句:[12]石楠花に小さき巣あと鳥雲に 小鳥も活動の時期に
人の句:[32]砲弾に瓦礫の教会復活祭 終わりの見えない戦い季節だけが巡ってゆく。
万歩
天の句:[1]朝焼けの湖はなれ鳥雲に 希望を抱いて飛び立つ鳥ではあるが、前途には不確かな不安が潜んでいる、という句意と理解しました
地の句:[23]願はくば戦無き地へ鳥雲に 飛び立つ鳥たちに幸あれと願う気持ちが現れています
人の句:[15]戦没者無数の遺影復活祭 繰り返される戦いの傷痕が絶えることがない
しゐ
天の句:[30]復活祭主よ死に給うことなかれ 「人道」というものが死にかけているように見える今、「主よ、誰の中にも、どうか生きていてください」という叫びのように思えます。
地の句:[26]春嵐けふは流浪の民となる 爆音の中に立ちすくむ姿におのれを重ね、身を震わせている。
人の句:[18]鳥雲に湖面の黙の深まりぬ その静けさを感じる人の、深い思い。
秋童子
天の句:[18]鳥雲に湖面の黙の深まりぬ 飛び去ったあとの、何と静かなことか。
地の句:[26]春嵐けふは流浪の民となる あまりに突然の人生の変転。
人の句:[23]願はくば戦無き地へ鳥雲に 旅の無事を祈るのみ。
翔河川
天の句:[23]願はくば戦無き地へ鳥雲に 安住の地へ
地の句:[02]足弱き一羽も混じり雀の子 ハラハラと
人の句:[22]射干玉の夢より黄金染卵 花より団子
実生
天の句:[2]足弱き一羽も混じり雀の子 早く早く避難して。若いころ雀の子をくわえて妻に見せに来ていた猫も年取って鼻先に来ても無関心。長生きしてと祈るばかり。
地の句:[22]射干玉の夢より黄金染卵 ヒオウギは庭に、鳥の所為かあちこちに自生する。実は美しい黒だけど餌のない時期の鳥にとって黄金かな。イースターにお返しに卵を産んだりして。
人の句:[23]願はくば戦無き地へ鳥雲に 危ない国には行かないで。
白馬
天の句:[4]飢えし日の記憶さだかに大根飯 地の句:[41]コサックの唄声ひびけ月朧 人の句:[37]身ひとつの流浪の民よ春寒し 明子
天の句:[37]身ひとつの流浪の民よ春寒し 突然生活の全てを奪われた人々の怒り、悲しみは言葉で言い尽くせないと思います。胸の中が凍り付きそうです。
地の句:[33]望郷のショパンの像や鳥雲に ついに故郷に帰れなっかたショパン。さぞ鳥たちが羨ましかったことでしょう。
人の句:[42]パンドゥーラ奏きて歌ふは母の國 無季の句ですが、あの歌声は本当に美しく母国への思いが溢れていましたね。
丹仙
天の句:[18]鳥雲に湖面の黙の深まりぬ 叙景の句が同時に内面に深く沈潜するところ、群を抜いて素晴らしい俳句と思いました。
地の句:[37]身ひとつの流浪の民よ春寒し ウクライナからの避難民の状況をよく表していると思いました。
人の句:[2]足弱き一羽も混じり雀の子 「避難の列に車椅子の子供を見て」という穂難民の状況に一茶の俳句のような弱者への共感を重ねている点に惹かれました。
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題詠または当季雑詠
兼題T 春泥 兼題U 初蝶 兼題V ウクライナ(不言題)
3月16日(水)投句開始 3月23日(水)投句締切 選句開始 3月30日(水)選句締切 3月31日(木)披講
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| 選句をお願いします 丹仙 - 2022/03/23(Wed) 08:15 No.2295 | |
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選句開始日を3月24日にすべき処を、間違えて3月23日としました。システムの都合上やり直しがきかないので、投句が間に合わなかった皆様にお詫びします。
投句者:やんま、風子、素蘭、寿美子、白馬、万歩、実生、春愁、しゐ、丹仙、秋童子、素人、翔河川、鈴居
[1]:悪漢の世にはびこるや春寒し あっかんのよにはびこるやはるさむし(ウクライナ(不言題)・春寒し)
[2]:凍て返る浅き夢見て独裁者 いてかえるあさきゆめみてどくさいしゃ(ウクライナ(不言題)・凍て返る)
[3]:凍て緩むはるかな空に唸る凧 いてゆるむはるかなそらにうなるたこ(ウクライナ(不言題)・凧)
[4]:韻を踏む歴史の轍春の泥 いんをふむれきしのわだちはるのどろ(春泥・春の泥)
[5]:ウクライナ早く早く春来れ うくらいなはやくはやくはるきたれ(ウクライナ(不言題)・春[反戦])
[6]:薄氷を割るが男の子のならひとぞ うすらひをわるがおのこのならいとぞ(ウクライナ(不言題)・薄氷)
[7]:胸奥に一陣の風初蝶来 きょうおうにいちじんのかぜはつちょうく(初蝶・初蝶)
[8]:国守る民の気概や遅き春 くにまもるたみのきがいやおそきはる(ウクライナ(不言題)・遅き春)
[9]:黒北風の狂い始めて手に負えず くろぎたのくるいはじめててにおえず(ウクライナ(不言題)・)
[10]:幻蝶のごとく生るるよ初蝶は げんちょうのごとくあるるよはつちょうは(初蝶・初蝶)
[11]:再会の涙を拭う布も無く さいかいのなみだをぬぐうぬのもなく(ウクライナ(不言題)・)
[12]:去る残る明日も知れぬ身キエフ春 さるのこるあすもしれぬみきえふはる(ウクライナ(不言題)・春)
[13]:志願兵若き額に聖灰の跡 しがんへいわかきひたいにせいはいのあと(ウクライナ(不言題)・灰の水曜日)
[14]:春泥に草履取られて泣く子かな しゅんでいにぞうりとられてなくこかな(春泥・)
[15]:春泥にゆく手阻まるロシア兵 しゅんでいにゆくてはばまるろしあへい(春泥・春泥)
[16]:春泥もロシアの戦車阻みけり しゅんでいもろしあのせんしゃはばみけり(春泥・春泥)
[17]:春泥や老いの歩幅の短かけれ しゅんでいやおいのほはばのみじかけれ(春泥・)
[18]:春泥や酸ひも甘いも踏み分けて しゅんでいやすいもあまいもふみわけて(春泥・春泥)
[19]:春泥や洗車まつ間の一句二句 しゅんでいやせんしゃまつまのいっくにっく(春泥・春泥)
[20]:春泥やロシアの娘帰国せず しゅんでいやロシアのむすめきこくせず(春泥・)
[21]:春泥よ児らのなきがら抱きとめよ しゅんでいよこらのなきがらだきとめよ(春泥・春泥[ウクライナ])
[22]:春泥よ戦いそいでと願うのみ しゅんでいよたたかいそいでとねがうのみ(春泥・ゆきどけ[ウクライナ])
[23]:春泥をつけて戻りぬ杖の母 しゅんでいをつけてもどりぬつえのはは(春泥・春泥)
[24]:春泥を飛び越すきみの腕高く しゅんでいをとびこすきみのうでたかく(春泥・)
[25]:春泥をよけ行く靴はおろしたて しゅんでいをよけゆくくつはおろしたて(春泥・)
[26]:その先は戦の坩堝鳥帰る そのさきはいくさのるつぼとりかえる(ウクライナ(不言題)・鳥帰る)
[27]:泣き歩む稚児後にする祖国なり なきあゆむきごあとにするそこくなり(ウクライナ(不言題)・)
[28]:初蝶来 か行変格こ・き・くれ・こよ はつちょうく かぎょうへんかくこ・き・くれ・こよ (初蝶・初蝶)
[29]:初蝶来白く上下に戯れて はつちょうくしろくじょうげにたわむれて(初蝶・)
[30]:初蝶の哀しく舞ふは焼け野原 はつちょうのかなしくまうはやけのはら(初蝶・初蝶)
[31]:初蝶の河の光に溶けにけり はつちょうのかわのひかりにとけにけり(初蝶・初蝶)
[32]:初蝶の恥じらふ如く去りゆけり はつちょうのはじらうごとくさりゆけり(初蝶・)
[33]:初蝶やりぼんでくくるミルフィール はつちょうやりぼんでくくるミルフィール(初蝶・初蝶)
[34]:初蝶よ初心者マークを付けてやろ はつちょうよしょしんしゃまーをつけてやろ(初蝶・)
[35]:春一番トヨタもマックも退散す はるいちばんとよたもまっくもたいさんす(ウクライナ(不言題)・春一番)
[36]:春の泥詩想にぬた場ありぬべし はるのどろしそうにぬたばありぬべし(春泥・春の泥)
[37]:春の闇世界もわれも無力なる はるのやみせかいもわれもむりょくなる(春の闇[ウクライナ])
[38]:被災者を小さく励まし初の蝶 ひさいしゃをちさくはげましはつのちょう(初蝶・初蝶)
[39]:本当の戦争が続くなお今日も ほんとうのせんそうがつづくなおきょうも(ウクライナ(不言題)・なし)
[40]:丸坊主ブロッコリーに初蝶 まるぼうずブロッコリーにはつちょう(初蝶・[モンシロチョウ])
[41]:指点字触れて伝へり初蝶来 ゆびてんじふれてつたへりはつてふく(初蝶・)
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| 選句一覧 丹仙 - 2022/03/31(Thu) 07:32 No.2296 | |
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寿美子
天の句:[33]初蝶やりぼんでくくるミルフィール ホワイトデーのプレゼントかしら❣ 早春の喜びは素敵なお菓子から
地の句:[28]初蝶来 か行変格こ・き・くれ・こよ 初蝶と文語文法の取り合わせ、作者の発想に脱帽します 一瞬 古文の先生の思い出が甦りました
人の句:[2]凍て返る浅き夢見て独裁者 ウクライナの子供たちのニュースに心が痛みます 浅き夢ならば早く断ち切りたいのですが
風子
天の句:[37]春の闇世界もわれも無力なる ぬくぬくとテレビを見ながらお茶飲みながら、ウクライナのニュースを、少し気のひける思いで見ている。世界の良心が束になっても、未だ何もできぬ有様で、全く無力さを感じてしまう。
地の句:[21]春泥よ児らのなきがら抱きとめよ 雪解道を延々歩く難民達。ノンフィクションの「流れる星は生きている」、満州からの引き上げの情景を思い浮かべます。息の切れた幼子を置き去りにしなければならない親の心情を思うと涙が止まりません。
人の句:[34]初蝶よ初心者マークを付けてやろ 初蝶の初々しさ、初心者マークは蝶々でしたか?
素蘭
天の句:[4]韻を踏む歴史の轍春の泥 山路を登りながら、こう考えた。 智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく に人の世は住みにくい。 今更ながら『草枕』(夏目漱石)の冒頭を、、、
地の句:[31]初蝶の河の光に溶けにけり 堤防から河川敷まで埋め尽くす菜の花も初蝶も渾然と…
人の句:[24]春泥を飛び越すきみの腕高く チャレンジ精神に〇
しゐ
天の句:[11]再会の涙を拭う布も無く 何もかも奪われて。
地の句:[4]韻を踏む歴史の轍春の泥 かなしい轍。
人の句:[41]指点字触れて伝へり初蝶来 特別な方法で伝えられていく蝶の姿が印象的でした。
実生
天の句:[38]被災者を小さく励まし初の蝶 もしも被災したら身も心も励まされるだろう。
地の句:[25]春泥をよけ行く靴はおろしたて どこ行くの。
人の句:[11]再会の涙を拭う布も無く やめて戦争。
秋童子
天の句:[26]その先は戦の坩堝鳥帰る もはや全土が戦場と化しているのに、それでもお前は戻って行くと言うのか・・・。
地の句:[37]春の闇世界もわれも無力なる 惨状を目にしながら、何もできない無力感。
人の句:[27]泣き歩む稚児後にする祖国なり あの男の子はその後どうなったのか。気になって仕方がありません。
白馬
天の句:[26]その先は戦の坩堝鳥帰る ウクライナの上空を飛びませんように。
地の句:[38]被災者を小さく励まし初の蝶 初蝶を見て心ほっこりして下さいね。
人の句:[23]春泥をつけて戻りぬ杖の母 転ばずに散歩からお帰り。ひと安心。
万歩
天の句:[31]初蝶の河の光に溶けにけり 明るい春の景が見えて来ます
地の句:[26]その先は戦の坩堝鳥帰る 静(鳥帰る)と戦さ(動)の対比が効いています
人の句:[6]薄氷を割るが男の子のならひとぞ あるある、光景です
素人
天の句:[25]春泥をよけ行く靴はおろしたて さもありなん。 人情ですよね。
地の句:[29]初蝶来白く上下に戯れて 紋白蝶ですね。この時期よく見かけます。
人の句:[35]春一番トヨタもマックも退散す 現状を知らされていないロシアの民のためにも。
翔河川
天の句:[04]韻を踏む歴史の轍春の泥 マークトウェインも嘆いている
地の句:[07]胸奥に一陣の風初蝶来 風のように
人の句:[17]春泥や老いの歩幅の短かけれ なんぎなこと
丹仙
天の句:[28]初蝶来 か行変格こ・き・くれ・こよ 初蝶来の「来」はカ行変格活用の「ことば」が擬態語のように、初蝶の飛ぶ様を表現しているのが面白い。
地の句:[3]凍て緩むはるかな空に唸る凧 「凍て緩む」と、遙か彼方にあって音の聞こえない「凧」の唸りの配合が季節の移りゆきのダイナミズムをうまく表現しています。
人の句:[15]春泥にゆく手阻まるロシア兵 膠着状態になったウクライナの戦況を「春泥」がよく表しています。
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題詠または当季雑詠
兼題T 春寒 兼題U 紅梅 兼題V 絵踏
2月15日(火)投句開始 2月22日(火)投句締切 翌日選句開始 3月05日(土)選句締切 3月06日(日)翌日披講
管理者の事情で、選句開始時期が遅れましたので、選句締切と披講の日取りを上記のように延期致しました。ご迷惑をおかけしましたことをお詫びします。
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| 選句をお願いします 丹仙 - 2022/02/26(Sat) 18:58 No.2292 | |
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投句者:素蘭、寿美子、しゐ、春愁、やんま、風子、鈴居、実生、白馬、万歩、翔河川、明子、秋童子、丹仙
[1]:井戸一つ残る山城春寒し いどひとつのこるやまじろはるさむし(春寒・春寒)
[2]:絵踏して生きよと語る受難像 えふみしていきよとかたるじゅなんぞう(絵踏・)
[3]:絵踏めどもなお近づけるみくにあり えふめどもなおちかづけるみくにあり(絵踏・絵踏)
[4]:絵踏み哀史沖に黒々南蛮船 えぶみあいしおきにくろぐろなんばんせん(絵踏・絵踏)
[5]:絵踏する遊女の哀しき笑顔かな えぶみするゆうじょのかなしきえがおかな(絵踏・)
[6]:絵踏なりパンデミックの街模様 えぶみなりぱんでみっくのまちもよう(絵踏・[コロナ])
[7]:改憲へ軋む歯車春寒し かいけんへきしむはぐるまはるさむし(春寒・春寒し)
[8]:切支丹弔ふ庵の踏絵かな きりしたんとむらういおのふみえかな(絵踏・絵踏)
[9]:禁書をば踏絵のごとく読みふける きんしょをばふみえのごとくよみふける(絵踏・踏絵)
[10]:紅の梅の盛りに狂ひ鳥 くれなほのうめのさかりにくるひどり(紅梅・紅の梅)
[11]:紅梅に蜜吸うメジロけなげなり こうばいにみつすうめじろけなげなり(紅梅・紅梅[メジロ])
[12]:紅梅のキャラメル甘くランドセル こうばいのきゃらめるあまくらんどせる(紅梅・)
[13]:紅梅の歯科の窓辺にふふみおり こうばいのしかのまどべにふふみおり(紅梅・紅梅)
[14]:紅梅の雌蕊短かし鳥遊ぶ こうばいのめしべみじかしとりあそぶ(紅梅・)
[15]:紅梅やあやせば笑いう赤ん坊 こうばいやあやせばわらうあかんばう(紅梅・春)
[16]:紅梅やいのち愛しむマリア像 こうばいやいのちかなしむマリアぞう(紅梅・)
[17]:紅梅や女三代タカラヅカ こうばいやおんなさんだいたからづか(紅梅・紅梅)
[18]:紅梅や全てを決めるきみの胸 こうばいやすべてをきめるきみのむね(紅梅・)
[19]:紅梅や山車小屋開けて風通し こうばいやだしごやあけてかぜとおし(紅梅・紅梅)
[20]:紅梅や母にまだある頬の艶 こうばいやははにまだあるほほのつや(紅梅・紅梅)
[21]:紅梅や光の雨が音もなく こうばいやひかりのあめがおともなく(紅梅・紅梅)
[22]:権太坂投げ込み塚の薄紅梅 ごんたざかなげこみづかのうすこうばい(紅梅・薄紅梅)
[23]:静かなる建築現場春寒し しずかなるけんちくげんばはるさむし(春寒・)
[24]:春寒の一本道に道祖神 しゅんかんのいっぽんみちにどうそしん(春寒・春寒)
[25]:春泥や絵踏の石に星明り しゅんでいやえぶみのいしにほしあかり(絵踏・春泥)
[26]:心中に踏絵なるもの抱え込む しんちゅうにふみえなるものかかえこむ(絵踏・踏絵)
[27]:戦争がにたり手招き春寒し せんそうがにたりてまねきはるさむし(春寒・春寒し)
[28]:蔵されし上野に偲ぶ絵踏かな ぞうされしうえのにしのぶえぶみかな(絵踏・絵踏)
[29]:平らかや踏絵拒みし果ての果て たいらかやふみえこばみしはてのはて(絵踏・踏絵)
[30]:庭先の紅梅咲きて春知りぬ にわさきのこうばいさきてはるしりぬ(紅梅・紅梅)
[31]:春寒しキエフに迫る戦車列 はるさむしきえふにせまるせんしゃれつ(春寒・)
[32]:春寒し錻力の匣のがらんどう はるさむしぶりきのはこのがらんどう(春寒・春寒し)
[33]:春寒し枕の跡の残る頬 はるさむしまくらのあとののこるほほ(春寒・春寒)
[34]:春寒に紅の花ぽとと落ち はるさむにくれないのはなぽととおち(春寒・春寒[椿])
[35]:春寒や名札の目立つ植物園 はるさむやなふだのめだつしょくぶつえん(春寒・春寒)
[36]:春寒や群れを離れて飛ぶ鴎 はるさむやむれをはなれてとぶかもめ(春寒・春)
[37]:春寒を挨拶替わりに出勤す はるさむをあいさつがわりにしゅっきんす(春寒・春寒)
[38]:春寒を理由に肩を引き寄せて はるさむをりゆうにかたをひきよせて(春寒・)
[39]:春寒に温き言葉を返さるる はるざむにぬくきことばをかえさるる(春寒・春寒)
[40]:料峭の空伐採の音高く りょうしょうのそらばっさいのおとたかく(春寒・料峭)
[41]:パソコンの機嫌不きげん春寒し パソコンのきげんふきげんはるさむし(春寒・春寒し)
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| 選句一覧 丹仙 - 2022/03/06(Sun) 08:38 No.2293 | |
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やんま
天の句:[1]井戸一つ残る山城春寒し 立てこもるには水が命。
地の句:[32]春寒し錻力の匣のがらんどう そんな雰囲気をとらえて妙なり。
人の句:[15]紅梅やあやせば笑いう赤ん坊 人は笑顔に癒やされる。
白馬
天の句:[2]絵踏して生きよと語る受難像 許します。しっかり生きて下さい。
地の句:[20]紅梅や母にまだある頬の艶 懐かしい母眼裏に。
人の句:[38]春寒を理由に肩を引き寄せて 若き頃の甘酸っぱい記憶。
春愁
天の句:[32]春寒し錻力の匣のがらんどう 日本の戦車の歴史を、思い出しました
地の句:[23]静かなる建築現場春寒し 浅き春の朝の景・・・
人の句:[9]禁書をば踏絵のごとく読みふける 発禁本???
風子
天の句:[32]春寒し錻力の匣のがらんどう 「春寒し」は今、ここにを表し、それに比べてブリキの箱は、古き良き時代の昭和を思い起こして懐かしむ。「がらんどう」から、過ぎ去ってしまった寂しさを感じる。
地の句:[41]パソコンの機嫌不きげん春寒し 全く、パソコンの制御不能な振る舞いを感じる時がある。
人の句:[17]紅梅や女三代タカラヅカ 紅梅は華やか。女三代タカラジェンヌとは。
しゐ
天の句:[29]平らかや踏絵拒みし果ての果て 今もどこかで、必死に何かを拒もうとしている者への、静かなエールのようにも思えてきます。
地の句:[35]春寒や名札の目立つ植物園 積もった枯れ葉の下には幾千もの芽が、名札を覆い隠すほどの繁茂を夢見て息づいていることでしょう。
人の句:[15]紅梅やあやせば笑いう赤ん坊 平易な表現の向こうに、どこまでも広がっていく明るさを感じます。
万歩
天の句:[20]紅梅や母にまだある頬の艶 紅梅の咲く頃になって、余命少ない母親の頬に赤みがさしてきたという感慨がよく出ています
地の句:[1]井戸一つ残る山城春寒し 取り残された山城の井戸に刻まれた歴史を思う句。感慨が伝わります
人の句:[7]改憲へ軋む歯車春寒し 国の内外がざわつくに便乗して、改憲の声が声高になる世相に対して春寒の思い。
寿美子
天の句:[22]権太坂投げ込み塚の薄紅梅 薄紅梅が投げ込み塚の哀史を思わせて、心惹かれます
地の句:[6]絵踏なりパンデミックの街模様 コロナ禍は人類への神の絵踏でしょうか 世の中の変転の激しさに恐れさえかんじます 本当はもっと明るい世界を歌いたいのに残念です
人の句:[7]改憲へ軋む歯車春寒し 平和憲法を順守する日本は非核化も風前の灯 世界中軍備拡張 乗り遅れまいとする報道ばかりです 誰か歯車にオイルを差してくれないか!
鈴居
天の句:[1]井戸一つ残る山城春寒し 寒いなかの暖かみがある
地の句:[17]紅梅や女三代タカラヅカ どういう句なのか教えて欲しい。
人の句:[31]春寒しキエフに迫る戦車列 戦禍は繰り返される
実生
天の句:[32]春寒し錻力の匣のがらんどう 捨てられません。
地の句:[20]紅梅や母にまだある頬の艶 つや。亡くなった母を思い出しました。
人の句:[26]心中に踏絵なるもの抱え込む 心の中にはたくさんあります。
素蘭
天の句:[2]絵踏して生きよと語る受難像 While there's life there's hope. 命あっての物種と、、、
地の句:[40]料峭の空伐採の音高く 諏訪大社式年造営御柱大祭の日程も粛々と…
人の句:[41]パソコンの機嫌不きげん春寒し というより今日も「不安定」.
秋童子
天の句:[31]春寒しキエフに迫る戦車列 行く手阻むは素手の老若 大勢のキエフ市民が丸腰で抵抗を続け、戦車の前方に立ちはだかっています。
地の句:[35]春寒や名札の目立つ植物園 花々もまださびしい植物園。名札ばかりが目について。
人の句:[12]紅梅のキャラメル甘くランドセル あまりの懐かしさに紅梅キャラメルに一票。 幼いころこのキャラメルを何度も買ってもらい、箱の中の巨人軍選手のカードを集めました。川上、千葉、与那嶺、樋笠、内藤・・・。調べてみると発売は昭和26〜29年。なんと約70年も前のことだったとは!
翔河川
天の句:[03]絵踏めどもなお近づけるみくにあり 許したまう
地の句:[32]春寒し錻力の匣のがらんどう お米でしょうか
人の句:[20]紅梅や母にまだある頬の艶 ままだまだ
明子
天の句:[22]権太坂投げ込み塚の薄紅梅 紅梅の色の薄さが投げ込み塚を巡る哀しさを物語っているようです
地の句:[2]絵踏して生きよと語る受難像 信仰の懐の深さに思いをはせて・・・
人の句:[31]春寒しキエフに迫る戦車列 心の底から寒さが募ります
丹仙
天の句:[1]井戸一つ残る山城春寒し 山城に立てこもった敗者達の記憶をかすかに遺す井戸に注目したところ、春寒の季語が生きています。
地の句:[32]春寒し錻力の匣のがらんどう 「錻力の匣」という古めかしい表現から文明開化の明治と戦乱の昭和の間に挟まったつかの間の大正時代にタイムシフトしたような、どこか鬼気迫る印象を受けました。
人の句:[3]絵踏めどもなお近づけるみくにあり 毎年繰り返される「踏み絵」の後に、かならず「信心戻し」の儀式をして、なによりも生き延びて宣教師の再来の約束を待ち受けていた隠れキリシタンの記録があります。この句は、そのような隠れたるキリスト者に捧げたいと思いました。
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